この秋、大型二輪免許(限定解除)に挑戦した。
「挑戦した」と言っても、教習所に通って取ったので、余り偉そうなことは言えない。
これから取ろうという人のために、中型二輪(普通二輪)免許所持者の場合についてメモを残しておこう。
教習金額は8万円(税別)。決して安くない。従来通り運転免許試験場に行って取得した場合、試験料は確か4千円程度だったはずなので、20回分に相当する。時間があって、取得に対する意志が強い人は試験場に行ったほうが宜しい。しかし、時間がないとか、時間がかかると意志が萎えるという人は、教習所に行こう(8万円を出してでも取りたい、8万円くらいなら出せるというのも条件だ)。教習所で教習を受ければ、試験場に行ったときと比べて面倒な手続きはほとんど不要になるからだ。
中型二輪免許を持っている人の場合、学科はなし。技能のみの12時限だ。前半5時限、後半7時限に分かれており、前半で細かい技術を習い、後半はそれを駆使して交通法規に則った走行練習をする。大型二輪は重く、パワーも中型に比べて強い。車体が大きいので、細かいアクセルワークや半クラッチを使った低速走行ができないと乗れない。だから、大型に乗って地面に足のつかないような体の小さい人は、中型二輪免許から取得した方がいい。一緒に教習を受けている中型二輪コースの練習生の中には、まだバイクのバランスの取り方が分からなかったり、どうしても腰で乗れてなかったりして毎回のようにこけている人もいる。中型ならこけそうになった時、まだ腕の力で何とかなるが、大型はバランスを崩したらこけるしかない。重いので腕力で復帰させることは不可能だ。体の小さい人や腕力の弱い人はなおさらなので、中型でバイクに慣れてから大型に挑戦するのがベストであろう。
ただ、全ての人が中型二輪から受験しているわけではない。中には、いきなり大型二輪に挑戦する人もいる。いきなりだと、確か30時間強乗る必要があるが、体が大きくてバランス感覚に自信のある人は、いきなり大型二輪に挑戦してみても良いのではないだろうか。
ここからは個人的な教習経過を記す。
・初日
入所式。例によって退屈な適性試験を受け、一度では絶対に覚えられない施設の使い方を聞く。その後、早速教習。まず、バイクの前ブレーキにどれほどの制動力があるか体験。原付の前ブレーキをかけて、大の男3人で押してみる。後輪が浮いてしまった。つまり、大型二輪の前ブレーキはこれ以上に効くということだ。注意して使おう。
スラロームと低速走行をする。久々のオンロードバイク、しかも大きい。アクセルをあおるとすぐに加速が付く。スラロームは7秒以内で通過しなければならないのだが、最初は恐くて7秒を突破できなかった。低速走行ではたびたび足をついてしまった。
この日は2時限連続で乗った。2時限目は8の字ターンと一本橋だ。一本橋は中型を取った時から得意。大型は10秒間で通化しなければならない。10秒というと、365日のマーチの出だしの部分を歌ったくらいの時間だ(「幸せは〜歩いてこない〜だ〜から歩いてゆくんだね〜一日一歩」ここまでくらい)。楽にクリア。逆にもっと長時間乗ってやろうとして失敗することが多かった。
8の字ターンでは、見ている位置が近すぎるとの指摘を受ける。円の反対側くらいを見なければならないらしい。しかし、目の前のパイロンに突っ込みそうで、恐くてすぐに目の前を見てしまう。結局、半分以上の時間を8の字で過ごす。回り過ぎで非常につかれた。一緒に教習を受けた人と、思わず「お疲れさま」と声を掛け合う。
・2日目
この日も2時限連続で乗る。最初の時限はクランク。先生が「2速で走ってみなさい」と言うので、2速で走ると速くなりすぎて脱輪してしまった。「そんなんじゃあ、ダメでしょ!」と母親が叱るような口調で叱られる。他にも8の字やスラロームを走る。
2時限目は総合練習。中型二輪の見極めコースを走る。坂道発進から踏み切り、障害物回避、クランク、8の字、一本橋、スラローム・・・と急制動と波状路以外のことを一通りやる。相変わらず一本橋に長く居座ろうとして失敗する。もっとさっさと渡っても良いのかも知れない。
「次は1段階の見極めだけど、この調子なら大丈夫でしょう」とお墨付きをもらう。
・3日目
この日も2時限連続。
まず1時限目は見極め。中型の見極めコースを急制動と波状路を除いて走る。ず〜っと走る・・・。退屈だ。キープレフトを注意される。
2時限目。見極めが良かったのかどうだか分からないままに教習が始まる。どうやら何も言われないところを見ると、無事に2段階に進んだらしい。
自動車用の教習コースに連れて行かれ、自動車用のクランクやS字を猛スピードで走る。先生曰く「速く走る練習」だそうだ。スタンドをガリガリこすりながら走るが、先生はすでにはるか彼方。さらに、自動車用の坂道発進コースの登りの部分だけを使って8の字走行。自動車用の縦列駐車スペースで低速8の字走行。ようやく二輪コースに戻ったと思ったら、片手運転でスラローム、立ち姿勢でスラロームと肝を冷やす練習が続く。
とどめは危険回避。急制動の練習をした後、先生の合図で右、左にブレーキをかけずによける練習だ。特に問題はなかったが、急制動はいつも緊張する。何度か後ブレーキがロックして注意を受けた。
大汗をかいて練習終了。「もう1時間、同じことやるから」と言われてげんなりする。
・4日目
この日も2時限乗った。
まずは予告通り自動車用コースへ。坂道8の字。スラロームとクランクで高速走行をする。その後、コース外の芝生の部分でオフロード走行の練習。オフロード乗りの私にとっては楽勝だ。が、後で先生から「立ち姿勢の時に腰が引けている」と指摘を受ける。
二輪コースに戻って片手スラローム、立ちスラローム。さらに立ち姿勢の練習のため、立った状態で一本橋。これが非常に難しい。すぐに落ちてしまう。なかなか安定しない。教習所で習った腰を前に突き出す乗り方だとなおさらだ。波状路をこの日初めてやった。オフロード乗りの私には全く問題なし。5秒以上かけて走らなければならないのだが、10秒くらいはねばれそうだ。
2時限目は総合練習。波状路と急制動を交えたコースを走るが「法規通りに交差点を曲がれていない」と指摘を受ける。ショートカットになっているらしい。気をつけよう。
・5日目
この日も2時限連続だ。
この日の1時限目は、バイクには乗らない。シュミレーターで危険予知の練習をするのだ。車のシュミレーターに乗ったことはあるが、バイクのシュミレーターは初めて。「ゲーセンのバイクのゲームみたいにバンクさせないで下さい。戻りませんから」と注意される。そう、シュミレーターのバイクはハンドルをグイッと曲げて曲がらねばならないのだ。走りにくいし、スピード感も分からぬ。そうこうしているうちにシュミレーション開始。いろいろな状況が画面に映し出され、画面から危険を予測して走るのだ。私と一緒に受講した2人も中型免許を持っていて、大体どんな事故が待っているか予測できたようだ。大きな問題もなく終了。
2時限目は総合練習。気分良く走っていたら「バイクを替えて下さい」と指示される。いつも乗っているのはCB750なのだが、乗せられたのはVFR750。「これを乗りこなせないとダメです」と言われるが、このバイクの扱いにくさと言ったら!タンクがちょうどライダーの太ももの部分に沿って絞り込まれており、ニーグリップの部分が狭い。なんだがタンクにポジションを固定されているみたいだ。長距離走行しているときはこれで良いのかも知れないが、教習所の狭いコースでは逆に乗りにくい。立ち姿勢もやりにくい。さらに、パワーがドカンと出るので、気を付けないと飛びだしてしまう。慣れないバイクに四苦八苦していると、対向車を視認し遅れて立ちゴケ。「視認が遅れると間違いなくこけるよ」と注意される。技能教習は残り2時限。こんなときに立ちゴケしていて大丈夫なんだろうか。
どうやらスラロームを速く走りすぎているらしい。5秒くらいで走っていたそうで「暴走族みたいなので、もっとゆっくり丁寧に走りなさい」と注意された。
・6日目
2時限。今日で一応、教習は終わりだ。
雨が降っていて、嫌な感じの日だった。いくら教習でも、やっぱり雨の日には乗りたくない。学生のころはよく寒中ツーリングとか雪中ツーリングとか獣道ツーリングとか、苦行的なツーリングをしたものだが、雨の日にあえてツーリングを敢行したことはない。出発したら途中で大雨が降ったとか、帰りしに雨が降ったとかいうことならあったが・・・。
ゴアテックスのツーリングパンツと靴下で武装して教習開始。今日は2時限とも総合練習だ。いきなり一本橋を失敗する。急制動ではロックしてツーとバイクが滑り出し、非常に恐い思いをする。それでも2周ほど走ると慣れてきた。先生が後ろからぴったりとマークしてきて私の走りをチェックしている。ウインカーを出すタイミング(速すぎる)、交差点で十分中心点に寄せる(まだショートカット気味)、安全確認(一度、進路妨害をしたらしい。気がつかなかった・・・)を注意された。
2時限目も先生が後ろからついてくるが「さっき言ったことを気をつけて乗って下さい」と言われただけで、後は放置される。交差点、ウインカー、安全確認・・・と注意して乗るが、遅い中型がいるとどうしてもそっちに注意が行ってしまって(今にもこけるのではないかとか・・・)、自分の安全確認がおろそかになる。改めて乗車中はさまざまなことに気を配らねばならないと認識する。
終了後「それじゃ、卒検の手続きをして下さい」と言い渡される。2段階の見極めも大丈夫だったらしい。「なんか気を付けることはないですか」と聞くと「一コマ目に言ったことに気を付けてもらえれば」という返事が返ってきた。
なんだか不安だ。卒検の手続きをして帰る。卒検代は5250円(税込み)。
・卒検(卒業検定)
午前9時、教習所集合。朝7時半に起きたので眠くて仕方ない。
この日、卒検を受けたのは中型、大型含めて18人。9人ずつに分かれて受検した。最初に教習所の教官から、どういうことをしたら一発で検定中止になるかを聞く。さらに失敗しやすいポイント、注意すべきポイントを教えてもらう。コースはいつも走り慣れたコースだ。採点方法は減点法。100点の持ち点から初めて、最終的に70点残っていれば合格だ。何をすれば何点減点されるのかは分からないが、一説によれば一本橋で3秒足りなかったら10点減点と聞いたことがある。
いよいよ、卒検開始。監視塔にいる教官に向かって大声で名前と生年月日を告げてからバイクに乗ってスタートする。私は最後から3人目だったので、待合室内で小説を読んでいたが、他の人はみんな外に出て走行を見ていた。なんだか落ち着かないので結局、一緒に外に出て見ることにする。多分、走っている本人は必死なんだろうが、端から見ていると目視が出来ていなかったり、一本橋の走行が速すぎたりと、みな緊張してるのか走行にムラがあった。一番多いのはやはり目視していないことだ。気をつけよう。
比較的すぐに順番が回ってきた。もう次だと思って緊張していたら、私の前の受検者がスラロームでパイロンに接触、検定中止になった。ますます緊張が高まる。名前と生年月日を告げ、前後確認して乗車。発進、坂道発進、踏み切り・・・と順調にこなす。クランクではパイロンに接触しないように低速走行。心配していた一本橋も渡りきった。10秒に足りなかったかも知れないが、落ちて検定中止になるよりはましだ。
波状路も無事にパス。交差点では中心点に寄せるように気をつけていたら、左右確認が遅れてしまった。8の字。パイロン接触は一発中止なので、ここも注意して走る。無事に通り抜けられたことにほっとして、思わず8の字から直線道路に出るときに、きちっと直角に曲がらなかった。これは間違いなく減点だろう。スラロームでは前の人が失敗していたこともあって、慎重に慎重を重ねて走行。多少遅くても構うもんか。無事通過。
2度目の交差点では、前にいた教習車に気を取られて、また左右確認が遅れてしまった。いや、遅れたというか限りなく「しなかった」に近い。あちゃ〜、こりゃあ減点だぞ!と心の中で舌打ちする。最後は急制動。ブレーキのタイミングとロックしないように気をつけてなんとかクリア。ちょっとリアがロック気味に思えたが、大丈夫だろう。
検定後、監視塔に行ったらやはり交差点の左右確認と8の字から出たところの曲がり方について注意を受けた。一本橋は9.25秒。スラロームは7.2秒だった。「教習の時にはえらい速く走れてたのに、どないしたんや」と笑われた。感触としては合格したと思う。
全員、卒検を受け終わったところで、パイロンに接触した人以外はみんな合格との通知を受ける。良かった良かったと受検者同士で顔を見合わせて喜ぶ。しばらくすると教習所の人が来て、免許の取り方や運転免許試験場の行き方などを説明。技能試験が免除になる卒業証明証を配って終了した。いやいや、お疲れさま。
・そして免許取得
奈良県の場合、大型二輪の免許交付は金曜日のみ。仕事の合間をぬって橿原の運転免許試験場へ行く。相変わらず滅茶苦茶混んでいる。これは早く行こうが遅く行こうが関係ないことだと思われる。
まずは受験申込窓口に行って受験料2100円分の印紙を購入。受験申請書は教習所で作ってくれているので、それと印紙を貼った台紙を持って申請窓口へ。この窓口では二輪の場合、一応書類をチェックしているようだ。非常に時間がかかる。免許証と申請書を提示。近年、交通違反がないことなどを確認される。
続いて視力検査。すぐに済む。教習所に行っていない人はこの後、学科試験と技能試験がある。学科試験は原付免許以外の免許を持っている人はパスできる。教習所に行った人は視力検査をパスした時点で合格。再び受験申込窓口へ行き、「合格」というブースで交付手数料1800円分の印紙を購入する。そして交付窓口へ。
奈良県の場合、更新手続に来た人が最初に呼びだされる。免許を交付される人は、更新する人の手続きが終わるまで待っていなければならない。とても暇だ。京都府の運転免許試験場は待合室に売店があって、スポーツ新聞やお菓子を売っているので暇つぶしが出来るが、奈良県ではないので、とにかくボオッとしているか、さもなくば何か暇を潰すものを持って行く必要がある。
ようやく呼びだされる。ここからは速い。写真を撮って(一瞬で終わる)、しばし待つと新しい免許が交付される。そこにははっきりと「大自二」の輝かしい文字が記されている!心地よい達成感。免許に記された内容にミスがないか確認して、ミスがなければ終了である。