緊急寄稿・新日本プロレス1月4日東京ドームを斬る!
(1月9日)

 いきなり何だと思われるかも知れないが、言わずにはいられないことが多いので書く。7日の深夜にテレビで新日本プロレス1月4日東京ドーム大会のようすが放映された。雑誌やスポーツ紙で一部の結果は知っていたが、あらためて映像を見ると、長年のプロレスファンとしてはかなりがっかりした部分が多かった。

・橋本・飯塚組 対 小川・村上組

 まず最初に、小川は相当強い格闘家だ。いや、格闘家になったと言うべきだろう。柔道からプロ格闘家に転身した当初はただデカイだけで、組み技しかできなかったが、その後のトレーニングで随分とシェイプアップし、格闘家らしい体つきになった。まだ発展途上だが、突きも蹴りもいい。それに、あの凄みのあるファイティングスタイルがいい。今のプロレス界に欠けているのは、小川が持っている「凄み」だ。それを持っている小川は、決して武藤のような観客を喜ばせるファイトをしているわけではないのに、見ていて面白いのだ。

 今回は、そんな小川に昨年、コテンパンにのされた橋本のリベンジ戦。タッグとは言え、この二人のからみに注目せざるを得ない。飯塚と村上なんて、いつまで経ってもメインをはれない格闘家の対戦なんぞ、興味ない。試合は開始早々、飯塚が村上の顔面キックでダウン。完全に意識を失った。
 ここで試合を終わりにするべきだったのだ。レフリーはテンカウントをとり、小川組の勝利を宣言するべきだった。本来のルールならそうすべきだ。ここで終わっていれば、私はそれなりに納得しただろう。しょせん飯塚はプロレスラーであって、格闘家ではない。今日は橋本と小川のからみが見れなくて残念だったなあ・・・と。だが、この後の展開がすべてをぶち壊す。
 飯塚がダウンし、エキサイトした橋本がリングイン。小川に立ち向かう橋本に対し、よせばいいのに村上が手を出し、新日レスラー陣が乱入。大混乱に陥り、ここでレフリーはノーコンテストの裁定を下してゴングを鳴らした。橋本は「俺の試合だぞ!オラ!」と乱入するレスラーたちにマイクアピール。その通りだ。中西や平田は引っ込んでろ。
 ところが、飯塚がダウンした時点で終わっていればよかったのに、こんなところで終わらされては(しかもノーコンテスト)客が黙っちゃいない。それを一番良く分かっているのは、この試合の立会人である猪木であり、藤波である。予想通り、飯塚の回復を待って試合続行となった。

 最低の展開だ。飯塚は既にダウンしたのである。テンカウント以上の間、ダウンしていたのだ。まぎれもなく小川組の勝ちである。なのに一体なんなんだ、この裁定は!新日は、一度は猪木と縁を切ったはずなのに、結局は猪木がルールブックではないか。立会人とは言え、試合続行をアナウンスしたのも猪木だった。新日のレスラーたちは、他団体のトップに仕切られて恥ずかしくないのか?!
 私はUFOが出来て、小川が新日と抗争を始めたとき、少なからぬ期待をした。新日と言えば、昔からお家騒動が大好きな団体だ。新日内にいろんな派閥やグループが出来て、団体抗争を繰り広げる。誰がどっちにつくとか、試合と関係ないところで見せ場を作ろうとする新日が私は嫌いだった。プロレスは格闘技のショーである。まずリングの上で見せてナンボではないのか?

 ところが、今回の展開は、まさしく新日的な展開以外の何ものでもない。リングのルールは団体抗争という二次的な「ショー」に食いつぶされてしまったわけだ。実にくだらない展開である。新日のこうした体質が好きな人にはたまらないかも知れないが、「最強」をめざす広い意味での格闘技ファンとしては、吐き気がする思いだ。

 試合はその後、リング下で橋本が小川にアームロックを仕掛けるなど、何考えとんねん!というちぐはぐな流れ。揚げ句の果てには試合の権利があるはずの橋本と小川が場外乱闘している間に、飯塚が村上をスリーパーホールドで締め落として勝った。なんじゃいそりゃ。お前らは客をなめとんのか!これで飯塚は1本取られ、村上は1本取り返されたから、試合は1対1。じゃあ、急遽3本勝負にして、決着をつけんかい!と思っていたら、何を思ったか勝ち誇った飯塚がアピールしだした。全く理解不能である。

 結論。遺恨試合は、やはりシングルでやるべきである。シェイプアップして、橋本は確実にスピードが上がった。次は小川といい勝負が出来るかも知れない。

・武藤 対 蝶野

 「ブラック・サミット」と銘打たれた試合。NWOジャパンを率いる武藤と、T2000を率いる蝶野のトップ対決だ。

 個人的に、武藤というレスラーは大して好きでない。彼をカリスマみたいに持ち上げるプロレス紙は、なにを考えているのか分からない。確かに、昔の武藤はカッコ良かった。アメリカ仕込みの「見て楽しい」プロレスの実践者だった。ムーンサルトプレスをはじめとする派手な飛び技、レッグロックや細かい関節技に入る前にも、ちょっとした挙動を入れて派手に見せる才能に長けたレスラーだった。これは今でも変わっていない。
 だが、UWFインター(当時)の高田とやったころから、これが変わってくる。高田戦で味を占め、ドラゴンスクリューからの四の字固めをフィニッシュホールドとして使うようになった。このあたりから様子がおかしくなる。
 確かに、膝が悪い武藤にとって、ムーンサルトプレスに替わるフィニッシュホールドの開発は急務だった。しかし、いくら何でも四の字固めはないだろ!しかもドラゴンスクリューなんて、他人の必殺技じゃないか!武藤といえば、バランスの取れたスピードとパワーを活かした飛び系の技が持ち味のはずだ。それが何が悲しゅうて四の字固めやねん。
 武藤は、非常に「プロレスらしい」レスラーだった。「プロレスらしい」というのは、例えば相手が受けてくれないと当たらない技を出すとか、相手を倒すには非常にムダが多い技を使うという意味だ。ほんまに相手を倒す気があるのかい!という技が多い(例えば馬場のココナッツ・クラッシュとか)と言う意味だ。しかし、四の字固めをフィニッシュにすることで、低空ドロップキックとか、「相手を倒しに行く技」が武藤には中途半端に増えた。これがすごく嫌なのだ。

 さて、一方の蝶野は非常に観客を気にした言動をするが、リングの上では比較的「ガチンコ」なレスリングをするレスラーだ。相手のスタミナを奪うSTFや、派手さはないが一発でダウンさせられるケンカキック、ヒールになってからは金蹴りも多い。地味だが、豊富なスタミナを生かして、相手のスタミナをじりじりと奪うのがうまい。そういう意味では、武藤とは正反対のレスリングをするレスラーだ。武藤ほどリングの内でも外でも派手さがないので、ヒール転向やNWOジャパン設立などで注目を集めないと、トップになれないし、客に楽しんでもらえない。蝶野はそういうことが良く分かっている。

 試合はVTRで途中からだったが、しつこすぎる膝へのドロップキックやドラゴンスクリューで、武藤が圧倒的に押しまくった。解説のマサ・サイトーにも「ちょっとしつこいんじゃないですか」と苦言を呈されていたほどだ。そう、しつこいんだよ!そんなプロレス見て、客が面白がってると思っているのか!ええ!?武藤は本来、そういうレスリングをしないレスラーであるはずなのに、ドラゴンスクリューや低空ドロップキックばかりではつまらんのだ!そんで最後は変形STFであっさりギブアップ。
 なんじゃそりゃ〜!
 なんでギブアップするんじゃ〜!!
 お前はNWOジャパンのリーダーだろうが!意地はないのか!?
 理解不能。

・ライガー 対 金本

 この試合は良かったです。私は常々、団体の枠を越えてジュニアヘビーの発展を考えているライガーの姿勢には共感を覚えており、高い実力を備えながら新日の枠を出られない(出ない)金本や大谷、高山らには苦々しい思いをしていた。
 金本はタイトルを獲るごとに「ライガーの時代は終わった」とぶち上げていたが、今回はそんな金本らの甘さをライガーがぶち壊した一戦になった。序盤から掌底一本で金本の顔面を張りまくるライガー。ライガーは以前の武藤のように「いかに客に見られているか」というのを非常に意識しているレスラーだと思うが、そういうレスラーがこういう「ガチンコ」をやるのも新鮮である。もともと掌底は体の小さいライガーの武器で、全日の三沢もエルボーを必殺技にしている。こういう技は、客に「見せる」技としてどうか(武藤の低空ドロップキックのように)、という声もあるかもしれないが、ライガーの掌底や三沢のエルボーは、天龍の逆水平チョップのように迫力があるからいいのだ。武藤の低空ドロップキックには迫力がないし、みていてもつまらん。
 結局、序盤の掌底連打が響き、金本の負け。ライガーはこういうプロレスもやるんだなあ、と思った一戦でした。

・健介 対 天龍

 年末の天龍・武藤戦を見てないのでなんともいえないが、天龍こんなにあっさり負けていいのか?!とちょっと消化不良。いかに相手が新日トップのパワーレスラーとは言え、私の知っている天龍源一郎はもっと粘っこくて、スタミナが立って歩いているような漢(おとこ)のはずだ!と寂しい思いをした。
 でも、天龍とか健介とか、ストロングスタイルのパワーレスラーの試合は見ていて迫力があって、面白いね。問題は天龍と健介が掛け合ったノーザンライトボムは、そもそもは健介の嫁さん、北斗晶の必殺技であるということ。できればそれぞれの必殺技(天龍はパワーボム、健介は今のところオリジナルな投げ系必殺技はなし。昔はオクラホマ・スタンピードとか使っていたのだが)で争って欲しかった。

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