最強伝説1

 「どの格闘技が一番強いということは、一概には言えない。なぜなら、それぞれの格闘技にはそれぞれのルールがあり、そのルールに基づいて強い、弱いが決められているからだ」。
 ネット上で「どの格闘技が最も強いか」ということを論議していると、必ず上のようなことをいう人がいる。正論だ。だが、それでもワレワレは「どの格闘技が最も強いか」ということを論議せずにはいられない。そう、まるで性のように。そこで、ここで改めて「どの格闘技が最も強いのか」ということについて論じてみたい。いろいろ異論もあると思う。意見があったら掲示板にでも書いていってくれたまへ。

1、状況設定
 例えば、相撲力士がボクシングのリングに上がって、ボクシングのルールで勝敗を決することになったとしよう。当然、力士が組み付いたら、クリンチということでブレイクになる。こんなルールのもとでは、力士が負ける可能性の方がはるかに大きい。
 「どの格闘技が最強か?」という問いに対し、なるべく公平に各格闘技の能力を発揮しあえる状況を考えてみよう。まず、ある一定のルールや闘技場下では、先に述べたような不利がでることは間違いない。寝技を使うプロレスラーや柔術家が、地面に足の裏以外を付けてはいけない相撲ルールで戦えば不利なことも一目瞭然である。したがって、ルールは一切設けない、特殊な闘技場では戦わないということが、まず必要な条件になる。
 そういう状況を考えてみよう。そこら辺の路地裏あたりで、普段着で出会った状態で戦うというのが、最も有利不利のなさそうな状況と考える。つまり、ボクサーはグローブを付けていない。空手家は空手着を着ていない。力士は浴衣姿。日本拳法家は顔面ガードなどは付けていない。みんな普段着である。そして、不意打ちはなしとする。互いに喧嘩をするつもりで対峙したとする。というのも、不意打ちありとすれば、不意打ちをかけたほうが有利に決まっているからだ。
 それから、身体はほぼ同じ大きさとする。身体の大きさも一緒にしておかないと不利が出る。だから、相撲取りを考える場合、小錦とか曙のような、超人間級の力士は想定しない。
 こうした状況設定のもとで、話しを進めよう。

2、戦闘経過
 バッタリ街角で出会い、なんの妨害もなく、互いに戦いを始めたとする。前述した通り、不意打ちはなし。
 まず、互いにどうするか。それぞれファイティングスタイルはあるだろうが、打撃系ならばまず、小手調べの打撃を放って見せるだろう。組み系ならば、組みに行こうとするだろう。さて、ここで問題。組み系と打撃系、最初の一動作ではどちらが有利か。

 ここで、最強の組み系格闘技と思われるグレイシー柔術を考えてみよう。よく、柔術家のタックルを切って、打撃を打ち込めばいいと言うが、タックルを切るというのはそう簡単なことではない。最近でこそタックルを切るファイターが増えたが、あれはタックルを切るための練習をしているからだ。つまり、タックルを切る練習をしていない格闘家が、タックルに合わせて打撃を放つのは至難の業。逆に、組み系格闘家は、タイミングを読んでタックルに行く練習をしているので、そう簡単に致命的な打撃を受けるとは思えない。以上の推論から、最初の一挙動では、タックルが決まるとする。

 さて、タックルで簡単に倒されてしまうような格闘家は、この時点で失格だ。なぜならば、タックルで倒される→ろくに寝技の練習をしていない→倒れた状態では圧倒的に不利、と考えるからだ。倒れない人はなんとか打開の道が残されている。ただ、同じくらいの身体の大きさの人間にタックルされて、立っていられるような格闘家がどれだけいるだろうか?この時点で思いつくのは、プロレスラー、力士くらいなもんだ。

 そうなると、タックルを使いこなせて、寝技もオッケーなレスラーや柔術家が最強ということになる。後述するが、立ち技でもその気になればプロレスラーは強いと推測できる。打撃経験のないアマレスは除くよ。柔術家も立った状態での打撃技が少ないという点から、プロレスラーに劣ると見よう。うむ、ヒクソンは例外。そこで、とりあえず最強格闘家はプロレスラーであるとしよう。今、私の頭の中にはマーク・コールマンとかが渦巻いている(笑。確かにあれは強い。強すぎる。

 しかし、ここで改めて最初の仮定に戻ってみよう。「打撃系格闘家は小手調べのための打撃を放ってみる」としたが、いきなり一発で倒すつもりのような打撃を放ってきた場合、どうだろう。空手家はまず間違いなく、一発で倒すための突きか蹴りを放ってくる。
 戦闘状態にある人間は、よっぽどのことでないと一撃K.O.などされない。これは私の経験から導かれる結論だ。したがって、空手家が戦闘モードにある格闘家の水月に思いっきり突きをぶち込んでも、鍛えている格闘家だったら、そんなに簡単には倒れない。全身筋肉で武装したプロレスラーなんかはなおさらだ。

 では、一撃で倒れるポイントはどこか?性別を問わないそれは、頭である。頭部、特にテンプルや鼻、アゴ、目などは人間の弱点だ。アゴは首を鍛えればある程度強くなるが、テンプルや鼻、目はそうはいかない。ところで、フルコン系空手のほとんどは、こういう部分を攻撃する方法を普段から練習していない。そういうわけで、フルコン最強はないということになる。
 では、顔面を攻撃する術をマスターしていて、一発でK.O.できるくらいの打撃技の持ち主はどんな格闘家か。すぐに思いつくのはボクサーである。マーク・コールマンの相手なら、マイク・タイソンでも文句あるまい。いや、タイソンは超人間級か。じゃあ最盛期のホリフィールド。似たようなもんか。とにかくボクサーは一撃必殺のパンチ力を持っている。ただ問題は「グローブをしていないボクサーの拳が、どれくらい強いのか」ということだ。

 グローブマッチをしてみたことのある人は分かると思うが、グローブはそれ自体が凶器だ。グローブのおかげで、打撃浸透力ははるかに上がるし、こすったようなパンチでも相手をよろめかせることが可能だ。しかし、むき出しの拳でドツいても、痛いばかりでなかなかK.O.には結びつかない。むき出しの拳の場合なら、むしろアバラをドツいて骨折させたほうが効果的だ。そういうわけで、ボクサーのむき出しの拳での打撃力には、一抹の不安が残る。スピードとパワーは言うことないのだが、それはグローブを付けた場合のこと。
 では、ボクサー並の打撃力を持っている格闘家はだれか。力士である。そう、張り手だ。張り手は、拳と違って打撃浸透力がある。一発でK.O.できる。むき出しの手でもオッケーだ。相撲取りは意外にスピードもあるので、結構行けるかもしれない。スタミナには疑問があるが。あと、中国拳法というのもあるけど、中国拳法自体にさまざまな流派があるので、ここでは一概に中国拳法を最強レベルの打撃の持ち主とは見なせない。これは今後の考察の課題に残しておこう。

 先にプロレスラーを最強としたのは、プロレスラーは数々の技を受けきるために、体中を鍛えている。筋肉の鎧を着ていると考えればいい。首もボクサー並か、ボクサー以上に鍛えている。そういうわけで、一発の打撃技ではなかなかK.O.しづらい。最初の村浜v.s.デルフィン戦でも、デルフィンは一発いいのをもらうまでは、いい試合をしていた。グローブをしている打撃系の選手が恐いのは、一発があることだ。
 
3、結論
 とりあえず今回は第一段ということで、プロレスラーが最強、次点は相撲取りとしてみた。メジャーな格闘技ばっかり想定してみたが、ほかにも考察から外れている格闘技が山ほどある。それは今後の課題だ。

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