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方向性結合器
(directional coupler)

方向性結合器 (しばしば「方結」と呼ばれる) は、 3ポート (単方向性結合器; single directional coupler)、 あるいは4ポート (双方向性結合器; dual directional coupler) のデバイスであり、 伝送線路上に挿入し、 線路上を特定の方向に伝搬する電力の一部を 別のポート (結合ポート; coupled port) に取り出すことができる。

単方向性結合器は一方向の電力に対応する信号のみを取り出すことができるが、 双方向性結合器は信号を取り出すためのポートを2つ持ち、 順方向に伝搬する電力 (進行波) と逆方向に伝搬する電力 (反射波) の それぞれに対応する信号を同時に取り出すことができる。

伝送線路上を伝搬する電力は、反射波がなければ、 単純な挿入型のプローブを用いて測定することもできる。 だが、反射波が大きい (負荷の VSWR が高い、 あるいはリターン・ロスが小さい) 場合、 そのような方法では進行波と反射波を合成したものを測定することになり、 またその測定は定在波の影響も受ける。

このような時、方向性結合器を用いることで、進行波電力のみに対応する信号を、 あるいは進行波電力と反射波電力のそれぞれに対応する信号を別々に取り出し、 反射波がある状態でも電力の測定を確実に行なうことができる。

方向性結合器の主要なパラメータは:

挿入損失: L = 10 log(P1 / P2)    [dB]
結合度: C = 10 log(P1 / P3)    [dB]
アイソレーション: I = 10 log(P1 / P4)    [dB]
方向性: D = IC    [dB]

挿入損失 (insertion loss) は方向性結合器によって生じる損失であり、 低いことが望ましい。

結合度 (coupling) は、 順方向に伝搬する電力と結合ポートに取り出される電力の比である。 これは用途に応じて選ばれ、 大電力を扱う場合には結合度が低い (慣習的に正の dB での値で表現され、 結合度が低い時、その値は大きくなる) ものが用いられる傾向がある。

アイソレーション (isolation) は、 逆方向に伝搬する電力の結合ポートへの漏れの少なさの程度を示すものであり、 これは高い (漏れが小さい) ことが望ましい。

方向性 (directivity) は、結合ポートに取り出される電力の、 電力の伝搬方向による違いの大きさを示すものである。 これは、その方向性結合器が 進行波と反射波を区別する能力を示すものと考えることもでき、 高いことが望ましい。

そして、その他の多くの高周波デバイスと同様、 全てのポートの VSWR は低いことが望ましい。


by T.Sato, 2008-06-22