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ノイズ・フィルタ
(noise filter)

電源や信号などの配線を介したノイズの漏洩や侵入の防止のために、 様々なノイズ・フィルタ (EMI フィルタとも呼ばれる) が用いられる。 この目的で用いられるフィルタは、 基本的には低域通過 (高域遮断) 特性を持つ受動フィルタである。

ノイズ・フィルタの基本となるコンポーネントはコンデンサとインダクタであり、 それぞれ、ノイズに対して低い並列インピーダンスを与えるか、 あるいは高い直列インピーダンスを与えることによってノイズの通過を抑制する。 実際のフィルタとしては複数のコンポーネントを組み合わせる場合も多く、 その基本的な構成には L、T、π がある。 信号線用のフィルタには、インダクタの代わりに抵抗が用いられる場合もある。

フィルタで用いられるやや特徴的なコンポーネントとしては、 次のようなものがある:

ノイズ・フィルタの基本的な特性には、定格電圧/電流、直流抵抗、 周波数特性 (インピーダンス、あるいは減衰率の) などが含まれる。 高損失のフェライトを用いたインダクタでは、 通常はインピーダンス (Z) 以外に リアクタンス (X) とレジスタンス (R) の それぞれの周波数特性も示される。 基本コンポーネント単体以外のものの周波数特性は通常は減衰率によって示されるが、 これは特定の値のインピーダンスの回路を両側に接続して得られたものであり、 実際の使用状況でその通りの特性が得られるとは限らないことに注意すべきである。 また、高い周波数まで有効に機能させるためには、 実装 (配線の分離やグランドの処理など) にも細心の注意が必要となる。

電源ライン用のフィルタは、 一般に次のような要素のうちのいくつかを含む:

基本的に、アクロス・ザ・ライン・コンデンサやライン・バイパス・コンデンサとしては、 それぞれ X キャパシタや Y キャパシタ としての基準を満たすもの (そして大抵はその認証を受けたもの) が使用される。 サージの抑制のために バリスタなどのサージ・アブソーバが用いられることもあるが、 相 ― 接地間へのサージ・アブソーバの挿入は禁止されている場合もある。

電源ライン・フィルタにおいては安全性も重要なファクターであり、 市販のものは安全性を考慮して慎重に設計/試験されている筈であり、 また多くのものは第三者認証を受けているが、 耐電圧漏洩電流などにも注意して 正しく使用することが必要である。 例えば、クラス I 機器での使用を意図した 電源ライン・フィルタをクラス II 機器に使用した場合、 おそらくは 耐電圧の不足や 過大な漏洩電流による 感電の危険を生ずるであろう。

単相商用電源用の電源ライン・フィルタにはインレットと一体となったものも多く、 このタイプの適切なものを金属の エンクロージャ (シールド・ケース) とともに用いると良い減衰特性が比較的容易に達成できる。 このタイプのものには、ヒューズ・ホルダや電源スイッチを一体化したものもある。

ライン・フィルタ、ヒューズ、 そして電源スイッチの接続の順序には検討の余地がある。 安全性の観点からはライン・フィルタは ヒューズや電源スイッチよりも後に入れた方が望ましいと考えられるが、 ノイズ対策の観点からは 機器内のライン・フィルタを通っていない配線はできる限り短くすることが望まれる。 だが、インレット一体型のライン・フィルタを用いる場合にはこの選択の余地はないし、 ヒューズやスイッチも内蔵したものの場合にはこのジレンマは発生しない。


by Tom Sato, 2002-05-25