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近傍界 / 遠方界
(near field / far field)

電磁界の放射源から充分に遠方の自由空間においては、 電磁界の電界と磁界の比率 (E / H)、 すなわち波動インピーダンスは、 おおよそ 376.7Ω (自由空間インピーダンス) で一定となる。

Wave Impedance だが、微小ダイポール・アンテナのように 電界を放射する放射源の近傍においては 電界成分が支配的で、従ってその波動のインピーダンスは高くなる。 また、ループ・アンテナのように 磁界を放射する放射源の近傍においては 磁界成分が支配的で、従ってその波動のインピーダンスは低くなる。 そして、いずれの場合でも、放射源から遠ざかるにつれて、 その波動のインピーダンスは自由空間インピーダンスに近付く。

このような、放射源の近傍で 波動のインピーダンスが自由空間インピーダンスと大きく異なる領域を近傍界と呼び、 距離が充分に離れて波動のインピーダンスが自由空間インピーダンスに近付いた領域を 遠方界と呼ぶ。

近傍界から遠方界への移行は徐々に生じ、 そのあいだに明確な境界があるわけではないが、 慣習的に、その電磁界の波長を λ として λ/(2π) までを近傍界と、 それよりも遠くを遠方界と考えることが多い。 例えば、周波数が 1GHz の場合、その波長はおおよそ 0.3m で、 λ/(2π) はおおよそ 5cm となる。 また、周波数が 100kHz の場合、その波長はおおよそ 3km で、 λ/(2π) はおおよそ 0.5km となる。 このように、周波数が低くなるとかなり長い距離までが近傍界に含まれることになる。

また、アンテナの寸法を無視できない場合には、 フレネル領域から外れて遠方領域へ移行する距離を考え、 2 D2 / λ よりも遠くを遠方界とみなすことも多い。

通常、電磁界の強度は距離に反比例すると仮定されるが、 これは近傍界においては成り立たない。 また、遠方界においては 電界強度と磁界強度のあいだの変換を空間インピーダンスを用いて行なうことができるが、 この関係も近傍界においては崩れる。 例えば、放射源のごく近傍での電界や磁界の強度は、 遠方界での値から推定されるものよりも高くなることがある。 また、電界を放射しているものの近傍で磁界強度を測定し、 自由空間インピーダンスを適用して電界強度に換算した場合 (あるいはその逆)、 実際よりも著しく小さい値が得られる可能性がある。

See Also: インピーダンス特性インピーダンス


by Tom Sato, 2008-05-11