OM−1 と MX

オリンパス光学工業 OM−1(M−1)、1972年7月発売。対する旭光学工業 MX、1976年11月の発売です。カメラ史上において、小型軽量一眼レフの代名詞となったOM−1に対抗するべく開発されたMX、このMXがいかにOM−1を意識して作られたかは、ボディの外形寸法に如実に現れています。
OM−1: 136.0×83.0×50.0 (mm)
MX: 135.5×82.5×49.5 (mm)
幅、高さ、奥行き、すべてMXの方が0.5mmづつ小さく作られていて、笑っちゃうほどライバル意識が剥き出しなんです。シャッタースピードや絞り値をファインダー内に表示し、3色LEDによる視認性の高い露出計など、スペックや機能においては後から発売になったMXがある程度優位なのは当然なのですが、ファインダー視野率やアクセサリー類の互換性ではMXが追いつけなかった部分もあります。これはOM−1が発売当初から高い基本性能やシステム性を備えていたということですから、開発をまとめられた米谷美久氏の偉業をおおいに称えるべきだと思います。実際、フォーカシングスクリーンやモータードライブなど、現行機種であるOM−4Tiと互換性があることから、OM−1のアクセサリーが今日でも容易に入手できることは、中古カメラファンやOM−1を使い続けてきたユーザーにとって、とても嬉しいことです。MXはMシリーズを名乗りながらもアクセサリーの互換性が低く、この点はOM−1に大きく劣っているところです。
OM−1の開発エピソードは、カメラ雑誌等でたびたび紹介されていて皆さんご存知のことと思いますので、ここでは省略させていただきます。MXの開発エピソードについては、ペンタックスファミリー誌106号(旭光学75周年の座談会)に断片的ではありますが記事がありましたので一部を紹介します。内露出計の3色LEDはコスト高ではあるがユーザーインターフェースを第一に考え採用したこと、シャッターダイアルと反対側にあるファインダー内速シャッター度表示板を連動させるために、ファインダー下部を横断するシャフトを苦労して通したことなどが、MXの開発をされた津上昌之、樽井博両氏により語られていました。

ここで視点を変えて、それぞれのカメラを正面から見てみましょう。どちらがカッコいいかと問われると、ペンタ党の私でもOM−1と言ってしまいます。飛び出しの小さいペンタ部のシャープな線には、いかにもよく写りそうな精悍さが感じられるのですね。MXは伝統的なペンタックススタイルを踏襲していて、これはこれで悪くないです。しかし、両肩が低く押えられている(OM−1よりも数値以上にMXが小さいことがわかります)ために、レンズマウントがペンタ部に少々食い込む配置になってしまい、一眼レフとしての完成度を低く見せているように思います。このあたりはボディ小型化のため、従来の一眼レフとは内部機構の配置を変えて全く新規にデザインされたOM−1に比べると、従来の一眼レフのスタイルを継承して凝縮させたMXは苦しいところです。
実際に手に持った感じは、私には似たように感じられてどちらのホールド感がいいとは特に思いません。レリーズ時のショックは、OM−1の方が少なく動作音も柔らかいのですが、いつシャッターが切れるのか判り難いほどのソフトな感触は、どうも馴染むことができません。対するMXは、レリーズ時のショックや動作音は並みのレベルではありますが、適度なメリハリのある操作感を持ち、指先でシャッター膜が走行開始するタイミングを感じることができます。

ついでに、パンケーキレンズの比較もしてみましょう。 ZUIKO 40mmF2は、6群6枚の独自のレンズ構成を持ち、ちょっと小さな標準レンズといった感じです。特筆すべきは、最短撮影距離が30cmと短いことですね。パンケーキと呼ぶには、いまいち薄くないZUIKO
40mmF2ですが、単に小さいだけの物は作らない、そんなオリンパスの心意気を感じるレンズです。比較的新しい設計であるためか、カチッとしたいかにも瑞光らしい描写ではなく、総合的な写りのよさを狙った無難な描写をします。
SMC PENTAX-M 40mmF2.8は、正にパンケーキレンズの代表と言えるでしょう。通常のレンズと同様に絞りリングとピントリングがあるのですが、この僅か数ミリのピントリングにはしっかり滑り止めのゴムが巻かれていて、このこだわりがたまりません。レンズ構成は、テッサー型+1枚の4群5枚で、最短撮影距離はちょっと長めの60cmです。ピリッとした抜けの良さを感じさせる写りは気に入っていますが、操作に気を遣うところがあるのは小さいことゆえの難点です。
私は、パンケーキレンズっていうのはやはり薄さが命と思ってますし、写りの方は特徴的なものを好みますので、ペンタックスの方を好んで使うことが多いです。
[TopPageに戻る]