分校と桜


山の分校 三箇小学校が最後の木造校舎から鉄筋校舎に変わり、津南から木造校舎は姿を消した。懐かしさ溢れる木造校舎が、ひとつ、またひとつと消えていくのはどこか寂しいものである。しかし現役校舎は無くなったが、引退校舎で木造校舎が僅か一ヶ所だけ、ある場所に残されている。

 最初にその校舎に出会った時、心が躍った。他の校舎が次々と取り壊される中にあって、よく生き長らえていたものだと嬉しくなった。可愛らしい校舎は、ペンキが剥げ落ち、板壁に無数の椋鳥の穴があいている。

 動かなくなった大時計がかつては分校であった事を物語っていた。小さな校舎は一階が講堂兼体育館。二階は教室が二つばかりの映画のワンシーンに出てくる様な山の分校である。

 小さな校庭と大きな桜の木があり、以前はここで学んでいた児童達の歓声や歌声が山間に木霊していた事であろう。校庭の桜は今年も枝いっぱいの花を咲かせ、かつての栄華を蘇らせる。人々の心に花を咲かせるように。