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秋山郷に伝わる伝説に、化け物と名刀「蜥蜴麿」の話がある。 昔、大秋山がまだあった時、川東の上の原村の対岸、中津川の東岸に大きな岩穴があった。その洞穴から時折、三メートルをこす女の化け物が現れた。髪はどこまでも長く、両眼はぎらぎらし、人々に危害を加えた。人々は誰一人傍らへ近寄らなかった。その頃、大秋山に平家の子孫である村長がいた。その家に蜥蜴麿という名刀が伝わっていた。この刀をさしてこの化け物を退治しようとした。ところが、まだ中津川を東岸へ渡らない内に、穴の入り口にいた例の大女は、一目村長を見るやいなや飛びかかろうとした。すると腰にさした名刀が自然に抜け、化け物を真っ二つに切り、また元の鞘に納まったという。 牧之は化け物とは山や川の精であり、木や石の化身ではなかろうかと分析している。その名刀だが、大秋山が落ち目になり箕作村(現・長野県栄村)の嶋田三左衛門に渡ったあと、地頭へ差し上げその後は行方知れずになったそうだ。 ※大秋山村:1783年(天明3)浅間山噴火による大飢饉で翌年全滅。 ※鈴木牧之が越後國結東村(現・津南町上結東)で採話。1828年(文政11)旧暦9月13日、瀧澤太右衛門(79才)から聞いた話である。 |