![]() 「何だあれは?」 先日中津川沿いの電車道(国道405)を通った。「またか!」の嘆息。巨大な段丘壁に切込みを発見。頂上の倉庫にしろ下の道から見えない位置にあったら良かったのにと、常日頃思っていたのだが・・。 この巨大な壁は、日本有数を誇る津南の河岸段丘の主要部分をなす最も美しい所であり、高さ百メートル以上の段差は、中津川の何万年にも及ぶ侵食で生じ、頂上部の直線は青空を切る様に美しい。 幸いな事に道路と河原までは建造物が少なく、より大自然を肌で感じ取れる貴重なエリアでもある。国が違っていたなら聖なる壁と言ってもおかしくない威厳がある。 農道を造るのだという。便利になるのは結構なことだが、津南は美しい自然環境の町でもある。利便性第一だと、景観とのバランスが崩れてしまう。町外者が、と思われるかもしれないが、豊かな自然環境に慣れてしまうと、見えなくなる事もある。 ところで、この夏、流れ星をご覧になられただろうか。「否?」この恵まれた環境ですら然り。それでは利便性第一や、景観に対する認識が育たないと言われても仕方ないのではなかろうか。 あの農道に関していえば、目立たなくするなり、逆手にとって桜を植えるなり、頂上部分とのバランスを考えるべきでしょう。 河岸段丘を含め、景観に対する行政サイドの方向性や、関係条例の整備等は、どうなっているのだろうか。手遅れにならぬうちにと危惧してしまう。目先の利益や便利さだけでなく、河岸段丘の歴史的意味を考えてほしいものだ。 (1995年夏)1995年(平成7)10月6日の津南新聞に掲載 世界最大の涅槃仏 当時上記の内容を投稿した。目元には「見玉」があり、足元には「芦ケ崎」。中津川に横たわる世界最大の涅槃仏に観たてたのだった。傷はもちろん切込みである。 次の号の津南新聞には、町長のコメントが載せられており景観を考慮し段丘壁の半分はトンネル化にすると発表された。また観光面でも期待のもてるルートであるとも述べられてあった。 実際のところは景観重視より、工事の難しさがトンネル化につながったものと私は見ている。それは数万年かけて形成された、津南のシンボルの抵抗であったに違いない。 そして四年後の1999年、石坂トンネルは完成をみる。完成より一年前の1998年、沖の原での「ひまわり畑」観光による車の大渋滞があり、莫大な金をかけて完成された農道は、ひまわり渋滞の緩和や観光ルートといった本来の目的とは違った言い訳で、この『農道の意義』をすり替えられている。 また新たな建造物があの段丘縁に建てられようとしている。なぜあの場所なのだろう?聞くところによると豚舎建設だという。 そもそも豚舎を赤沢畜産団地へ移転する予定が、住民から反対されたのだ。なぜあの場所なのか疑問も残る。あそこは崖下に向かって風が流れる。そのため対岸の住民から廃水処理や臭気対策など環境対策を町に求めているという。(津南新聞1999.09.03) 糞尿処理浄化槽の排水は中津川左岸にするが、問題点は水路が確保されていない点だという。つまり崖は垂れ流しなのだ。中津川の水質汚染の声は以前より上がっていたが、水遊びのできる川であって欲しいものだ。 また、段丘桜と称し桜の木のオーナーを募り、沢山のオーナーがおられるはずだが、花見の時どうすのだろう?糞尿の匂いは対岸には届かなくても花見客やひまわりを見に来た時に匂いが漂っていたのでは、しゃれにならない。 是非とも国道405より見えない位置にして頂きたい!建造物の高さが判れば崖っぷちからの距離を弾き出す事は容易い。沖の原では隅っこでも対岸からは、丸見えなのだ。
沖の原から堆肥倉庫をみるとそんなでもないが、対岸から見る倉庫は見るからに立派な建物に見えるのだ。数万年かかって形成された段丘に、ここ数年でちょこちょこっと建てた倉庫は、数万年分の歴史の頂点に威風堂々と見える。この事をハロー効果というのは皆さんご存知のところである。 同じような光景はインド・ラジャスターン州で見かけた。マハラジャのお城でそれはそれは立派に見えたことは言うまでも無い。ところ変われば○○御殿や○御殿?
本題は建造物の種類ではない。津南は日本一の河岸段丘だと言いながら、その一方で景観を考慮しないやり方に憤りを感じることだ。あの崖の素晴らしさは特筆に値するだけに残念に思う。言うなれば津南で一番、格好の悪い部分かも知れない。 |