圧力管路流2005.6.1 HP開設一周年記念特集(5.22試験掲載))
鶴巻有一郎著




まえがき

HP開設1周年(2005.6.1)を迎え、約3千人の方に訪問いただきましたが、余りに専門家向けであるとのお叱りを戴いている。そこで、「圧力管路流」について、学生さんにも理解し易く記述することに勤めると同時に、専門家へは、筆者が現在、取り組んでいる技術課題とその解決策を披露したい。なお、筆者が歩んできた主な道の半分は、水力発電工学でありましたが、「圧力管路流」は上下水道工学にも共通する技術であり、この分野の方々におおいに役立てて戴きたい。

さらに、余りに慎重しすぎる河川分野の方々にも、目も向けていただきたい「圧力管路流」であるが、テレビニュースで山古志村の水没家屋を見ると、その解決策の一つとして登場する機会はないものだろうか、と思うのだが・・・


管路内に閉じ込められた水の輸送は、人目に触れることなく、安全な輸送形態を持つ一面があると同時に輸送線形を選ばずに、圧力を上げることで流速を早め多量の水量輸送を可能にする構造物である。難工事で知られる黒部川第四発電所の導水路の総延長は12.1kmある。河川の洪水流速がおおよそ3m/sに対し、水圧鉄管路の場合は8m/s程度まで可能である。トンネル1条あたり188m3/sを流下させるものも建設されると同時に、ポンプ水車の性能も上昇し、高低差400m間を82m3/sも揚水する機種もある。これだけの規模を可能し、日本のどのような暴れ川にも設置し、かつ、安全に運用してきた構造物の設計技術を他の分野(河川・上下水道等)でも応用する価値があると考えます。


 
当面は第一篇に流量急変時の「圧力水路系の過渡現象シミュレーション」をVBAで作成し掲載するが、将来、さらに第二編、第三篇を追記したいものである。

なお、圧力管路流の過渡現象を扱う技術を世界的に見ると、各国共に機械工学の分野に属している。一方、わが国では、土木工学と機械工学においても扱われている全く稀な分野である。これは、土木の先人達の努力、故 林泰造先生の水力発電所建設への関与の賜物であるが、今日、機械工学の分野からの土木への進出も増している。しかしながら、水流は土木構造系全般を通過し、機械系、電気系にも関与する構造であり、関与構造物全般に目を向け、精通した土木技術の伝承としても重要であると考えます。今後も、この土木の技術分野を継承・発展されることを大学関係者に望む一市民である。

2005.6.1 鶴巻有一郎

注意)本稿の「圧力管路流」に関する技術内容掲載文・図およびシミュレーションプログラムの無断コピー・使用を禁止します(私用は可)。



目次

第一篇 圧力水路系の過渡現象シミュレーション

1.専門用語2005.6.1

2.圧力管路に危険をもたらすのは何か2005.6.1

3.タンクのサージング現象(水位変動)とウォーター・ハンマー現象(水撃波)の相違(2005.6.1

4.管路を安価にする材料は何か、それを可能にする構造は何か2005.6.1

5.サージタンクの水位変動を解析する理論2005.6.1

6.サージタンクのシミュレーション・モデルの入力画面2005.6.1

7.サージタンクのサージング・シミュレーション・ソフトのダウンロード2005.6.1

8.水撃波を解析する理論2005.6.1

9.設計思想を変える断続配置エア・チューブ挿入理論の登場2005.6.1

10.水撃波シミュレーション・モデルの入力画面2005.6.1

11.水撃圧シミュレーション・ソフトのダウンロード2005.6.1

 12.ポンプ・水車機器が流動特性に関与する場合2005.6.1

13.特異なポンプ・水車特性を持つ場合の問題点と対応策2005.6.1

14.その他の管路流の話題2005.6.1)

 a)陥りやすい誤解例(2005.6.1)




第一篇 圧力水路系の過渡現象シミュレーション

1. 専門用語2005.6.1

ここで扱う管路内の流れは、管路端部の管断面積を縮小した開閉弁を設けることで管路全長に亘って満杯に水が詰まった状態をなし、開閉弁前後に急変する圧力差を有する場合である。この状態を「圧力管路流」と専門用語では言います。この流れの状態を知ることが“理論式を解析すること”なのです。この場合、流れが時間的に変動しない一定状態の流れを「定常流」と言い、主に、流れの「損失水頭(そんしつすいとう)」を計算し、流れの圧力勾配線(「動水勾配線」)と管路の敷設標高との差を認識します。これが、次節の「圧力管路に危険をもたらすのは何か」に記述するポイントになります。

損失水頭:流体が持つ任意の地点までに失ったエネルギーを水深(または高さ)に相当するm単位で表したものです。すなわち、最上流端の持っていたエネルギー高さが任意の位置までに流下するまでに失なうエネルギー高さです。エネルギー損失水頭をもたらす物は、流入口の形状による損失水頭、管路壁面との摩擦による損失水頭、管路の曲がりによる損失水頭、管路断面積の形状の変化による損失水頭等があります。定常流にあっては、高所の入口から低所の出口へしか流れない、また、途中に穴があれば当然そこから水量は変化します(意外と、こんなことを分からぬ発明家と気取る人も居るものです)

動水勾配線:管路縦断に沿って、“その点までに失われるエネルギー高さ”に“その点の速度水頭


を加えた値を流入前のエネルギー面から引いた見掛け上の線を結んだものである。図1を参照されたし。






















ここで扱う講座は、定常流の状態から何かの原因で流量に変化をもたらす場合の流体の時間的変動である。これを非定常流または定常流からの過渡現象と言い、これを解析するのがここでのシミュレーションである。

取扱う理論は、大きく二つに分かれる。剛体理論と、弾性理論である。

剛体理論:管路系(管路が合流・分岐する)を扱う場合、同一管と見られる部分に分割し、その管内の流体塊を一つの塊として扱い、かつ、管路材の膨らみ・収縮を無視し、流体をも剛体として扱う理論。一般に管路に結びつく水槽の水位変動、U字管振動などのサージング現象(水面変動であるから目視可能である)を扱う場合に用いられる。その振動周期は長周期の現象である。理論式は常微分方程式であるため、階差方程式への持ち込みは、容易であり、かつ、比較的計算時間間隔を長く取ることが出来る(関連記載AA参照)。

弾性理論:管内の圧力変動によって管路壁面材の膨らみ・収縮を考慮し、流体を弾性体として扱う理論。管路内に流速変動があると、圧力の粗密波(縦波)の伝播を引き起す。これを水撃波と言い、その波速は、管の材質にもよるが毎秒800mから1000mと高速で伝播する。理論式は、偏微分方程式であるため、全微分することで特性曲線に載せ、常微分方程式に変換した後、階差方程式へ持ち込まれる(関連記載B1,B2,B3参照)。このため計算時間間隔は非常に短く取る必要がある。現象的には短時間で減衰するが、その圧力変動は大きいのが特徴である。

水撃波・ウォーターハンマー;サージング;エアーハンマーの用語は関連記載C1を参照されたし。

キャビテーション現象:高速流になると管壁面形状の変化部分に局部的に負圧を生じる場合がある。こうなると管壁面が徐々に破損・削り取られて行く現象。関連記載C2

磨耗現象:流下物と管壁面の摩擦による管壁面の磨耗現象。

腐食現象:水質と管材質による化学反応、電子イオン反応等による腐食現象。

剛体理論と弾性理論には、上記の特徴があるため、シミュレーション・プログラムの作成に当たって、この講座は、剛体理論を扱ったサージタンクの水位変動を解析する理論から入門し、次に単一管路部へ適用した弾性理論へと進み、さらに、弾性理論を複合水路への伝播、密閉型エア・クッション・サージ・チャンバイー、ポンプ・水車の導入への適合させた過渡現象を取り扱う専門分野へと進むこととする。以上が当面掲載する第一篇である。

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2.圧力管路に危険をもたらすのは何か2005.6.1

管路を破壊する原因には、種々あるが、主な要因の注意事項は

@ どのような現象が発生しても負圧を生じてはならない

A どのような現象が発生しても設計水圧を超えてはならない

B 管路の上流側水路や、管路中間の水槽から越水してはならない、かつ、管路内への空気混入を招くまで水位を低下させてはならない。設計当初から低下を起すことが明らかな場合は、対策を図る

C 管厚を減少させるキャビテーション現象や磨耗・腐食現象に配慮・対策を練る

D 水流に混じる流入物の選別・排除に配慮し、流水阻害を防止し安全に流下させる

等である。

@の負圧とは、動水勾配線が水路天端標高以下に低下する場合であり、細心の注意を図る必要がある。定常流の状態のみが保たれる構造にあっては−1.5m程度は許される場合もあるが、流量の急変する過渡現象を伴う構造にあっては、全く負圧を発生してはならないのである。それは、管内圧力が大気圧以下に低下(水頭表示では−10.3m)すると瞬時に水中に蒸気を発生し、水柱分離を引き起し、再び、その蒸気を瞬時に潰すことで、管内に非常に大きな水撃圧を発生させ管を破壊するからである。定常流の状態の図1の管路標高と動水勾配線を比較し、判断する。また、図2の過渡現象を伴う構造例の場合は、管路標高と最大圧力変動時の動水勾配線を比較し、判断する。(図2は第4節で詳細に記述する)

A、Bは当然のことであり、説明するまでも無いが、設計時にどのような運用に対しても超過することの無い余裕をもった設計水圧または最高水位上昇高を設定する必要があることを言っており、比較的に慎重に検討されることが多いが、一方、水位低下を伴う事項の検討には慎重さを欠く事例が見られるのは残念なことである(関連事項D1,D2参照)。

C、Dは本稿のシミュレーションには直接関連しないためここでは記述しない(関連事項E参照)。

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3.タンクのサージング現象(水位変動)とウォーター・ハンマー現象(水撃波)の相違2005.6.1










上図(図3a)は定常流の状態;@取水口、Aタンク、B放水口と開閉弁を表す













上図(図3b)はBの弁が閉まり、AからBの間のB側の流体圧力が上昇(正の波)し、管壁を押し広げると同時に、Aの方向に伝播する状態を示す。これが水撃波(water hammer)である。

Aの水深が浅いと水撃波は、@方向に伝播せず、Aで圧力をゼロとするがBの方向へと圧力を低下させる伝播を引き起す(先の上昇分と同量を低下させる負の波)。その伝播速度は

        (1)




の式で表される。例えば下水道管に例を取り、管径D=1m;水の体積弾性係数k=200,000tf/m2;コンクリートの弾性係数E=2,000,000 tf/m2;管厚δ=0.1mのときc=1400m/sと算出される。AからBの管路長をL=100mとすると、その間を往復する所要時間は0.14secと高速であり、目視は不可能である。














上図(図3c)は、図3(b)のBからの水撃波の波がAに達した直後からAのタンク水位上昇が徐々に始まる様子を表した図である。@からA間の管路内の水塊の慣性力は、B方向への流下が出来なくなりAのタンク内へと移動する。

下流端からの放流量が瞬間に零になり、かつ、管路の損失水頭が無視できる場合のタンク水位の最上昇高は

      (2)




の式で算出される。

例えば下水道管に例を取り、流量Q=0.79m3/s;管内直径D=1m;管断面積A=タンク断面積F=0.79m2;@からAの管路長L =100mとするとタンク水位の最上昇高Z*3.2mと求められる。

タンク内の水面変動(サージング:Surging)の周期は

      (3)




の式で算出される。

ここの例ではL=100m A=F=0.79m2であるからT=19.6secと算出される。

サージングと水撃波の周期を比べるとオーダー違いであることが分かる。水撃圧の圧力上昇を簡便に求める算定式はないが、非常に大きいものである。すなわち、管路下流端のBの位置での実際の圧力変動は、Aのサージングの圧力変動と水撃圧の合計値である。しかし、短周期であることから水撃波の減衰性は早いのが特徴である。

図4(a),(b)に、実際の密閉型エア・クッション・サージ・チャンバーを有する水力発電所の圧力変動をBの位置で実測した例を示そう(縦軸に圧力、横軸に時間を表示)。



        図4(a) 赤矢印の線がBの位置での圧力計測値



          図4(b) 図4(a)と同じ記録であるが長時間に亘っての表示

図4(a) 赤矢印の線の記録は、初期水圧243mの状態から0.9secで260mまで上昇し、その後、振動を繰り返す状態が鮮明に捕らえられている。さらに、図4(b)からは75sec後に282mまで圧力が達しているが図4(a)に見られた1.65secの周期の波動が減衰し消えている。

一方、図5は、図4とは規模が異なる別の水力発電所に密閉型エア・クッション・サージ・チャンバーを付した計算例である。図5の上図の変動がAの位置における圧力変動であり、下図がBの位置における圧力変動である。すなわち、図4はBの位置における計測のみであり、Aの位置の計測値はなかったが、図5の下図の曲線と上図の曲線の差額(刃形状の短周期の振動)が水撃波であり、また、特性でもある。上図の滑らかな長周期の曲線がサージングであり、その特性を見ることが出来る。



    図5 数値シミュレーションによる流量急変時の水力発電所圧力水路系の圧力変動


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4.管路を安価にする材料は何か、それを可能にする構造は何か2005.6.1


水力発電所の圧力水路系では、コンクリート材が他の材料に比べ安価であることには、言うまでもないが、その安全性に応じて高価な水圧鉄管の区間と区分されている。ここでの安全性とは、漏水を全く許さぬ区間と、万一に少し生じたとしても山の崩壊を招かぬ山の表面から地中深い区間、さらに、設計圧力に応じて材料を選別している。一般に図2に示す如く、取水口からほぼ水平に近い緩勾配で山の尾根の斜面まで導水路トンネルを通し、そこから発電所に向かって急勾配で斜面に沿って流下する水路が設けられる。

地上に露出する水路はすべて、鉄管であり、全く漏水を許さない構造を取っている。さらに、急勾配で発電所に向かう水路は、地下埋設であっても鉄管であるのが大部分である。それは、山の被り厚が薄く、かつ、圧力変動の激しい水撃波の伝播する高圧区間であるために、鉄管が使用される。一方、サージタンクを設けるとそこから上流の取水口方向へは水撃波が伝播しないことは前節に説明した通りであり、この区間を安価なコンクリート構造の採用が可能になる。しかし、山の渓流の下を横切り被り厚の薄い部分では漏水に配慮し、コンクリート巻き立ての更に内側に内張り鉄管を採用する安全策を取っている。いずれにしても、水路の最も長い導水路区間を経済的に建設可能にするのはサージタンクの役割である。なお、導水路トンネルの通るルートの山の被り厚さは100m以下である。これは、トンネル点検時の空洞時の地下水圧に対する配慮である()

注):青函トンネルの最深部は、水深140mの海底の更に100m下に設けられている。


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5.サージタンクの水位変動を解析する理論2005.6.1


図6の記号

 H1:取水口水深(m)

 H2:タンク水深(m)

Z:取水口水位とタンク水位の差額(m;下向きを+)

L:導水路トンネル長(m)

f:導水路トンネル断面積(u)

v:導水路トンネル流速(/s)

F:タンク水面積(u)

Q:Bの水車・開閉弁を通過し放水口への放水量(m3/s)

等を表す。

目的

開閉弁Bを通過する流量変化を、ここでは簡単化のために既知として流量時間変化を与え、これに伴うZ,vの時間変動を算出し、Zの最上昇、最下降水位を求める。ただし、ここでは、流体・管路を剛体として取り扱うためタンク基部のAからB方向への流量とBの水車・開閉弁を通過し放水口への放水量Qは同値として扱う。このため、AからBの運動は扱わない。

サージング計算の基礎式

@からA間の導水路の運動方程式は、@の水圧とAの水圧の差が@からA間の水塊の運動エネルギーを支配しており、これを式化すると

 ・・・・(4)



と表される。ここにW:水の単位体積重量(ton/f/m3)g:重力の加速度(=9.8/2),Δ:@からA間の抵抗力である。式(4)の両辺をfWで割ると式(6)に変形される。

    ・・・・・・・・・・(5)

   ・・・・・・・(6)




ここに、式(6)の右辺第2項は、@からA間の損出水頭を表し、αは抵抗係数である。

αは、定常流の状態から関係付けられる。すなわち、「定常流の状態」とは式(6)の右辺第1項の変動項が0の場合であるから「定常流の状態の取水口とタンクの水位差」をZ0とすると

       ・・・・・・・(7)


である。一方、Z0は既知流量における定常流の流入損出水頭、管路摩擦損出水頭等の合計値であることから既知量である。よって

       ・・・・・・・(8)



から決定される。ここにv0は、定常流状態の流速である。

一方、タンク基部での流量の連続方程式が必要である。すなわち、

 ・・・・・・・(9)



である。式(9)の左辺項はタンクの水面低下による変化量であり、右辺項は、水車方向への流量と取水口側からの流量との差額である。この両辺が合い等しいのである。

 流量変動は、本来、開度・時間変化曲線と開度構造の直上流側と直下流側の圧力差、水車特性に関連する(関連事項)。既知量として、下図の如き折れ線開度・時間変化曲線がある。しかし、ここでは簡単化のために、この曲線を流量・時間曲線と同じとして扱う。(扱いの詳細については、第12節を参照ください)。

テキスト ボックス: 開度
















なお、図7は一定流量の状態から変化する時点から演算を開始する時間軸を設定している。

結局、数値計算のための式は式(6)、(9)の常微分方程式でありその階差式は関連掲載を参照されたし。

サージタンクのさらなる詳細を知りたい方は関連掲載F2,F3及び電力土木「4) 水路工事費を30%削減する密閉型エア・クッション・サージチャンバー技術に関する入門書」を参照されたし。


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6.サージタンクのシミュレーション・モデルの入力画面2005.6.1


 マクロを有効にする。入力データは、sheet1黄色のコアに入力する。「演算開始ボタン」をクリックすることで解析される。演算結果はsheet1にT(時刻:sec),Z(貯水池水面からのタンク水位上昇高さ:m),V(導水路トンネル内の流速:m/s),Q(入力された末端部の流量:m3/s)を表示し、かつ、図示される。下記にSheet1を示す。




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7.サージタンクのサージング・シミュレーション・ソフトのダウンロード2005.6.1
(SurgingForTank.xls)


プログラムは都合により移動しましたここをクリックください。

       




8.水撃波を解析する理論2005.6.1

 理論は、簡単ではないが、これを学ぶことは、開水路流の不定流解析の理解にも役立つことから、読破されると良いと思います。内容は 電力土木「4) 水路工事費を30%削減する密閉型エア・クッション・サージチャンバー技術に関する入門書」の76ページから101ページ を参照されたし。ここでのシミュレーションプログラムは同書の83ページから101ページの差分化によって組み立てられている。また、一般的な記述を関連掲載F5,F6に記載する。

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9.設計思想を変える断続配置エア・チューブ挿入理論の登場2005.6.1

本節はすでに「水と空気」にまとめておりますのでここをクリックしてください。

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10.水撃波シミュレーション・モデルの入力画面2005.6.1


次節でダウンロードできるVBAソフトは「エア・チューブを断続的に配置した場合の解析ソフト(tube-S-21080c.xls)」と「エア噴出水撃圧発生装置付きモデル水路系における解析ソフト(ModelTestOfAirJet-NA30M80E6151-10-15.xls)」である。しかし、前者のソフトは各種の系に適用可能な汎用型に造っており、ここでは、エア・チューブを有さない「一般的圧力水路系の場合」、「INA水力発電所圧力水路系の場合」、「INA水力発電所圧力水路系に密閉型エア・クッション・サージ・チャンバーを付した場合」の三種類の入力画面を拡大表示しているので系の相違でどのように入力しているかを参考にして欲しい。


1)一般的圧力水路系に断続配置エア・チューブを付した場合の入力と演算結果の打ち出し

水路系構造の概念図と演算位置(黒丸)sheet1に図示し、地点番号(自己番号)を付けている。この番号の計算方法を自己構造特性番号で表している。自己構造特性番号はsheet114行目から18行目の構造表示に対応する。管路の材質は19行目の分類で入力する。ただし、エア・チューブを付加する場合は、管材質欄にsmAirを記すと同時に16行目のAa/A=(エア・チューブ断面積)/(管路断面積)の比値を代入する。

また、ここでは、初期設定された鉄管総鋼重とここでの圧力変動に対して必要とする総重量を比較する検討計算ソフトを含んでいる。このため、コア(61)hm=(初期設定の設計圧力水頭)/(取水口水位と水車中心標高の差)の比値を入力する必要がある。









2)一般的圧力水路系の場合の入力と演算結果の打ち出し







3)INA水力発電所圧力水路系の入力と演算結果の打ち出し













4)INA水力発電所圧力水路系に密閉型エアクッションサージチャンバーを付した場合の入力と演算結果の打ち出し













5)エア噴出水撃圧発生装置付きモデル水路系の場合の入力と演算結果の打ち出し

プログラムは

鶴巻有一郎,傳田篤:小径エアチューブまたは密閉型エアクッションサージチャンバーによる水圧鉄管の減圧理論,土木学会論文集,712/U-60,pp.87-96,20028

のために作成されらプログラムである。このため、装置諸元は上記の論文の通りであり、エア噴出後、水撃圧の発生を楽しんで欲しい。






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11.水撃圧シミュレーション・ソフトのダウンロード2005.6.1


1) エア・チューブを断続的に配置した場合の解析ソフト(tube-S-21080c.xls)

マクロを有効にする。入力データは、sheet1黄色のコアに入力する。「演算開始ボタン」をクリックすることで解析される。演算結果はsheet1に記載・図示される。演算所要時間はCPU:プロセッサ1.3GHzで数十分要するので注意されたし。

        プログラムは都合により移動しましたここをクリックください。

       



2) エア噴出水撃圧発生装置付きモデル水路系における解析ソフト(ModelTestOfAirJet-NA30M80E6151-10-15.xls)

マクロを有効にする。入力データは、sheet1黄色のコアに入力する。「演算開始ボタン」をクリックすることで解析される。演算結果はsheet1に記載・図示される。演算所要時間はCPU:プロセッサ1.3GHzで数十分要するので注意されたし。

        プログラムは都合により移動しましたここをクリックください。

       



 12.ポンプ・水車機器が流動特性に関与する場合2005.6.1


水力発電所の使用水量をコントロールする設備は、開閉弁の開度であることは第5節図7に示した通りであるが、この使用水量と開度、さらには、水車特性との関連について説明する。

まず、管路の先端に弁のみを有し、大気中に放出する場合の放出流量は
















トリチェリーの定理から

      ・・(10)



である。ここにG:開度比(全開時を1)、A0:全開時の開度面積(m、y:有効落差(m)

である。図7は、このGが時間(t)に応じて閉鎖するのを表しており、全開状態からT0秒後に全閉する一次式は

T0t0 では    ・・・・(11)


t>T0 では G=0

である。

バルブ(水車発電機の専門用語では「ガイドベーン」と言う)直下流が大気圧でその放出水が直接に、水車の羽に衝突し、水車を回転させる方式の代表機種にペルトン水車がある。しかし、バルブの上下流の管の間に水車を配置し、全体を密閉した形式の水車が各種ある。その代表例はフランシス水車であろうか、この形式は、逆回転させればポンプに変わる機種もある。

このような機種の場合、水車またはポンプの回転数と流量、回転体運動のトルク(慣性モーメント)、開度等が関連するため、ペルトン水車に比べ、発電停止時の過渡現象は複雑である。これを、説明するのがここでの本題であるが、話に入る前に、発生トルク(慣性モーメント)と出力の関係について見よう。

水力発電所の出力は、

P=9.8HQη       ・・・(12)

である。ここに P:出力(kW, H:水車前後の圧力水頭差(m),Q:使用水量((m/s),η:(水車効率)×(発電機効率)

である。

このP出力(kW)はTr発生トルク(tonfm)と次のような関係がある。

       ・・・(13)

ここにTr:定常運転中の発生トルク,N0:水車の定格回転数(r.p.m)である。

すなわち、水塊の持つエネルギーを水車の回転エネルギーに変換する関係式が式(13)である。そして、このエネルギーが送電され、消費(負荷トルク)されているのである。しかしながら、電力送電系統に落雷があると、落雷が持つ大エネルギーが発電所に逆流し、発電機器を損傷するための防止策が必要になり、落雷直後に送電線を瞬間に切り離すことで安全を確保している。そうなると、回転体のエネルギーは、消費先を失い、貯蓄されることとなる。すなわち、その現象は、回転速度を上昇させ始めることになる。この間、水車のガイドベーンは徐々に閉鎖を開始し、水塊の持つエネルギーを減ずるが、回転数の上昇率を急には押さえ切れないのである。

回転数が上昇すると、水車・発電機の軸受けの摩擦温度を上昇させること、さらに、発電機回転体周囲に取り付けられた電極のコイルに掛かる遠心力増大の力が問題になる。さらに、水車の羽は流量変動に影響を及ぼし、式(10)のトリチェリーの定理が成立しなくなるのである。このため、水撃圧の上昇も前図に示した単純構造(大気中へ放出するバルブ付き)の場合とは全く異なった現象を呈することとなる。このため、設計にあたって、また、完成時のテストにおいて、水圧鉄管路および水車の設定された設計水圧に収まることと、設定された水車の回転率上昇に収まることを確認することは、最も重要なことの一つである。機械工学・土木工学は切り離せないのである。

回転体の持つTr発生トルクとTrL負荷トルクと回転体の慣性力の関係式は

     ・・・(14)

である。ここに、GD2:はずみ車のはずみ車効果(tonfm2)である。

このため、落雷、または発電停止後の過渡現象や、発電開始前の回転数の加速中にあっては、TrL負荷トルク=0であるから

        ・・・(15)

の回転体の慣性方程式を扱うこととなる。さらに、ポンプ・水車機器の特性は、羽形状に応じて、回転数に関係するため、模型ポンプ・水車を用いて開度毎に水理模型実験によって把握されている。このため、水撃波の過渡現象を解析するには、水路内の圧力伝播式、回転体の慣性方程式、模型水車特性を同時に適用する必要がある。なお、その模型ポンプ水車特性は機械メーカーによって異なるものであるが、一例を下図(図1,2)に示す。下図(図1,2)の記号は次の通り

図1,2の横軸: Ku1=(πDn)/(60(2gH)1/2)   ・・(16)

図1の縦軸: Q11=Q/(D12H1/2)  : l/s)  ・・・(17)

図2の縦軸: M11=1.2662T/(D13H):(kg-m)・・・(18)

図中のパラメーターはガイドベーン開度比を、図の第一象限に水車領域を図示している。

模型縮尺との関連は

D/D1=S                ・・・・・・・(19)
QP=QS2H1/2              ・・・・・・・(20)
M11=M/(D13H)             ・・・・・・・(21)
である。ここにD1=ランナー基準径=0.45m; n=回転速度rpm; S=模型縮尺(=10.667; H=落差・揚程m; Q=流量l/s; M=軸トルクkg-mである。


また、図9(水車領域の流量と回転数の関係図)に水車効率を算定し図化している。この図から定常運転中(定格流量、定格回転数)の値が最高効率付近に位置するように選択・設定されるのが一般的である。




































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13.特異なポンプ・水車特性を持つ場合の問題点と対応策2005.6.1


本節は、小生が現在取り組んでいる課題の一端を披露する。前節の図1,2のポンプ水車完全特性曲線は特異な例に属する。それは、水車領域の回転数に対し、縦軸に複数の値を取る曲線の部分が存在することにある。

次に一般的な問題として模型実験による値は、ある間隔ごとに計測されており、その間の値を如何に推定するかの問題がある。従来は、図解法とか、手動による計算機を使用していた時代と異なり、精度の高いコンピュータを使用するようになり、誤差が大きいと演算の収斂性に影響する。

以上の問題を解決するために、小生がこれまで取ってきた手法は、実験値の流量・トルク完全特性曲線を多次元式へ変換してきた。しかし、その場合のポンプ水車完全特性曲線は、水車領域の回転数に対し、一根の解のみであった。このため、現在の取り組みは、曲線の縦軸を縮小し、横軸と同比にグラフ化するとほぼ同心円状、または楕円形の焦点を持つ曲線群に見ることが出来る(下図参照(縦軸を1/30に縮小))。すなわち、焦点から放射状に存在すると置き換えることで各ガイドベーン間の内挿をかなりスムースな曲線に変換することが出来るように改良されつつある。HP開設のため1年間のブランクがあったが、これを機会に再作業を行いたい。


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14.その他の管路流の話題2005.6.1


a)陥りやすい誤解

ある発明家は、水力発電所の効率アップのために水路中間に河川からの取水と土砂の輸送を行う案を持っている。その河川は上流端の取水口を設けた下流の同一河川から中間取水を多数行うことで、上流から下流までの流量を一発電所が全て利用できると言う。この案は効率アップではなく効率低下を招く陥りやすい誤りの例(図11(a))であるので説明する。

その理由は、動水勾配線より低い中間からの設備の場合は図11(b)の如く取水口からの一部は中間設備に流出させ流量の減少を招き、かつ、中間設備によって動水勾配線を低下させるため発電出力P=9.8QHは低下する。さらに、上流端の取水口より下流河道の標高は取水口標高に比べ低いため、開閉弁の閉鎖時には逆流を起す。また、上流端取水口標高と動水勾配線の間