バルーン型煙突付き海上太陽熱風力発電装置とスクリュー発電装置を搭載した「日本発ノアの箱船号の出帆」

(筆者:鶴巻有一郎:06.3.12出帆)更新日3.18;3.20;3.22;3.26  




アイデアから生まれた上図・本案の発電装置に関する技術資料はほとんど存在していない。そこで、この「日本発ノアの箱舟号」を出帆させるための基礎科学技術資料を整えるために、みなさまの、参加を募り、技術の荒波の世界に航海を始めることとした

coffee break time第23話、及び「煙突型太陽熱風力発電所の出力試算:改訂版:Excelを用いた解析あそびのためのダウンロード」で紹介した「バルーン型煙突膜状付き太陽熱風力発電構想」の小生のアイデアは、常識人から見ると、どうも、とんでもないもののようである。所謂、奇想天外な現実離れのようである。そう、それならば、さらに、一歩進め、上図の「バルーン型煙突帆船太陽熱風力発電装置とスクリュー発電装置の併用構想」を打ち出すこととした。

昼間は太陽熱で、夜間は海水温で上昇気流をおこし、バルーン内の膜状煙突内を台風並みの速度で上昇する風速で風車発電機を回す、さらに、巨大バルーンに当たる海風は、この浮体を風下へと押し流す、この押し流す力をスクリューに伝え発電機を回す。すなわち、ここでのスクリューは航行するためのものではない。狭い日本を脱出する巨大漂流発電浮体物である、いや、すべて、我が国からコントロールする無人巨大バルーン発電帆船であり、群れを成して移動する。

そこで、この奇想天外なアイデアを少しでも実現化へ接近する為には、各種技術・研究資金調達・交渉の経験・ノウハウが必要になる。そこで賛同者を募集しワン・ステップ・アップの遊び(遊びの中にこそ飛躍がある)をすることとした。まず、本案に興味を持てる方で、国際的な視点に立って、考えられる方々である。太陽熱・熱気球・バルーン・熱流体力学・風力工学・帆船の航海術・造船工学・気象学・高層流体力学・海洋学・水理学・電気・電子工学・環境学・海洋生態学・数学者・プログラマー・各種海外プロジェクトに携わる資金知識、PR関係者、その他、に経験または興味を持ち、時間があるとき、気ままに考えてみたい方(「それは、こうしたら良いよ」とか「こんな問題があるよ」とか、、、)で、かつ、それらを各自のHPまたはプログへ発表した後、その「表題とアドレス」を本HPに連絡の出来る方、または、本HP に直接投稿の出来る方である。

さあ、行き先・到着日不明の技術航海(漂流?)を促す銅鑼が鳴っている。




目次

1)太陽熱エネルギー分布(06.3.12)

2)なぜ、太陽熱発電を我が国は退けるの(06.3.12)

2-1)太陽熱発電の現状

2-2)なぜ、科学者までも尻込みするのか

3)本案の特徴と課題(06.3.12)

 3-1)本案の特徴

3-2)本案の課題

4)皆で開拓する技術

 4-1)構造解析(06.3.12)

  4.1.1構造概念図(06.3.12)

  4.1.2) バルーン

   4.1.2.1) バルーンの浮力と海風の抗力(06.3.12)

     4.1.2.1.1バルーンの浮力(06.3.12)

     4.1.2.1.2バルーンに作用する風の抗力と揚力(06.3.12)

    4.1.2.2) バルーンの海風による変形(06.3.12)

      4.1.2.2.1)ロープの変形解析(06.3.12)

      4.1.2.2.2)帆の変形解析(06.4.14)

    4.1.2.3) バルーン素材強度から見た必要重量の算出()

      4.1.2.3.1) ロープの重量()

      4.1.2.3.2) 帆の重量()

    4.1.2.4) バルーンが浮上するための諸元()

  4.1.3) 集光・集熱部(06.3.12)

    4.1.3.1上層温室部の熱力学()

    4.1.3.2下層温室部の熱力学()

  4.1.4) 煙突状幕の力学()

  4.1.5) 素材特性と耐久性()

  4.1.6) 海上浮体の建造技術()

 4-2)発電出力解析()

  4.2.1)太陽熱発電出力算定理論の確立()

  4.2.2)スクリュー発電力の算定()

 4-3)発電コスト解析()

  4.3.1耐久年数()

  4.3.2経済評価()

  4.3.3)代替案との比較()

 4-4)(環境評価()

 4-5)(航海術と国際法()

 4-6)研究費獲得わざと交渉術(案)

 4-7)波及効果(06.3.12―)

5)ご協力戴いた方のお名前とメンバー表(06.3.12)




1)       太陽熱エネルギー分布(06.3.12)


(太陽熱エネルギー分布図を都合により移動しましたここをクリックして下さい)

1) 太陽光分布図は、ENCYCLOPEDIA OF ENERGY, McGraw-Hill;エネルギー科学大事典,KodanshaMcGraw-Hillからのコピー

(海水温分布図を都合により移動しましたここをクリックして下さい)

海面温度分布は、2) 理科年表,昭和62年版,東京天文台編,丸善からのコピー

バルーン型煙突付き海上太陽熱風力発電の昼間のエネルギー源となる地球上の受ける太陽光の年間強度分布は、Fig.3に示す通りである。これを見ると日本(1.39TWhr/km2yr)、太平洋上(1.86TWhr/km2yr)であり、洋上が高い強度を有している。さらに、夜間のエネルギー源となる2月と8月の海面温度分布は地第18図、地第19図に示す通りである。日本の近海には年間を通し28℃の分布の高温海域がある。

2月の海水温℃

8月の海水温℃

千葉沖

14

25

南大東島

20

28

ミクロネシア

26

28

またENCYCLOPEDIA OF ENERGY, McGraw-Hill;エネルギー科学大事典,KodanshaMcGraw-Hillには、太陽放射エネルギーとエネルギー生産システム図が記されており、これを、太陽放射エネルギー(5.5x1024ジュール/)100%とした場合の図に変換し、かつ、その一部分をアレンジして示すと上図のようである。

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2)なぜ、太陽熱発電を我が国は退けるのか

2―1)太陽熱発電の現状(06.3.12)

太陽熱発電方式には現在3種類ある。

・熱による溶融塩などを用い蒸気タービンを回す発電方式(トラフト型,タワー型)  

・熱による空気の温度差による圧力を利用したスターリングエンジンを用いた発電方式(ディッシュ型)

・煙突を用いて熱による上昇気流の効果を高め風力発電による発電方式

がある。第一方式のトラフト型,タワー型は、我が国においても過去に実証プラントが四国の仁尾に作られ

3) 最勝寺俊矢:太陽熱発電パイロットプラントの概要,土木技術,1983.1,pp.63-69

の資料によると、2方式の建設に100億円が投じられ、500万円/kWの建設コストであったと記されている。パイロットプラントと言っても、500万円/kWの建設コストは破格の費用のように思われる。以下に商用運転されている各種電源との建設コストを示す。なお、建設コストとは、建設費用を発生設備電力の最大値で割った値である。また、発電原価または発電コストは、立地地点(電気を送り出す地点)での全施設の耐用年数間において建設費用、運転・メンテナンス費用、利息、税金等の全ての諸費用を返済するに必要とするためのkWh当たりの価格であって耐用年数間の総発電量(kWh)によって変わり、評価の基準値の一つである。

表1  昭和60年度の電源別発電原価(関電新聞から)

:数値には「程度」の文字が付く

一般水力

石油火力

石炭火力

LNG

原子力

建設単価(千円/W

630

140

240

210

310

耐用年送電端発電原価(円/Wh、燃料価格上昇率・実質3%/年)

13

19

13

18

11

表2 発電コスト (平成15年度版新エネルギー便覧;資源エネルギー庁編から)

発電コスト

建設コスト

運転年数

(耐用年数)

太陽光発電

住宅用平均値

66/kWh

94万円/kW

20

非住宅用平均値

73

104

20

風力発電

大規模①

10

21

17

大規模②

14

24

17

中小

1824

2437

17

燃料電池(りん酸形)

22

70

15

このパイロットプラント終了後、我が国においては全くこの方式の建設は成されていないが、海外においてはその後も研究され、現在では火力発電所並の発電コストまで低下したと伝えられ、地中海地域の将来を担う電源と目されている。

第二の方式、ディッシュ型は、数年前、宮古島でNEDOが細々と実験している明電舎の機種を見たことがある。これも、海外で技術発展している分野である。

第三の方式、煙突型(solar Chimney)は、1970年代 J.Schlaichの発想によるものであり、スペインのマンザナレスで19867月から19892月まで出力50kWの稼動をした煙突型太陽熱発電パイロットプラントがある。この煙突の高さは195m、直径10m、集光直径240m、集熱部面積46,000㎡である。この方式は、冒頭に示した

ENCYCLOPEDIA OF ENERGY, McGraw-Hill;エネルギー科学大事典,KodanshaMcGraw-Hill

にも、なぜか記載されていない。しかし、現在、

   ・        スリランカ:小規模の実証プラント

           計画:南アフリカ・ケープ州

           インド

           オーストラリア  (建設中?)

で大規模計画が成されているとのWeb情報がある。

スペイン・マンザナレス:  50kW

(計画)南ア・北ケープ州 :400MW

煙突高さ(m)

195

1500

集光直径(m)

240

7000

総工事費(億円)

540

建設単価(千円/W)

1400

太陽熱1kw/㎡の場合の利用率%

0.11

1.04

この表から南アフリカにおける建設コストを見ると我が国の太陽光発電の建設コストの1.4倍であることが分かる。また、関係者の発言に発電コストは風力の70%UPの言及がある。当然、風力発電機以外に超高の煙突と集熱部が必要であるからコストがUPするが、さほどの上昇ではない。通常の風力発電は、風任せであるが、この煙突型(solar Chimney)は、熱依存型であるため一定運転と、昼夜を問わない運転を可能にしており、従来の風力発電とは同一視できるものではない。しかし、solar Chimney の発案者Schlaichシュライヒ氏によれば、建設できる条件は、陽光、スペース、技術、及び再生可能エネルギー推進の法律の4拍子であると言っている。そして、

4) The Solar Chimney Schlaich Bergermann und PartnerStructural Consulting Engineers.Last update 2002 pp.1-14

の資料によると発電コストを

Solar chimney

Coal

Combined Cycle

Pf/Wh

14.05

11.58

10.35

であるとしている。このPfの貨幣単価はどの国の単位か不明であるが、先に示した我が国の石炭火力とCoalを、LNG火力とCombined Cycleを同じとするとほぼ似たような価格であり、Solar chimneyの発電コストも類推できる。

また、http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20010920306.htmlによるとメルボルンのディーキン大学でエネルギー・熱工学を教えるエリック・フー氏は、温暖化対策に役立つという期待は夢物語に終わりかねないと注意を促す。「ソーラーチムニーは、熱を取り込むことによって、光を反射する地球の力 アルベドと呼ばれる太陽光の反射率を低下させてしまう可能性があるからだ。温室効果ガスの発生は少なくなるものの、太陽光線のエネルギーを熱に変換することによって、実際には地球の大気を暖めてしまう結果を生むかもしれない」と警告している。

果たしてそうだろうか、2000m、3000mの山に登って見ても、風による乱れの状態は強く、拡散するのではと小生は思うのだが、、とにかく、環境問題がある。

一方、我が国における、Solar chimneyの研究は、

5) 岡田臣右(九大・院),内田孝紀,杉谷賢一郎,烏谷隆,大屋裕二(九大・応力研):太陽熱による熱上昇風の生成と煙突形構造物を用いた風の集束について,日本航空宇宙学会西部支部講演会(2002)pp.17-20 

) 本HP2005.9.6から掲載し始めた「煙突型太陽熱風力発電所の出力試算」

の2論文と少なく低調な研究分野である。しかし、特許庁の中小企業等特許先行技術調査支援事業を活用して、小生の発案と思っているバルーン型幕状煙突状を調査していただいたところ、二件の類似先行技術文献が判明(06.3.7)した。それは、「実用新案登録3031915」、「特開平6-88566」である。前者は平成8年(1996)5月31日出願、後者は平成4年(1992)6月30日出願である。小生のアイデアには、イエロー・カードが提示された様なものである。その詳細内容を読むと孤軍奮闘の様子までもが記されており、先人たちの努力を参考にしたいものである。と同時に、日本の知識人のレベルの高さに感心している次第である。これが、現状の煙突付き太陽熱風力発電の現状である。


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2―2なぜ、科学者までも尻込みするのか(06.3.12)

変換率(効率)

設備利用率

稼働率

2005資源エネ庁:発電コスト

一般水力

87

68

75

太陽光発電

10

12

住宅用:平均66、トップ46/kWh(家庭用電灯単価23.3/kWh

風力発電

55

20

40

大規模:94/kWh(火力発電単価:7.3/kWh)

波力発電(浮体)

1011

30

波力発電(振り子)

2025

Solar chimney

0.1-1%

(ここに、効率(変換率)とは、そのエネルギー素材が有しているエネルギーを使用可能な電気エネルギーに変換できる割合。設備利用率とは、ある期間内の平均発電負荷をその発電所の設備容量(最大出力)で割った値。稼働率とはエネルギー素材が有していた電気エネルギーに対し、実際に発生させた割合(メンテナンスによる中止、過小エネルギーのため運転出来ないものがあるため)。)