風・熱 鶴巻有一郎著

目次

T 風
T−1. 風力エネルギーの貯蔵・利用技術
  ・連絡導水路トンネル貯蔵と貯水池の水質を曝気浄化(04.6.5)
  ・仮排水路トンネル貯蔵と利水量のUP(04.6.5)
  ・風力・圧縮空気貯蔵・曝気による水質改善システムの評価研究(04.6.5)
    1) Sダム特性を用いた場合の圧縮空気貯蔵設備規模検討条件(04.6.5)
    2) 230KW風力発電機;年平均風速3.6M/S〜8.5M/S;sダム特性に対する圧縮空気貯蔵設備規模検討(表ー3)のまとめ(04.6.5)

U 熱
U−1 放射性廃棄物貯蔵と廃棄物から出る熱処理の検討(04.6.5)
    1)検討対象金属キャスクの貯蔵構造と各種計算条件(04.8.20)
   2)金属キャスクからの総発熱量 (04.8.20)

    3) 乾燥岩盤から気流に与えられる熱量(工事中)



V 煙突型太陽熱風力発電所の出力試算(05.9.6)
  

V-1 熱力学における断熱方程式の誘導(05.9.6)

V-2 気体力学におけるBernoulli(ベルヌイ)の方程式の誘導(05.9.6)

V-3 空気の密度(05.9.8,18)

V-4 太陽熱の理論(05.9.24,25,26,10.1)

V-5 風速の鉛直分布(05.10.1)

V-6 煙突部材内の熱伝達理論(05.10.6)

V-7 煙突内気流の計算(05.10.19,26;11.1)

V-8 風力発電機の特性と鋼材の物性(05.11.1)

V-9 入手可能な気象データ(05.11.1)

V-10煙突型太陽熱風力発電所の出力試算(05.11.1)

V-11 Excelを用いた解析あそびのためのダウンロード(05.10.26;11.1)

V-12 今後、本格化させたい方に贈る活動計画書(05.11.1)

Wバルーン型煙突付き海上太陽熱風力発電装置とスクリュー発電装置を搭載した「日本発ノアの箱船号」の出帆

1)太陽熱エネルギー分布(06.3.12)

2)なぜ、太陽熱発電を我が国は退けるの(06.3.12)

2−1)太陽熱発電の現状

2−2)なぜ、科学者までも尻込みするのか

3)本案の特徴と課題(06.3.12)

 3−1)本案の特徴

3−2)本案の課題

4)皆で開拓する技術

 4−1)構造解析(06.3.12)

  4.1.1構造概念図(06.3.12)

  4.1.2) バルーン

   4.1.2.1) バルーンの浮力と海風の抗力(06.3.12)

     4.1.2.1.1バルーンの浮力(06.3.12)

     4.1.2.1.2バルーンに作用する風の抗力と揚力(06.3.12)

    4.1.2.2) バルーンの海風による変形(06.3.12)

      4.1.2.2.1)ロープの変形解析(06.3.12)

      

 4−2)発電出力解析()

 4−3)発電コスト解析()

  

 4−4)(環境評価)()

 4−5)(航海術と国際法)()

 4−6)研究費獲得わざと交渉術(案)

 4−7)波及効果(06.3.12―)

5)ご協力戴いた方のお名前とメンバー表(06.3.12)

  

風力エネルギーの貯蔵・利用技術
風力エネルギーを農業用水の取水ポンプの電源に活用する。また、コンプレッサーの電源に用い、圧縮空気を連絡導水路トンネルに貯蔵し、貯水池の水質を曝気で浄化する
(これらは検討であり、現物は存在しない)


































ダムの建設時に用いた仮排水路トンネル(完成後は活用されていない)に圧縮空気貯蔵設備を設け利水量の増加と洪水調節容量を増大させる場合の運用システム(これらはアイデアであり、現物は存在しない)

仮排水路トンネル,または,ダム間の連絡導水路トンネルを圧縮空気貯蔵庫とし,かつ,運用方法を工夫することよって,「利水量の増加」が可能になる。すなわち,左図の如く,最低水位以下の貯水容量の一部を,仮排水路トンネル,または,ダム間の連絡導水路トンネルに一時的に貯留・逆流排水をすることで,常時満水位とサーチャージ水位間に貯留することで「利水量の増加」を狙うものである。水位上昇に伴ない,湛水面周辺の植生保存,発電量の増加となる。さらに,圧縮空気は,曝気による貯水池の水質浄化作用にも活用される。
 一方,圧縮空気の製造にあたっては,風力発電を用いることで,自然エネルギーの高度活用となる。
















↑目次


T  風力・圧縮空気貯蔵・曝気による水質改善システムの評価研究(これらは検討であり、現物は存在しない)

(キーワード:風力発電,エネルギー貯蔵,圧縮空気貯蔵,水質改善コスト,将来展望)

 湖沼の水質改善の一つに曝気による方法がある。曝気を行なうことで臭気の改善が報告されている。しかし,他の水質改善データとの比較になると,集まり難い現状であるにもかかわらず曝気が広く採用されている方法である。これは,湖底等から散気することで直接の浮上と連行流によって湖内に循環流が生じ,さらに,湖沼への流入量による合成循環流れは,有光層に生息する植物プランクトン(藍藻類等)への栄養塩類と光を制御し,藻類の異常増殖を抑制すると考えられるためである。

ここでは,風力エネルギーでコンプレッサーを稼動し,湖沼の曝気を行なう計画の問題点を探るための試算を,Sダムを例に行なったので報告する。
取り扱う課題は,
    風力エネルギーは必要曝気量の何%を賄うことが出来るか
    曝気期間が限定され,かつ,一定量の曝気を行なう場合の圧縮空気貯蔵規模はどうか
    貯蔵コストは,どうか
    他地点への適用方法は,どうか
等である。
 なお,植物プランクトンの異常発生は,条件が整えば1週間から10日間で増殖すること,さらに,十分な光が届く水深が水面から2〜3mである。この事より,本検討における水質改善の必要発生循環量を,湖面から3m間の総量が1週間で交換する量と仮定して評価する。
 一方,風の不規則エネルギーの貯蔵設備については,既存のトンネル構造が考えられる。特に,ダム建設時の洪水吐き仮排水路トンネル(表―1)は,ダム完成後,不用設備となり湖底に水没する。この仮排水路トンネルの中間部から湛水池側を圧縮空気貯蔵設備として使用した場合,漏気防止としての水封効果も期待でき有効な方策と考えられる。
 さらに,既存トンネルの圧縮空気貯蔵設備としての有効利用が可能な構造物と思われるものに,ダム間の連絡導水路トンネル,都市部にあっては,洪水時の一時貯留を行なう地下河川がある。これらの利用圧は,1MPa以下と低圧であるが,地下構造物としての既存の圧縮空気貯蔵設備(表―2)には,水力発電所の密閉型エアークッションサージチャンバー(8MPa以下),圧縮空気貯蔵発電所(CAES-G/T)(8MPa以下)の高圧のものがある。さらに,天然ガス貯蔵には,13.25 Mpaと高圧の使用例もある。

表-1 トンネル地下空洞構造物の一例

トンネル延長(Km) 径(m) 容量(x10^3m^3) 深度(m)
ダム建設時の洪水仮排水路(Sダム) 0.65(2条) 3.5 12.5
ダム間連絡導水路(大保・奥間ダム間) 6.5 (4) (81.7)
大阪市・寝屋川北部地下河川 10.48(=2.57+3.56+4.35) 10.2 , 7.5 , 5.4 447 30-35
大阪市・寝屋川南部地下河川 13.65(=7.08+1.32+5.25) 6.9 , 9.5 , 9.8 754 10-20


表 -2 大規模地下圧縮空気貯蔵設備

水力発電所名 国名 トンネル規模長さ(m),径 (m) 空間体積(x10^3m^3) 貯蔵圧力(MPa) 建設年 漏気防止方式
Moose River USA 1.072 0.506 1987 内張管
Driva ノルウェー 2.6-3.6 4.0-4.2 1973 岩盤・ウォターカーテン
Jukla ノルウェー 1.5-5.3 0.6-2.4 1974 岩盤・ウォターカーテン
Oksla ノルウェー 11.7-12.5 3.5-4.4 1980 岩盤・ウォターカーテン
Sima ノルウェー 4.7-6.6 3.4-4.8 1980 岩盤・ウォターカーテン
Osa ノルウェー 10 1.8-1.9 1981 岩盤・ウォターカーテン
Kvilldal ノルウェー 70-80 3.7-4.1 1981 岩盤・ウォターカーテン
Tafjord ノルウェー 1.2 6.5-7.7 1982 岩盤・ウォターカーテン
Brattset ノルウェー 5-7 2.3-2.5 1982 岩盤・ウォターカーテン
Ulset ノルウェー 3.2-3.7 2.3-2.8 1985 岩盤・ウォターカーテン
Torpa ノルウェー 10 3.8-4.4 1989 岩盤・ウォターカーテン
圧縮空気貯蔵発電所名(CAES-G/T)
フントルフ ドイツ 300 7 1978 岩塩層
マッキントッシュ USA 540 7.1 1991 岩塩層
上砂川パイロットプラント 日本 16/2.5 0.078 7.8 1995 ゴムライニング・無水状態
上砂川パイロットプラント 日本 57/6 1.6 4-8 98-2001 ゴムライニング・無水状態
神岡(計画) 日本 38/3 0.268 2.06 水封
天然ガス貯蔵
プリブラム地点 チェコ 45,000/4 620 13.25 1997


T.1)  Sダム特性を用いた場合の圧縮空気貯蔵設備規模検討条件

1)風力発電機規模
     基数:           
     出力:            230KW
     制御:            電動ピッチ制御
     発電機形式:      多極同期発電機+回生インバータ
     カットイン風速:  2.5m/s
     カットアウト風速:25m/s
     定格出力風速:    11m/s

2) 風速データ
    年平均風速3.6m/s8.5m/sの範囲に属する6種類のデータを扱う

風の仮名称

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

年平均

名護

3.9

3.5

3.7

3.9

3.3

4.1

4.0

2.7

3.2

3.6

3.7

3.8

3.6

大江山10

4.1

4.4

4.3

4.0

4.0

4.5

4.0

3.8

3.6

3.9

4.1

4.2

4.1

能登20

6.0

5.1

5.3

4.8

4.4

4.4

3.8

4.7

5.2

5.3

4.9

5.1

4.9

経ヶ岬

7.4

6.0

5.9

4.4

4.7

4.0

3.7

3.4

5.5

5.1

5.3

6.2

5.1

大江山22

5.8

6.3

6.3

5.7

5.4

6.3

5.4

5.2

5.3

5.6

5.8

5.6

5.7

宮古島30

8.8

7.5

7.0

6.0

6.5

6.4

5.8

8.6

6.8

7.6

8.1

8.5

8.5














                                                              単位:m/s

3) コンプレッサー仕様
 AED55   :30-60KW(圧力4-7Kg/cm^2
 SWD75-90:40-90KW(圧力4-7Kg/cm^2

4)  Sダム特性
   流域面積:186Km^2
   ダム高さ:119m
   湛水面積:2.83Km^2
   建設時の仮排水路トンネル長/条数:650m/2
   圧縮空気貯蔵を仮排水路トンネルに設ける,水圧による圧縮貯蔵とする。
   月別貯水位と仮排水路トンネル天端標高差(Hm,月別流入量(Q10^6m^3

 

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

H

77.3

53.3

53.5

74.3

81.3

77.5

81.6

81.8

75.0

69.3

80.4

85.2

Q

13.1

8.2

41.4

70.0

46.0

16.6

63.8

26.0

16.9

9.7

25.0

31.9

5) 状態方程式:断熱変化としての扱い,比熱比=1.41

6)  風力発電から得られる電力のみで圧縮空気を製造し,貯水池の水質改善を曝気により行なう。
曝気期間を2ケースについて行なう。
    7,8,9,10月の4ヶ月間の曝気,他の期間は貯蔵期間とする。
    1年間を通して曝気を行なう。


T.2)230KW風力発電機;年平均風速3.6m/s8.5m/sSダム特性に対する圧縮空気貯蔵設備規模検討結果(表―3)のまとめ

1)4ヶ月間曝気の場合の水質改善率は,3〜28%である。
2)大気圧下1m3の空気量を得るのに191Wh116Wh=135.7/0.71746.3/6.45の電力が必要である。
3)4ヶ月間曝気の場合は,年発生空気量の79%〜67%を貯蔵する必要がある。
4)1年間を通じた曝気の場合は,年発生空気量の10%〜26%を貯蔵する必要がある。
5)圧縮空気貯蔵トンネルの必要長は,表―3に示す如く長大である。