ビンガム流体と粘性流体:鶴巻有一郎著(2006.9.4)(青文字2006.9.6追加掲載文);2007.2.20
まえがき:
空気や水には粘性があり、粘性流体ではあるが水よりもさらに粘度が強く、かつ、その流れの特性が異なっているように思われる物質がある。土木関連でそのような粘性流体を扱う分野は、下水道の汚水・汚泥の輸送であり、湖沼・河川・海岸の浚渫土砂の管路輸送(スラリー輸送)、生コンクリートの管路輸送(スラリー輸送)、火山の溶岩流等がある。しかしながら、水理公式集の昭和38年版、昭和49年版、平成11年版を見ても、下水道の部門で少し記述されているが、その流れの理論の組み立てを容易に理解できる内容になっているとは思えない。
昭和55年出版の本間 仁、林 泰造編「続水理学 技術者のための流体の力学」丸善鰍フpp.275に“非ニュートン流体としての汚泥流動”の表題の下に、内容は数行の記述で終了している。それは、次のように述べている。“ニュートン流体とみなせる水も固形物を高濃度に含むとその流動特性は非ニュートン的特性を示す。従来の理論は、主としてコロイドに近い微粒子を対象として発展してきている。定性的には、汚泥はビンガム流体として扱えるとされているが、これらの理論を水処理プロセスで扱うようなかなり大型の固形物の場合へいかに適用していくか、限界はどこにあるのかなどの問題は、やっと研究の緒についた段階であり、今後のさらなる検討が必要とされている。”
一方、粘性流体についてWeb検索すると、機械工学、理学、生体力学の分野が沢山検索され、粘性流体の性質から分類される流れの名称が明確になる。すなわち、顔料、ペンキ、タンパク質水溶液、クリーム類、コロイド溶液、塗料、高分子の溶液など、食品ではオレンジジュース、ソース類、マヨネーズ、チョコレート、練乳、デンプン粒、血液等の流れを扱う研究者達が分かりやすいWeb資料を提供している。
そこで、水理公式集で扱っている粘性流体について少し分かり易いように解説し、小生自身学んでみることとした。このため、本HPでは、水の流れの理論展開における粘性の扱いを解説し、さらに、粘度特性が異なる流れ理論の組み立て方法と解析例題について解説する。
なお、下水道汚泥の管路輸送における層流の場合の粘性係数の理論展開の詳細は、水理公式集に明記されていない部分もあり、その点を筆者がここに明らかにしたことが新しい点である。
主な参考書は
1)土木学会編:水理公式集、昭和38年版
2)土木学会編:水理公式集、昭和49年版
3)土木学会編:水理公式集、平成11年版
4)岡本哲史著:応用流体力学、誠文堂新光社
5)椿東一郎、荒木正夫共著:水理学演習上巻、森北出版
6)林 泰造著:基礎水理学、鹿島出版
7)玉木章夫著:流体力学U 圧縮性流体および粘性流体の力学、共立出版
8)石原藤次郎、本間仁編:応用水理学 中U、丸善
9)藤本武助著:改訂版 流体力学、養賢堂(昭和43年;6版)
10)石原藤次郎、本間仁編:応用水理学 上巻、丸善
11)Rich.L.G.: Unit operations of sanitary engineering, John Wily,1961
12)Chou,T.L.: Resistance of sewage sludge to flow in pipes.prac.ASCE,SA5,1958
13)岡田和男編著:下水汚泥の処理・処分、環境公害新聞社
14)遠藤郁夫、金成英夫:下水汚泥の摩擦損失係数に関する基礎的研究、土木学会論文報告集、第301号、1980.9、pp.71-82
15) 土木学会編:水理公式集例題集、昭和60年版
なお、Web検索で目に留まったものは次のものであった。
(流れの性質)http://irws.eng.niigata-u.ac.jp/~chem/itou/fl/fl1.html
(レオロジー)http://web.kyoto-inet.or.jp/people/macchann/hiroshi/Rheology.html
http://www.primix.jp/mixer_lecture/07_2.html
http://www.screenprint.jp/gijutu/gijutusp/rheofund.html
(ニュートン流体と非ニュートン流体)
http://www.kz.tsukuba.ac.jp/~sakakiba/curvedpipe/newton.html
(ビンガム流体の乱流)http://www.phoenics.co.jp/gallery/link/hinyuuton3.htm
(生体力学)
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%83%93%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%A0%E6%B5%81%E4%BD%93&tid=top_v2&search_x=1&y=12&ei=UTF-8&pstart=1&fr=top_v2&b=21
3.層流状態の流れを扱ったポアジューユ(Poiseuille)の法則
3.1 Hagen-Poiseuilleの法則の次元解析からの誘導
3.2 ポアジューユ(Poiseuille)の法則の理論展開による誘導
・レイノルズ数の物理的意味
あとがき (2006.9.6追加掲載文)
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1.層流と乱流


この図はレイノルズ(Reynolds)が1880年に行ったガラス管内の流れにインクを注入したときの実験の様子である。流れによる管内のインクは、流速が遅いと色素の線は乱れることはないが、流速を徐々に速めると、色素は突然周りの水と混合し拡散する。さらに、流速を速めると、乱れは管口まで達する。電気のスパークでよく観察すると、乱れは渦となっているが、それが発達するものではなかった。このような二様の流れの現象をHagenは、すでに1839年の論文に示している。また、1843年にはStokesも同様のことを述べている。
しかし、Reynoldsは、上記の実験によって、色素のラインが直線な状態を層流と言い、乱れの状態を乱流と名付けた。また、層流から乱流に遷移するのは、無次元のReynolds数に関係することを発見し、さらに、二つの規模の異なる流れであってもReynolds数が相等しければ、二つの流れは力学的に相似であることを明らかにした(np37Reyリンク)。Reynoldsによって、乱流理論が開幕された。しかし、応用に効果的な乱流理論が作られたのは1925年にPrandtlの混合長理論の発表によってである。
一方、管内の平均流速分布を見ると、層流状態と乱流状態では、下図のように明らかに異なっている。

層流の流速分布は
u/umax=1-(r/a)2 (1)
である。ここに、r:管中心からの距離;a:管径の半径;u:r点の流速;uma:中心部の流速である。
乱流時の流速分布形状の設定は、多くの研究者によってなされているが、一般に
(2)
である。ここに、y:管壁からの距離、
:y点の平均流速;
:中心点の流速である。
指数nをChristenは計測に基づき1/8とし、PrandtlおよびKarmanは1/7を導いた。
ここで、平行板に挟まれた静止流体があるとしよう、この上板を水平に一様な速度(V0)で移動すると下図の様な流速分布が得られる。このような定常流をCouetteの流れという。

すなわち、流速分布は
u=V0y/h (3)
であり、上部板のせん断応力τ0は
τ0=μV0/h (4)
である。ここにμ:粘性係数である。流体間では
τ=μu/y (5)
の関係である。
粘性流体の力学は、二つの仮定の上に築かれている。その一つは、物体の壁の上では流体が粘着して流体の速度は零になること、言い換えれば壁上においては、滑りがないことを仮定している。第二の仮定は、ニュートンNewton(1642-1727)の仮説と呼ばれるもので、流体内部の流体間の切線応力*(摩擦応力)は辷り変形の割合に比例すると仮定している。
(*この記述は参考図書(4)pp.14からである。「切線応力」は参考図書(7)pp.2においても使用し(shearing stress)と記している。一方、椿東一郎著:水理学T、森北出版pp.65では、体積変化の中で、面に平行な「接線応力」としている。レオロジー関連の書籍においても「接線応力」の記述である。貝原 眞・坂西明郎著:バイオレオロジー、米田出版pp.6では,接線応力(tangential stress),ズリ応力(shear stress)としている。このため、「切線応力」と「接線応力」は少し異なった状態のようである。また、土木工学ではshear stressまたはshearing stressを「せん断応力」というのが一般的であり、翻訳語の統一が成されていないようである。その後の調査により、「接線応力」は、曲面にたいする接線tangentialの接線応力のことであり、「切線応力」や「せん断応力」は直線の壁に沿う平行流の応力と解せられる。なお、H.ラウス・S.インス著“水理学史” pp.74では「粘性流れの中で、せん断力は隣接した区域の相対速度に比例するという事実が文献中にはじめてみられるのは
“流体の部分で、滑らかさの欠如から起こる抵抗は、他のことが同等なら、流体の部分が互いに分離される速度に比例する”(ニュートン)と記述している」)
すなわち、下図から

流体要素△x△yを考え、下辺はuで上辺はu+△uなる速度で動くと辷り変形の割合は、△u/△yである。この流体要素を無限小に考えれば△u/△yはdu/dyと書き改められる。したがって、摩擦応力をτとすると、ニュートンの仮説は
τ=μ(du/dy) (6)
である。ここにμ:粘性係数である。すなわち、この仮定が成り立つ流体溶液をニュートン流体と言い、仮定の成り立たない流体溶液を非ニュートン流体と言っている。式(6)を視覚的に表すと下図のようである。

水の流れの理論は、ニュートン流体なのである。なお、粘性のない流体を理想流体と言い、その運動方程式をEulerの運動方程式と言う。また、粘性流体を扱った運動方程式をNavier-Stokesの運動方程式と呼ぶ。すなわち、Eulerの運動方程式に粘性項が付け加わったのがNavier-Stokesの運動方程式である。この式の誘導は、図-3.46を発展させた下図の考え方によるが、実際の式の誘導を示すと、頭が痛くなるので、他に譲ることとする。
(頭がいたくなっても良い人は「レオロジーの基礎」へお進み下さい。粘性流体を扱い発展する分野を見たい方は「バイオレオロジーの世界をちょっと訪問」へお進み下さい。)

2.流体物質とせん断応力・流速変化の特性

各種の流体物質におけるせん断応力(τ)と流速分布の変化項(du/dy)を調べると図―2の如く、ニュートン流体(Newtonian fluids)と特性の異なるもの(すなわち、「二つの仮定」が成り立たないもの)が存在する。
ビンガム(Bingham)は小さいせん断応力では流動が発生せず、図―2のτ0に達して流動する性質の塑性(Plastic)流体(図の赤線)を調べ、τ0を降伏応力と呼んでいる。この塑性流体をビンガムの名を取ってビンガム流体とも言う。これに属する物質は印刷インキ、顔料、ペンキ、タンパク質水溶液、クリーム類*、汚泥、浚渫土砂、生コンクリート等である。図―2のビンガム流体を式化すると
τ=τ0+(μpl/gc) (du/dy) (7)
である。ここに、τ0:降伏応力(kg/m2);μpl:塑性粘度(kg/m・sec);gc:重力換算係数(9.8kg・m/sec2・kg)である。
次に、小さい応力でも流動をおこすが、図―2において、曲線を示す性質の物質がある。すなわち、歪が一次比例していない物質である。これを式化すると
τ=(μp/gc)(du/dy)n (8)
である。ここに、μp:ニュートン流体の粘度に相当する定数(kg・secn-2/m);n:構造粘度指数である。このn値が n>1の流体を偽塑性(Pseudoplastic)流体と言い、n<1の流体をダイラタント(Dilatant)流体と言う。偽塑性流体に属するものはコロイド溶液、塗料、高分子の溶液など、食品ではオレンジジュース、ソース類、マヨネーズ、チョコレート、練乳*である。
* :印はWebからの資料でありhttp://irws.eng.niigata-u.ac.jp/~chem/itou/fl/fl1.html
を参照した。また、Webの「生体力学」の資料を見ると、図―2の各種流体はさらに増えている。
ダイラタント流体に属するものはでん粉*、汚泥(水分量の異なりでさまざまの性質に変わる)、グリース、海岸の砂浜、石膏、ベントナイトである。
一方、流動の経過時間による速度勾配(du/dy)の変化の相違によって、チクソトロピー(Thixotropic)流体とこの流体の特性に相反するレオペクシー(Rheopectic)流体の二種類への分類がある。すなわち、下図のようである。(参考図書11から)

チクソトロピー流体は、汚泥、グリースを、レオペクシー流体は石膏、ベントナイトとしている。また、水理公式集H11版の「下水・汚泥」の項からチクソトロピー流体の説明を転記すると、
“チクソトロピー流体とは、長時間静置したのちに一定のせん断速度を与えると構造が徐々に破壊され、見かけ粘度がせん断時間の経過とともに減少するが、再び静置すると構造が回復するという性状を有する”
である。地震時の液状化現象に結びつく内容である。
3.層流状態の流れを扱ったポアジューユ(Poiseuille)の法則
参考図書5は、Poiseuilleの法則を、管路流の層流状態の流れ理論展開から紹介している。しかし、参考図書4によるとHagen-Poiseuilleの法則を実験値と次元解析から誘導して示し、後に、Wiedemannによって理論的にも導出されていると紹介している。そして、その次元解析による誘導は非常に簡便である。そこで、まず、次元解析からの誘導を紹介し、次に、参考図書5の理論展開による誘導について記す。
3.1 Hagen-Poiseuilleの法則の次元解析からの誘導
一般に、力学系の次元は下表の如く、長さ(L)、質量(M)、時間(T)で表すことが出来る。
|
(量) |
(次元) |
(量) |
(次元) |
(量) |
(次元) |
|
長さ |
L |
角速度 |
T−1 |
パワー |
M L2T−3 |
|
質量 |
M |
加速度 |
LT−2 |
圧力・応力 |
M L−1T−2 |
|
時間 |
T |
運動量 |
ML T−1 |
圧力勾配 |
M L−2T−2 |
|
面積 |
L2 |
力 |
M LT−2 |
密度 |
M L−3 |
|
体積 |
L3 |
トルク |
M L2T−2 |
粘性係数 |
M L−1T−1 |
|
速度 |
LT−1 |
エネルギー・仕事 |
M L2T−2 |
動粘性係数 |
L2T−1 |
これらの次元を用いて、管路流の実験式を作成してみよう。
管路流の両端の長さL区間の圧力差(P1-P2)の勾配(P1-P2)/Lは流体の密度ρ、粘性係数μ、平均流速V及び管径Dに関係すると仮定すると、その関数形は次のように表される。
(P1-P2)/L=f(ρ,μ,V,D) (9)
すなわち
(10)
である。ここで、κは無次元係数である。この式を基本単位(L,M,T)で表せばその次元方程式は
(11)
となる。両辺におけるM,L,Tのベキ数を等値と置くと
1=α+β
−2=−3α−β+γ+δ
−2=−β−γ
の3式が得られる。未知数が4個、式の数が3個であるから解けないが、α、γ、δがβの関数とすることは可能である。すなわち、
α=1−β
γ=2−β
δ=−1−β
となる。従って、式(10)は
(12)
となる。この式におけるκ、βの値をHagen-Poiseuilleの実験結果から求めると
κ=32、 β=1
となる。よって
(13)
である。なお、式(12)の右辺項の括弧内はレイノルズ数の逆数である。
式(13)の圧力差を水頭差(損失水頭:hf)に変換すると
(14)
となる。単位時間内の流量Qは
Q=πD2V/4
であるから、式(13)を代入することで
(15)
が得られる。これが、Hagen-Poiseuilleの法則である。
3.2 ポアジューユ(Poiseuille)の法則の理論展開による誘導
力学的考え方は下図の通りである。

すなわち、力の釣り合いは次の通り。
(16)
であるから、τについてまとめると
(17)
となる。なお、w=ρgである。ここで
(18)
動水勾配Iであるから、式(17)は
(19)
と変換される。ここで、壁面(r=a)のせん断応力を式(19)から求めると
(20)
である。また、式(19)と式(6)の対比から
(21)
これを積分すると
![]()

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となる。よって、管内の流速分布は、
(22)
と導かれる。ここに、υ=μ/ρ:動粘性係数である。このため、流量(Q)は、式(22)を管断面積上で積分することで得られ、また、平均流速(V)はその流量を断面積で割ることで得られる。すなわち、
(23)
(24)
である。式(24)から管路長L区間の損失水頭(hf)を求める式に変換すると
(25)
である。ここに、D=2a:管路の直径である。以上が、Poiseuilleの法則のである。
よって、式(25)は式(14)と同じ、式(23)≡式(15)であり、次元解析による方法と実験値の妥当性を知ることが出来る。
4.ビンガム流動としての汚泥の管路輸送公式の詳細
汚泥の管路輸送における層流の場合の公式を水理公式集から調べるとHagen・Poiseuilleの式の修正式として下記の式が掲載されている。
(26)
なるほど、式(26)は式(25)のμを
(27)
と置いている。ここに、τ0:降伏応力(kg/m2);μpl:塑性粘度(kg/m・sec);gc:重力換算係数(9.8kg・m/sec2・kg);D:管径(m);V:平均流速(m/sec);L:管路長(m);ρ:密度(kg/m3)である。
しかし、水理公式集には式(27)の誘導が記載されていない。そこで、この点を考察してみよう。ビンガム流体のせん断応力は式(7)であった。そこで、
τ=(μ/gc) (du/dy)
として式(7)に代入し、μについてまとめると
τ=τ0+(μpl/gc) (du/dy)
(μ/gc) (du/dy)=τ0+(μpl/gc) (du/dy)
μ=μpl+τ0gc/ (du/dy) (28)
となる。ここでdu/dyを設定するにあたり、流速分布を式(3)と同様の一次比例の状態であると仮定すると
du/dy=Vmax/a (29)
ここに、:管中心の流速である。これを、管中心の座標に変換すると
y=a−r
dy=−dr
du/dy=−du/dr= Vmax/a (30)
du/dr= −Vmax/a
となる。これを積分すると
u=−Vmaxr/a+c
である。ここにcは積分常数である。r=0でu=Vmaxでの条件から積分常数cは、c=Vmaxとなる。よって、uは
u=Vmax(1−r/a) (31)
である。ここで、流量(Q)と平均流速(V)を求めることとする。
(32)
(33)
が得られる。式(33)を式(30)に代入すると
du/dy= Vmax/a=3V/a (34)
であるから、式(28)は、
μ=μpl+τ0gca/3V
=μpl+τ0gcD/6V (35)
となる。式(35)は、式(27)と同じであることから、以上のような誘導過程であった思われる。
5.広義のレイノルズ数
水理公式集は式(26)の場合のレイノルズ数を
(36)
と表している。ここに、V:流速(m/s)、D:管路内径(m)、ρ:流体の密度(kg/m3)、μpl:流体の塑性粘度(kg/m・sec)、gc:重力の換算係数(9.8kg・m/sec2・kg)、τ0:降伏値(kg/m2)である。なお、式(36)の下段のμ′に関する式は層流の場合のビンガム流体に関するものである。しかし、水理公式集昭和49年版の解説に式(8)の説明の後に“広義のレイノルズ数”として
(37-1)
を示している。この表現には、実に興味があり、かつ、重要な式のように思われるが、その出典が明記されていない。
そこで、式(37−1)の誘導を行ってみよう。まず、後述する式(48)に習って、慣性力と粘性力の比を取ることにする。なお、この場合のせん断応力に式(8)を用いると
(37-2)
となり、Lにd、Vにuを置き換えたものであろう思われる。
その後、調査を進めていた“広義のレイノルズ数” については参考図書14のpp.78に記載されていることが分かったが、その式の誘導は、Rabinowitsh,Mooneyの誘導式をさらにMetzner,Reedが変形展開したものを参考図書14は使用したことを記している。そこで、参考図書14のその部分のみをコピーすると、


である。筆者が誘導した式(37−2)に比べ、複雑な誘導である。
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6.水理公式集に基づく汚泥の管路輸送の例題