引用に当たっての著作権と常識  鶴巻有一郎著(071123




本HPを掲載し始めてからはや3年半が経過した。この間、様々な書籍・文献の「引用」を行い考えをまとめてきた。また、これまで学術論文の作成にあたって、内容に関連する参考文献名をそれぞれの関係者に了解を求めることなく掲載・「引用」してきた。当然のことながらそれらの参考文献には目を通し、内容を確認し用いている。それが、「常識」と考えていた。

しかしながら、自分でHPを開設したり、web検索をすると、さまざまな、ことに出会うものである。

先日web検索すると、小生らの開発した26年前の氾濫流解析モデルの論文がある論文の参考文献名に初めて掲載されたのである。しかし、そのモデル名は小生らが論文中で名付け、明記しているモデル名称「平面タンクモデル」ではなく「ポンドモデル」として紹介されている。内容確認を怠った(?)のか、それとも、他の理由からか(?)。その先生には小生のHP上でのわがモデルを「ポンドモデル」ではなく「平面タンクモデル」と言ってください!”の掲載を知らせる E-mailを平成19年10月23日に入れたが、ひと月経過の今日まで開封通知は無い。如何されたのであろうか。

もっとも、「水と流れの付く漢字」のコーナーで紹介したように (たにがわと読む)の文字は「澗」に変化(月から日、陰から陽への変化)し,今日では忘れられた文字となっている。「谷川」は、次の世にどんな絵文字に化けるのだろうか? このことから考えれば「平面タンクモデル」を「ナンクルナイサー・モデル」とでも付けておけばよかった(沖縄の方言で「何とかなるさーモデル」の意味)。


一方、お世話になっている先生の書籍の「引用」をこのHPに掲載するに当たって、以前、了解を求めたことがある。その先生は、わたくしは了解だが、出版社の了解を求めてくださいとの懇切丁寧な返事を戴いたことがある。また、ある先生は無回答であった。しかし、その出版社のHPをみてもなぜか引用を願う窓口がない。さらに、「禁転載」の文字のみが目立つ。そのため、今日までそのままの状態できた。

そこで、“文化庁のHP”や“(社)著作権情報センターのHP”から「著作権」「引用」「「禁転載」の文字の有効性」について調べてみると、冒頭で述べた小生のように、個人の引用にあたって、関係者の了解などは不要のようである。なお、その根拠資料を以下に転載(赤文字が転載コピー部分)する。

文化庁のHPから

http://bushclover.nime.ac.jp/c-edu/answer.asp?Q_ID=0000268

Q 「禁転載」の注意書きがあるものは引用できないのでしょうか。

A 公表された著作物は「引用」して利用することができます(第32条第1項)ので、この規定に該当する利用であれば、仮に「禁転載」等の表示があったとしても、著作権侵害にはなりません。「禁転載」等の表示により転載ができないのは、通常の引用の範囲を超えた大幅な転載を認めている、[1]国、地方公共団体等の作成する広報資料等を説明の材料として、新聞・雑誌等の刊行物に転載する場合(第32条第2項)、[2]新聞又は雑誌に掲載して発行された時事問題の論説を他の新聞・雑誌に転載し又は放送・有線放送する場合(第39条第1項)に限られています。なお、この場合であっても、通常の引用ができることは言うまでもありません。

引用:著作権の制限規定の一つです(第32条)。 例えば学術論文を創作する際に自説を補強等するために、自分の著作物の中に、公表された他人の著作物を掲載する行為をいいます。

引用と言えるためには、[1]引用する資料等は既に公表されているものであること、[2]「公正な慣行」に合致すること、[3]報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること、[4]引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること、[5]カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること、[6]引用を行う必然性があること、[7]出所の明示が必要なこと(複製以外はその慣行があるとき)(第48条)の要件を満たすことが必要です(第32条第1項)

また、国、地方公共団体の機関、独立行政法人等が作成する「広報資料」、「調査統計資料」、「報告書」等の著作物については、[1]一般への周知を目的とした資料であること、[2]行政機関等の著作名義の下に公表した資料であること、[3]説明の材料として転載すること、[4]「転載禁止」などの表示がないこと、[5]出所の明示が必要なこと(複製以外はその慣行があるとき)(第48条)の要件を満たした場合は、刊行物への大幅な転載が認められています(第32条第2項)

Q 引用が認められる条件として、著作権法では「公正な慣行に合致」することと、「引用の目的上正当な範囲内」で行われることとの2つが挙げられていますが、「公正な慣行」や「正当な範囲」とは、具体的にはどのようなものですか。

A 「引用」とは、例えば自説を補強するために自分の論文の中に他人の文章を掲載しそれを解説する場合のことをいいますが、法律に定められた要件を満たしていれば著作権者の了解なしに利用することができます(第32条)

 この法律の要件の中に、「公正な慣行に合致」や「引用の目的上正当な範囲内」のような要件があるのですが、最高裁判決(写真パロディ事件第1次上告審 昭和55.3.28)を含む多数の判例によって、広く受け入れられている実務的な判断基準が示されています。例えば、[1]主従関係:引用する側とされる側の双方は、質的量的に主従の関係であること [2]明瞭区分性:両者が明確に区分されていること [3]必然性:なぜ、それを引用しなければならないのかの必然性が該当します。

 

文化庁のHPのPDFから

http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/main.asp%7B0fl=show&id=1000002963&clc=1000000081&cmc=1000002923&cli=1000002937&cmi=1000002954%7B9.html

引 用 (第32条):@公正な慣行に合致すること,引用の目的上,正当な範囲内で行われることを条件とし,自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。(注4)A国等が行政のPRのために発行した資料等は,説明の材料として新聞,雑誌に転載することができる。ただし,転載を禁ずる旨の表示がされている場合は許諾が必要となる。

(社)著作権情報センターのHPから

http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime7.html#3

引用:自分の著作物に引用の目的上正当な範囲内で他人の著作物を引用して利用することができる。

Q他人の著作物を引用するときの注意点を教えてください。また、出所の明示はどのようにすればよいのですか?

A引用とは、例えば論文執筆の際、自説を補強するため、他人の論文の一部分をひいてきたりするなどして自分の著作物の中に他人の著作物を利用することをいい、この場合、著作権者の許諾なしにその著作物を利用することができますが、「引用」といえるためには、「引用の目的上正当な範囲内」で行われるものであり、また、引用される部分が「従」で自ら作成する著作物が「主」であるように内容的な主従関係がなければなりません。さらに、かぎ括弧を付けるなどして引用文であることが明確に区分される必要があります。 なお、引用の際の出所の明示の仕方ですが、引用部分を明確にした上で、その後に誰のどの著作物であるかを表示するなど、少なくとも引用された著作物の題号や著作者名が明らかに分かるような表示が必要です。

以上が文化庁および(社)著作権情報センターの見解のようである、しかし、「常識」については各自に任されているのである。