弔 辞

                              伊藤 剛

・吉岡先生、あまりの急な出来事でまだ信じられません。本当にもう一緒に走れないのですか。もう一緒にスキーはできないのですか。

・先生が、快く北大山スキー部の部長を引き受けてくださった5年間、ちょうど僕らの入部から卒部までご指導いただきました。先生には、「山」も「スキー」も「マラソン」も教えていただきました。感謝の気持ちでいっぱいです。

・先生は、GWの無意根合宿にも、6月の大雪山のサマースキーにも、例会にも必ず参加してくださいました。先生の並はずれた体力と急斜面で雪崩より速く滑る超人的なスキー技術は、僕ら現役部員にとってはあこがれと尊敬でした。

・先生、手稲ハイランドスキー場にはもう現れないのですか。北壁の新雪やこぶ斜面を一緒に滑りたいです。ぼくの滑りは、先生と毎日滑ってできあがりました。「幅の広いスタンスに内エッジを少し傾かせた空中姿勢」、先生がとくとくと話すスキーへの情熱、ぼくら現役のこころをつかんでいました。就職してからも手稲に行けば必ず会える。そう思って毎年先生を探していました。

・先生、恒例の千歳マラソンはもう走らないのですか。先生がマラソンを始めて、先生のやさしい誘いに、現役が何人ものせられました。ぼくも3回フルマラソンに参加しましたが、到底かないませんでした。先生は夢の3時間を切りました。「伊藤君もトレーニングすれば切れるよ」と励まされましたが、タイムは伸びず、それでも今もマラソンを続けています。

・先生、来週は手稲で現役に吉岡スキー学校を開くはずではなかったですか。社会人になっても、教育者である先生を尊敬し目標にしている人は、まだいっぱいいます。

・先生が山スキー部の部長を引退されるとき、「先生やめないでください」と現役一同で要望しましたが、かないませんでした。今回もまたかなわないのでしょうか。「先生まだ死んではだめです」「手稲で待っています」

                                    平成9年1月28

                                    北海道大学山スキー部

                                    北海道大学山とスキーの会

              吉岡先生と無意根小屋でうたった歌

                    「岳人の歌」

             星の降るあのコル グリセードで

                あの人は来るかしら 花をくわえて

             アルプスの恋歌 こころときめくよ

                なつかしの岳人 やさしかの君

             白樺にもたれるは いとし乙女か

                黒百合の花を 胸に抱いて

             アルプスの黒百合 こころときめくよ

                なつかしの岳人 やさしかの君

               写真:樹林内で微笑む吉岡先生