井上実宇インタビュー
於:朝日新聞社
日時:3月24日10時30分-12時
参加:●井上実宇、○武田徹、△天野(日経トレンディ編集部)
写真1 写真2
○かなりの部数を持っている新聞なのに、更にオンラインというのはどういう
考え方からだったのでしょうか
●そうですね、新聞の部数というのはかなりの過飽和状態なんですよ。つまり
アメリカのように、アメリカの新聞というのはある種の地方紙で、ニューヨー
クタイムズは世界的に名前は知られているが、あれはニューヨークの地方紙で
す。それに対して日本の場合はこの狭い国で全国紙と言われているものがひし
めいている。どうしてもそういう意味で言うと朝日で800数十万部、読売が
1000万部と世界的にかなりの部数なんだがこれは列島の隅々まで行き渡っ
ている。そこに若い世代の活字離れ、新聞離れという動きが浸透してきて、そ
ういう意味で言うと、新聞の経営そのものが今の紙をベースにしたかたちだけ
ではこれ以上やってゆけなくなるのではないかというのがある。もうひとつは
再販制度の議論が進展をしていて、今までの制度の中で宅配制度が守られてき
たのだが、それが制度改革で市場競争のメカニズムの中に取り入られてきて競
争が激しくなってくる。若い人はインターネットに親和性をもているので、そ
うした親和性を持ってるメディアを通じて僕たちのニュースをデリバリーして
ゆく道を探って行くというのが大事ではないか。
そいいう3っつの理由から95年に電子メディア局を立ち上げた。立ち上げて
電子メディアに対して積極的に取り組んで行く体制を作ってゆこうと言うこと
で、95年8月にアサヒコムを立ち上げた。
○アクセス的にはどれくらいですか? 推移は?
●そうですね、アクセスは最初が数十万ヒットというところから始まって、
ヒット数としてですね、現在は1000万を越えるところまで居て居るんです
が、これ(註:掲載紙のこと))22日の発売でしたっけ、うちは構造が若干
特殊で個別のニュースをあげるのではなくて10本ぐらい繋がっているんです
ね。それを4月の初めにリニューアルしようとしていて切り離そうと言うこと
になっている。どの記事がどれくらいユーザーに読まれているのか知りたいと
いう気持ちもあってそうする。最初はインターネットの環境が悪かったので或
程度まとめて読み込ませてということをしていたのだが、今は環境がよくなっ
たから。切り離しても良いだろうと言うことです。それをするとヒット数は何
倍かになると思う。
○どういうニュースを配信してして行くのがよいのか探って行くということで
すか?
●これは今日の取材の一番大事なところだと思うが、今までのニュースという
のは言葉は悪いが上から下へという流れでしかなかった。僕たちが僕たちの関
心で取材をし、僕たちの視点で記事を書き。それをデスクが彼らの関心でこれ
はあたまだこれはべただと価値付けして印刷していた。これはこれで朝日新聞
の、120年の経験に基づいた、ニュース判断と価値付けをした商品として読
者に示してきた。しかしこれだけ価値観が多様化して、かつニュースも非常に
豊富になってきた時代にはどれがトップでどれがべたかという判断は難しい。
朝日の価値観だとこれがトップでとなるが、読者にしてみればもっと個人的な
関心、安室がどうしたといのが大事だったりする。非常に多様化している。そ
ういうものに対応するのは紙媒体ではどうしても出来ない。それが読者のフラ
ストレーションを赤めているという側面は否定できない。
朝日新聞が朝日の価値づけに基づいてニュースを出すと言うことを僕は否定し
ません、朝日の目で見て何がトップかというのを示すのは意味があると思う。
それを読者に提供して行く機能は情報過多の時代だからこそ意味があると思う
が、それでは満足しない人がいるのも事実であって、何もしなくて言いかとい
うとそれも違うと思う。できるだけ多くの人に自分たちの取材したニュースを
届けるというのが仕事。1億2000万人のひとに朝日のニュースを届けたい
と思っているので、朝日は読まないと言う人は相手にしないということではな
い。そういう人にはそういう人にあったメディアを通じて届けて行く。イン
ターネットは非常にフレキシブルなので、読者がその価値観に従って構成して
行くことが出来るので、アサヒコムというメディアは朝日新聞に欠けている世
界を補ってくれるやはり重要なメディアだと思っている。
本当に読者がどういう情報を欲しがっているかというデータはない。それが出
来るのはアサヒコムだと思う。日経は経済記事に特化しているが、朝日は非常
にジェネラルなニュースを集めているし、母体としてのアクセスの数もそれな
りに大きいので、若干偏りはあるかも知れないがリサーチして行くのはふさわ
しい団体だと思う。何を欲しがっているかのデータはうちが取るのに向いてい
るだろうと、そのデータは前々から欲しかったし。
毎日いろんなかたちで感想のメールが寄せられてもいるので、インタラクティ
ブにニュースを発信して行く試みを是非ここでやってみたかった
それを痛切に感じたのはおととしになりますが、神戸の殺人事件で、ちょうど
あの時は野村証券の不祥事の真っ直中で、アクセスが延びてていたんだが、何
で延びているか分からなかった。従来のジャーナリズムの感覚からいうと野村
だろうと思っていたんだが、ある時ひょんなことで神戸だと知って、それ以来
発信のしかたをかえて、神戸版を載せたりして全国の読者には読めない記事を
インターネットに載せて発信したら案の定反響があって、ニュース戸はこうい
う者なんだがなと痛感しましたね。私も長い間新聞記者の暮らしをしてきまし
たが、新聞社と国民生活とのズレがやはりあって、それに応えているか分から
なくなってしまう。結構忙しいので自分は仕事しているつもりなんだが、回り
は実は白けて新聞を見ている状況が多分成立して居るんだと思うんです。
それを壊して、ゆくゆくはこれを新聞の世界に持て行きたい。インタラクティ
ブにわかるところから新聞自体もかわってゆく、そいう流れを会社の中でつ
くって行きたいなと。そこまで出来てやっと新聞改革が出来るのだと思う。と
いうのも何度も紙面改革して居るんですよ。でもうまくゆかない。自分たちの
感覚だけで紙面改革をやっていてもダメなんですね、読者が本当に何を望んで
いるかわかていない。それを知るためにインターネットはとても魅力的なメ
ディアなので読者の要望をそこで知って、それを新聞の改革にも繋げて行きた
い。
○読者ニーズを知ることもできる、でもだからただで良いのかというとそうで
はないだろう。無料でしか提供できないところはどう考えているか。
●もう三年経つのだからビジネスとしてきちっとなりたってゆくのは当然のこ
とだと思っているし、朝日新聞のなかでもそういうことを求められている。
ただ不幸なことにニュースがインターネットの世界に登場した時に無料で提供
して広告でやってゆくというかたちが出来てしまった。そういう先行モデルが
あって、そこからニューヨークタイムズの有料化の試みとかもあったのだが、
うまくゆかなかった。どうもコンテンツそのものに課金して行くのは難しい。
しかしいずれは有料化の道を考えて行かないといけない。
今はニュースを速く流して、そこにニュースを速くゲットしたい人が集まるの
でそこに広告を出すと言うことになっているが、読者が本当に欲しがってい
る、このメディアをgつうじて欲しがっている情報を有料で見せる余地は僕は
残っていると思う。
通信社が伝えるような事実だけを流すニュースであれば無料でも良いというこ
とになってしまう。いろんなところで流れているので。しかし出来事を伝える
速報ニュースの周辺を有料で伝えるのはまだ可能だろうと考えている、それが
ひとつと、料金を収集するシステムがまだ確立されていない。でかいものを買
うことはできるんだが、ニュースは細かい。10円、5円かもしれない。そう
いう細かい課金に対する仕組みはまだ出来ていない。これが登場してくると記
事一本で幾らという徴収が出来るだろう、ニュースは広く必要とされているの
で薄く広く課金すればトータルとして収入があるようになるとは思っている。
デジタルマネーはまだ安定していないが、いいつかはマイクロペイメントが出
来るようになると思うのでそうなれば有料化の可能性もあるだろう。
○余りでタルを充実させると紙の方が売れなくなっちゃうと言われるが。
●そういう考え方をする人は多いです。これまでの新聞社系のサイトというの
は新聞に出ている情報をそのまま出していた。あたかも紙芝居のようにディス
プレイの上に表示させていいただけだった、となると紙かディスプレイかの違
いがあるだけで中身が同じなのでどうしても紙と競合する。そうなると僕たち
の方の読者が増えれば紙が減ってしまうことがある。しかし僕たちは紙とは違
うことををやろうと思っているのであって、そこを開拓して行かないといけな
い。その意味で言うと、速報的なニュースを発信してゆくんだがインタネット
ではデジタル技術を利用してインタラクティブにしたり、デジタルならではの
見せ方をしたり、そういうことを開拓して行けば紙とは違う世界を見せられ
る。
○現状ではどうですか
●取材も自分たちでやっていることがある。速報ニュース以外は大半が独自取
材ですよ。朝日インターネットキャスターというのは紙の新聞にはまったくな
いもの、テクノロジーもサンノゼに住んでいる人がレポートを送って来ている
し、アップルのジョブスが日本の来たときはうちの記者しかいていなくて、彼
が紙の記事も書いた。
ネット半の読者層は今は紙と違うが、それが将来の新聞の読者になる。文化は
卒業して行くのではなく持ち上がって行く、将来は40ー50歳代の人がゲー
ムをやったり漫画を読むのが普通になるかも知れない。その意味ではインター
ネットが社会の中枢のメディアになっているかも知れない。そういう意味でも
20−30歳代をターゲットを絞ってどういうニュースの配給をして行くかを
考えるのは新聞社にとては非常に大切だと言うことになる。
朝日は基本的に国の問題を報道したがるが、世の中を実際に動かしているのは
何かといえばデジタル産業。クリントン政権があそこまでスキャンダルがあて
も続いているのは景気が良いからであり、その景気を支えているのはデジタル
産業が好調だからでしょう。デジタルが世界を動かしている。
その動きを取材したりはしているがまだまだ不足している。メールのニュース
にある面白い動きが新聞に載っているかというと殆ど載っていない。10年後
に縮刷版を見ても載っていない。それでは21世紀に何が起きたのか分からな
い。それは僕たちが一番追いかけているところなので、僕たちがやらないと行
けない。
○作られ方は紙と違うのか。
●デスクがいるし、編集長がいるし、うまく動いているかというとまだトライ
アルなんだが、基本は新聞で蓄積されてきた方法でやっている、それは朝日の
ノウハウなんだと思う。
○重さから自由になるが、それが作り方に反映しないのか
●ニュースを見る目そのものが違うし、読者が何を望んでいるかを捉えられる
ので、それは反映させて行かないといけない。
おととし香港が返還された時、編集長やっていたんだが、香港に出向いて向こ
うで面接をして筆者を選んでレポートを送って貰った。ものすごく面白かっ
た。香港のニュースは多かったがそういうものはだいたいチャールスがどうし
たとか江沢民が来たとかだった。それに対してアサヒコムの記事はレストラン
にいたら隣のテーブルでイギリス人が涙を流していたというもの。どっちが本
当のニュースなんだろうかと考えさせられる。そういう本当に庶民が生活の足
もとで見ているものを世界中に発信できるのがこのメディアの良いところでは
ないか。それは紙の新聞では出来ない。取材するところはどうしても何とかセ
ンターとか役所とか情報が集約されているところに行きたがるでしょう。しか
しそこは情報が既にセレクトされている。そこでインターネットでメールを
送って貰って100人をカバーするとか、それは将来紙の新聞の取材方法とし
て採用されて行くものだと思う。
○更新速度が速いのと、分量の制約がないことは制作上、何か投影されない
か。
●むしろニュース本体は出来るだけ長くしないようにしています。というのは
つまりニュースを見るときに知りたいのは何が起きているのかというエッセン
スでしょう、あまり長くてずらずら書いているのはニュースを読む人の感覚で
はないだろうと。でも長く読ませる記事は分量の制約がないのを使って書く。
とはいえフルに書いてしまうと紙の世界を浸食するのでそういう配慮もある。
最近とみに多くなっているのは編集局で書いている人が新聞では書ききれない
のでインターネットでというのは増えている。みてくれるかどうかは実力くし
だいだが、発信したいという人は増えている。更新はかなり速いですよ。通常
一時間おきぐらいに更新しているし、リニューアル後は出稿したらそれで載っ
ちゃうようになる。これまでは1時間ぐらいにいっぺんまとめてアップしてい
たのだが、これからは発信されたらその段階で載ってしまう。
速報性に可能
な限り磨きを掛けてみようということやっている。
○インターネットの世界にもジャーナリストがいるが。どう感じているか?
●非常に刺激的で面白いと思っている。新聞社のように巨大な配達網、読者に
届けるシステムを持っていない人も情報を発信している。それを生かしていろ
んな意見がこのメディアの中で読んだり、書いたり出来るのは情報の民主主義
という意味では良いと思う。だけとそういう中で、新聞社は新聞社、彼らは彼
らで価値判断をはっきりさせてゆかないといけないと思うし、単に出来事を伝
えるだけで新聞が安住しているともう将来はやって行けない。新聞につきつけ
られているものは非常に大きい。
○香港の例はインターネットジャーナリズムに近い。
●それをアサヒコムという土台でやって貰う。一日に数十万から100万人が
読みに来る舞台を彼らに提供する。彼らも発信しているのだがインターネット
の多さの中に埋もれてしまうでしょう。検索にひっかかかる場合もあるが大変
でしょう。それを朝日がセレクトして世の中に伝えて行く、それは編集感覚を
生かしてゆくもので新聞での経験を生かして出来ることではないかと思う。
朝日にいる3900人の記者の記事だけに留める必要はなくて、色々発信して
いる人の記事を組み立てて見せて行く。それを露出して行く。それはそれで意
味があると思う。
○香港の記事は署名だったのか?
●そうです。
○朝日の記事として書くと普段とは変化があったのか。
緊張したみたいですよ。朝日に書くと言うことで。証券取引所のおばちゃんと
かだったのだが、面白かったです。自分のホームページで書くような自由度で
はなく、言葉遣いを含めて彼らは彼らなりにアサヒコムの世界にあわせて書い
てくれたんだと思う。でも僕らも情報の信頼度は崩せない。なんでも良いとい
うわけではない。ある程度、社会に悪影響を与えるもの、たとえば爆弾の作り
方は載せられないし、誹謗中傷するものはダメだし。そういうフィルターを掛
けて行く、そういいう意味でここにあるのはフィルタリングされている情報だ
と思う。守らなければならない部分がある。それが信頼性に繋がって行くのだ
と思うが。
○どこまでが信頼できるかとかは難しい。
●難しいです。
○紙時代と違う考えがあったりしますか
●痛切に感じているのは、新聞は非常に危ない橋をわたっているところがあ
る、紙は締め切りがある。こっちは締め切りがないからどこまで書けるか、書
けないか綱渡りのことがある。ジョン・デンバーが死んだとき、正確なところ
が分からなかった。でも結局、記事を出した。これは間違いはなかったので首
が繋がったが、そういうところは難しい。
○電子メディアは言い訳が出来ない。一刻も早く流さなければならないので確
かかめあれない部分が多くなる。
●そこはずるい方法だが、こんな説があるとか、分からないがこういう話が流
れているとか色々と書き方がある。
○日本の新聞はコメントの出典が分からないという人がいる。政治部の記事な
んか特に誰が何を言ったのか分からない。それは歴史的拘束があって、そうい
うスタイルだから取材が出来ていることでもあるので、変えれば良いと言うこ
とは出来ないが、オンライン化の衝撃をデータソースに対する考え方をより明
らかにする方向に使うことは出来ないか。
●それは取材の側の問題なんです、発信の問題というよりも。それにアメリカ
は名を出していると言うが、それでも秘匿する場合はある。大統領の陰謀では
ディープスローとというのもあったし。でもアメリカの政治家の方が有権者を
意識して話すことが多いので自分の名前で語るし、ホームページでも発信す
る。永田町はコップの世界なので、誰がどういったかというのを責任を曖昧に
しながらものごとが進行して行く。取材の現場の問題だから一概に言えない
が、日本でもホームページをもって自分の意見を出して行く政治家が出てきて
いるから、変わって行くかもしれないが。
○アメリカはデータソースを書かない場合には書かないなりのやりかたがある
が、日本はそうではない。翻訳できないと言われる。
●そうですね。過度にやるのは問題。インターネットの面白さは現物にリンク
で飛ばせるところ。そういうことが出来てしまうので、原石がごろごろしてい
る世界で、原石をどう拾い集めて見せるかが僕たちのテクニックになってゆく
のではないか。O157は和歌山の小学校で始まった訳だが、あの小学校の
ホームページをみると市の通達がばーっと書いてある。それを見ると何が起き
ているのかが分かる。それを見せることは紙では出来ない。インターネットだ
とそのものを見せることが出来る。
○記事のリンクはどうなるのか。経時的に貼って行くとかしていくのか。
●今までは記事が幾つかまとまっていたのであまり出来なかったが。これから
は関連記事、昔の記事を出来るだけ見せて行こうとしている。これまでもある
まとまったニュースについては過去の記事の積み上げをして見せて行くことを
アサヒコムはやって来た。そういう特集を立ち上げることがアサヒコムのウリ
の一つなので。
○仮想敵なのか、風当たりがきつい場合があるが、なぜなのか。
●そうですね。なんでしょうか。気になるんですかね。朝日が嫌いなんでしょ
うか。紙の世界にとじこもっていればいいのに、インターネットに出てきて朝
日の毒をばらまくなというかんじなのでしょうか。
○酒鬼薔薇事件の時、朝日が圧力をかけたとか怒っています。
●あれはページに事実関係を出したが、圧力かけたと言われているかそうでは
ない。プロバイダーと連名で出した。事実誤認なんですね。
○事実誤認が出るのはインターネットの危険性だと
●危うさですね。事実確認をしっかりしないままコピーコピーコピーで広まっ
ていてしまう。その危うさがこのメディアの特性であり、それを危険だとして
それを押しつぶそう、法律を作ったりして何かしようというのは僕は賛成しな
いですが。危うさは発信者がきっちり自覚しないといけないことだし、利用者
も結局はそういうもの考慮しつつ情報を選択して行くことになるだろうと思い
ます。
○在野の人は取材力は確かに弱い。たいていが他のページに書いていることを
引いてくるだけだし、実際に話を聞くとしてもごく身近な関係者の話しか聞け
ない。そういうものですが棲み分けが出来るのでしょうか。
●棲み分けというよりも連携だと思いますね。棲み分けようとは思わない。手
を握って僕らの世界の中で吸収して行く。手を握って発信してゆく。ぽつんと
独自に発信しているのがそのままで良いとは思いませんね。良いものがあるん
だから、アサヒコムもそれを取り入れて行きたい。そいういうことが出来な
かったのがマスメディアが空洞化していったひとつの原因でもあるので、それ
が先の香港の記事なんかもそうで、個人個人でホームページを立ち上げていた
人をばーっとみて、出かけていって協力してくれと。
○掲示板は野蛮かも知れないが、非常に面白いものもある。
●そうですね。ヨーロッパに住んでいる人のページでコンサート評をやってい
てそれはすごく良かった。こんな人がいるんだと感動した。もっと知られて良
いと。ネットワーカーが仮想敵とは思わない。朝日が嫌いな人は昔何かあった
のか、ま。朝日の臭さがありますからね。
○朝日は個人のページは持てないんですか?
●純粋に個人の趣味のページであれば関係ないが、会社で取材したものは個人
では発表できない。仕事として取材している。朝日の名刺をもって取材してい
る。それを個人で発信されたら取材された側が問題にしてくる場合もある。だ
からそれはそう安易ことが出来ない。
○オンライン発信できるようになったことはかなり大きいことですか。
●そうでしょう。今は誰も思っていないが、21世紀になって振り返ってみる
と、ああここからこの世紀は始まったのだと思うかも知れない。
○映像の世紀といわれてテレビが影響力を持っているのですが、ジャ−ナリズ
ムに関しては第三者機関的な発信が必要じゃないですか。どこからも離れてと
いう中立性。テレビは少なくとも民放は経済基盤としてそういう成り立ちでは
ない。しかし速報性や映像のインパクトでどうしてもジャーナリズムはテレビ
中心になりつつあった。しかしその意味では新聞機関がインターネットで発信
すれば速報性などでもテレビに互すことが出来るようになった。それはジャー
ナリズムが本道に戻るチャンスだと言えるのでしょうか。
●そうです。これはいろんな取材に対してしゃべっていることだが、基本にお
いているのがジャーナリズム、新聞社の役割は何なのかと、それは出来事を多
くの人に出来るだけ速く、できるだけ多くの人に安い経済的負担で届ける。そ
れがジャーナリズム機関の役割なのであって、使うメディアはなんでもいい、
紙がその役割のために適っていたので新聞社はそれでやってきたが、新聞社は
ニュースを届けるのが仕事なのであって、別に紙でやる必要はない。紙の新聞
を出すことが自分の仕事だと思っている人がいて、締め切り時間にならないと
記事を書かない。つまらない記者クラブの慣習で他の人を排除する。それは全
て紙の新聞を作らざるを得ないがゆえの拘束に起因している。翌朝、配達して
届けなければならないから記者クラブで情報を独占的に提供して貰うシステム
がいる。そういうのが紙の縛りがなくなったらどんどん意味が無くなって行
く。
○紙しかなかった時に近代ジャーナリズムが出来たのでそれが縛りになってき
たが、実は違う。
●そうですね。
○紙は紙の良さがある。一目で見れる。持ち運べる。
それはそれで生かして行く。紙がなくなれば良いとは思わない。
あまの 専門の記者がいるんですか。
記者というかプロデューサーですね。商品、サービス、ニュース発信の在り方
をプロデュースして行く。独自にやってゆくと言いましたが、それは編集局か
ら出てくるニュースが僕たちの欲しいものではないことがあるので、それを補
うためにやっている。基本的には編集局から出るニュースを出して行く。どう
それを加工し、新しいニュースの届け方として出して行くか。それが仕事。で
すが、それでは間に合わないので自分たちで出て行く場合もあるが僕たちは記
者ではない。デジタルの仕組みを使ってニュースの届け方を開発して行くプロ
デューサーは僕たちの基本。
△年次は?
●若いですよ。20台の後半から30台の半ばまで、まさにインターネットを
使える世代です。
△異動は
●ありますよ、。朝日の中でいろんなセクションの人がここを経験してまた
戻って行く。なじんでもらって世の中こんなことになっているのかと知って
貰ってかえって行く。
△出向的なイメージですか?
●そんなことはないです。編集局にいるのが一番記者にとって良いかと言うと
そうではなく、世の中に一番近いのは広告かも知れない、営業かも知れない。
色々なところにいて色々な仕事を知るのはいい経験です。様々な職を経験した
方が評価するというキャリアパス制度というのがある。
△何人いるんですか?
●企画開発セクションが20数名。これでアサヒコムの全部。もっといるとも
思われているので、これだけというと驚かれるが、これで出来るのかインター
ネットの良いところです。もっと欲しいのが本音ですが、営業が欲しいです
ね。データベース営業とか。
△独自にやるのは
●IT関係の情報ですね。それは朝日本紙では足りない。
○スペシャルは独自なんですね
●そうです。でも新聞の情報を使っている場合もある。
○あとは縦覧性で独自性を出す感じですか。
●たとえば書評をデータベース化した。書籍広告も入っている。それも入れて
検索が出来るようにしている。これは新聞には出来ない。
○北海道アサヒコムを作ったようですね。
●これは北海道だけでなく、広げて行く。全国紙なので、ローカルな記者がお
いかけているのも読めるようにしたい。北海道は試験的にやっているがそのう
ち他も出来て行くと思う。