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第9時:作品全体を相手にした |
| イメージ語法の指導で主題に迫る。 |
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1 本授業のテーマ(大森修氏からの指摘)
4年前に『「分析批評」の授業』誌(1993.7)に「『一つの花』で『イメージ語法』を鍛える」というテーマで原稿を書かせていただいた。
その時に「実践を読んでの感想」ということで大森修氏から次のようなコメントをいただいた。
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本格的に「イメージ語法」を指導するためには、アイロニーやパラドックスとの関わりのなか
で指導しなければならない。「イメージ語法」の指導は、作品全体を相手にしたとき効果を発揮
するからである。(前掲書 P38)
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この課題を解決するために以下に述べるような授業を実施した。
2 授業記録
全員が揃ったところで、いつものように新出漢字をフラッシュカード1回練習させた。
T 教科書の4頁と5頁を開けましょう(「一つの花」の最初の箇所)。
T 昨日イメージ語をやってね、みんなが書いているのを全部見せてもらいました今日は「一つの花」 だからね、「一つ」という言葉がたくさん出てくるんですね。そこで、それがどういうふうに使 われているかね、一つという言葉がつくイメージ語を最初探していきます。鉛筆出して。
T じゃ、4頁ね。出てきますか「一つ」?
C 出てくる。
T 一つだけ?
C ちょうだい。
T はい、じゃあそこに線を引いて下さい。
C 「一つ」でいいですか?
T 「一つだけちょうだい。」に引いて下さい。
(引いたのを確認して)
C おやつとか。
T うん。そういうのを何と言うの?
C 食べ物。
T 食べ物ね。そうだね。
T よし。次。いま、一つ。4頁に他ありますか?
C ない。
T 5頁。
C 「じゃあね。一つだけよ。」
T 10行目だね。「一つだけよ。」に線を引いてごらん。
C ご飯。物。
C 食べ物。
このようにして1頁ずつ一斉に進めていった。
次の2つの作業をさせながらである。
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○教科書にサイドラインを引く。又は、長丸で囲ませる。
○「一つ」の使われ方を分類させる。(「食べ物」などのように)
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「一つ」のイメージ語を頁ごとに順番に洗い出すと次のようになっている。
【食べ物のイメージ語】
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○一つだけちょうだい ○一つだけよ ○自分の分から一つ ○一つだけ
○一つだけちょうだい ○一つだけのいも ○一つだけのにぎり飯 ○一つだけ
○一つだけのかぼちゃのにつけ
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【喜びのイメージ語】
【食べ物のイメージ語】
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○一つだけちょうだい ○一つだけちょだい ○一つだけちょだい ○一つだけ ○一
つだけ
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【花のイメージ語】
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○一輪のコスモスの花 ○一つだけあげよう ○一つだけのお花 ○一つの花
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最後まで終わったところで、「全部でいくつありました?」と尋ね、作業をきちんとやった子どもを評価した。
また、出されたイメージ語は、学級担任に板書してもらった。本時の展開案と板書計画も渡しておいてのでスムースにいった。
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発問3:(黒板の「食べ物のイメージ語」の部分を指しながら)これは、みんな何のイメージ語
ですか?
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C 「食べ物」
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発問4:それが、途中で?「食べ物」じゃなくて何につけてありますか?
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C 「喜び」
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発問5:その次は何のイメージ語に変わっていますか?
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C 「食べ物」
C 「花」
C 「コスモスの花」
発問7:一番最後の5の場面には「一つ」なんて出てきません。でも、代わりに出てくる言葉が
あります。探してごらん。
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C (5の場面を読みながら)「いっぱい。」「コスモスの花でいっぱい。」
C 「いっぱい。」
T (「コスモスの花でいっぱい」と板書)今まで全部「一つ」だったのが初めて何という言葉が出 てきた?
C 「いっぱい」
T 「いっぱい」という言葉だよね。よし、合格です。
C コスモスの花。
T そうだね。これ(「一つの花」を指す)だね。
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発問9:「食べ物」は何になったかな? 10年後に食べ物は何になったかなあ?
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C お肉とお魚。
T そう、お肉とお魚に変わっていったよね。
T このコスモスは、いっぱいのコスモスになっていったんです。
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発問10:(黒板を指して)何か気づくことはないですか?
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ここでは、「喜び」のイメージ語に着目してほしかったのであるが、子どもたちは気づかなかった。
そこで、次のように発問した。
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発問11:食べ物はね、戦争が終わったらお肉とかお魚に変わっていくんだよね。一つのコスモ
スの花はいっぱいになっていくんです。あれ? これ(「喜び」を指す)どうなるん
だろうね?
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C 「喜び」はもっと広がっていくと思う。
T もっと広がっていくと思う。(間)これちょっと残しておこうね。「喜び」はね。はてなです。 (「?」と板書)最後にわかるかもしれない。
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発問12:この3つのイメージ語(の仲間)でどれが一番大事だと思いますか?
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挙手の結果、次のようになった。
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○「食べ物」のイメージ語: 0名
○「喜び」のイメージ語 : 2名
○「花」のイメージ語 :27名
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C 題名が「一つの花」だから。
T そのとおりです。
C 「一つの花」
T (「一つの花」と板書)
T これが題名になっているくらいだから、この「一つの花」のイメージ語というのは、絶対何かね、 裏側に隠されたものがあるんです。
C 秘密。(という声)
「花」のイメージ語が使われている文を探させ、全員に読ませた。
そして、次の2文を教師の板書と同時にノートに視写させた。
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| ○「一つだけのお花、大事にするんだよう |
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。」 |
| (*一行空けさせた) |
| ○ゆみ子のにぎっている、一つの花を見つめながら |
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。 |
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この2つの言動が、父親の言動であることを確認した上で次のように発問した。
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発問13:このお父さんの言動でおかしいところ、不思議だなあと思うところがありませんか。
「普通だったらこうするのに」とか。
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ノートに書かせた。机間巡視の際、発表させる時のために「一つだけのお花、大事にするんだよう。」について書いている子供の鼻をさわった。また、「ゆみ子のにぎっている、一つの花を見つめながら 。」について書いている子供の耳をさわった。約半数しか書けていなかった。
【「一つだけのお花、大事にするんだよう。」】
C 普通だったら、食べ物をやればいいのに、どうしてお花をやったのか。
C 意見があります。それは、たぶん食べ物がなかったと思います。そのわけは、おいもとかのかわりに配給のきっぷを入れているから電車に乗って違うところに行って、配給のきっぷとおいもな どを変えて食べると思うから。
C ちょうど汽車が入ってきた時だから、お父さんも急いでいたからお母さんが一生懸命あやしているうちにコスモスの花をあげたから。
【ゆみ子のにぎっている、一つの花を見つめながら。】
C お父さんが一つの花を見つめたのは、おかしいと思います。そのわけは、普通はゆみ子やお母さんを見るはずだからです。
C 私は、ゆみ子のにぎっているお花を見ていったのが変だと思いました。普通ならゆみ子を見ていくからです。
C 私は、普通だったらお父さんはゆみ子の顔を見ていくと思います。
C ぼくは、普通だったら戦争に行って死んだらゆみ子やお母さんに会えないから二人の顔を見ていくはずだと思います。
C 私も、みずきさんと同じでゆみ子を見るんだと思います。
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発問14:枯れてしまうはずのコスモスの花をどうして大事にするだようと言うんですか?
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C 私は、大事にするんだようというのは、お花でもお花を前言ったけどお花を枯れてもいいから大事に育てて育てることはできないから、枯れてもお父さんだと思って育ててほしいと思っている。
C ちょっと似てるけど、お父さんが帰ってこれないかもしれないからゆみ子にお父さんの代わりと思って一緒にいてくれと頼んだかもしれないと思います。
C お父さんは一つの花をゆみ子に花が元気なうちだけ自分の分よりもっともっと生きているうちだけ大切にしてもらいたい。
C からだの弱いお父さんだから最後の一つの花を大事に、最初のうちだけ持って育ててほしかった
から。
C 大事にするんだようと言ってのは、ゆみ子の一つだけのくせを直すためだと思います。
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発問15:これにもし別の言葉を入れるとしたら、お父さんは何と言いたかったんだろう。
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ノートに書かせた後、発表させた。子どもから出されたものは次のとおりである。
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C 一つだけの「命」大事にするんだよう。
C 一つだけの「お母さん」大事にするんだよう。
C 一つだけの「自分(のからだ)」だと思います。
C 一つだけの「お父さん」大事にするんだよう。
C 一つだけの「物」を大事にするんだよう。
C 一つだけの「心」を大事にするんだよう。
C 一つだけの「お父さんの代わり」大事にするんだよう。
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指示2:この中でね、一番ぴったりくるな、お父さんはこのことを言いたかったんだというもの
一つに1回だけ手をあげて下さい。
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挙手の結果は次のとおりである。
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○「命」(15名) ○「お母さん」(2人) ○「物」(5人)
○「自分(のからだ)」(0人) ○「心」(2人) ○「お父さん(の代わり)」(1人
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学習活動6:「喜び」「一つ」「いっぱい」の意味を考える。
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T 一番多かったのはね、「命」というのが出てきましたね。
そうするとね。これに(「コスモスの花ででいっぱい」)当てはめて読んでみるぞ。コスモスの 花でいっぱいというのはね、10年後。これでいくと何がいっぱいということになりますか。
C 命がいっぱい。
C コスモスの命。
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発問16:10年後は「命」がいっぱいということは、どういう命があるのですか?
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ノートに書かせた後、発表させた。子どもから出されたのは次のとおりである。
C みんなの命。
C ゆみ子
C 人
C 花や物の命
C 戦争で死んでいった人。
C コスモスの命です。
C 終わったよかったと思う命。
C ぼくは、まなみさんと似ていて「一つだけのコスモスたち」だと思います。
C 虫。
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発問17:そうだよ。そういうの(虫)あるでしょう。
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C 町とか。
C 動物
C 木
C 自然
C 植物
T そういう命が、戦争が終わったらいっぱいになったということです。そういう命がいっぱいある と、みんなの周りにもいっぱいありますね。
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発問18:そういう命がいっぱいあるとどうですか、気持ちは?
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C いい。
C うれしい。
T 「うれしい」という言葉この中(板書)にあるぞ。
C 「喜び」
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説明1:そう「喜び」。いいか、さっき残ってたでしょう。これは「命」がいっぱいになったと
いうことでね。最初は「一つだけの喜び」だったんです。それが、いっぱいの「喜び」
に変わっていくんです。こういうお話だったんです。だから「一つの花」というのはコ
スモスの花の事だなあと考えていたのが、実はこういうことが裏に隠されていたんです
これで、勉強おしまいです。
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