飢える

寒いせいか、つばさくんはほとんどじっとしていて、飛ぶことを忘れたようだ。
そのくせ、食欲は旺盛だ。ある日中、ミルワームの補充がきれてしまった。
彼がミルワームを持って帰ってくるまで、えさはない。
空の餌入れを見つめ、つばさくんが必死に訴える。
「もう、なくなったよ。」と、空の容器を見せても納得しない。
ずっとまとわりついて鳴いている。

夕方も、ずっと私を責めるように鳴いている。「もう、ないものは、ないの!」
しらないふりして、ふすまを閉め、夕食の支度をしていた。
やっぱりずっと鳴いている。準備が終わって、部屋をのぞくと止まり木に
つばさくんの姿がなかった。

「あれ?つばさっ!」・・つばさくんは、ふすまのすぐ真下にいた。
こんな所まできて鳴いてたの?
「よっぽどお腹がすいてるのね。もう少し辛抱しておくれ・・。」
しかしつばさくんは、餌をくれないとわかるやいなや、
猛烈に畳をつつきはじめた。落ちてる小さなゴミを食べそうな勢いだ。
「ああ、つばさ、やめてえ〜。いくらひもじいからって〜。」
つばさくんは空腹をまぎらわせるため、水をごくごく飲んでいた。
水面に長い髪の毛がういていたので、そっと取り上げた。
それと同時に、つばさくんが急に水の中に滑り落ちた。
「あっ、つばさが釣れてる!!!」

「やばい!髪の毛飲み込んでるよ〜!」
私は少しパニックになった。ゆっくり引き抜こうとしても、
小さな頭を左右に振り、翼を広げて前のめりになり、苦しそう。
さわられるのを嫌がって、部屋の隅に逃げまどう。
もう、だいぶのみこんでるから、しかたがない。
口からでている長い毛を、はさみで切った。
髪の毛だから何とか消化できるだろう。髪の毛は少しずつ飲み込まれて、
見えなくなった。その後に水をたくさん飲ませた。

もしかして、つばさくんが食べ損ねて、散らかしたミルワーム達が
この部屋にいるかもしれない。じゅうたんの下をめくってみた。2匹見つけた!
「ほら、つばさ、食べなさい!」興奮しながら、うれしそうに食べている。

新聞紙の裏をめくってみた。 「あ、いたよ!!」
押入のふすまを開けてみた。 「ここにもいたよ!!!」
部屋の隅々を探し回った・・・。 う〜む、掃除が・・(汗)

こうして、少し飢えを満たしたところに、彼が帰ってきた。
つばさくんは、てんこ盛りのミルワームをがっつくように食べていた。

「・・・。」

「・・だって」

「お腹がすいてたんだもん。」

「ばかも〜ん!」みゅうの声