BBS2 2009/05 過去ログ



------------------------------------------------------------



無防備妻の柔道部物語 2
のぶ 5/12(火) 23:27:11 No.20090512232711 削除
そして妻はそう言うと、そんな柔道着姿のまま、部員達の練習しているその道場へ、なんとむかって行ったのである。

「 ・・・ ふぅ ヤレヤレ ・・・ 」

― それにしても毎度毎度のことであるが、相変わらずとんでもない行動をおこしてくれる、そんな妻である ・・・ 別に意識しているわけでもないんだが、いつもの天然ボケのせいで、何も気にせず男達の中に入っていってしまう ―

そして私は、妻が道場に入ってからしばらくして、コッソリ覗きにいったのであった。



「 フォ フォ フォー 久しぶりじゃのぉ マオしゃんのしょんな格好を見るにょもー 」
「 フフフッ 先生 似合ってるかしら? 」

「 フォ フォ フォー ええよ ええよー いくらでも練習しんしゃい 汗をかくことは一番健康に良いことじゃ! 」
「 ウフフッ ・・・ あっ じゃー みなさんヨロシクね! 」
「 ・・・・・・」

― ポカーンとしている部員達、まあ それも当然であろう ・・・ そして妻はそのうち、道場の中を軽く走ったりと準備体操を始め、やがてとうとう部員達のその練習の中へ入っていってしまったのである ―

( ・・・ オイオイ 大丈夫かよ ・・・ )

「 ウッス! おねがいしまースッ! ・・・ なーんてね キャハッ 」
「 ・・・ あっ はぁ ・・・ 」

― するとちょうど部員達は、何やら「背負い投げ?」か何かの練習をしており、妻はそのまま余っている部員の一人を見つけると、その練習のお手合わせをお願いしにいったのである ・・・ とうぜん “本当かよ?” みたいな困った顔をしている部員 ・・・

妻「 ウッスッ! シャースッ! 」
 「 ・・・ はっ はぁ えーと ・・・ ん? えっ? あっ! ・・・ 」

― 「 マジかよー!」てな困った表情の部員 ・・・ しかしそのうち、お互いに柔道着の襟を掴みあうと、その部員の困った様子の顔が、「ギョッ!」っという感じの驚きの表情に変わり、すると部員の顔がみるみるうちに真っ赤になっていったのであった ― 

 ― それもそのはずである、なぜなら普通であれば女性なら、そんなガバガバ開く柔道着の下には、Tシャツぐらい着用すると思うのだが・・・しかし妻は、その柔道着の下には“黒ブラジャー”一枚しか着用しておらず ( ・・・ これでも一応なんとか着けさせたのである ) すると妻の胸襟を掴んだ部員の目の前には、モロにその黒ブラジャーに包まれた妻の乳房が、丸見えになってしまった様子なのである ― 

「 ・・・ オッ オイ 見ろよ ・・・ 」
「 ・・・ えっ? あっ ・・・ 」

― そしてそのうち、となりで組み合っている部員達も、妻のその異変に気づいた様子で、やがてついつい動きを止めて、妻の方をチラチラ見始め ―

「 コラァー! しゃんとしぇんかっ! ・・・ ゲホ ゲホッ! 」
「 あっ チュイースッ! 」

― 動きが止まっているものだから、そのうちボケ老人に激を飛ばされてしまう部員達 ・・・ そしてその後も妻は、何人かとその“背負い投げ?”の練習で、さんざん胸チラをさらし、しかもそのうちよせばいいのに“乱取り?(何かちょっとした試合みたいな感じである)”、とかいう練習にもすすんで参加していったのであった ―

「 ・・・ わぁー 久しぶりだわぁ 乱取りなんて! ・・・ 」
「 ・・・えっ やるんスか? ・・・ 」

「 ・・・ もっちろん! ・・・ あっ でもちょっとかげんしてねっ ヘヘッ 」
「 おぉー やりんんしゃい やりんしゃい 運動することは一番 ・・・ ゲホ ゲホッ! ( ・・・ お前は黙ってろ ) 」

「 あっ じゃー 俺がやるわぁ ・・・ ケガしたらまずいからぁ ハハッ 」
「 ・・・あら? やさしいのねぇ 山元君 ・・・ じゃーヨロシクね! 」

するとそのうち、か細い女性の妻を気づかってか、なんと主将でエースの山元君がわざわざ、妻の相手に名のり出てくれたのであった。

( ・・・ ふーん さすがキャプテンやなぁ ・・・ )


― そして「妻対山元君」の乱取りの開始 ―

「 オス! お願いしまース! 」
「 チュイース! 」

「 エイッ! 」
「 ・・・ オッ! 」

そして乱取り?が開始されると、妻は開始早々そんな山元君に、いきなり猛突進で胸襟を掴みにいき、なんと勇敢に何度も足払いをかけにいったのである( ・・・ なかなか本格的である ) ・・・  するとさすがにチョイびっくりな表情の山元君、しかしやはり相手は、自分の二倍以上はある男性であるから、そのうちそんな妻を当然「ヒョイ」っと軽くひっくり返すと、山元君はそのまま倒れた妻に、あわてず寝技攻撃をしかけていったのであった。

― それにしても柔道の寝技って何かいやらしいですね ・・・ あの「横四方固め?」っていうやつですか? 何か真横に相手の上に乗っかって、相手のまたぐらに腕を差し込むやつ ―

すると山元君は、倒れた妻に乗っかかり、右手で妻の股間に手を差し入れ、そのまま後ろの腰のオビをしっかりと掴み、左手で妻の肩口から胸襟を掴み、そのうち完全にその寝技をガッシリと決めたのであった。

「 キャッ! エイッ! クッ! 」
「 ・・・・・・ 」

― なんとかその寝技を振りほどこうと、ひたすらジタバタもがく妻 ・・・ しかし当然、大男のガッチリ決めた技であるから、か細い女の妻には全くビクともしないのは当然で、ひたすらふんばる声と顔が更に赤くなるだけで、山元君はピクリとも動かない様子である ―

― そしてよく見ると、もがけばもがく程妻の胸襟が段々とはだけていき、そのうちその下の黒ブラジャーがじょじょに丸見えにもなってきている様子で ・・・ ん? そして更によく見てみると、・・・なんとなく技をかけている山元君が、首を不自然に横に向けると、その丸出しになった妻の黒ブラジャーの乳房を、細い目でじっくりと見ている感じにも見えたのである ―

― そういえばなんとなく股間にくい込ませる腕も、やたらと揺さぶっているような ・・・ ふーんなるほど 正義感とは裏腹に、どうやらそういう魂胆だったみたい ・・・ するとそのうち「乱取り」はどうやらセクハラ柔道?に変わっていった様子でもあった ―

「 よーし 次は自分としましょう! ・・・ あっ くれぐれもケガには注意して 痛かったらすぐ言ってくださいねっ 」  
「 ・・・ ん? あっ ハーイ ・・・  フフッ アリガトねっ 」

そしてその後も妻は、もう一度「乱取り」に参加し(今度は副将の水木君である)、またもや先程と同じ様にその寝技をかけられていたのであった。



― その夜 ―

「 ・・・ どうだった? 柔道 楽しかったか? 」
「 ・・・ ん? うん! 最高!  ホンッ・・・ト!いい汗かいたわぁ ・・・ あっ そうだ! 私明日も参加(練習)しようっと フフッ 」

( ・・・ おい おい ・・・ )

そして翌日からも妻は、午後の空いた時間にはその部員達の練習に参加し、昔を思い出して柔道とやらを楽しんでいたのであるが ・・・ しかしそのうち部員達は、序所に妻のその無邪気さに慣れてくると、当然であるがそのセクハラ度合を、やがて少しずつ強めていったのであった。



― そして4日後の練習 ―

― いつもどりのメニューの練習ではあるが、しかし部員達の妻にたいする練習の際の接し方が、やっぱりずいぶんと違ってきている様子 ・・・ なぜならちょうど「背負い投げ?」の練習をしているのであるが、良く見るとまたもや相手はエースの山元君で、すると妻が山元君の腕を取り、背負い投げをするために彼の下腹部にお尻を突き出すと ・・・ どうも彼はわざとガニマタで腰を落とし、そんなぶつかってくる妻の大きなお尻に、自分の股間があたる様にしているみたいに見えたのであった ―

「 ・・・ ウーン クッ! 山元君重たいねぇー ・・・ さすがにいくら力を入れてもビクともしないわぁ 」
「 ・・・フフッ もっとこう 腰を上に突き出すようにしたほうが良いかも ・・・ 」

「 ・・・ え? こう? ・・・ 」

― 言われたとおりに、お尻を「グイッ」っと突き出し、グリグリと密着させる妻 ・・・ そして良く見ると、山元君の股間はズボン越しにも分かるぐらい少し膨らんでおり、しかもそのうち彼は、密着してくる妻の腰をそのうち左手で掴むと、膨らんだ自分の股間を妻のそのお尻に少しこすりつけてもいる感じもしたのである ―

「 キャッ! 」
「 ・・・ ハハッ すいません ・・・ 」 

― するとそのうち山元君のこすりつける力に、たまらずバランスを崩してしまう妻 であるが ・・・ 更に良く見ると、胸元も異常に大きくはだけさせられている様な感じで、そのうちブラジャーに包まれた両乳房が、完全に柔道着から露出してしまっている状態にも、なっているのである ―


「 お願いしまーす! 」
「 オス! しゃぁー 」:

そして「乱取り」の際も同じである ・・・ 相手はまたもや山元君 ( ・・・ しかしやっぱり体育会系の上下関係はいつでも健在ですね なぜならたいてい妻の相手をするのは、主将の山元君か副将の水木や他の先輩風な部員 ・・・ すると後輩らしき部員二人は、ひたすらうらやましそうに一部始終を見ているだけの様子 ・・・ )

すると「乱取り」の際のセクハラは、さらにちょいと過激になっており、妻が寝技をこらえようとうつ伏せになると、そのうち山元君はそんな妻に後ろから両脇に手を差し入れ、やがていかにもひっくり返そうとする様なふりをしながら、そのまま妻の乳房にソッと両手を添えたりもしている様子である。

「 ・・・ クッ! まっ 負けるかっ ・・・ 」
「 ・・・ ハァ ハァ なっ なかなか ・・・ 」

― か細い妻であるから、本当はすぐにひっくり返せるだろうに、しかし山元君はわざとらしくその体勢を長引かせ、そのうちずっと妻の乳房に手を添えた姿勢のままでいると、いかにもその乳房の感触を楽しんでいる様子 ・・・ そして更にどさくさにまぎれて、ふとももを持ち上げる際には、妻の様子を伺いながらみたいであるが、やがて偶然を装って股間やお尻を、幾度となく触る行為までするしまつである ―

「 ヨッシャー! 」
「 キャッ! 」

そして妻はやがてとうとうひっくり返され、またもや例の「横四方固め」を決められてしまったのだが ・・・ しかし!当然その技も、最初の頃の技とは少し様子が違っており、すると山元君は、股間に差し入れた右手では、帯ではなく妻のお尻をガッチリと掴み、肩からまわした左手では、胸襟ではなくもちろん乳房をさりげなく「ムギュッ!」っと触り掴みにもしていたのでる。

「 ・・・ うっ! くっ! ダッ ダメ! ・・・ まっ まいったわ ・・・ 」
「 ・・・ ハハッ 奥さん まだまだぁー! ・・・ ハァ ハァ 」

「 ・・・ ハッ ハハ ・・・ ムッ ムリムリ ・・・ くっ くるしい ・・・ たっ たすけて ・・・ 」
「 ・・・ まっ まだまだァ! ・・・ 」

― 肝心のボケ老人は、いつもこの時間には椅子に座ってウトウトしている ・・・ そして部員達は、その後も妻をそんなエロ柔道で目の保養にし、ずっと楽しみ続けていた様子であった ―

無防備妻の柔道部物語 1
のぶ 5/10(日) 23:40:06 No.20090510234006 削除
私の妻は無防備だ。人間的羞恥心というものに昔から欠陥があるらしく、裸を見られても恥ずかしいと思わないし、胸やお尻をさわられてもちょっと触れた程度にしか感じない信じられない体質の女性だ。
それ以外は頭もそれなりに良く普通の生活もでき、ごく普通の女性だが、羞恥心という部分だけは知的障害者レベルらしい。
以前こっそり相談しに行った医者の話では何万人の一の確率でたまにそういう人がでてきてしまうことがあると言われ。
そして医者からは、「こういった病気はなかなか治らないが、一般的な判断もでき普通に生活できるから、当然施設等に入院させることも難しいし、とりあえず旦那さんが気をつけて見ててあげるしかない」とだけ言われ、自分自身ひどく落ち込んだ時もありました。
そして当然、それからは私は妻を気をつけて見るようにしてきたのであるが、しかし私はそんな妻や、妻を狙ってくる男達を見ている間に、どんどん自分の中で気持ちが悲観から欲望へと段々と変わっていってしまったのであった。

お久しぶりでーす! みなさま!( ・・・ と言ってもわからないよね ・・・ )

― とりあえずあれから数年がたち、子供もとうとう小学1年生、一応そんな私達は、以前に住んでいた町が住みにくくなったということもあるが、現在は少し離れた隣のまた隣の町に、一応 やすーい小さな建売住宅を購入し、新たな楽しい?生活をスタートさせていたのであった。―

― ん? なぜ住みにくくなったかって?・・・そりゃ当然もちろん例の無防備妻が原因なのは言うまでもなーいのである・・・なんたってあの能天気ぶりは、その後も当然ずーっと健在で、なぜなら町内ではそりゃもう散々で、そのうち家の向かいの小林さんのバカ兄弟と関係を持ち、お隣の小泉さんの旦那さんとの行為をその奥さんに見られ、班内の塚本さんには毎日フェラチオご奉仕、挙句の果てには町内の渡辺自治会長にいたっては、やがて完全にその気になってしまい、「僕と どこか遠くへ行こう!」なんて言われたそうである。

そしてそうなると、当然そんな町内の奥様連中が黙っているはずもなく、そのうち家の玄関先には、「淫乱女!」などと、えげつない張り紙まで貼られるようになっていってしまったのであった。

「 ・・・ 私どうして嫌われるんだろう(オイオイ!) ・・・ 」

するとさすがにそんな妻もそのうち心労でやつれてしまい、私も小泉さんや斉藤さんの奥さんから「町内から出てって下さい!」とまで言われ、そのうちとうとうたまらず一昨年の暮れにあわててその町を引越したのであった。

そして新転地では、当然町内ではそんな妻には、極力以前のような無防備な格好をさせないようにし、それはもう気をつけて、以前より更にそんな妻に目をくばりながら生活をするようにしていたのであった。

 【○○家 妻に対する条例】

一、町内ではノーブラで外出しないこと(必ずブラジャー着用のこと)

二、町内では夏でも必ず下はジーパン、上は襟元のしっかりした白でないTシャツを着用のこと

三、町内の男の人とは絶対にセックス、及びそれに伴う行為をしないこと

「 えぇぇ! いやだぁ 暑苦しい!(・・・オイオイ) 」

― そして新転地の町内では、そういった露出格好をいっさいさせなかったのだが、しかしいったん町を出れば妻の気も緩み (・・・一応週末の遠出ぐらいは ノーブラ キャミスカートを許していた)、するとあいかわらずそんなアチコチでは、いつもの能天気女神ぶりを何度も発揮させていたのである。― 

― そして今回は、その中でも去年の夏に起きた出来事の1つを、ちょっと書いてみようと思うのである。―



― 平成20年7月某日 夏 ―

「 ・・・ えっ! 何? 長野の実家に手伝いにいく? 」
「 あっ うん ・・・ この前うちのお母さん捻挫したっていったでしょー ・・・ 実はあれからチョット具合がよくないらしのよねぇ ・・・ 」

「 へぇー まぁ年もとしだしなぁー ・・・ あー でもそれならそんな合宿キャンセルしてもらえばいいのに ・・・ 」
「 ・・・ うん でもそういうわけにもいかないのよねぇー だって毎年恒例で来てくれる人達だし ・・・ 」

「 ・・・ ふーん じゃーどれくらいなんだ? 」
「 ・・・ ん? あっ えーっとねー 8月の第一週・・・あっ この辺かなぁ 5日間ぐらいみたい 」

「 ・・・ だからパパちょっと○○の面倒いい? ・・・ せっかくちょうどこの週から夏季のお試し塾とスイミングが始まるし ・・・ あっ もちろんお義母さんにもお願いしておくから ・・・ 」
「 ・・・ ん? あっ あぁ  そっ そうだなぁー ・・・ 」

― 実は妻の実家には、小さな柔道場と合宿所があって、毎年大学生やら高校生が、いつも夏季特訓とかで数日間そんな妻の実家(道場)に合宿に来ることになっており、するといつも妻の母親が、その際にその学生達の世話をいろいろとしていたのであった ―

そして私の聞いた話では、その道場は亡き妻の祖父が開いた道場らしく、しかし父親が早く亡くなったこともあり、今はとうぜん道場を閉めてしまっているのだが、その祖父というのが結構有名な柔道家だったらしく、すると今でもその所縁のある人が、たまに教え子と練習にきているらしいのである。



― そして 8月某日 ―

「 ・・・ もぉー 別にあなたまで来なくてもー ・・・ 」
「 ・・・ ん? あっ いやっ 心配だしさぁー ・・・ 会社も暇だし それに男手もあったほうがいいだろ? 」

「 ・・・ まぁ そうだけど ・・・ でもいいの? ○○のことお義母さんに全部面倒みてもらって ・・・ まぁ よろこんで行っちゃったけど 」
「 ・・・ ん? ハハッ 大丈夫 大丈夫 あいつ昔からばあちゃん子だから 今ごろ楽しくやってるよー ・・・ たぶん 」

「 ・・・ ハイハイ ・・・ はぁー なんか複雑! ・・・ 」
「 まっ まぁまぁ へへっ ・・・ 」

― 【男だらけの合宿!】 キラーン!・・・するととうぜん私は、こんな妻をほうっておける訳もなく、妻が出発するまでの間に急いで仕事や子供の面倒の段取りをつけると、実家に帰るそんな妻にわざわざついて行くことにしたのであった ―

「 ・・・ おっ! 見えてきたぞー ・・・ 」
「 ・・・ ん? ホントだぁー フフッ あいかわらず変わんないなぁ ここは ・・・ 」

「 ほーんと いつ見ても山しかないなぁ ここは ・・・ 」
「 ・・・ ん? ほっといてよ! 」

― 山と山の間にポツーンとひっそりとある、とてもとてもさみしーい村、そこに妻の実家がある。 (・・・もちろんコンビニすらない・・・)

そして更にその奥に奥に行ったところに妻の家があり (いつだったか土砂災害で報道されたこともある)、 すると私達はとりあえず到着すると、実家のお義母さんを、お見舞いしにいったのであった。

「 おぉー よう来たねぇー 元気けー? 」

― 足を引きずりながらも畑仕事をしている義母 (・・・何ソレ めっちゃ 元気やん!・・・)―

そして私達は、しばらく義母と雑談して休憩をした後、すぐに合宿の準備をするため、その道場へ向かったのであった。

― 妻の家から数百mはなれた、田んぼの中にポツンとある古びた道場・・・合宿所というより、道場に小さな民家をとってつけたような感じであろうか ―

「 さっ! やるわよぅー! 」
「 ・・・ ふぁーい(もちろんやる気なし) 」

そして合宿所に入るとさっそくお掃除!・・・しかしこれがまた、すっごく大変で、この暑い中道場のタタミ拭きやら、窓拭きやらまでやらされて、すると私はあっという間に汗だくのグダグダのヨレヨレになってしまったのであった。

(・・・ひぇぇー くるんじゃなかった・・・)
「 さっ! 次はこのお布団たち二階にもっていってねー 」
「 ・・・うへぇぇー!・・・ 」

そしてその後もさんざんコキ使われ、それでもなんとか学生達がくる2時頃までには、やっと合宿所の掃除も終えることができたのであった。

「 ・・・ はぁぁ しんどぉぉー ・・・ 」
「 ・・・ だから来なくてもいいって言ったのにー ・・・ 」

「 ヘヘッ ヘヘッ ・・・ ん? 」

すると掃除も終えてやっと一服をしていると、そのうち車のエンジン音が聞こえ、どうやらちょうどお客さん達も来たみたいな様子である。

「 あら? 来られたみたいだわ 出迎えてあげなきゃ ・・・ よいしょ 」
「 ・・・ ホーイ ・・・ ん? あっ! お前ブラジャーは? ・・・ 」

― 今日の妻の格好は、一応下はジーパンで上は白のワンポイントTシャツと普通の格好・・・しかしよく見ると、その白いTシャツの胸のワンポイントであるア○ィダスマークの横には、いかにもそれと分かるような、プックリとした黒いお豆ちゃんが二つ浮き出ていたのであった ―

「 えっ? あー 暑いからとっちゃったぁ 苦しいしぃ ・・・ それにいいでしょ 別に地元でもないからぁ ・・・ 」
「 ・・・ まっ まぁ いいけど ・・・ 」
(・・・そういう問題でもないんだが・・・でもちょっと楽しみ・・・)


― あっ! その前に忘れていたが 31歳の大台になった現在の妻の外観! ―

― 一応 162cm 47kg? B85 W57 H88? ぐらい・・・しかしとうぜん妻の公表であるから、身長以外は話半分だと思ってください ―

 B・・・むかし若かりし頃は、それこそEカップぐらいあったのだが、そのうち授乳期を終えてしぼみ(乳首だけは異常に黒く肥大した)、そして更に激ヤセしたせいでまたまたしぼみ、現在はちょいタレ気味のB?カップらしい・・・

 W・・・よくわからんが、けっこうキュッ!としまっているほうだと思う・・・もちろん近所のオバちゃん達とくらべてだが・・・

 H・・・ここが問題! むかしはけっこう小ぶりだと思っていたが、子供を産んでムチッっと肉がつき、更に年々痩せてきているはずなのに、どんどんここだけはムッチリとしてきている。・・・私は一応これを「オバちゃん化現象」だと言って妻をからかっている。


(話を戻します)
そして私達が玄関に出迎えに行くと、ちょうどガラガラと玄関の戸が開き、するとヨボヨボの爺さんが一匹ヒョコッっとあらわれたのであった。

「 ・・・ こんにちふぁ ・・・ およっ? ・・・ ヨネ(妻の母)ひゃん じゃないふぉー? ・・・ 」
「 あはっ こんにちは お久しぶりです先生! ・・・ 娘の真央ですよ先生! 覚えてるかなぁ? ・・・ 母が具合が悪くて私が代わりに・・・ 」
(・・・どうやら顔見知りらしい・・・)

「 ・・・ ほぇー マオひゃんかぁー? 大きゅうなってぇ ・・・ しょうかぁ でもヨネひゃん心配じゃのぅ ・・・ のうマコひゃん! 」
「 ・・・ ハハッ マオです ・・・ 」

― 大丈夫かよこのボケ爺さん・・・しかし妻の話では、昔の妻の祖父の門弟らしく、しかも全国でも有名な達人だったとか ―

「 ・・・ ん? ほぇっ! おまえら しゃんと挨拶しぇんかぁっ! しゃんと! 」

― いきなり後ろ向いて怒鳴る爺さん(さすがにちょっとビックリしました)、すると爺さんが後ろを向いて怒鳴ると、そのうちゾロゾロと体格の良い学生さん達が、狭い玄関にビッシリと入ってきたのであった ―

「オッ オッスッ! 主将の山元ですっ! よろしくお願いしますっ!」
「オスッ! 副将の水木ですっ!」
「オスッ! 高木ですっ!」

そして次々と勢い良く挨拶をする7人の大学生達、しかしそれにしてもさすが運動部!である。 なぜなら私の倍ぐらいはあるかと思うぐらいの立派な体格、しかも武道家らしく礼儀正しいハッキリした挨拶を私達にしてきたのである。

「 ・・・ まぁ すごい立派 ・・・ 」

― 本当に感心するくらい・・・しかしやはり私が気になるのは、彼らの礼儀正しさもそうであるが、何よりそんな彼らの妻を見る目でありまして ―

「 まぁ まぁ 遠いところようこそ・・・ 」

すると妻が前に出て挨拶する時、そんな彼らの表情を伺ってみると・・・やはり彼らのほとんどの目線が、妻のその白いTシャツのつくんと突き出た薄黒い突起に、遠慮がちにも注がれている様に見えたのであった。

「 さぁ どうぞ入ってくださいませ ・・・ お部屋を案内いたしますわぁ 」

そしてそのうち彼らを先導すると、ゆっくりと階段を上がっていく妻であるが・・・ジーパン姿で、そこだけは年々ムッチリしてきている大きなお尻が、階段を上がるたびにジーパンがお尻に食い込み、プリンプリンと左右にいやらしく揺れている・・・すると当然またもや部員達の視線を伺うと、やはり彼らの目線は、そんな妻のプリケツにチラチラ向けられている様に見えたのであった。


― そしてその後、妻に言われるがまま、部員達に粗茶を出しにいったのであるが、ちょうど襖の前で彼らの面白会話が聞こえ、すると私はついつい立ち聞きしてしまったのであった。―

「 おい 今回はいつものババアじゃねえよなぁー 」
「 ・・・ あっ! なんかねー バアさんがケガしたらしくてー ・・・ どうやらその娘さんらしいっスよー でその隣のさえないオッサン(ほっとけっ!)がその旦那さんらしいッス 」

「 ・・・ へぇー ・・・ 」
「 ・・・ いくつぐらいやろ? 」

「 さぁ ・・・ 後半(二十代)? ぐらいちゃう? ・・・ 」
「 ・・・ ふーん けっこうキレイな人やなぁ ・・・ 」

「 ・・・ えっ? 何? ミッチャンもしかして興味もってんの? 」
「 ばーかっ! ・・・ でっ でも なかなかじゃねえ?・・・ 」

「 ・・・ あっ でも僕アリっスよっ! ・・・ 人妻系好きだし・・・ 」 
「 ハハッ でたぁー フケ専! 」

「 えっ! でもいいっスよー なかなかスタイルもいいしー ・・・ しかも見ました? なんとノーブラでしたよ! 」
「 ・・・ あっ 見たよ! ・・・ ヘヘッ チュイーンって出てたよなぁ くろーいポッチが・・・ 」

「 ・・・ ヘヘッ ピョコンでしたよ ピョコーンって ヘヘヘ ・・・ 」
「 ・・・ あっ! やっぱり アレびーちくだったの? マジで ・・・ 」

「 ・・・ ハハッ まぁ たしかに いいケツしてたよなぁ ・・・ 」
「 ・・・ ヤベッ! 自分 起ってきましたよ マジで ・・・ 」
「 ・・・ ハハハッ バーカ! ・・・ 」

― うーん先程の礼儀正しさはどこへいったやら・・・しかしなかなか彼らの、とてもオモシローイ反応が聞けたのである ―


そしてその後、学生達は慌ただしく着替えるとすぐに練習を開始し、すると私達は一服したあと、そんな彼らの夕飯のための買出しや準備に、これもまた急いでとりかかったのであった。

「 もぉー パパ! もたもたしてないで! ・・・ さっさと並べて! 」
「 ・・・ ヘイ ・・・ 」

「・・・ あん もうっ こぼれてるじゃない!」
「 ・・・ ヘイッ!(涙) ・・・」

― 何をやっているのであろうか俺は・・・しかしそのうち、そうこうしているうちに、練習を終えた部員達がやってきたのである ―

「 ・・・ あっ みんな来たのかな? 」
「 ・・・ ハラへったぁぁぁ ・・・ 」
「・・・ チュイース! 」

「 あっ! どうぞ たいしたものでないけれど 召しあがってねぇ ・・・ 」
「 ・・・ うほっ! うまそぉー ・・・ 」
「 いっただきまーす! 」

そして部員達は全員そろうと、うれしそうにその夕飯を食べ始めたのであるが・・・するとさすがは体育会系なだけあって、その食欲は特に目をみはるものがあり、とにかくそれはもう全員がおかわりの連続で、さすがの妻もそのうちには汗だくになりながら、そんな台所を行ったりきたりと大忙しなったのであった。

「 ・・・ すっ すごいわねー みんな ・・・ 」
「 ・・・ えっ? そうっスか? ・・・ 」

― ホントにすごい!「何杯食うんやねん!」 てな感じである・・・しかし!私がやはり気になってしまうのは、そんな豚のような彼らの食欲より、もちろん妻を見る彼らの好奇心の目線でありまして・・・すると妻はというと、先程と同じ格好ではあるのだが、暑さと部員達のおかわり攻撃ですごい汗ばんでしまった肌に、着ている白Tシャツが更にピッタリと張り付いてしまっており、そのうちよく見ると、胸元には黒い乳首どころか、その乳輪までうっすらと透け浮き出てしまっている状態になっていたのであった ―

そして更に妻はそんな無防備な格好で、ところせましの彼らのテーブルのすぐ横を、おかわりを持っていく度に プルン プルルン と左右に乳房を揺らしながら通っていくのである・・・すると彼らの好奇心と視線は、とうぜん自然にもそんな妻の胸元にあつまってしまうもので・・・そのうち彼らは、ご飯を食べながら、そんなギラギラした目線を何度も妻に向けると、しきりにその揺れ動く黒い妻の乳首を、目で追い続けていた様子なのであった。 

・・・時折ニヤニヤしながらヒソヒソ話をしている・・・たぶん( おい! みたか! すげえなぁー )って感じだろうか・・・


そして夕飯も終わり、私達もかたづけを終えてからやっとお風呂に入った後、ゆっくりと居間で一服をしていた時のことであるが、そのうちちょっとした事件が起きたのであった。

「 ・・・ ふぅ つかれたなぁ ・・・ 」
「 ・・・ そうねぇ ・・・ ん? あら? 」

「 ん? どうした? ・・・ 」
「 うん なんか向こうから声が聞こえるわぁ ・・・ よいしょっと 」

― 一応私達の居間と寝床は、一階の奥の離れたところにある・・・すると妻がそのうち襖を開けると、向こうの階段の方から声が聞こえてきたのであった ―

( ・・・ すいませーん テッ テレビがちょっと調子がわるいっスー ・・・ )

「 うん? あら なんかテレビが調子わるいんだってぇ ・・・ あっ パパちょっと見てきてくれるー ・・・ 」
「 あん? えらい古そうだったからなー ・・・ たぶんもう買い替えないと よいっしょっと ・・・ ん? 」

「 ん? どうしたのぉ? ・・・ 」
「 ・・・ ん? あっ いや ・・・ あっ! ちょっ ちょっと足がつっちゃったかなぁ イテテテー ・・・ あっ わるいけどやっぱりお前みてきてくんない? 」

― 風呂上りの寝る前の妻は、いつもパジャマ用にしている、紺色のニット製のワンピースを着用している ・・・ そしてそれは、色が紺色なので透け具合はたいしたことはないのだが、しかし丈が短く、膝上30cmぐらいのなかなかの、ミニスカートみたいな感じになっているのである ― 

すると私は、またまた悪いくせで、彼らがそんな妻を見て、どんな反応をするか非常に興味を持ち、そのうちワザとらしく仮病のふりをして、わざわざ妻に二階へ、行かせることにしたのであった。

「 えぇぇー もう! だらしないんだからぁ ・・・・ ふぅ しかたないなー ・・・ 」

そして妻は、そのうち私を軽蔑した眼差しでながめ、ブツブツ文句を言いながら、部員達のいる二階へ向かっていったのであった。
・・・しかしもちろん妻が階段を上がっていくと、ソローリ ソローリ とその後についていく私である・・・

そして私は、部員達の部屋の前にたどりつくと、襖の破れた障子の穴から、コッソリと中の様子をうかがってみたのであった。

「 ・・・ あれ? ・・・ うーん おかしいなぁーっと ・・・ ん? ・・・ 」

すると妻は、ちょうどテレビの前で中腰になり、ナにやらそのテレビをいじくっている様子 ・・・ そしてよく見ると、中腰でお尻を突き出した格好をしているものだから、とうぜん部員達には、今にもパンティーが見えそうな、おいしそうな白いふとももが丸見えになっていたのである ・・・ いや もしかしたら何人かは、そんな妻の後ろで寝そべっていたので、たぶんそいつらには、バッチリとパンティーが見えているかもしれない ・・・

「 ・・・ うーん どうしよぉー ・・・ 」

― そう言いながら頭をボリボリと掻き、お尻を少々くねらせる行動をとる妻 ・・・ すると部員達はとうぜん、そんな妻のムチ揺れするふとももやお尻を眺めながら、しきりにニヤニヤしていたのであった ―

「 ・・・ うーん 後ろかなぁ? ・・・ 」

そしてそのうち妻は、そう言いながら今度は、そのままテレビの後ろにまわりこみしゃがみ込んで、そのテレビの後ろのスイッチを、色々とじくり始めたのであったが ・・・

「 ・・・ あっ オイ見ろよっ ・・・ 」
「 ・・・ ん? オホッ! ・・・ 」

するとテレビ台の下には、そんなテレビの後ろでしゃがんだ、妻のルーズに開いたスカートの中がまる見えになってしまっており・・・とうぜんその奥では、妻の黒いパンティー(・・・ なぜか最近黒ばかりを好んでます・・・)が彼らの目前に、バッチリと露わになってしまっていたのであった。

そしてやはり、そんな大切な部分も隠そうともしない無防備な妻であるから・・・すると部員達は、ずっとそのままの体勢でいる妻に気を許し、そのうち更に身を乗り出しテレビの前に近づくと、顔を揃えるようにしてそんな妻の黒パンティーを、しばらくニヤニヤ眺め続づけたのであった。

「 ・・・ うーん もう たたいちゃえ! エイッ! ・・・ んあ? あらぁ ・・・ なっ なおっちゃった ヘヘッ 」

しかしそのうち妻が バーンッ! っとテレビをたたくと、彼らにとっては残念だったが、見事になおっちゃってしまったのである。

「 ふぅぅ よかったぁ ・・・ オシッ! これでもう大丈夫だね 」
「 ・・・ え? あっ ハイ ・・・」

― とうぜんやっぱり、残念そうな様子のそんな部員達なのであった ―


― そして翌日の午前中のことであるが、部員達が練習に行っている間に、妻と一緒に彼らの部屋へ掃除をしに行ってみると、なんとゴミ箱の中には、それらしきテッシュのカタマリが、それはもう幾つも見うけられたのである ―

(・・・ うーん 元気ですねー ・・・ やっぱりネタは 妻? かな? ・・・)

「 ・・・ あら? 誰か風邪でもひいたののかしら ・・・ それとも何かこぼしたのかなぁ? ・・・ 」
「 ・・・ さっ さぁ? どーだろ ・・・ 」

「 ・・・ クンクンクン ・・・ ウッ! なっ なんか生ぐさい ・・・ 」

― オイ オイ! 臭いを嗅ぐなっつーの! ・・・もちろんそんな妻である ―


― そして昼すぎ、さすがに翌日になると、別に合宿所全体の掃除の必要もなく、そのうちそれくらいの時間には二人とも自由時間をえることができ、すると私は居間でゴロゴロしながらテレビを見たりと、くつろぐこともできたのであった ―

「 ・・・ ふーん政治家もたいへんだなぁ ・・・ 汚職 おしょくかぁ ふわぁぁぁ ・・・ 」

「 あっ パパー ホラ! 見て! コレコレ! どう? 」
「 ・・・ ん? 何? ・・・ うわっ! ・・・」

しかし私が寝そべってゴロゴロしていると、そのうち妻が私に呼びかけ、すると振り向いてみると、なんとそこには柔道着姿の妻が、いかにも自慢そうにつっ立っていたのである。

「 ・・・ なっ 何? そっ それ ・・・ 」
「 ・・・ ふふっ これはねー 私が中学校時代に来ていた柔道着なのよぉ ・・・ 押入れにまだあったから ためしに着てみたらねー 何としっかり着れちゃった! ・・・ ふふっ 感激! 」

― 一応妻は、祖父の影響で中学まで柔道をしていたらしい( けっこう強かったらしい コレ本当の話 )、高校では卓球部だったらしいが ―

「 ふふっ どう? 似合ってる? 」
「 ・・・ あっ ああぁ うっ うん ・・・ 」

― 中学ぐらいから身長はあまり変わっていないらしいから、確かに丈の寸法はピッタリとあっている、しかし上はそこそこあっているのだが、下のズボンはやはりお尻が大きくなっているせいかピチピチで、ズボンの股下が グイッ! っとそのお尻の中心に突き刺さるように食い込んでおり、するとその食い込みからこぼれる両方の尻たぶが、いやらしく ムニュ ってはみ出すような感じになっていたのである ―

「 ・・・ へへっ なかなかいやら ・・・ 」
「 ん? 何? 」
「 あっ いや べつに ・・・ 」

― でも本当に人妻の柔道着姿って、意外とけっこういやらしいです ・・・ 不覚にも見ているだけでちょっと ムクムク と反応しました ―

「 ・・・ ウフフッ あー でも久しぶりにやってみたいなぁ 柔道 ・・・ 」
「 ・・・ ヘッ? あっ あんなもの楽しいの? 」

「 あらっ けっこう楽しいのよ ・・・ 汗と熱気の中 体の中にひろがるタタミの匂い ・・・ 」
「 ・・・ くっ くせえだけじゃない? 」

「 ・・・ もうっ! パパってホント相変わらず ロマンのかけらもない人ねっ! 」

( ・・・ どんなロマンやっちゅうねん! ・・・ )

「 ・・・ あっ そうだ ・・・ 先生に頼んでみようかなぁ ちょうど午後からなら少し時間がとれるし それに最近体がなまっているし ・・・ ヨーシッ! 」
「 ・・・ あっ おいおい ・・・ 」

そして妻はそう言うと、そんな柔道着姿のまま、部員達の練習しているその道場へ、なんとむかって行ったのである。

生けられた妻 その37
家元 5/10(日) 22:27:38 No.20090510222738 削除

「やっぱりな」

 牧野だって、バカではない。いやむしろ、数々のシステムを顧客に合わせて組んだ経験から、金持ちが自分を守ることに、どれだけ心配性なのかを知っている。

 金持ちほど、警戒が厳重なのだ。

 庶民は、ようやくの思いでため込んだ僅かばかりの金を守るの自宅の鍵が、たった30秒でピッキングできてしまうもので平気だが、金持ちは違う。

 金を持っている人間ほど、セキュリティーに金を払っていた。

 だから、この城も当然のように、警戒をしているはずだ。牧野もちゃんとその対策をしてきている。赤外線を映し出せるカメラも、その対策の一つだ。

「おお、アキバで、一万で買ったにしては役に立つじゃん、おまえ」

 犬でも撫でる仕草で、やさしげに触れるビデオの画面には、塀の上に通る、くっきりとした赤外線の光が映っていた。

「なるほど。塀の30センチ上と。二本渡しているのは、鳥やら木の葉やらには反応しないようにってことか」

 光学センサーが、赤外線が遮断されるのを検知してアラームが鳴る仕組みだ。しかし、木の葉一枚、鳥一羽にいちいち反応しては身が持たないから、二本の光線が一定の間隔で反応した時に、警報が鳴る仕組みになっているのだと見破っていた。

 このあたりのことは、泥棒はやったことが無くても、専門がコンピュータに限られてはいても、セキュリティーに関しては牧野も素人ではない。おまけに学生時代の専門は心理学だったが、趣味が高じて犯罪者について調べているうちに、ちょっとした犯罪の知識も学んでいた。もちろん、それを自分が使ってみることになるとは思わなかっただが。

 持てる知識をフルに動員すると、どんなセキュリティーをしかけていそうか、おおよその予想は付く気がした。事実、予想どおり、赤外線センサが、塀の上に見えていた。 

 この手のシステムは、赤外線が肉眼に見えないことが前提になっているから、破る原理は意外に原始的だ。跨いでしまえばオシマイなのだ。

 だからこその脚立だった。

「これを、ちゃんと渡して、と」

 堀の周りには、所々灯りが途絶えている部分があった。暗視カメラを心配したが、とりあえず、カメラのたぐいは見あたらないのを、昼間、確認していた。
 堀のフェンスの上と、塀の頂点を必死の思いで脚立を渡す。一番軽い脚立を買ったつもりも、目一杯伸ばした脚立の端だけ持って支えるのは、容易なことではなかったのだ。

 何度も失敗しかかって、ようやく「橋」が完成した時には、牧野の背中はびっしょりになっていた。

「よし」

 牧野は、フェンスに脚をかけて、よじ登る。我ながら不格好な登り方だ。逆上がりすらできない牧野の腕力では、フェンスによじ登るのも容易ではない。それでも妻を思う気持ちが、腕の力を倍にした。ようやく登りつめた、その時だった。

 闇の中から、ゴリラのごとき影が、いきなり出現した。

 ゴリラは、ピチピチに張り裂けそうになったピチピチのTシャツで、はち切れんばかりの筋肉を包み込んでいた。

生けられた妻 その36
家元 5/10(日) 22:01:10 No.20090510220110 削除

 夢に落ちる直前のまどろみの中で、牧野はぼんやりと思い出していた。 

 二人で上げた、ささやかな結婚式の時のこと。

 元々、二人とも身寄りが限られている。ことに、和花は、ひとりぼっちだった。

 だから、派手な式を挙げるより、ごく親しい友人達を交えたささやかなパーティーを開いたのだ。ただ、和花の希望と言うより、樹の強いすすめで、ウエディングドレスだけは、着てみせた。

 美しかった。

 パーティーに来た牧野の友人達は、新郎を揶揄するにも忘れため息をつき、和花の友人達も、羨望の眼差しと、女として自分を比べる、あきらめに似たため息をついたものだ。

 花嫁は、皆のおめでとうの声に、思わず涙にむせぶ。

 男どもの、悲鳴のようなやっかみのヤジと、嫉妬の視線を受けながら、牧野だって、ついさっき、泣いていたのを押し隠している。

 それはついさっきのこと。

 花婿は、皆が待つ会場の扉の前で、花嫁を待っていた。牧野も、姉の企みで、その日まで花嫁のドレス姿を見せてもらえなかった。

 だから、廊下を向こうから歩いてくる和花の姿に、しばし我を忘れた。美しいドレス姿の女性がゆっくりと差し出す腕が、自分に向けられているのを一瞬不思議に思ったほどだった。

 牧野が我を忘れるほど輝いている女性が、自分の妻になるべき相手なのだと思った瞬間、不覚にも牧野は泣いてしまった。会場に入る前で良かったねとハンカチを差し出す姉に、弟が感謝したのは言うまでもない。
  
 自分の妻の美しさを、改めて思い知ったのがあの日だった。

 その、ささやかな「結婚式」を撮ったアルバムが無くなっていた。よく調べると、8ミリテープに撮った、学生時代のいくつかの思い出も、無くなっているらしい。

『いったい、何で、そんな物を』

 他人の家を訪問して、困る物の代表は、子どものビデオか、結婚式のビデオを見せられることだ、と相場は決まっている。まさか、あんな物を他人が好んで持っていくとも思えなかった。

 いくら考えても、理由はわからぬまま、回想は、やがて、闇に融け、いつしか、牧野は、眠りに落ちていた。

 夢も見なかった。

 疲れ切っていたのだろう。考えてみれば、あれ以来、熟睡したことがない。妻が帰ってからも、様子が気になって、極端に浅い眠りばかりが続いてきた。

 そこにもってきて、慣れぬ、長距離の運転だ。

 限界を超えた疲れが、牧野を思わぬほどの深い眠りに誘ったのだ。

 夕暮れに迷い込んだ蚊に刺され放題になりながらも、目ざめることもなかった。

 やっと目が覚めた時には、もはや、とっぷりと日が暮れて、待ち望んでいた時が訪れていたのだ。

「和花。今、行くぞ」

 屋根に乗った折りたたみ式の脚立を軽く、ぽんと叩いてから、牧野は軽のエンジンを掛ける。

 行き先はもちろん、あの「城」に決まっている。

生けられた妻 その35
家元 5/10(日) 19:35:01 No.20090510193501 削除
「ここか」

 そこは、東京から2時間ほど車を走らせた、N県にあるインターを出てすぐの山間の村だった。

 ネットで確かめた「総本山」は、このあたりにあるはずだと探そうと思ったら、探すまでもなかった。

 田舎の風景の中に忽然と姿を現す。まるで城のような作り。

 天守閣こそ見えないが、ご丁寧に錦鯉がゆったりと回遊する水堀まで掘ってある。水堀を、さらに取り囲むように、ぐるりとフェンスが張られ、鉄条網が、ぐるぐると巻かれていた。

 異様な警戒ぶりと言っていい。

「なんだ、これは。まるで、城じゃないか」

 牧野は、思わず、つぶやきながら、堀の周りを巡る道路をゆっくりと走らせていた。

 2メートル以上の高さの塀の内では、いったい何が、どうなっているのか、しんと静まりかえったままだ。何本もの木の梢だけが揺れているのが見える。

 おそらく、ぐるりと遠回りをしてしまったのだろう。ようやく正門と思える場所にたどり着いた。

 分厚く、真新しい板に「総花婬流」と、堂々と看板が出されていた。あまりの堂々ぶりに、拍子抜けをする思いだった。

『これなら、最初から探せば。ちくしょう、俺は、バカだ』

 最初の時、探してもどうなるモノでもないと、何もしなかった自分が悔やまれていた。そのくせ、場所を探し当てていたからといって、どうにもならなかったと思っている自分がいる。

 バイパス沿いには、今や全国どこにでも、似たような大型店舗が軒を並べている。もちろん、ここでも、ちょっと、走ればDIYの店を見つけるのは簡単だった。

 軽に積むことだけは、大変だったから、折りたたみ式のタイプにした。それでも、車内に乗せることなどできず、屋根に積むしかない。

 段ボールを噛まして、グルグルと縛り付けた。不格好な上に、車の屋根をへこませてしまったが、そんなことにこだわっている場合ではない。

 夜が待ち遠しかった。

「ここで、少し休んでおかないと」

 元々、身体を動かすのも、運転も苦手なのだ。おまけに、昨夜の寝不足がたたって、ふらふらの身体だ。このままでは、いざというときに動けなくなるのは目に見えていた。

 もはや、限界だった。

河川敷に車を止めて、シートを倒した。

「これで、夜まで休んでおくか。後で動けなくなってしまうから」

 自分に言い聞かせていた。

 昂ぶる胸は、これから自分がやろうとしていることが、どういう意味なのか、よく知っていた。さっきまで、油断すると瞬時に、くっつきそうだった二つの瞼は、かえって眠れない。だった。

 田舎ののんびりとした午後の日差しの中で、ぼんやりと妻が持ち出したものの意味を考えていた。

生けられた妻 その34
家元 5/10(日) 17:54:22 No.20090510175422 削除
 姉の安らぎが、牧野を落ち着かせた。

 いや、落ち着いたと言うよりも、眠っている牧野の何かに火を付けたのかもしれない。苦しい生活の内に、自分自身でも、とっくに抜かれたと思いこんでいた牙だった。

『何が何でも見つけてやる』

 心配する姉に、今は信じてくれとしか言えないのが歯がゆい。しかし、自分の手で妻を連れ戻すしか、姉を安心させる術はないのは、わかりきったことなのだ。

「姉ちゃん。ごめん、今度、ちゃんと説明するから。もうちょっとだけ、そう、もうちょっとだけ、一樹を頼むよ」

「そりゃ、かずクンは、いくらもいいけど、大丈夫なの?」

 姉は、どこまで聞いていいものなのか。心配と遠慮が混ざり合って、隔靴掻痒とはこのことだと顔に出る。警察に、と舌の先まで出かかっている自分を押しとどめてしまう。

『シュンちゃんだって、大人なんだし。そうよ。ちゃんと、かずクンを育てているんだもの。私なんかが口を出すよりも……』

 子供を産めない引け目がこういうところに、かすかに出るものなのかもしれない。「父親」となった弟に、樹は、いつしか必要以上に遠慮をしてしまうようになっていた。

 結局、父さんには内緒にすることまで約束して、樹は、帰るしかない。

 弟一人なら、食べるものを心配するところだが、部屋に入った瞬間から、カレーの匂いがしていることに気がついている。

『ノンちゃんが作ったのかな?なら、今日は、口を出さない方が、いいよ、ね』

 樹は、十も、百も、生まれた疑問を飲み込んで、帰って行った。その姉の優しさに、ドアが閉まっても、深々と頭を下げたままの牧野だった。

表で、姉の車の音が微かに聞こえた頃、牧野は、頭を上げる。上げたその顔には、決意の表情が浮かんでいた。

「まずは、情報を集めないとな」

 なぜか、ガランと感じてしまう部屋で一人つぶやいて、片隅のパソコンに向かう。

『このアドレスを使うか?しかし、今更、何を聞くって言うんだ』

 迷子になった犬の行方を問い合わせるのとわけが違う。しばしためらってから、フリーアドレスから、短いメールを送っておくことにした。

 もちろん、返事など期待してもムダだろう。

 一瞬だけ、あのDVDの存在が頭に浮かぶ。

『いや、だめだ。あれだけは見ちゃ。どんなことをしても他から手がかりを見つけるんだ』

 慌てて振り払う。その右手は、ごく自然に仕事用のPCを立ち上げている。

『ネットで、なんとかなるのか』

 秘密のにおいがぷんぷんする連中だ。果たして引っかかるのかどうか。

『まず、名前だ』

 意外だった。

 あの男の名前「立花気転院」でも「総花婬流」でも、数十件、いや、それ以上にヒットした。あまりにも多すぎて、逆に気が抜けるほどだった。

 もちろん、独自のサイトを持っている。早速覗いてみれば、あきれるほどの金を掛けたのだろう。無料で「体験」と称して、バーチャルでの華道まで、できるようになっていた。

「すごいな。環境依存しない作りなのか」

 一本、一本の花々が高精細の写真パーツとなって、それを3Dで組み合わせられるようになっているが、すごいのは、それを極力、見る側のマシンに負担がかからないようにしている点だった。

「これなら、ネットブックに毛の生えた程度で十分使える」

 見る側のPCの負担を極力押さえて、さくさく、ストレス無く動くようになっている設計は、牧野から見ても良くできていた。代わりに、どれだけ膨大なコストを、コンテンツ制作と、サーバそのものに掛けたのか、見当も付かない。

 おまけに、それは「投稿」できるようになっている。多くの挑戦者が、自分の作った「生け花」を「展示」していた。さらに、高弟を名乗る男が、歯が浮くような美辞を使って、それでいて、巧みに人を惹きつける「講評」を付けていた。

 講評だけでもなく、バーチャルの「作品」は、毎月、ポイントの高いものが選ばれ、実際に「家元」が生けてみせるコーナーが人気のようだ。

 毎月の「特選」受賞者の作品が、次々と出てくる。

「みーめ、しほ、ayumi、あるすとろめりあ……」

 本名を名乗りはしないまでも、多分、それに近い名前なのだろう。ほんとか嘘か知らないが、バーチャルの作品を家元に生けてもらった女達は、一様に、感謝の文章を載せていた。中には、プリクラで撮ったような顔写真を載せている女までいた。

 牧野の目から見ると、その写真の女は、和花ほどではないにしろ、十分に美しく、そして若かった。

『こんなところに、顔写真を載せるかぁ、普通よぉ』

 あまりにも無防備な、その女のうかつさに、牧野はあきれたが、考えようによっては、それほど、ここが信頼されている証しなのかもしれない。

牧野は、さらにスクロールしていく。

「あの男じゃないか」

 講評者として画面に出てきた男は、どうやら化粧でもしているのだろう。くっきりとした顔立ちに映ってはいるが、あの時、和花を背負っていた、あの男に間違いなかった。

「松本琢馬、か」
 
 男の名前を刻みつけるように記憶する。

 しかし、そんなことより、探すべきは「裏口」だった。

 女性受けを狙ったとおぼしきサイトの作りからして、いくら「表」を読んでも、どうせ甘い言葉ばかりが載っているに違いない。

『こういうところは、絶対に、裏があるはずなんだ』

 こういう時は、いろいろと「裏技」的なテクニックもあるし、ツールだって、たいていのものはある。ウイルスに近いもの、というより「ウイルスそのもの」だって分析のために集めてあった。

 必要なら、それを使うことに、少しのためらいもない。

 しかし、いくら探しても「裏口」が見つからなかった。

『無いわけはないんだ。いや、ひょっとして』

 このサイトからは、まったく切り離されていれば、ここをいくら探ってもムダと言うことになる。

『くそっ、せめて、手がかりでもあれば。無いのかよ、会員入り口はよ』

 パスワード方式で「入り口」を作ってくれれば、そこに入るのに、手こずるわけがなかった。

 しかし、入り口そのもの、どころか、このサーバに、隠されたファイルなり、なんなりがなければ、どうにもならないのだ。

「しかし、あきらめんぞ」

 牧野の手は止まらない。

 ネットには、情報が溢れていた。ひょっとして、どこかに、その裏口の手がかりがあるかもしれない。

「え?マジかよ」

 あきれたことに「2ちゃん」に、専門のスレまで立っていた。どうやら、ネット華道という分野では、とっくに知られた存在らしい。

 悪い噂も確かにあるが、バーチャルでの華道という物珍しさは、おおむね、好意を持った書き込みが続いていた。

 しかし、そこには、あの「ご披露会」もなければ、女体を飾る花の話も出てこない。

「なんだ、これは」

 猛烈な勢いで、テキストを読みこなしては、つぎつぎと必要な情報を切り取っていく。

 どこまでが本当で、どこからはウソなのか、わからぬまでも、噂はいろいろとあった。

 この流派自体が、ここ数年でネットを中心にして知られているらしい。

「淫」の字を使うという、いかにも怪しげな名前は、なにやら偉い易学の先生が、字画の問題から、この字を使うように言われたこと。

「はあ?な、わけ、ねーじゃん」

 思わず口に出してしまった。

 この団体の発祥の地は、アメリカの名門S大学のキャンパスにあると、これは、自身のサイトで説明されていたのだ。家元が、博士課程にいるときに、旗揚げしたと。

『S大だとぉ、ウソをつけ。こんな超名門校に、おまえなんかが』

 日本の東大、京大のように、二大名門校がある。S大学といえば、その一方だ。しかも、その大学院で心理学を学んだとある。

『どこまで嘘っぱちを』

 念のため、S大の博士論文データベース「The University of S Doctorial Dissertation Database」に潜り込んで「tatibana」を調べてみたが、何もない。「tachibana」も含めて、似たような綴りでも日本人らしきものはない。もちろん、Google Scholar でもヒットしなかった。

『ほら見ろ。当たり前だよ。どうせ、ウソ』

 牧野自身が、大学で心理学を囓っただけによくわかる。S大といえば、単に名門であるだけでなく、心理学では世界トップレベルの場所なのだ。そこで大学院まで出て、論文を一つも残さないわけがない。

「まあ、素人には、コケ脅しがきくかもしれないな」
 
 思わず、口に出していた。

 昔から「ウソをつくなら大きなウソを」が、詐欺師の鉄則だというのを牧野は知っているのだ。

『ま、いい。そういうウソを持っているとわかっただけでも、いかがわしさが証明できるんだからな。さて、他には、と……』 

 血走った目をモニタに釘付けし、どんな小さな噂も見逃すまいと次々とサイトを辿り続けた。「ネットサーフィン」と呼ぶには、あまりにも悲壮な顔つきで、牧野の意識は情報の大海の中に飲み込まれていた。

 やがて、朝を迎えていた。無精ヒゲがざらざらと伸びた、牧野の顔には決意が溢れている。

 食欲のかけらもないが、和花が作ってくれたカレーを、牧野は、ぐいぐいと飲み込んでいく。

「待ってろ。きっと助けるからな」

 子ども向けのカレーの甘さを、気にも掛けず、皿に残った最後の一口を、グイとかき込んでいた。

生けられた妻 その33
家元 5/10(日) 08:26:04 No.20090510082604 削除
「ねえちゃん!」

 牧野の目の前に立っている、姉。

 山中樹。

 息子の「一樹」にもらった「樹」の一文字で「いつき」と読むのだが、初対面で読める者は滅多にいない。しかし、読みにくいこの名前も、今は亡き母が付けてくれた名前だ。

 姉のご自慢だった。

 幼い時から気の弱い牧野は、いつも、二つ年上の、この気の強い姉にかばってもらうようにして育ってきた。

 今でも頭が上がらない。

 身体は150センチと、小っちゃいが、とびきり元気いっぱいの樹は、細い身体に、胸と尻だけは人一倍の大きさを持っているから、考えようによっては、迫力一杯の身体だった。

 そこに持ってきて、母譲りの卵形の顔に、愛嬌のあるえくぼを浮かべながら、いつも明るい笑いを振りまいているのだ。和花のような美人顔では決してないが、誰からでも好かれる愛嬌がある。

 専業主婦の気楽さで、町内会でも、ボランティアでも、そしてかつての職場でも、樹の行くところ、行くところで、人気者になるのも当然だった。

 そんな姉は、結婚して間もなくして患った卵巣腫で、子どもを持つことはできなくなってしまった。だから、姉が大好きな牧野は、一粒種の命名に、迷うことなく、姉の名前をもらったのだ。

 弟のそんな配慮は、手に取るほどよくわかる。樹は、もはや自分が手に入れることのできない、可愛らしい小さな命に、自分の文字が付くことを、実は心が痛まないわけでもなかった。しかし、姉は、それを弟の精一杯の優しさと受け止めた。

『神様は、自分に赤ちゃんが授からなくなって、代わりにこんな命をそばに連れてきてくれんたんだ』

 弟の優しさを信じているからこそ、そう思い込むことができた。それ以来、自分に子どもができぬようなったことを嘆いたことがない。

 それほどに姉弟のつながりは深い。

 その姉が、涙でぐしょぐしょの牧野の前にいた。

 どうやら、電話での、ただならぬ弟の様子に、直ちに追いかけるようにして、やって来たらしい。

「どうしたの、シュンちゃん」

 子どものいない姉は、今でも、弟を子どものように思っているのだろう。泣いている牧野の涙を、ハンカチで拭うと、顔を包み込むように尋ねてくる。

 まるで、泣いているだだっ子をなだめるような仕草だが、今は、不思議と牧野は素直にすがってしまう。

 大の大人がみっともない、と今は思えない。しゃくり上げる背中を、トントンと叩かれると、不思議な安心感が生まれるのは、事実なのだ。

「ノンちゃんは?どうかしたの?」

姉は、大学時代に和花が周りに呼ばれていた通り、「ノンちゃん」と呼ぶ。義理の妹として、というよりも、友だちに近い感覚なのかもしれない。事実、義理の姉と妹の仲はすこぶる良い。
 
 おまけに、樹は、弟夫婦の仲が良いことも知っている。

 さっき、思わず牧野が電話で「和花」と口が滑ってしまった以上、和花の身に何事かがあったと心配するのも、当然だった。

「和花は……」

 説明しようとした途端、何から説明したらいいのか、わからないのに気がついた。まさか、帰ってきた晩の和花の様子を姉に説明するわけにもいかない。

 第一、妙な華道のことを話せば、和花が何をしたのか、いやさせられたのか、喋るハメになる。そんな話を姉にできるわけがなかった。

 言葉に詰まる牧野を、心配そうに見つめる樹の目には、真摯な心配だけが浮かんでいる。

 弟夫婦に起きた異変の正体がつかめぬまでも、和花がここにいないことが関係していることくらい、わかるのだ。

 樹の優しさは、話しづらそうにする弟の様子にいち早く気づくところにある。

『普通じゃないわ、シュンの態度。でも、いったいどうして?確かに、この間は、本人から電話があったのに。ノンちゃん、いったい何があったの?』

 説明をしようとしない、いや、説明することをためらう弟の様子が、ただ事ではない以上、聞くに聞けぬ。しかし、聞かねばならない。

「ね、教えて。ノンちゃん……ね? まさか……」

 まさか、と、樹は思った。ここ数日、具合が悪い様子だった。それは急に起こったようだった。何かの事故か、突発的な病気かもしれない。しかし、それなら、ここで寝ているか、病院か。少なくとも、弟がこんな風になるわけがない。

『まさか、だけど…… まさか、人間って弱いし……』

 そうなると、最悪の想像だけが進んでしまう。

『何かで悩んで、自殺とか、そう言えばシュンちゃん、まだ、仕事が見つからないし』

 しかし、弟が仕事を真面目に探していることは確かだった。義妹だって仕事をしている以上、仕事とか、経済的な悩みがすぐに自殺に結びつくとも思えない。

『そうよ。自殺したりするはずなんて。じゃあ、事件に、とか…… そうよ、誘拐。誘拐なら、私に言えないのかも、でも、まさか……』

樹は、自分の思いつきを、否定したかった。

 しかし、見下ろす弟の顔は、見たこともないほど憔悴しきっていた。



------------------------------------------------------------



生けられた妻 その32
家元 5/9(土) 19:04:40 No.20090509190440 削除
 妻が、下卑た男の欲望を、車内で受け止めることになる少し前、牧野は、息子の待つ姉の家から5分の距離で、牧野はUターンしていた。

「ごめん、今日は迎えに行けなくなった。和花が……」

 停まって電話をする余裕など無い。電話をしながら、アクセルを踏み込んだ。

 とっさに、つい、言うべきではないことを言ってしまった気もしたが、電話の向こうで姉の聞き返す言葉も耳に入らない。ただ、ひたすらに、家に戻る。その牧野を待っていたのは、どこか、いつもと違う空気の我が家だった。

 階段を駆け上がるのももどかしい。

 崩れるようにドアを開けた瞬間から、いつもと違う、うつろな空気。

 カチャ。

 踏み入れた足が何かを踏んだ。

「うん?鍵?なんで?」

 それが、和花の鍵であることは、拾い上げるまでもない。慌ててどかした足もそのままに、牧野は凍り付く。

 場所からすれば、鍵をかけたあと、新聞受けから落とし込んだに違いない。

 いったい和花が何を考えて、そんなことをしたのか。

『考えるな』

 自分に言い聞かせるしかない。

 キッと部屋の中を見据えて、むなしく妻を呼ぶ。

「和花、和花、和花!」

 住み慣れた我が家の、いつもの匂いと部屋一杯のカレーの匂い。しかしそれだけではない。わずかに、異臭がする。なにか、腐臭に似た、煙くさい何かを、牧野の鼻腔が感じ取っていた。

『いったい、なんなんだ…… いや、それどころじゃない』

 匂いなんかよりも、和花だった。

 家財道具は何ひとつ無くなってないが、家中のモノがなくなるよりも、空っぽになった気がした。

 立ち尽くす牧野を虚ろな部屋だけが取り囲む。慣れ親しんだ我が家が、まるで見知らぬ家のようだった。

 探すほどの広さもない家中を、駆け回っても、妻の姿は見えない。

『なんで、いったい、なぜなんだ』

 どこへ、とは思わない。どこに行ったのかは決まっている。一瞬「自殺」を考えたが、いきなり、自殺するわけがない。遺書のたぐいも見つからなかった。

 どう考えても、和花が自殺なんてするとは思えない。

 だとすれば、どこへ行ったのか、ということになる。

『あの連中のところ、か……』

 あの、家元という男が「大好評でした」と、しゃあしゃあと言っている、したり顔を思い出していた。

『そうだ。あの紙』

 捨てようとして、捨てられなかったあの、紙切れ。連絡しろといって置いていったものだ。

 ろくに見もしないまま、忌まわしいものとして引き出しにしまったままだった。しかし、よく見れば電話番号すらかいてない。アドレスだけだ。

『ドメインを取っているのか』

 アドレスには、@kainryu.comとなっている。一応はちゃんとした組織を持っているということなのか。いや、こんなもの、金さえ出せば、簡単なことだ。
 
 しかし、その上質な紙には、派手な装飾と、総花淫流の名前と「宗家 立花気転院」という名前が黒々と大書され、アドレスがひっそりと書かれている以外、何もない。

 せめて、電話番号でも書かれていれば、と思うが、そこには住所も何も、具体的なことは何一つない。

『もうちょっと聞いておけば』

 妻に何も聞いていなかった。聞けるはずもない。一刻も早く忘れようとしたいはずの妻に、思い出させるようなまねなどできないのは当然なのだ。

 しかし、今となってはその思いやりは、裏目に出たことになる。

『まさか、和花が、俺に相談もなく行くはずなんて』

 妻からのメールに行き先は書いてない。しかし、浮気なんて考えられもしない妻だ。まして、いきなり旅行に行くはずもない。考えられるのは、あのいかがわしい華道のところしか考えられなかった。

『それにしても、何の相談もなかった』

 まさか、妻が自分から望んで行った、とは、思いたくない。しかし、家の中は、きちんと片付いている。何者かに無理矢理連れ去られた、という様子は、まるで見えなかった。

『警察に…… しかし、何を話す?』

 しばしの自問自答の答えなど初めからわかっている。頼れるわけがなかった。一人の大人が、自宅からいなくなった。しかし、家は一切荒れていません。じゃあ、どうして。

 あれからの和花の異常を理解してくれるはずはないのだ。

 もはや、牧野には、どうしていいかわからない。

『和花、和花、のどかあ! どうして、なんで』

 混乱と錯乱と絶望が、牧野の全てだった。無力感に、耐えていた何ものかがちぎれて、急速に膨れあがる。

「うぉおぉおぅ」

 慟哭という。

 怒声とも、悲鳴ともつかない声が自然に漏れ出していた。腰が抜けたように、ヘタリと床に尻を付けたまま、牧野は、泣いた。

 子どものように手放しで泣き続けていた。

「シュンちゃん!大丈夫?」

「え?え?」

 一瞬、何が起きたのかわからない。部屋に、つむじ風が舞い込んだような勢いだった。

 牧野の泣き声が瞬時に止まる。

「ねえちゃん……」

 迷子がようやく巡り会えた母親を見上げる目をした牧野の前に、名字が山中に変わって久しい、二つ年上の姉が立っていた。

生けられた妻 その31
家元 5/9(土) 07:36:48 No.20090509073648 削除
「おお、別嬪さんの上に、こんなに感じやすいなんてなあ。味もなかなか上物だし。こりゃ、なかなかいいぞ。人妻にしておくのはもったいないんじゃないのか、ははは」

 突っ伏してしまった和花に物足りないのだろう。しなやかな腰を抱えたまま、クイクイと突き動かす。

 和花の唇から、再び淫辱の声が漏れ出す。

「ああう、ああ、もう、ああ、あふぅ、ああ、もう、もう、お許しを、あぁ」

「何だ、まだまだ、いけるだろ」

 にやついた笑いを浮かべながら、和花の豊かな胸を握り締めるようにして引き起こした。

「ああ、むぐぅ」

 和花の身体をねじるようにして、その唇をむさぼる。

 芳しい舌を、男の欲望のままに絡みつかせながら、和花は、命じられている通り、腰をうごめかし始めた。

 下卑た口元をゆがめながら、人妻の唇を味わい付くし、ドロドロと唾液をことさらに流し込んでは、コクリと飲み込む姿を満足げに眺めている。

「うん?」

 男の目が、スモークフィルム越しに、追い越し車線の車を目にしたのだ。

 順調な走りだが、車は、決して飛ばしているわけではない。隣を大型バスがゆっくりと抜き去ろうとしていた。

 伸ばした右手がパチリと車内灯をつける。

「ほら、バスが見てるぞ」

 スモークフィルムを貼っていても、車内の明かりをつければ、スポットライトで照らされたのと同じだ。膝の上で貫かれた和花の裸体は、バスから丸見えになってしまうだろう。

 自分は、顔を反対側に向けたまま、和花の顎をつかんで、そちらに向ける。

「い、いやあ!」

 ゆっくりと抜き去っていくバスの窓という窓に鈴なりの高校生が、覗き込んでいるのが、和花の薄く開けた目に映っていた。

 一瞬身体を隠そうとした和花に、男は隠すなと言った。

 ピタリと身体を硬くして、眼を閉じる和花。胸を隠した腕を、そろそろと降ろすしかない。貫かれたままの和花の裸身は、全てさらけ出されるのだ。 

 眼を閉じた和花の耳に、聞こえぬバスの中の歓声が、聞こえた気がした。

「ほら、よく顔を見せてやれ」

 命じられるままに、やや俯いていた、その美貌をバスの方へと真っ直ぐに向ける。

「オラ、目を開けてみろ、連中を」

 目を開けなければならない。

 和花の目の前に、相対的にゆっくりと走り抜けていくバスの窓にへばりついた高校生の顔が並んでいた。

 目と目が合った気がした。

 車中で全裸になるのも、あり得ないことなら、そのまま男の膝に乗って、セックスしてしまうなんてもっとありえない。相手は、名前すらも知らない狒狒爺だ。

 大勢の高校生がその姿を見ていた。

「ほれ、あいつら、おまえのこのオッパイを思い出して、今夜は、マスかき大会だな」

 人妻として、女として、してはならない行為を男の子に見られていた。しかも、それをしているのは間違いなく自分なのだ。

 だが、和花は、けっして、逃げることも隠れることもできなかった。

 車の中の「客」の命じられた通りにしろ。

 家元に、そう命じられて、乗ったのだ。

 だから、男が和花に命じた通り、男が満足するまで、男根を己のジュルジュルと濡らした蜜壺で、こすり立てねばならないのだ。

 男が満足するまでは、自分が何度果てても、続けねばならなかった。

「ああ!い、いい!」

 男は、一気に突き上げる動きをし始めたのだ。高校生に行為を見せつけた興奮が、男のスイッチを入れたのかもしれない。いや、若いオスの視線を感じて逝ってしまった和花の淫靡な声に、男の本能が反応したのか。 

 一気に快感が爆発する。

 パチリと灯りを消した瞬間、和花は、自分が快楽をむさぼろうとしていることをはっきりと意識せずにはいられない。

「あ、あ、あう、あう、あん、あん、あん、あううう!」

 急に乱れた和花に、男も満足したのだろう。自分も放出のスイッチを入れ始める。

「ヨシ、行くぞ、ほれ、出すぞ、出すぞ、いいのか?いいのか?人妻が他人にナカ出しされるんだぞ」

「ああ、だめ、だめえ、やめてぇ、出さないでぇ、お許しをぉ」

 男が、ナカに出して良いのかと聞いてきた時だけ、和花は、我に返るように仕向けられていた。

 しかし、身体が逃げ出すことは出来ない。空しく、悲しげな拒否をしてみせることしかできないのだ。それは、男の征服感を満足させる仕組みだった。

「ほら、嫌がっても、ダメだ。ほら、出すぞ、出すぞ、いけ、イケ、ほら、泣けぇ」

 クイクイと腰を使われれば、もはや、オーガズムを止めることも出来にまま、本気の涙を流しながらも、しなやかな背中を仰け反らせてしまう和花だった。

「ああ、いやあ、だめ、だ、だ、い、いっちゃう、いっちゃうから、ああ、だしてぇ、だしてくださいませぇ、ああ、いくぅ!」

 躾けられた通り、最後は男の欲望を乞いながら、オーガズムに達してしまう。男に精液を注ぎ込まれた瞬間に、最高の快感を感じるように、いつの間にか刻み込まれてしまったのだ。

 男の欲望が胎内に注ぎ込まれるのを感じながら、どうしようもないオーガズムで満たされてしまう自分に、和花は絶望するしかなかった。
 

生けられた妻 その30
家元 5/6(水) 22:57:01 No.20090506225701 削除
「ああぁ」

 不意に和花は、記憶の世界から現実に呼び戻された。あの、大広間での、羞恥の数々を演じた朧気な記憶の世界は、瞬時に消える。

 牝芯が、不意に、大きな存在に満たされたのだ。
 
 強烈な快感が和花の背中を駆け上る。

 背中を仰け反らした和花がいるのは広々とした高級車の後部座席。車窓を、次々と景色が後ろに流れていく。

 高速道路を順調に走る車内で、和花は、その白い裸身をさらしていた。

 何一つ、身にまとわぬまま、乳房の先端は、ツンと尖り、股間には、とろとろと恥ずかしい液体を湧きこぼしている。ドロドロに濡らしてしまった肉壺には、どす黒い男根が、深々と突き刺さっている。

 静かな車内に、いつのまにか、うめきとも、快感の声ともつかぬ、恥ずかしいオンナの声が響き渡っている。和花自身が、意識もせぬままに、漏らしていた。

『ああ、恥ずかしい声が、漏れてる』

 現実の車内は、さっきから、さほど時間が経っていなかった。

 あの、淫らな記憶から、現実に引き戻された和花は、我が身にうずく、ドロドロとした快感に支配されている。

 身体が反応していた。
 
 快楽の闇が、また、和花を飲み込もうとしているのだ。

 不意に、腰の奥から、再び鋭い快感の予兆が突き上げてくる。

「あん、あん、あん、ああ、あうう、あふう」

 車の僅かな振動と、男の腰遣いに、和花は、快感の声を噴きこぼしながら、己が跨る太腿に手をついて、身体を支えている。

 男の厚ぼったい手は、和花のふくよかな胸をわしづかみにして感触を楽しみながら、時折、乳首を捻るようにして、和花を攻め立てていた。

「よしよし、なかなか、いい女だ。これが、普通の人妻だったなんてな」

 下半身だけを脱いで、和花を下から突き上げている男は、満足げに独りごちた。中年と言うより初老に達している。

 しかし、それは枯れると言うことを意味していない。

 バーコードのような髪の毛と、でっぷりと太った身体に、女に最も嫌われるギトギトした欲望剥き出しの男だった。

 和花のしなやかな裸身は、その男の膝の上で前を向いて跨っている。腰は、和花自らの動きで、うごめき続けていた。 

ピチャピチャと音がするほど濡れた牝芯は、黒ずんだ男根を飲み込んで、クイクイと締め付ける。
 
 走り続ける車の中で単に「犯されている」のではない。

 あり得ないことだが、セックスの快楽を和花自身の身体が味わい尽くそうとしていたのだ。

 運転手は、ひたすら前を見ていた。

 口元に浮かぶ、わずかな冷笑が、その内面をあらわしているのだが、もちろん、和花も、そして、手に入れた人妻に夢中の男は、気がつかない。

 和花は、自らも腰を動かし始めている。もはや、不安定な身体を支えるのに、男の太腿では、頼りなさ過ぎた。

 グショグショの牝芯が、男根を飲み込んでは、グッと持ち上がって、また降ろされる。

 男が突き上げる腰の動きと相まって、驚くべき摩擦を生んでいる。

「ああ!」

 和花の身体が前に崩れる。快感に乱れた体を支えきれなかったのだ。
 
 前のシートのヘッドレストに、グッと腕を伸ばす。その分だけ、身体が前屈みになるから、野太いカリの先端が、和花の子宮口まで、押し上げる形になる。

 それがスイッチとなってしまった。

「あああ。あうう、い、いくっ!」

 運転席の背もたれに、突っ伏すように掴まりながら、和花は、車の中で、絶頂してしまう。

 屈辱と快楽の狭間で、止めることなど思いも寄らないほどの快感を味わいつくしていた。

生けられた妻 その29
家元 5/6(水) 22:48:27 No.20090506224827 削除
 狂気の中の快楽に、脳の底までもが焼き尽くされた後、さらなる屈辱、いや、人としての尊厳など、既に和花からは奪われてしまったことを思い知らされていた。
 
 広間には、十数人の男達。あるいは、もっと多かったかもしれない。

 その真ん中で、花器となった和花がいる。家元に、弟子達に、囲まれるようにして、和花の身体全体が花器になる。

 カメラマンがいた気がした。何度も何度もストロボが光った気がする。

 その度に、ブリッジをした和花の顔に屈辱の涙が逆さまに流れた。そのくせ、涙を流しながら、蕩けるような快感が子宮から強烈に湧きだしてくるのを和花はどうにもできなかった。

 オーガズムに、逆さまになった首をのけぞらせ、さらに、のけぞる背中。グッと広がった太腿の内側が、ヒクヒクとケイレンする。誰が見ても、淫乱なオーガズムを受け入れる女の姿だ。
 
 居並ぶ男達は、さっきたっぷりと精を放ったはずなのに、ありえない扇情的な光景に、再び男根を膨らませている。もちろん、女達が、すぐさま傅いてくる。足を放り出した姿勢で咥えさせる男もいれば、すぐさま、バックから攻め立てる男もいる。

 男達に傅く女達は、誰もが美しかった。おまけに、どの女も、すぐに燃え上がるほど感じやすい身体で、男達のせめに屈服してオーガズムに啼く。そのくせ、羞恥の表情が醸し出される、どこかしらの慎み深さを持ったままなのだ。

 しなやかな身体を持った女達は、全て人妻か、幸せな恋人を持っているのだと、男達は聞かされていた。

 居並ぶ男達は、どの男も社会的な地位を持っている。しかし、ごく普通の人妻や、将来を誓った恋人のいる女を自由にするチャンスなど、滅多にないのだ。

 人前であることなど、少しも気にせず、己の欲望にのみ、ひたすら突き進む男達の目は、欲望に曇っていた。

 その光景を満足げに眺めて、家元が片頬をゆがませる。控えめに、後ろに立つ二人の高弟は、お互いの目を見つめ合って、つかの間ニヤリとした。

『宗家はご満足のご様子』

 家元の背中に控える二人は、安堵と悦びに満ちている。

「ま、こんなものね、今年は」

 そのセリフは、和花に生けた花のできばえなのか、何なのか。

 満足げな家元は、扇で、口元を隠しながら、細い笑い声を漏らしたのだ。

 和花をあざけるような笑い声を聞きながら、苦しいほどに上り詰めたオーガズムは、いつまでも高いところから降りられない。

 再び、ストロボが、周り中からたかれる。花に飾り立てられた女体のオーガズムは、被虐の美を完成させたのだ。

『ああ、もう、死んじゃう、このまま……』

 脳の奥まで、快楽の炎に白く焼き尽くされていた。張り型を押し込まれた肉壺は、生けられた花々に、僅かな風が当たるたびに、ドロドロとした官能を送り込んでくる。ホンのわずかなはずの動きなのに、増幅された振動が、沸々と、子宮を煮えたぎらせていた。

 いったい、どれくらいの間、和花は花器になっているのだろう。

 牝芯を頂点にブリッジをしたまま、手足をつなぎ止められる不自由な体勢。

 さすがの和花の呼吸が苦しくなった頃、気がつくと、いつのまにか、股間の花がすべて取りのけられていた。しかし、モノのように扱われる和花の試練は終わったわけではない。

 男達の余興の時間だった。

「華道のたしなみも大事だからな」

「日本の伝統に理解をすることこそが、政治家の務め」

「ビジネスばかりでは人間が歪む。ここで風流心を持つのも、また、一興」

 欲望を剥き出しにした中年男から、総白髪の老人に至るまで、口々に勝手なことを言っては、和花に花を生けに来る。

 いや、生けるのではない。

 花を生ける仕草のまま、あちらをいじり、こちらをひねり、牝芯の張り型を、ズルズルと入れ直しては、和花の淫楽のうめきを引き出してくる。どの男も、花を指すだけでは満足などしないのだ。
 
 あげくは、ここにも赤い花が咲く、などと言ってはキスマークを付けていく。

 もちろん、わずかに残った和花の理性が、夫の元に返った時に、キスマークを付けられていては困ると嫌がったのを、逆手にとっての玩弄だった。

 いや、ひょっとして「嫌がるように仕向けられ」ていたのかもしれない。男の玩弄に、身も世もないほど恥ずかしがりながらも、快楽におぼれ、キスマークだけを、ひたすらに嫌がるようにと。

「お願いします、キスマークだけは、お願い、お許しください」

 必死になって哀願する身体に、容赦なくキスマークが赤々と付けられるたびに、縛められた和花の身体を快楽が駆け抜けてしまうのだ。

 嫌がりながら、男達の玩弄に悶える和花。淫声を放つたび、オーガズムに身体を震わすたびに、ストロボが光った気がする。

 遊び半分の、男達の狼藉に、それでも快感を感じなくてはならない自分が惨めだった。

 もちろん、惨めな和花に興奮した男達は、他の女達に欲望を放っている。初老の域に達した男達が大部分だったが、二度、三度と精を放っても、誰一人、欲望が尽きない様子なのは、異様な光景なのだが、そんなことにまで和花の頭は回らない。

 ただ、男の欲望とは、射精することだけではない。

 男の本能には「女を意のままに支配する」ことに悦びがあると、インプットされているのだ。特に、ここにいる男達は、誰もが社会的立場を持っているだけに歪んでいた。

 なにしろ、現実の社会で、権力も財力もそれなりに持っている男達だ。普通の「支配」では満たされぬ、黒い欲望を、ここで満たそうとしていた。

「相変わらず、新規様は、すごいですね」

 後ろに控えていた、高弟、緒方総司は、その立場故の気安さで、時折、親しい口調になる。もちろん、その言葉が家元の耳にだけ届く時を狙ってだが。

 ご披露会は、会を支援する有力者達の結束を固める場でもある。普段は、個室で好き放題だったが、今日は、居並ぶ前で、お互いが欲望を剥き出しにする。

 特に新たに会員となった者達は、表の顔では、チラリとも見せられぬ黒い欲望を、ここぞとばかりに爆発させていた。

 しかし、こうやってお互いの欲望を剥き出しにする光景を見せ合えば、会員同士の結束は、二重の意味で固くなるのだ。同好の士としての親密さと、互いの黒い欲望を知ってしまった、悪魔の一員としての結束だった。

 ここにいる会員同士は、マフィアのように、いや、それ以上の結束力を裏側で持っているのだ。

もちろん、それを取り仕切る家元は、一切言葉のせぬまでも、男達の欲望を知っているという強みがある。「御台」の写真を撮りながら、必ず、新規会員との写真を押さえてあった。

 もちろん、口に出すことは、全くなくとも、それは無言のプレッシャーではあった。

 男達は欲望の限りを尽くし、代わりに、弱みを握られているのだ。

 それを知っているからこそ、緒方は、新たに会員に紹介された「新規様」達の欲望を密かにあざ笑ったのだ。

 家元は、そんな弟子をたしなめもしない代わりに、振り向きもしないでつぶやいた。

「そう。一生懸命築き上げた地位も、溜めたカネも、男の欲望を満たしてはくれないってことを気がついてくれれば、来てもらった甲斐があるってわけね」

「はっ、御意」

 もう一人、後ろに控えている高弟、松本琢馬は、幾分しゃちほこばって、短く答えた。
 
 2歳年上の先輩をチラリと見る緒方の目には、気のせいか冷ややかな光が差していた。

自分たちを眺めている家元達の会話も知らず、男達は、その歪んだ欲望を暴走させようとしていた。

 散々に和花の身体に、そして、和花の周りに同じように身体を開いていた人妻達に、気の済むまで精液を放って肉欲を満足させた後は、歪んだ心を満たすために、女達の尊厳を奪い尽くそうとしたのだ。

 もちろん、奪い尽くされる和花は、家元の思惑も、男達の思惑も知ることはない。多田ひたすらに、男達の暴虐に耐え、女の尊厳を、差し出すしかなかった。

一人の男が「座興のひとつに、小便をさせろ」と囃した。

 金で転ぶ女なら、いくらでもいる。金に不自由もない。しかし、商売女にもできぬような屈辱を、ごく普通の人妻に強いるのは、たまらない。

 これこそが、この歪んだ男達の悦びなのだ。

 だから、慎ましやかな人妻に、人前で小便をさせることくらい、座興のひとつに過ぎないのだろう。

 しかし、させられる方にとっては、たまったものではない。

 そんな、むごい声を聞いて、そんなことができるわけないと思った和花が、次の瞬間、家元が命じるままに、花瓶をまたいでいた。

 心が悲鳴を上げているのに、身体は勝手に、尿道を緩めている。

 空洞を響く、ゆばりの音が、男達の哄笑が、和花の心を壊していく。

 中腰のまま、男達のやんやに騒ぎ立てる声を聞きながら、まさかの、人前での排泄行為をしている自分がそこにいた。

 その記憶は、拭いたくても、どす黒く刻みつけられ消すことはできない。

 あの時、別の男が叫んだ「ウンコもさせろ」という声に、そんなことできないと思った。そんな非道なことが、できるはずない。

 しかし、家元がもしあの時「しろ」と言っていたらと戦慄してしまう。

「まだ早い」
 
 家元は、意味ありげに、首を振った。だから、和花は、人前で究極の羞恥を演じずにすんだ。しかし、それは、和花が拒否したからではない。家元の胸元ひとつの問題だったのだ。

 その胸の内次第、口先次第で、女の、いや、人としての尊厳すらも、あの時捨ててしまったのだと、思い知らされた和花なのだ。

「ご披露会」の記憶は、和花の心に焼きごてで、二度と消せぬ烙印を押していたのだ。

生けられた妻 その28
家元 5/6(水) 22:47:16 No.20090506224716 削除
「はあぁ」 

 中央高速を順調に走る大型車の後部座席で、和花は、微かなため息をついていた。 

「ああぁ」

 またも、わずかな声が和花の口から漏れる。静かな車内で、はっきりと聞こえた。

 ため息ともつかない声だった。

 車の中で、何一つ隠せない裸体だった。さらけ出している胸をかばうように、わが身を抱きしめながらも、乳房を隠してしまわないように気をつけている和花だった。

 ツンと尖ってしまった乳首が車の動きとともに、微妙に揺れている。外の景色を脳裏から追い出すように眼を閉じていた。

 あり得ないほどの羞恥に、心が悲鳴を上げながら、身体は、和花の言うことをきいてくれない。

 高速をゆっくりと駆け抜けている車内で、商売女もやらないような痴態を演じているというのに。

『あの時もそうだった』

 和花は「ご披露会」のことを思い出していた。

 あの時、どこか、大きなお屋敷のような場所に着いた。シャワーを浴びて、いよいよかと覚悟を決めようとした時に、あの「聖なる香」を嗅がされた。
 
 何をしたわけでもない。香を嗅いだだけのことだ。

 しかし、そこから、なぜか記憶が曖昧になっていた。ただ、不思議な匂いに包まれながら、家元の冷たい目だけが和花の心に刻みつけられていたのだ。

 いやらしいことをしているわけでもない。家元の静かな言葉を受け入れて、ハイと頷くだけだった。それだけで和花が経験したことも、いや、想像したことすらもない快楽が、身体にわき起こっていた。

 一方で「逆らうことを考えてみよ」時折混ぜられるその言葉を聞くだけで、信じがたいほどの苦しみが、身体の中から、わき起こってくる。

 その度に、家元の手が、和花の額を撫でて苦しみから解き放たれた。

 和花は、やがて、母犬を慕う仔犬のような眼差しで家元を仰ぎ見ていた。快楽と苦痛の、訳のわからぬ混迷の中で、家元の目だけが和花の頭に刻みつけられ、ひたすら「服従せよ」という言葉だけが、心を塗り込めていった。

 そうやって一度、服従が刻みつけられると、どれほど恥ずかしいことを命じられても、逆らえなくなっていた。

 思い出したくもない、衆人環視の中での羞恥の行為、そして、居並ぶ男達とのセックス。

 命じられるがままに、尻を上げ、脚を広げ、あげくは、自らが男の膝に乗って、男根を飲み込んだ。

 どの男も深々と和花の牝芯を味わい、子宮に届けとばかりに、射精してきた。

 信じられなかった。

 夫だけしか知らないはずの自分が、見知らぬ男達の射精を受け止めながら、身も心も蕩けんばかりの快感を味わっていた。これほどの快楽があったのかと信じられぬ思いのまま、心も体も溶け出しそうなセックスを繰り返す。

 男達の精液を、子宮が溢れかえるまで、たっぷりと出されるだけではない。

 男達は、牝芯に注ぎ込まれた精液をことさらに掻き出してみせることを好んだ。

 だから精液を、次の客が掻き出す間、高々と尻を上げたままにせねばならなかった。

 人前でセックスをするのも、狂気の沙汰だが、受け止めさせられた男の精を掻き出すために、秘部を高々と掲げている自分は、いったい何なのかと思った。

 しかし、家元が、尻を高く掲げろ、といえば、けだるい身体にむち打って、尻を差し出すしかなかったのだ。快楽に腰を振るのは許されるが、恥辱に耐えかねて姿勢を崩してはならなかった。

 煌々と照らす灯りの下で、男の目の前に高く尻を差し出す姿勢。ヨガのポーズにも大胆なものは、数多くあるが、裸身で、それも、大勢の男に囲まれながら、これほど屈辱的な姿などあり得ない。普段なら、チラリとでも頭に浮かぶことすらないような羞恥の行為だった。

 今、思い浮かべるだけで、この身を、この世から消してしまいたくなるほどの羞恥の姿をさらしたというのに、なぜかあの時は、ひたすら快楽を感じていた。

 その代わり、恥ずかしさに耐えかねて、家元の言葉に身体がすぐに従わなかったり、姿勢を僅かでも崩すと、心の中に、不可思議な獣が現れて、散々に心を食い散らかし始めるのだ。

 その苦痛と、不快さは、与えられた快楽が信じられぬほどであるのと、まったく正反対で、想像したこともないほどの、凄まじい苦痛だった。

 そんな苦しみを味わえば、次第、次第に、ほんの少しでも逆らうことなど思いも寄らないことへと刻み込まれてしまう。

 だから、命じられるがまま、和花は次々と目の前に立つ男達の欲望につくすしかない。昨日まで夫しか知らなかった慎ましい人妻の身体は、好き放題に弄ばれるしかなかったのだ。

 さんざんに犯された後だった。

 中をくりぬいて、花を挿せるようにした特製の張り型を受け入れさせられた。

 牝芯そのものが、花器となってしまったように、ヨガで鍛え抜いた身体をフルに生かして、両手両脚を伸ばして、ブリッジを造る。いや、わずかに脚の長さの分、ブリッジの頂点は、腰のあたりとなるのも当然だった。

 その姿のまま、黒々とした荒縄が自分を縛めていくのを、他人のことのように見ている和花がいた。

 その頂点で、花が生けられていた。
 
 花を刺した張り型など無くても、十分以上に屈辱的な姿勢だ。

 大きく広げた脚の間で、花が揺れる。その振動が、張り型に伝わって、子宮に官能を読んでしまうのも仕方がないことだ。

 和花が、淫声を漏らすたびに、男達が哄笑するのが聞こえる。

 ひどく惨めだった。

 それなのに、和花は、牝芯に生けられた花々の香りの中で、強烈な快楽を味わってしまっていた。

生けられた妻 その27
家元 5/6(水) 17:39:37 No.20090506173937 削除
 アパートの前に、不似合いな大型車が横付けされる。

「お疲れ様でした」

 後部座席のドアを開けながらの最敬礼。

 和装の若者の慇懃な礼は、もちろん家元に向けられたものだ。大きく広げられた後部座席に、家元は、さっさと乗り込んでしまった。

 和花のことなど忘れたかのような無造作な挙措だ。

 逃げ出すのなら、最後のチャンスのはずだった。

 しかし、再びの清めの儀式を受けた後の和花に、包丁を隠した時の勇気は、もはや、ない。覇気は夢の彼方に消え、木偶人形のごとき今の和花に、自分の意志で逃げ出すことなど、思い浮かべることすらできなかった。

 和花の頭には、さっき言いつけられた通り、家元に着いて行くことしか浮かばない。

 一瞬のためらいが見えたのは、このまま横に乗って良いのか、はたまた、助手席に乗るべきだろうかと言うことに過ぎない。

 その和花を、家元は、自分が乗った後部座席に招き入れる。

 低く、静かな音を立ててドアが閉められた。和花は、柔らかなシートに背中を着けて、眼を閉じている。

 エンジンの音すらほとんど聞こえぬまま、静かな加速を感じた。ホンの短い沈黙を破るのは、家元の淡々とした言葉だった。

「これから、おまえはお客様をお迎えするんだよ」

 ギクリと目を開ける、和花。一瞬、家元の顔を見つめ、慌てて、足下に目を伏せた。

『いやあ』

 頭の中に、拒絶の叫びがこだまする。しかし、もちろん逆らう術もない。あきらめにも似たため息とともに、ただ、暗く、辛い記憶だけが蘇ってくる。

『また、あの時のように……』

「これから、アタシはひと足先に帰る。おまえは、お客様とゆっくりと来るんだ」

「はい」

「いいかい、アタシがいなくても同じだよ」

 家元は、右手をガッと開くと、親指と人差し指で、和花のこめかみをいきなり捕まえる。わずかに入れられた力にさからえず、そのまま、首だけが仰向く和花。

 指先から、何かの力が頭に直接流れ込んでくるような錯覚がある。
 
 和花は眼を閉じて、流れ込んでくるモノに身を任せるしかないのだ。

 少女のように可愛らしい耳たぶにピアスの孔など無い。その耳に、家元は、息を吹き込むようにして囁いてくる。

「お客さまの言葉は、私の言葉。私の言葉は神の言葉。聞かずにいれば地獄の苦しみ。素直に聞けば、極楽の悦び。もし、私の言葉を裏切れば、お前は自分を刺して死ぬ」

 まるで、こめかみから直接頭脳に刻みつけられるように、その言葉は、和花の頭に響いてくる。

「お客さまの言葉には絶対服従。お客様が喜ばなければおまえは地獄の苦しみだ。あの地獄の苦しみを、おまえは覚えているだろう?」

 ねっとりした黒い言葉が、和花を包み込んでいる。

「ああ、はい。いやあ、苦しいのはいやあ」

 なぜか、和花の口調はひどく幼いものになっている。

「じゃあ、言うことをきくんだよ、そうすれば、さっきのように、天国のような気持ちよさを味わえる」 

「はい、言うことを、きき……ます」

 どこか夢の中にいるような、返事だった。

 和花の瞳には、澄んだ光もなければ、知性の輝きも曇ったままだ。

 ただ、そこには、刻み込まれた「快の記憶」と「恐怖の記憶」だけがあったのだ。

 和装の若者の運転する、黒塗りの高級車は、一路高速をN県へと向かった。後部座席に、儚げな様子の人妻と和装の男を乗せて。

 最初のサービスエリアに停まった後、高級車の後部座席から、たおやかな人妻の姿だけ、消えていた。

生けられた妻 その26
家元 5/6(水) 17:00:52 No.20090506170052 削除
 一見、人妻の普段着といった風情だった。

 が、よく見れば、普段の慎み深い和花のいでたちとはずいぶん違う。

 胸もとが開き気味のシャツを胸のボタン二つ開けているから、白い胸元の柔らかカーブが覗いてしまう。もし、かがみ込みでもしたら、その白い乳房は先端まで丸見えになってしまうに違いない。

 もちろん、ブラジャーは許されていないのだ。

 フワリとしたミニスカートは、それだけなら少しも過激ではない。むしろ、人妻らしい控えめなミニの丈だったが、ミュールから続くスラリとした脚には、どきりとさせられるだろう。

 その上、もし、ミニスカートの中が覗けてしまえば、慎み深いショーツではなく、小さく処理されている秘毛が、直接見えてしまうはずだった。

 下着も着けぬミニの下から、わずかな風が股間に吹き込んでくる気がして、和花は、下半身がひどく頼りなく感じてしまう。

 女として惨めさを思わないではいられない格好だった。

 だから、誰も見ていないとわかっていても、スカートの裾を気にしながら、クルリと振り向いて部屋の鍵をかける。

 つかの間、掌に温めた鍵を、新聞受けから落とし込む。玄関に落ちた金属の響きが、和花の心に痛みを感じさせた。

『ここに戻って来るのは ……もう、無いよ、ね』

 家元からは、何も言われてはいないが、そんな気がした。

 あの汚辱の場所に、再び行くのだろう。

『最初の時は何も知らずに行ったけど、今度は違うもの』

 汚され尽くした身体だった。振り払っても、振り払っても、男達のいやらしい笑い、体中を這い回る手、わが身を好き放題に蹂躙する男根が、夢の中にさえ現れていた。なぶられ、犯されている自分の姿に、夢とうつつの狭間で苦悶し続けていた。

 延々と続く汚辱の数々に屈してしまった自分が許せない。

 この世に、これほどの快感があるのか、自分の身体が、何でこれほど感じてしまうのかわからない。あそこにあったのは、平凡な人妻である和花が想像もしたことのないほどの快感だった。
 
 それは身体が溶け出してしまう恐怖すら感じた強烈なオーガズムだ。あの切ないほどの快楽に、抗う術はなかっただろうと和花は思いたい。しかし、その白く輝くようなオーガズムと引き替えに、人妻として、女として、大事なものを全て奪い取られたのだ。

 あの時のことを思い出してみれば、今度、再び汚辱にまみれた後で、「家に帰って良い」と言われても、どんな顔をして、もう一度夫の顔が見られるのだろう。

「しばらくの間」と夫へ送ったものの、もはや夫に合わせる顔はないと思えた。

 これから和花を待っているのは、貞淑な人妻としての全てと引き替えにした、汚辱に満ちた禁断の快楽なのかもしれない。

 それを和花は受け入れなくてはならない。

 この間は、知らずに、そんな煌めくような汚辱の世界に飛び込んでしまった。しかし、今度は「それ」が待ち構えているのを承知で着いて行くのだ。

『もう、夫に合わせる顔がない』

 決して、快楽に負けて着いて行くのではない。それは、真実だ。しかし、わけもわからぬまま、家元の言葉に一つも逆らえない自分がここにいるのも、また、真実なのだ。

 だから、和花には、自分が夫を裏切ってしまったのだとしか思えない。それなら、もう、優しい夫の待つこの家に戻ってこられるはずがない。

 キーが、カチャンと響かせた金属音は、幸せな和花の生活が壊れる音なのだ。

 和花が着いてくることを、少しも疑わない家元は、さっさと廊下を進んでいる。思わず小走りになって追いすがる自分の姿が、滑稽に思える。

『でも、洗うことを許していただいて、良かった』
 
 安っぽい外階段を、家元の肩を見つめながら降りる和花の頭に、ふと浮かんだのは、自分でもおかしいことに、身体を綺麗にできたことを喜んでいる自分だった。 

 シャワートイレのビデを使ってではあったが、股間を清めることだけは、なぜか許されたのをうれしく感じてしまう自分がいた。もちろん、真っ裸のまま、大きく股間を広げてビデを使う間も、正面から、家元に見下ろされながらの行為だ。

 いや、これ以上ない恥辱の行為を目の前でさせながら、家元は、さっき和花が打った夫へのメールを、ことさらに送信して見せていた。

 足指に悶えてしまったケダモノのような行為の後始末をしながら、夫への別れのメールが送られて行くのを見つめる和花には、どんな言葉も浮かばない。

 そのくせ、家元が、止めと命じるまで、股間を流すまま、しどけなく股間を広げている。そんな自分は、もう、どうかしているとしか思えない。まるで何かのマシーンの一部になったかのようだ。

 階段を下りきった和花は、たった一度だけ、二階にある我が家を振り返った。

 窓に反射した、すがすがしい陽光が歪んだのは、まぶしさだったのか、涙だったのか、自分でもわからなかった。



-----------------------------------------------------------



生けられた妻 その25
家元 5/6(水) 17:00:08 No.20090506170008 削除
 煙に包み込まれたまま、家元の目から、視線が外せなくなっている。見つめてはいけないはずのその視線は、和花をとらえて放さない。

 じっと、見つめる瞳の奥に吸い込まれそうな恐怖があった。いや、次第次第に、和花の意識は、家元の身体に吸い込まれていく気がする。

 いつのまにか、和花に身体はない。いや、意識だけが宙に浮かんでいる気がした。

 ただ、香炉を支える人形のような物体があって、それを家元の視線から見ていた。

 自分の身体であったものを外側から見る。不思議な感覚だった。

「この身体は誰のものだ?」

「はい、宗家のものです」

「この身体が気持ち良くなるのは誰のおかげだ?」

「はい、宗家のおかげです」

「そうだ。よしよし。良く覚えている」

 家元の人差し指が、和花の眉間に円を描くように動かされると、和花の心にフワリと心地よさが広がってしまう。凍てついた冬にありついたたき火のごとき心地よさだ。しかし、その心地よさの裏側には、あたるもの全てを焼き滅ぼす、間の力を持っている。

 つと、和花のこめかみを家元の親指と中指が挟み込んでくる。それだけで和花の心拍数は上がり、重苦しい予兆が渡来してくる。

「私の命令を聞かねばお前はどうなる?私に逆らったら?」

 ズキズキと、こめかみに当てられた指から苦痛が流れ込んでくる。家元の言葉に逆らうことを考えるだけで、和花の心は、黒い獣に食い荒らされてしまうのだ。

 震える声で、和花は答える。

「はい、辛くて、苦しくなります。命令を破ったら、私は死んでしまいます。お願いします。言うことをききます」

 繰り返し、従います、言うことをききますと唱えると、その度に少しずつ苦しみが去っていく。うわごとのように、言うことをききますと繰り返し続ける和花を、満足げに見下ろす家元の表情は冷たいままだ。

「忘れてはならない。もう、私の命令無くして、お前は生きていけないのだ」

「はい、生きていけません」

 ガクガクと、何者かに取り憑かれたように頷くしかない。

「この身体を捧げると、おまえはどうなる」

「はい、これ以上ないほど幸せです」

 感情がまったく混ざらない声が、自分の身体から出ているのを他人事のように聞く、不思議な体験だ。しかし、宙に浮かんでいる和花の意識もまた、家元の命令に逆らってはならぬのだと、心に刻みつけられているのは、同じなのだ。

 和花の頭に浮かぶのは、身体を捧げ尽くした時の幸せと、逆らった時の苦しみだけだ。

「ふん、口ではどうとでも言える。本当か?真を見せてみよ?」

 家元が足袋を穿いたままの足先を和花の膝先に近づける。まるで、待っていたとでも言いたげに、白い膝がパッと広げらた。

『ああ、これ、これはぁ、だめぇ』

 宙に浮いている和花の意識は、広げられた自分の膝の奥に、熱いものがこみ上げてくる予感に、早くも身もだえしかかっている。

「ああぁ」

 不意に、鋭い声がでる。宙に浮いている意識の声なのか、目の前の身体が発している声なのか。

 和花を鋭い快感が貫いていた。

 ピンと背筋を伸ばしたまま、これ以上ないほど広げられた太腿。その間に、無造作に入り込んだ家元の白い足袋の先が、和花の牝芯をなぶっている。

 足指に正座姿の裸体を、それも、女の尊厳とも言うべき秘部を、屈辱的な形でなぶられながら、和花は、屈服の淫声を漏らし続けている。

 姿勢を崩すことは許されていなかった。

香炉をきちんと顎の下にくっつけたまま、淫声を上げては、激しい呼吸で「聖なる香」に清められながら、より深い快楽にはまり込んでいた。

「落とすな、落とすと、仕置きぞ」

 言われるまでもなく、香炉の煙をもっと、もっと吸い込みたがって、落とすことなど思いも寄らなかった。背中を強烈な白い光が駆け上っている。

「はい、あう、あう、はああ、あうう」

 和花が、かつて知らなかった快感が、そこにはあった。脳の中をドロドロに蕩かして、すすり上げられてしまうような快楽だ。

 目の前の家元の姿が赤く、青く点滅し、部屋いっぱいに大きくなったかと思えば、足指の先だけの存在となって和花の牝芯をかきまわして来る。

『ああ、溶ける、溶ける、溶けるぅ』

 光が部屋中に輝いて、和花の身体からも光が放たれる。そんな世界が和花には見えるのだ。溢れる光は、そのまま和花のオーガズムの快楽となって、世界と溶け合っていった。

「あぁ、あう、あああ」

 和花の瞳は既に、濁りきって、もはや現実の何者も見えてない。誰もが魅惑されるつややかな唇の端から、つっと一筋の涎が糸を引いていた。

 もはや、どこまでが現実で、どこからが快楽なのか、わからなくなっている。

 和花を覆った快楽の闇は、全てを忘れさせる「魔」を持っていた。

春が来た 35
道明 5/4(月) 10:23:46 No.20090504102346 削除
今日も、新藤がデスクに着くと
示し合わせたように、江藤と瑞希がイチャツキ作戦を開始した

瑞希が江藤の側近くでパソコンのキーを叩いている
そして江藤が、そのしなやかなに踊る女の指に手を伸ばす

「イヤーン、係長・・・打ち間違えるじゃないですかぁ」

「おぅ・・・すまん、すまん
 つい、どうしてそんなに指が動くのかとおもってなぁ、伊藤」

江藤の手は、瑞希の指先から離れると、今度は肩を抱くように伸びていく

(へっ!所長のやつ・・・・こちらを見ているのだろう
 もうちょいと、見せ付けてやるか・・・・・・)



新藤が席を立ち上がる、そして言った

「えぇーと
 江藤係長は伊藤さんから、もう聞いていると思うが
 事務所内の模様替えと席替えのことだ・・・・・・・・」
 
二人とも、ほうら来なすったとばかりに
瑞希はそ知らぬ顔をして前方を睨みつけ
江藤もまるで新藤の言葉を聞き流している

「取りやめることにした、だから・・・・」

(えっ!!取りやめる・・・・・ふん、諦めたか)


「だから・・そんな見え透いた子どもの飯事はもうやめたまえ
 もう終わりだ・・・・そう、此処ですることは、はもう終わりだよ」

「どういうことでしょうか?私にはさっぱり」

「分からなくていいよ、江藤係長
 それより、伊藤さん!
 これまでの此処での仕事の整理・・・・あっ、すまない、何もしていないか
 化粧とファッションに専念していたもんなぁ
 とにかく、君は来月、本庁へ異動だ・・・嬉しいだろう?
 そのファッションを大勢の職員が見てくれるぞ
 それに、間違いなく残業がある、もちろん土、日の出勤もな
 君のご主人も安心?!・・・・・・・・・・・・・・・・」

恐ろしいほどに睨みつける夜叉の視線が、新藤の言葉を遮る

「所長、こんな時期に人事異動ですか?それって・・」

「ああ・・・今朝、内示が出た
 君は、新設される意識改革推進本部への異動だ」

「私が?・・そんなところに!それは、所長、もしかして
 私を潰す・・・・」

「馬鹿な、そんなことを行政が考えると思っているの、伊藤さん
 知事の特命による新組織だ、県の精鋭が集まってくる
 やろうとしていることは、職員の意識改革と人材育成だよ
 君は、健康不安もあることだし、私の目の届く席にしている」

「はい?」

「私もそこへ異動なんだ、本部長としてなぁ
 君には私の秘書として、能力を発揮してもらうつもりだ
 これは知事の命令だ、嫌なら退職届を出しなさい」


再び憎しみを帯びた夜叉の視線が、新藤の顔を刺す
しかし今度は、冷ややかな視線を投げ返す新藤
視線の先は、瑞希の顔ではなく・・・この女の肢体
ミニのスカートから見える、しなやかに伸びる長い脚

「言っておくが、新職場は女性も男性も区別しない厳しい職場だ
 したがって、執務時間中、女性はスカートを禁止する
 いいね、瑞希君」

江藤が、カラスに油揚げを奪われた狐のように、口をあけていた

春が来た 34
道明 5/2(土) 18:48:34 No.20090502184834 削除
・・ロダンの「接吻」

逞しい男の手が裸婦の腰をしっかりと引き寄せている
男の背の筋肉は緊張気味だ
裸婦は男の頭に、そのしなやかな手指を回し、自ら男の舌を求めている
次第に、男の性欲が高まってくる
男の手が豊満な裸婦の乳房を握りつぶす

「・・・痛い」

そう叫んだ女は、再び激しく男の舌を吸いはじめる
ひたすら男の口を求める女の顔を
感情のない男の目が眺めている

目の冷たさと異なり、男の怒張は歳を感じさせないほど精力が漲っている
それに気づいた女は、怒張に両手を添え頬擦りし
唾を塗し、舌で筒先の天辺を舐め始めた

男の手が女の肩から頸そして乳房へと動き回る
怒張を喉元深く差し込まれた女は、上目がちに男へ媚を送る

(・・・・この人の目・・なんて冷たい眼差しなの?)


男の指先が既に勃起している女の乳首を撥ねる、捻る
そして、乳房全体を揉み、その柔らかさを手に吸い込ましていく

「あーん・・・お願い、もう私」

女の女陰は既に蜜が滲み出し、雌が雄に肉交をせがんでいた


「まだだ・・・遼子、もう暫く我慢しろ」

「いやーん・・・・・私、我慢できない」


これで、遼子とは何度目だろう?
歳の離れた女との遊びを覚えた新藤は、もう数えきれないくらいに嵌っている
社会も、家庭も、仕事も忘れ・・
五十歳を過ぎて初めて知った、ひたすら快楽を求める男女の肉宴

30歳の遼子もまた、性の快楽の虜になっていた
既にこの世にいない優しかった夫との性行為
それでは得られなかった快楽を、新藤から与えられていた

(この人・・・強いし、持続力もある、それに・・・大きい、ああ、堪らない!
 あぁぁん・・逝く、逝くわ・・・・・いつものように、私が先に)


遼子は妊娠しないようにピルを服用している
二度、三度と必ず遼子を逝かせた後、新藤は膣奥深く射精する
今夜も、遼子に最初の絶頂が近づいていた

生けられた妻 その24
家元 5/2(土) 07:43:11 No.20090502074311 削除
 せめて、と懇願したあげく許された「別れのメール」。

もちろん、夫へのメールを打つ間、乳房も茂みも蛇のような視線にさらされたままだった。震える乳房も、そのツンと尖った先端も、そして、女としての慎みを持った翳りも、全て男の目にさらしたまま、愛する夫へのメールを打たねばならなかったのだ。

 いや、身体を見られることよりも、打ったメールすら、自分で送らせてもらえないことの方が、つらかったかもしれない。

 家元は、和花のメールを、一瞥して、満足げに頷いてから、脱ぎ捨てられた服の上にヒョイと放り出される。

 和花は、それを、悲しげに見つめることしかできない。最後の別れの言葉になるかもしれぬメールが、こうして、土足で踏みにじられるように扱われるのは、辛い。

 最後の「意志」を通した後は、和花の全ては家元の命じる言葉が全てだった。忘れようとしても決して忘れることのできない「ご披露会」の淫辱の記憶が、脳裏に黒い膜を張る。

『儀式、あれを……』

家元の目は、水槽の金魚を見る目つきのまま、和花の指先の動き、ひとつ一つまで見つめている。その視線の執拗さに、身をすくませるしかない。

 ただ、この場で犯される心配は感じなかった。

 あの時も、この家元だけは、和花に侵入しようとしなかった、と思う。途中から記憶すらも曖昧になっていたが、この家元に抱かれた記憶は全くなかった。もちろん、それよりも恥ずかしい数々の仕打ちを受けてはいたが。
 
今、命じられれば、あの時のように、たちまち和花は女奴隷となってしまうだろう。恥ずかしさに心が悲鳴を上げながら、身体を広げてしまうことを、あの時、嫌と言うほど思い知っている。

 一言、命じられれば、そこが、家族と団らんするリビングでも、いや、たとえそこが夫と愛を交わす寝室であったとしても、和花は、その身体を開かねばならないのだ。

 しかし、幸い、その気配はなかった。

 そろどころか、さっき目の前で、全てを脱いだ和花の身体を見る目に、まったく男としての熱気など無かった。

 しかし、和花を待っているのは、再びのあの儀式だ。

「さ、まずは、お清めから、ね」

 スラリとしたその裸身のまま正座した和花の目の前に、家元がすっくと立っている。典雅な立ち姿ではあるが、見上げる和花には、とてつもない威圧感がある。

『ダメ、逆らえない』

 逆らうことなど思いも寄らなかった。言うことをきかないと、何か巨大な恐怖と不快感が、あの時のように和花を圧倒する予感があった。和花の心に刻みつけられた、深く、強い圧力だった。

 白い乳房を隠しもせず、ピンと背中を伸ばした、端正な正座のまま、待つことしかできない。張りつめた太腿に乗せた掌に囲まれるようにして、黒い茂みが、白い身体のアクセントとなって浮き上がっていた。

「さ、これよ。聖なる煙で身を清めなさい」
 
 背筋を伸ばしたまま、家元の手から小さな香炉を押し頂いた。あの時よりも小型だが、立ち上る煙の香りは、記憶の通りだ。

 かすかな腐臭に似た独特の匂い。

『ダメ、これを嗅いでしまったら.もう、ダメ、嗅いじゃダメなの!』

 既にうっすらと煙が立ち上っている。あの時と同じだった。

 しなやかな手は、和花の心を裏切って、顎の下に香炉をあてがっている。

 静かな呼吸のまま、深く煙を吸い込む。腹の下にため込むように。

 押し頂いた香炉を顎の下に持っていった瞬間から、早くも、えもいわれぬ快さが体中に広がっていた。

 吸い込んだ煙が、体中に溶け込んでくる。

 フワリと身体が浮かぶような心地に身を任せると、全てのことがどうでも良くなって、心が無防備になってしまう。その開け放たれてしまった和花の心を、家元の言葉は自由に支配してしまうのだ。
 
 家元は、和花のトロリと濁った目を覗き込んで、何事かを囁きかける。

 和花の頭から、愛する夫と息子の顔が消えた。

生けられた妻 その23
家元 5/1(金) 18:03:31 No.20090501180331 削除
 思っても見なかった。

「ひっ!」

そこに立っていたのは、総花婬流宗家 立花気転院。

 通常は、宗家、あるいは、家元と。そして高弟達からは、ただ「先生」と呼ばれる、たった一人の男だった。

 思わず後ずさる和花。

 家元は、和花の影法師のように、そのままするりと玄関に入り込む。

 立ちすくむ和花。

『何で、何で、この人が来るの。この人じゃなければ…… ああ。だめ……』

 迎えに来るはずの男と差し違える覚悟の包丁も、瞬時に頭から消えていた。

 静かに佇んでいただけの家元だったが、そこには不思議な貫禄というか、和花を威圧する何かがあったのだ。

 自分を慰み者にした、あの若い男達が来たのなら、和花は必死の勇気を振り絞って、ためらわずに包丁を取り出せたはずだったのに。

 和花の絶望的な混乱を気にも掛けず、和花を上から下までじろりと見つめる家元。

「スカート姿は、良いが、もう少し短くないといけない」

「はい。すみません」

「裸になって、そこに立ちなさい」

 草履すら脱がぬまま、家元の指は、ホンの小さな玄関から続く、リビングの真ん中を指していた。

 一言もあらがえず、ためらうことすらできない和花。

 心は悲鳴を上げているのに、手は止まらない。

 薄いグリーンのワークシャツのボタンに、和花の細い指先が動く。

 フワリと脱ぎ捨てれば、スカートにブラジャー姿。人妻らしいシンプルなブラのカップの中で、白い乳房が揺れる。膨らみへと続く、胸元の緩やかな曲線には、かすかに鳥肌が立つ。もちろん、寒いわけがない。

 しかし、総毛立つような恐怖の中で手は勝手に動いている。脱ぐ順番など、考えも付かなかった。

 まるで、一人、風呂に入る時のように、あっさりと、ブラのホックが外されて、夫以外の男の目の前に、和花の豊かな膨らみがさらされる。

 男を魅了して止まない和花のバストの先端は、一樹に乳を与えて以来、桜色から少しくすんでしまった。その先端に家元の冷たい視線が痛い。

 しかし、和花の手は、一瞬たりとも止まらない。

 あっさりとスカートを脱げば、もはや、羞恥を包む、ホンの小さな布地だけしか身につけていないが、玄関を、すなわち、家元の正面を向いたまま、ショーツまでも、そのしなやかな手は一瞬のためらいも見せず、しごき降ろしてしまう。

 和花の恥じらいがせめても、現れたのは、脱いだショーツを軽くたたんだ服の一番下に入れさせたことだけだ。心がどれほど悲鳴を上げても、身体を隠したりは許されない。

 しかし、そのまま恥じらうことなど許されない。家元は、視線で和花の姿勢を促してくる。

 和花は、一糸まとわぬ身体をピンと伸ばして、スラリとした脚を肩幅に広げた姿で立ち尽くした。ヨガで鍛えた身体は、背筋がまっすぐに伸びて、単純な立ち姿だけでも十分に美しい。

 腕は、背中でお互いの肘をつかんで交差する。柔らかな身体が、いともあっさりとその姿勢をとらせるが、その姿勢は、乳房を見せつけるポーズそのものだ。
 
 すべてをさらけ出した姿で微動だにできぬまま、和花は立ち尽くしている。家元の命令どおりに、いともあっさりと、裸になってしまった自分が信じられなかった。

 満足げに一つ頷いてから、家元は、やおら、和花の家に上がり込んでくる。

『こんな、こと……』

 浮気一つしたことがなかった和花が、我が家の真ん中で、夫ではない、そして、愛情も何も、ひとかけらも持たない男の前で、その裸身をさらしている。

 レースのカーテン越しの光は、和花の身体に陰影を付けて、子供を産んだことのある人妻のふっくらした胸と腰を強調するかのようだ。
 
 腕を相変わらず後ろに組んだまま、肩幅に広げた両脚で立った和花は、まっすぐ前を見つめることしか許されない。その姿のまま、蛇のように、身体の隅から隅まで見通そうとする執拗な視線から、逃れることは許されなかったのだ。

 何をチェックされているのだろう。執拗に、隅々まで見つめられてから、ようやく動くことを許された。

 今度は、そのままの姿で茶を入れねばならない。家元は、それがさも当然のように受け取った茶を黙ってすする。家元に茶を差し出す瞬間、自分の乳首がツンと尖ったまま揺れるのに、和花は気がついていた。家元の視線も一瞬だけ、そこに止まるのがわかる。

 家元は、それを見ても何も言わなかった。一方で、和花は、何も言われずとも、せねばならないことがある。もちろん、出かける支度だった。

 出かける支度と言っても、言われていた物を家元が差し出したカバンにそっと入れ、ホンのわずかばかりの衣類を整えるだけだった。

『何で、こうなるの』

 和花の心は悲鳴を上げているが、しっかり者の普段の和花そのままに、裸身のまま手は止められぬ。あっという間に、テキパキと用意が調ってしまうのだ。

 我が家を出る前に、しなければならないことがある。携帯の履歴を消すように命じられていたのだ。

 せめて、と哀願したのが、夫への「最後の」メールだった。

 しなやかな指先が、ボタンを一つ一つ押し込むようにして、別れのメールを画面に作り上げていく。

「送信は、後で私がしておこう」

「はい」

 書いたメールを画面に出したまま、捧げ持つようにして、携帯を家元の手に渡す。しなやかな指先が、微かに家元の手に触れて、危険な電流を感じたように、ヒクリと肩をすくめる。

 リップを付けずとも、健康的なピンク色をしているはずの唇を噛みしめて、そのまま、細い指先を身体の横に戻している。身体を隠すような真似は許されないのだ。

 握り締めた、その指先が白くなるほど、知らず知らずに力がこもっていた。

 目を上げる前に、すかさず、言葉が投げつけられる。

「さ、気はすんだかな?」

 命じられた時以外は、目を見てはならないと教えられた通り、家元の足下を少し見つめた後で、和花は、コクリと頷いた。

『せめて、逃げなきゃいけないのに……。途中で、どうにかして……』

「それでは、出かける前に儀式をせねばならない」

『また、あれを』

 和花の頭に絶望の色が濃くなった。

生けられた妻 その22
家元 5/1(金) 06:38:40 No.20090501063840 削除
 和花が家を空けた日に、何が起きたのか。

 その苦悩は、静かに目を覚ました和花の目に、苦しそうな表情のままで、まどろんでいる夫の姿が映っていた瞬間から始まっていた。

『あなた……』

 しかし、夫にかける声が浮かぶ前に、和花は絶望と直面していたのである。

 ようやく、今朝、重い身体に動く気力が戻った瞬間、真っ先に浮かんだのは、夫への言葉でも、預けてある息子の姿を思い浮かべることでもなく、あの命令だったのだ。

「動けるようになったら、電話をしなさい」

 家に帰される直前の、最後の記憶に刻みこまれた命令だ。

 強烈な圧力が脳裏に蘇って、和花には、それに抗う術がなかった。もちろん、それを夫に喋ることなど思いも寄らないことだった。

 目を覚ました夫に買い物を頼んだのは、せめて幾日かの分だけでも食事を作っておきたいという、主婦の、いや、母親としての本能かもしれない。

 もちろん、買い物を頼む以外に、夫の目から逃れて電話をする方法がなかったということはある。どれほど頭が働いてなくても、これほどの愛情を注がれれば、わからない方がおかしいのだ。

 しかし、心に彫刻刀で刻み込まれたように、はっきりと浮き上がってくる「電話を掛けろ」という命令を、目一杯の愛情を注ぎ込む夫にこそ、知られてはならない。

 その思いだけが和花を支配したのは、和花の本能なのか、それとも何なのか。とにかくも、そこには和花の意志など無いかのように、指が勝手に番号を押していく。

 呼び出し音が3回鳴っただけで、少しも覚えのない番号は、いともあっさりとつながった。

「もしもし……」

「出かける用意をしておきなさい」

 和花が名乗る前に、淡々とした命令だけが被さってくる。

「はい」

 再びの召喚命令だった。

 そんな命令など無視すればいい。そのはずなのに、和花には、それができない。身体の奥に服従が刻みつけられていた。心のどこかに、あの家元の底の見えない暗い瞳が住み着いているのだ。

 あの瞳を裏切れば、また、途方もなく苦しい思いをすることになる。従わないわけにはいかなかった。しかし、命令に逆らえぬまでも、そのまま従ってはならないと、和花の心が懸命の抵抗をしようとする。

 屈辱と淫辱の経験。人妻として、女として。

 すべての誇りを奪い去られてしまった、あの時の体験をもう一度など。

『いやあ、もう、いや』

 和花は、悲しげに、一人首を振った。

 再びあそこへ出向けば、今度こそ、人としての尊厳までも根こそぎ奪われるのは確実だった。

 行ってはならぬ。

 しかし、断ることを考えようとする瞬間、何とも言えぬ苦しさが夏の午後の積乱雲のごとくわき起こり、呼吸すらままならぬようになる。
 
 断る術がなかった。

 葛藤のあげく、和花に残された行動は、愛する夫に最後の奉仕をすることと、せめても、と子どもにカレーを作ることだけだった。

『汚されちゃった身体だけど、せめて、あなたが喜んでくれるなら』

 時間がないのを言い訳に、口でのご奉仕にしたのは、夫との愛の痕跡を他人に見られるのだけは許せなかったからだった。

 おそらくは、また、身体中を、いや、全てを男達にさらけ出さねばならないはずだった。だが、どれほど男達の慰み者になったとしても、夫との関係だけは、汚されてはならなかった。

 しかし、あの男達は、大切な宝物を踏みにじることこそが、好物だと、和花は思い知らされていた。

 だから、和花は精一杯頑張って、口だけですませようとしたのだ。

 軟口蓋にこすりつけるように、喉の奥まで飲み込んだ、慣れ親しんだものから、ドクリと噴き出すものを受け止める。

 苦手だったはずの夫のほとばしりを飲み込むことすら、今はうれしいのは、夫への愛ゆえだと思いたい。

「良かったよ。ありがと」

 夫の笑顔が、心から嬉しかったが、同時にそれは、堪らない痛みを覚えることになる。夫の顔を見るのが苦痛だった。

「行ってきま〜す」

 機嫌良く、子どもを迎えに出かけた夫の姿がドアに消えた。その次の瞬間、和花は、キッチンから包丁を持ち出した。

 あの命令になぜか逆らえぬ自分がいる。それなら、逆らえぬまでも、迎えに来た男に、せめて一太刀でも浴びせて、そのまま自分もどうにかなってしまえばいい。

 せつなくも、必死の思いで玄関のスリッパ立ての影に包丁を隠したのだ。

 ドアチャイムが鳴る。どこかで夫が出かけるのを見張っていたのかもしれない。絶妙のタイミングだった。

「はい」
 
 拳を握りしめながら、もう一度自分の勇気を確認する。


 唇をかみしめながら、指先まで蒼白になった和花が、ドアを開けた。



----------------------------------------------------