摂食障害の子供を持った親としての苦しみを、その通り表現している文章がありました。
・・・子供の心の傷の深さを思うよりも、日常生活のレールを踏み外してしまった子供の姿、子供との緊張した1日、子供との距離感、精神科に通院しなければならなくなったショック、泥水の渦に巻き込まれながら何かにつかまりたいと必死でもがいている気持ち・・・
・・・何をどう治していけばいいのか、どうからみあっているのか、その何層にも重なった傷口がみつからない。母親としての不安は、鉛のような思い塊を24時間引きずっている日々・
・・・外側から見ると、わがまま、好き勝手、甘え、甘やかし、親の養育の責任などと見られ、この葛藤の中でもがいていた・・・母親としての罪悪感・・・
・・・摂食障害という病気の重さ、深さ、新しさ、物の豊かになった生活の背後に取り残された人の心のもがき、競争社会からずり落ちて傷つけられた若者の苦しみ、こんな社会的背景も無視できない現代の心の病・・・
・・・痩せることが美しいという現代社会の歪みと共に、良い子を演じてきた子供も、思春期をきっかけに自分らしい生き方を捜し求めながら、摂食障害という病気の渦に巻き込まれていったのだろう・・・
・・・(子供の言葉)・・・
生きていても何の意味もないよ
悩み考えはじめると、目が覚めている間はメリーゴーランドのように、くるくると廻るだけで、終着駅が見えない。私の心の鏡は、いつも曇っていたり逆さまだったり、そして鏡の奥の、手の届かない所に、父も母もきょうだいも友達も、先生もいるんだ・・・
「春一番が吹いたよ」山崎蓉子さんの手記から
摂食障害は誰でもかかる可能性があります。
特に思春期から青年期の若い女性に多く、ダイエットがきっかけで発症にいたることが多いと言われています。
摂食障害は、身体的要因、心理的要因、そしてやせを礼賛する社会的要因等さまざまな要因が複雑に絡み合って発症するといわれています。
単に両親の養育に問題があったから発症するものではありません。!ご両親は「親の育て方
が悪かったのか?」という罪悪感から逃れてください。過去の原因探しに向けるエネルギーを
本人の回復のサポートに向けましょう。
「子供が摂食障害にかかっているのでは?」と気づいたとき、親はどうすればよいでしょうか
本人が何を悩んでいるのかについて、本人と穏やかに、しかし率直に話してみましょう。
本人は親に批判されたり、拒否されるのを恐れていることが多いので、親の心配をぶつけて責めるよりは、本人が自分の問題について安心して話せるような雰囲気を作りましょう。
そして専門家に相談するのもひとつの方法であること、特に身体的な問題が心配である場合には医療機関に受診することを勧めてください。その際は焦らず、何回か話し合いを重ねて段階的なアプローチをこころみてください。
親がすべきこと、してはいけないこと
「食べない事」「食べすぎること」に関して、正面をきった対決はお互いに辛いものです。
両親は本人の言葉に耳を傾け、良い聞き役になってあげること、そして「助けて欲しい時は
いつでも遠慮なく言って」というメッセージを送りましょう。両親は本人の一番身近なサポーターとして伴走してあげましょう。
摂食障害の経過は山あり、谷ありの繰り返しでゆるやかに回復していきます。その振幅が
本人、そして家族を強くします。失敗を恐れず、少しの進歩・回復をポジティブに捉え、翌日
へのエネルギーに向けることができるように、本人をサポートしてあげましょう。
親が疲れてしまわないために
母親ひとりで、あるいは両親だけで悩みを抱えていることはとても辛いことです。家族会な
どのグループに参加し、他の家族との交流、情報交換によりエネルギーを充電しましょう。
疲れてしまった時は親自身も休養し、周囲の人に助けを求めましょう。専門家に相談するのも
良いでしょう。両親が「摂食障害」ののみ込まれてしまわず、本人と程よい距離をとって付き合えるように、様々なサポートを得て、リフレッシュしてください。
多くの方が摂食障害から回復しています!
多くの方が回復後、以前よりもずっと豊かに力強く人生を歩んでいます。
本人の「治りたい」気持ちと家族・友人や専門家からのサポートが整えば誰でも回復のプロセスを歩むことができます。
孤独感・無力感にさいなまれないで!
家族も本人も”ひとりぼっち”ではありません。日本各地には、親の会や自助グループが多数存在します。そして日本摂食障害ネットワークは、多くの専門家、回復者、家族、本人がゆるやかに連携するネットワークシステムです。このようなグループを情報交換・多くの仲間との出会いの場として利用するのもひとつの方法です。



伊藤順一郎 編 「家族で支える 摂食障害」より
摂食障害の理解と親の対応
〜ご両親へのメッセージ〜
家族の会に出ようよ
家族の心得10か条
1 摂食障害は病気です。症状は病気にやらされているのです。
2 「今できること」を考えましょう。
どうしてこうなってしまったのかと原因について考えるのはひとまず横に置いておいて
「今できることはなんだろう」と発想を変えましょう
3 家族はいちばんの応援団です
回復の主役は本人ですが、それには周囲の理解と応援は欠かせません。本人の回復
への道がくじけないように、支える応援を心がけましょう
4 摂食障害は治ります。焦らず見守りましょう
摂食障害は治る病気です。しかし 回復には時間が必要です。「大丈夫、何とかなるよ」
と長い目で見てあげてください。いいときがあればわるいときがある、わるいときがあ
ればいいときがきます。一喜一憂せず、見守りましょう
5 食行動や症状以外に目を向けましょう
6 小さな変化を大切にすることが回復につながります
日常の生活の中で、少しでも良かった事をさがしほめてあげてください。本人が自信を
取り戻す一番確実な近道です
7 聞くだけでもいいのです
家族が正しい答えを見つける必要があるとはかぎりません。「そんなにつらいの」と気
持を受け止めてあげましょう
8 つらい時は助けを求めましょう
ご家族だって人間です。いつもいつも優しくなんてできなくてあたりまえ。つらくなっ
たら、一人で抱え込まないようにしましょう。同じ悩みをもつ人と話ができると、つら
いのは自分だけではなかったと大変さを分かち合うことができます。
9 家族のルールを作りましょう
病気なら見守ってあげたいけれど、あまりにひどいと家族もがまんの限界ということも
あります。病気だからといって、すべて本人の言うとおりにしなければならないというわ
けではありません。そんなときは本人が落ち着いている時に、相談してルールを作ると良
いでしょう
10 自分の時間を大切にしましょう
摂食障害は長期戦を覚悟しなければならない病気です。だからこそ、家族がバテてしま
っては、回復への道のりはさらに遠くになってしまいます。家族それぞれが、自分の
生活を大切にし、本人のことを離れて、一息つく時間をもちリフレッシュしましょう。
家族が楽になることで、本人の自責感が和らいで楽になる事も多いようです。