我がゼロワンの修理も終わり、サーキット復帰の日は近い。
そんな今、新兵器が我が家にやってきた。
その名も「CCDカメラ」である。
友人に話すと、盗撮影目的などとからかわれてしまうが、ドライビングテクニック向上には非常に有効な武器となる。
走行ライン、コース幅いっぱいを使っているかどうか、ステアリングワークはどうか。自分の走りを分析し、チェックすべきポイントは多いものである。
今回できていないポイントを1つづつ練習すれば、着実にテクニックを向上させることができる。
21世紀、CCDカメラで私のドライビングは進化する。
とは言い過ぎかな(笑)。
1月某日
サーキットでゼロワンが壊れて早10日。寂しい毎日である。
壊れたのは残念に思う。だが、ゼロワン仲間からパーツを送ってもらうなど、他人の親切を感じる機会となった。
福岡は数年来の寒波で、非常に寒い日が続いている。しかし、手元にゼロワンがない今、乗りたくて仕方がない。
ある時には乗らず、ない時に乗りたくなる。これが趣味人の性というものだろうか。
現在は、早く修理が終わり、小雪の舞う中を疾走する自分を想像する日が続いている。
とはいえ、想像しているうちが幸せなのかもしれない(苦笑)。
12月某日
今日は天気もよいし、2週間ぶりにゼロワンのキーを捻ることにした。
エンジンは一発で始動。インジェクションのありがたみを感じる。
しかし、気温が低くてアイドリングが安定しない。
そこで、スロットルにちょっと細工してアイドルアップし、暖機運転に入った。
水温系の針が動き始めたのを確認して、ガレージから出す。
特に不調は感じない。2週間程度でコンディションの変化はないようだ。
コックピットでは、頬に暖かな日差しを感じる。
防寒対策も万全で、フルオープンで走るのに何の支障もない。
国道に入っても心地よい風を楽しむことができる。
BPエンジンも軽やかに回転を上下させる。
気温の低さは彼にとってプラスに働き、私の右足の動きに合わせ、
スムーズに、どこまでも回転をあげていく。
ノーマルのタコメーターでは完全に役不足だ。
冬の日のオープンドライブ。楽しめる環境にあることを幸せに思う。
12月某日
ヘルメットを買った。今度は安物ではなく、ちゃんとしたAraiのメットで、以前のものより軽量になっている。明日のサーキット走行では役に立ってくれるだろう。
もちろん、衝撃吸収ではなく疲労軽減で、であるが。
今までは、長時間かぶると頭痛がしてくる、少しサイズの小さいヘルメットで我慢していた。
しかし、今度は試着してサイズを合わせ、色も個性的なブルーを選択。かなり気に入っている。
暇を見つけては、コックピットに座り、助手席に転がっている真新しいヘルメットで頬を緩めている。ヘルメットをかぶり、イメージトレーニングするのも楽しい。
新しいヘルメットは、ツーリングでも手放せない。
雪のちらつく凍てついた夜でもバンダナだけだった昔とは違う。耳を真っ赤にしてヤセ我慢する必要はないのだ。
これからは、お気に入りのヘルメットをかぶり、ぬくぬくとドライビングに集中することができる。
ああ、なんて幸せなんだろう!
ゼロワンに乗っていると、かくも幸せな気分になれる。この魅力は、趣味の域を超え、もはや麻薬とでも言うべきものか。
好きだから止められないのか、止めたくても止められないのか。それは本人にもわからないことである。
8月某日
ゼロワンのタンク容量は35リッターである。
この35リッターのうち、実際にどこまで使えるのだろうか?
誰もが一度は考えるであろう、この永遠の謎について、幸運にも検証する機会があった。
ガス欠に至るまで
初期:急加速、急旋回後にエンジンが吹けなくなる
中期:Gのかからない状況でも、5千回転以上になるとエンジンが吹けなくなる。ガソリンの残りは2リッター程度。
末期:3千回転でもエンジンが吹けなくなる。スタンドを探す余裕もなく走行不能となる可能性が高い
末期状態から給油して、約34リッター。燃料タンク容量のうち97%は利用可能である。これに平均燃費をかけることでおよその航続距離を計算することができる。
★★
普通に乗っているのであれば、自覚症状がでるのは中期からであろう。普段から高回転を利用すれば、早期発見することができる。トラブルを未然に防ぐためには必要である。
中期の症状がでたら、できるだけ早く給油すべきである。残りガソリン量から計算して、走行可能距離は20km前後である。
逆に考えると、市街地を走行している限り、中期の症状が出るまでは安心して走ることができる。
この法則は、私にとって、燃料計に勝る非常に貴重な情報となっている。
8月某日
夏になると困ること。それは夕立。この自然の猛威の前に、人類はただ立ちつくすしかない。
ひとたび遭遇すれば、突然、大粒の雨に襲われる。幌を張ることすらかなわず、あっという間に濡れ鼠だ。
しかし、そんなときでも真のオープンカー乗りは慌てない。流行りの電動ハードトップなど足下にも及ばない、究極装備が忍ばせてあるからだ。
それは砂浜傘。ビーチパラソルとも言う。
路肩に停車し、瞬時に頭上に展開。これでコックピットはすべて覆われ、そのまま、通り雨が過ぎゆくのを待てばよい。
予期せぬ夕立に最も効果を発揮する装備だ。
この夏を快適に過ごすため、ぜひ欲しい一品である。
5月某日
今日も雨
サーキットに向かう道すがら
水たまりは避けて走る
マンホールすらあまり避けない私だが
水たまりは別だ
しかし、油断することもある
左タイヤを大きな水たまりに入れてしまった
バシャッ、ジュ〜
結構大きな音と共に
室内に湯気が充満する
あまり隙間をふさいでいないので
エキパイで蒸発した水蒸気が
エンジンルームから漏れてきたのだ
エアコン、カーステなど
走るのに必要ない装備は一切ついていない
しかし加湿器は装備していたようだ
5月某日
土砂降りの雨。ゼロワンには乗りたくない。
しかし、サーキットに予約を入れていてキャンセルできなかった。
時速80kmの安全運転。
でも、高速道路を走っているとヒヤリとする。
水滴が背中に落ちたからだ。
ときどき、雨が漏るところをタオルで拭いてやる。
眠気覚ましにちょうどよい作業だ。
高速を降り、峠道にさしかかる。
途中、大きな水たまりができていた。
ワイパーのない私は、気付かずに突っ込む。
水深が深かったせいか、エンスト。
私は自分のミスと雨を呪った。
クルマを押して移動させ、クランキング。
なんとかエンジンがかかった。ほっとひと息いれる。
ここで引き返さないところが、私の良いところだ。
★★
しかし、大雨の日は乗らない方が賢明のようだ。
これでまたひとつ賢くなってしまった。
5月某日
オートポリスサーキットの帰り道・・・
ありゃ、ついに雨が降ってきたなぁ
幌を張るのも面倒だし
このくらいの雨なら大丈夫だろ
やっぱだめだ
停まって幌を張ろう
4分30秒は新記録だ
★★
走り始めて3分後
無情にも雨はあがり、太陽が顔をのぞかせる
山の天気は変わりやすいものだ
嬉しいやら、悔しいやら・・・
5月某日
コンピュータとスロットルセンサーを調整
フルコントロールECUはやっぱり便利
パソコンでちょいちょいとセッティングできる
「ちょっと試走してきて」
え? 6000回転での不具合チェックなんですけど?
「(無視して)燃料をちょっと薄くしたから
エンジンの吹け上がりもチェックしてきてね」
しかたない
とりあえずテストコースに出発
タイミングを計ってアクセルを踏みつける
お、なかなかいいね。前よりスムーズに加速してるのか?
シフトチェンジでのアフターファイアも減ってる
4速7000回転までスムーズに吹けてるぞ
6000回転でのもたつきもなくなったな
おっとと、ブレーキ踏まなきゃ
★★
6000回転で怖くなり
アクセルが踏めなかった頃・・・
今となっては懐かしい記憶だ
5月某日
「さて。今日はゆっくりと暖機運転するか」
おもむろにボンネットフードを取り外す
スロットルを指で少し開き
ステアリングの脇から突っ込んだ手でキーを捻った
キュキュ、ガゥゥ ボフッ!
不用意にスロットルを開閉してしまい、見事なバックファイア
3番ファンネルでオレンジ色の炎が踊る
手首がほのかに暖かい
「お、初めて見たな」
そして、何事もなかったかのように
スロットルリンケージに厚紙を挟んだ