宮崎光の八ヶ岳日記


 さて、一昨年8月までの2年半、私は毎月1回金曜日に、NHK甲府局のテレビ「もうすぐ山梨のお昼」のメインコーテー「宮崎光の八ヶ岳だより」に出演していました。一昨年7月と8月に食べ物屋さんを紹介しましたが、屋号はNHKなので表示できませんでした。そこで、ここにお知らせします。
●7月のお話の題名は、「うなぎ西行毒消し」。富士川に沿って西行峠、鰍沢、小室山を訊ね三題噺のようなお話をした。その折、写真入りで紹介した大串の蒲焼がこの店だ。
 ▼國本屋(鰍沢町 電話0556-22-3128)。江戸の町の蒲焼番付に「大蒲焼」を題名にしたものがあるが、この店でもその大蒲焼を売り物にしている。事実、お重の中で蒲焼が重なる大きさだった。創業1916年。大正5年から80年間、継ぎ足しのタレを使っている。その証拠が、色は黒いが味わいが深いのが特徴だ。
 ▼小室山の毒消しの護符。明治の大名人三遊亭円朝がつくった三題噺の落語「鰍沢」に出てくるその護符を、いまでも増穂町小室山の徳栄山妙法寺で「毒消しの秘妙符(ごふう)」の名で売っている。一袋10ヶ入り1000円。これは珍品だ。

 ●8月26日の同番組は、「甲府盆地の江戸前」と題して、甲府盆地にある江戸前の気っ風にあふれたそば、蒲焼、鮨のお店を紹介した。
そば---▼幟(のぼり)(笛吹市石和町 電話055・262・2129) 東京の老舗の室町砂場と赤坂砂場で10年修業し、1年お礼奉公した亭主が釜場を仕切っている。甲州で砂場のそば、酒の肴を食べられる貴重なお店。いかにも江戸前の細切りそば、小エビと柱のかき揚げをそばつゆに浮かした天もり……江戸(東京)の砂場そのままのそば屋さんだ。
蒲焼---▼武蔵屋本店(甲府市相生 電話055・233・4041)明治20年から約120年近い歴史を持つ蒲焼の料亭で、いまの女将で4代目。現在、板場は東京と京都で修業してきた二人の息子さんが旦那さんの後を継いでいる。江戸時代のほとんどのうなぎ屋は離れだったそうだが(作家・杉浦日向子談)、それをいまに伝える全室離れの蒲焼の料亭である。ふっくらと蒸して品よく焼いた蒲焼を離れで楽しみ、江戸の気分を味わおう。
 鮨---▼江戸勘 (甲府市国玉町 電話055・223・4114) 東京銀座のかの鮨の勘八で修業した職人さんが開いた店。江戸前鮨の特徴の煮切り、煮詰めをネタに塗ってだす。生醤油をつけて食べるのとは違い、それぞれの魚介類が持っているほのかな香りと味の違いを楽しめるのが素晴らしい。よいネタを仕込み、それをほんとに手軽な値段で食べさせてくれる貴重な店だ。ぜひ、江戸前鮨の旨さを体験して欲しい。


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◆宮崎光(みやざき・ひかる)
作家。1942年、東京生まれ。元コピーライター、クリエイティブ・ディレクター。
代表作はトヨタの『いつかはクラウンに』のキャッチフレーズ、雪印の商品名『毎日骨太』など。
現在は八ヶ岳南麓の庵に住み、ふるさとである江戸の言葉の収拾と整理を人生最後の仕事としている。同時に、江戸っ子修業中。その模様を文にし、巻末『江戸っ子修業』に掲載。

◆東京から八ヶ岳に移り住んで、かれこれ20年。
八ヶ岳暮らしもすっかりベテランです。
土地のさがし方、見方から、八ヶ岳ならではの家の建て方、人との付き合い方まで、数え上げたらきりのないほど色々ありますが、都会と違うその変化がまた愉しみ。
庭の雑木林には、キツツキは来るし、リスも来る。キツネも通れば、タヌキもやって来る。サルものんびり休んでいったし、野うさぎも遊びに来ました。
空は大きいし、山は明るいし、それでいて東京とは2時間圏内。別天地ですね。
今年は、とりわけセミが元気で大軍団。5月のハルゼミに始まり、ヒグラシ、アブラゼミ。そして、国蝶オオムラサキチョウが庭の森をスイスイ飛んでいます。




最終更新日: 平成20年1月15日