土地家屋調査士 佐原事務所
  不動産の調査・測量・境界問題・登記

真正な所有者と登記名義人
 
 登記名義人が本当の所有者ではないことがあるということは、ご存知でしょうか?
 これは、民法176条で、「物件の設定及び移転は当事者の意思表示のみに因りて
 其効力を生す。」というところからきています。
 民法上、当事者間の意思表示のみで、物件変動が生じると規定されています。
 最高裁判例昭和33年6月20日においても、特約がない限り、
 原則として売買契約をした時点で物件変動が生じるとしています。
 この規定によると、当事者間に売買契約の意思表示さえあれば、
 登記がなくても所有権は移転していることになるのです。

 極端な例を挙げて説明します。
 Aさんが売主(登記名義人)、Bさんが買主とします。
 Aさんの自宅にて・・
 A:「急に金が必要になったんだ。1週間以内に1000万円用意してくれたら
   この家をお前に売るよ」
 B:「1000万円だな、分かった。」
 A・B:「契約成立だ!」

 法律上、これだけの口約束だけで、所有権はAさんからBさんに移ってしますのです。
 ここでは、代金の支払い、所有権の移転登記もされていませんが、
 民法の下では、こう解することが整合的であり、法律関係の簡明化に資し、
 意思主義の原則を忠実に適用するといったところから認められているのです。

 もう少し身近な例で説明します。
 分譲マンションに住むある家庭(父A男、母B子、子供C太郎)に突然、
 父A男が病気で亡くなるという不幸が来てしまいました。
 お葬式もおわり、生活するのに精一杯で1年が過ぎていました。
 気が付くと、マンションの登記名義は、亡父A男さんのまま。
 相続人は、B子さんとC太郎君のみ。
 この場合、マンションの所有権は、相続人のB子さんとC太郎君にあるのです。

 よって、「真正な所有者」=「登記名義人」とはならない訳です。
 上記は、あくまでも極端な例ですのでご注意ください。

 では、「登記をする」「登記名義人」とはどういうことなのか。
 これは、民法177条の第3者対抗要件としての意味をもつという事なのです。
 詳細は、「登記と二重売買」をご覧下さい。




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