議会報告(番外編)



1999年10月8日 視察研修報告(大磯町美化センター)
日時:1999年(平成11年)10月8日(金)午前10:30〜12:00
場所:神奈川県中郡大磯町美化センター           
調査項目:廃棄物行政について                 
       ダイオキシン類削減対策について         



1.大磯町の概要
   大磯町は神奈川県の中部、相模湾の中央に位置し、東海道の宿場であったことから古くから賑わい、避暑地、保養地として知られる。面積は約17平方キロメートル、人口約3万3千人。

2.大磯町のごみ処理施設
   大磯町のごみ焼却施設は、平成2年4月稼動の流動床式で、処理能力は60トン/日(30トン/16h×2炉)、集塵方式は電気集塵器、焼却炉の直上部にガス冷却室を配置している。また、平成6年度には、煤塵処理施設が建設され、焼却灰(飛灰)のダイオキシン分解と重金属の溶出防止を行っている。

3.大磯町ごみ減量化・資源化推進調査研究会
   1996年(平成8年)4月より、町では環境問題の政策立案のために、町民参加方式を大胆に取り入れた「まちづくり環境問題研究会」を町民委員の公募によって、形成した。環境問題の4つの重要領域に対応して4つの研究会を組織し、そのひとつとして「ごみ減量化・資源化推進調査研究会」が、町民ボランティア、町職員、コーディネーター、オブザーバーなどの総勢23名体制で、発足した。なお、その他の研究会として「まちづくり・緑化政策研究会」「海岸地域トータルプラン策定研究会」「河川浄化対策研究会」がある。

4.新ガイドライン通知を受けた測定結果
   平成9年の厚生省の新ガイドラインの通知により、平成9年2月に焼却炉排ガス中のダイオキシン類を測定したところ、排出基準80ナノグラム-TQC/立方メートルに対し、1号炉が590ナノグラム、2号炉が150ナノグラムという、全国でもワースト10に入るほどの結果が出た。

5.大磯町のダイオキシン類削減対策
   高濃度のダイオキシン類測定結果を受け、役場、美化センター、議会、そして「ごみ減量化・資源化推進調査研究会」で対策を検討した結果、次のような緊急対策を行った。

(1)1号炉の停止と2号炉の連続運転化、ガス冷却室および電気集塵器の堆積ダストの清掃、集塵器入口温度の低温化。この改修費用には3700万円を要した。

(2)プラスチック抜き取りによる燃焼改善実験
  4月および5月に、町民ボランティアの協力を得て、美化センター職員により、プラスチックごみを抜き出し、かつ完全燃焼を促進するために破砕してから、燃えるごみを燃焼させる実験を行った。

 ※(1)と(2)により、4月および5月に1、2号炉とも厚生省の暫定基準値をクリアする結果が得られた。

(3)ごみ収集袋の町指定炭酸カルシウム入り袋への切り替え

(4)リサイクル可能なプラスチックごみの拠点回収の開始
  白色トレイ、ペットボトルの専用回収ボックスを町内14ヶ所に設置し、毎日回収を開始した。

(5)リサイクルできないプラスチックごみの収集開始
   それまで「燃えるごみ」として収集していたプラスチックを分別収集した。

(6)ごみ減量・リサイクル協力店制度の創設

(7)コンポスターの斡旋

(8)緊急の講演会の開催
   「ごみ焼却場から発生するダイオキシン問題とその対策」をテーマに、藤原寿和さんを講師に招き、講演会を開催した。


6.今後の課題
   緊急対策によりダイオキシン値は大きく改善されたものの、平成14年末までに0.1ナノグラム以下にすることが求められている。そのためには、設備の改修が必要で、国の補助事業として取り組んでいく。

   また、ソフト面では、容器包装リサイクル法の対応をどのようにしていくかが課題である。というのも、緊急対策でリサイクルをはじめたプラスチックはスチロールトレイとペットボトルだけで、現在リサイクルできないプラスチックとして収集しているものの中により多くの容器包装が含まれているからだ。法では同じポリ袋でも食品が入っていたものは容器包装、クリーニング店でもらったものは容器包装でないと規定しているため、現在の分別方法では対処できない。これらをどのように収集・処理していくかが課題となっている。

7.研修を終えて
   ダイオキシン問題の解決を行政側から考えると、ごみ処理施設の改修や新方式の炉の導入で解決しようとする場合が多い。ごみ減量の呼びかけも「ご協力ください」といったおざなりのものになりがちだ。たとえ行政側でどんなに知恵を絞ってごみの減量の施策を考えても、住民にとっては「行政の決めたこと」であって、住民はそれに「協力する」に過ぎないという構図も多く見受けられる。

   一方市民の側から見ると、それは自分たちが加害者であり、被害者でもあるということに気づく。したがって、ごみ減量の手法は、市民が自ら考えるものにしなければ効果が薄くなる。

   厚生省の新ガイドラインが出される前から環境政策を市民と共に考えていくしくみができていた大磯町では、行政の対応を待つのでなく、住民がごみについて自分たちの問題として捉え、考え、行動していったところが素晴らしいと思った。たとえば「プラスチックの分別」では職員と共にごみの中からプラスチックを抜き取る作業をしたり、ごみ減量・リサイクル協力店の制度を考えたり、講演会の企画をしたり、と活躍した。そして、積極的に市民参加の手法をとって、住民を育てていることが、住民本位のまちづくりにつながっていると感じた。