2 No.2  工事報告書
NO.3
   遠藤楽
NO.4  結婚式
NO.5 
 バラが

N0.6
  桟割の窓
NO.6. 
緑の館

 

自由学園  明日館ナビ          植木設計事務所 植木秀視


 

   

           

 No.1 2007年 2月

当事務所の所在地が明日館に近いこともあり、かつて実測調査に関わったこともあり、そのときの明日館の
資料やその他の資料も幾つか持っています。
そんないきさつからこのぺーじを明日館ナビ」とネーミングしました。
 この建物の建築的価値もさることながら、建物の誕生や歴史的位置付け、そして教育上の観点からも、
興味の尽きない建築です。
 資料
・自由学園明日館実測集(
1974年) 
・書籍 建築1963.7自由学園/遠藤新特集
 など

      植木秀視 経歴:
1973年〜74年 
             日本建築学会の歴史意匠委員会自由学園明日館実測小委員会委員に任命され
                        自由学園明日館を実測調査を行なう。


  


T 重要文化財 自由学園・明日館について
   世界的な建築家F..ライト設計による
     
自由学園「明日館・保存のための解体現場」を見学する 
 
    
 目白にある自由学園・明日館(みようにちかん)は世界的な建築家F..ライト(アメリカ)設計により大正10年に中央棟が完成し、その後今の姿になったのは大正15年です。平成95月に文化財登録制度が施行され、大正時代のこの自由学園・明日館が第1号に登録されました。先日、この建物の解体修復現場を見学する機会を得ました。

 かつてこの建物は図面がほとんど残されていなかったため、建築学会で実測調査を行い再建可能な図面を作りました。これは自由学園の意向でもありましたが、この実測作業に私も参加し、建物の隅々まで調査した経験があります。現在、既に完成後
80年も経過しており、私たちが実測調査をした当時でさえ55年ほども経っていて、もうメンテナンスも限界、改修するにしても問題が山積み、などで日々過ぎて行くという状態のようでした。

 調査段階で、学園の方々にお話を伺うと「明日館の建物が自然にふぅっと消えてくれれば…」と言われたのを思い出します。それだけ思い入れの深い建物なのでしょう。以前実測調査をした時の未確認の箇所が、具体的にどのように作られていてどのくらい構造部が経年変化しているのか、この現場で確かめたいというのが私の気持ちでした。
この建物は中央棟と東、西棟がコの字型に構成されていて、当初は中央棟、西棟が建設され、その後に東棟が完成しました。
西棟の前でF.Lライトが女子学生たちと撮影した写真が残されていま す。

  

 この建物の構造は今でいういわゆる2×4工法(バルーン工法)です。既にこうした構造で大正時代に完成していたのですが、ライト流の特殊な解決を試みていることもあり、経年変化と共に全体が変形しているのがハッキリと見えました。

 とにかく予算の関係もあり、構造材のコストダウンのため柱も正角でなく、角が丸まっている柱(間伐材か)や、桁部分には2×4サイズの材が使用され、屋根の棟の部分はただたる木を合掌に組み釘で止めている状態です。このように軸組工法では考えられないほどの自由な構造が組まれ、これで現在まで保たれてきたことは本当に驚異的なことです。

 見学した後、現場の打ち合わせ室で関係者から自由学園明日館の歴史、保存改修のいきさつなどの詳しい説明をしていただきました。 

 重要文化財としてのこの建物の意義は日本に残るライトの数少ない作品で、国際的・芸術的価値が高いこと、自由学園の創始者羽仁夫妻、ライト、遠藤新がこの建物に込めた思想と理想とを後世に伝えること、そして「近代文化財建造物は使いながら保存する」という文化庁のいわゆる動態保存の方針に沿って、保存修復事業を進めているとのことです。また、自由学園の教育の場にとどめず、地域交流、生涯教育、公開講座など広く門戸を開いていく考えのようです。 

 昨今、大正、昭和の住宅・建築が老朽化や使いにくさから急速に失われている中で、再び明日館の素晴しい姿が街並みに生き続けそこを歩くとき、よりいっそうの楽しみを味わうことができるのは嬉しいことです。

 No.2  2月号

  「重要文化財・
明日館保存修理工事報告書」より

   
  
当時の女子学生が明日館を写生、これを見ると当時は外観の窓や屋根は緑色だった様子が分かります。
  これに基き、現在の建物の外観の色が決定されたそうです。

  
  
明日館の原設計図、実施設計図はほとんど残っていないそうです。今回の改修工事を機にF.L.ライトの財団に
 問い合わせたところ写真のリストにあるような図面が見つかったとのことです。


 No. 3 4月号      

     「楽しく建てるー建築家 遠藤楽作品集」
  
    発刊を祝う会が3月23日明日館で開催されました。
         私も出席させていただきました。
    故遠藤 楽氏はFLライトの弟子であり、この自由学園の設計者遠藤 新氏のご子息です。
    楽氏は平成15年に76歳で亡くなりました。

    「楽しく建てる」ー建築家 遠藤 楽 作品集ー
    フランク・ロイド・ライトに学び生涯三百余の作品を遺した
                    建築家 遠藤 楽の有機的建築とその哲学を網羅した珠玉の作品集
    丸善 2940円

  


 No. 4  月号

 明日館の風景 「結婚式」
        
  レトロ感のあるこの建物は結婚式場として人気をはくして土日は予約が一杯とのこと。一方、明日館設計の
  F.L.ライトの弟子アントニー・レイモンド設計の東京女子大を見学に行ったとき卒業生が
  中央棟の前で結婚式の記念撮影をしていました。この二つの建物は結婚式が似合うのも魅力の一つです。

   
  
この春、明日館の教室で住宅セミナーを開催していたとの窓からの風景です。

   
   東京女子大の中央棟前で記念撮影

    
上部からの光が厳かなチャペル


 No.5  月号 

  明日館の風景  「バラが咲きました
        
 明日館の列柱とレトロの雰囲気が華やかなバラの花とよく似合っていて、
             美しいい風景を楽しみました。
  

   フェンスに
ピンクや白いバラの花が咲きほこっていました。, 
     
 


   No.6  7月号 

 明日館の風景 木の桟割の窓

  明日館のホールの窓、当時は大判のガラスが無かったため、
  小判のガラスを組み合わせて窓に嵌め込んでいました。
  この窓南側の全体開口部は幾何学的模様にデザインされた木製の桟割りが美しい。
  柱の間の5つの開口部には木製建具がはめ込まれています。
  その一つひとつが外に開き、
  下段の細い窓も突き出しタイプの建具となっていて、通風をとっています。
  この窓は、柱により仕切られているが、ガラス面の斜めの桟によるデザインが
  大きな窓としての効果をだしています。
  このデザインされた窓を見ながら、
  さらに外の四季折々の景色が、なお一層美しく見え

   
オリジナルデザインの木窓は修復され、スッキリとしました
。 1960年代の建築雑誌を見ると窓 の桟が補修されています。

   No.7 月号 

 明日館の風景 緑の館

  雑踏の池袋駅から歩いて7、8分のところに、自由学園・明日館が立っています。今、蒸 し暑 い この季節、この場所は
  木々や芝生の緑に被われ、風が吹き抜ける涼やかな一画です。建物も、緑色の緑青がふいた銅版の屋根と軒先の板や
  窓枠の色が緑色に塗られ、爽やかな風景をかもし出しています。

    
   

  


   No.8  9月号

 明日館の風景 女学校の椅子」

 明日館は、1921年に開校された自由学園の元女学校です。

 当時、小学校を卒業してこの学校に入学した女子学生の年齢は、13歳?
 その子たちが座った椅子です。
  今時の中学生用の椅子だとすると、ちょっと小ぶりのような気がするのですが?
 現在ホールに置かれたこの椅子は、ライトと遠藤新の共同設計といわれています。
 背板は六角形で、水平のスリットが特徴的。
 ホールの椅子はライトの設計、食堂の卓と椅子は遠藤という説もあります


    
  現在ホールに置かれた椅子たち   向かい合った椅子の表情がかわいい 背板は二枚の板を組んだ六角形で、F.L.ライトのモチーフ


    No.9  10月号 

  明日館の風景 「黄色い彼岸花

  周りに葉がなくすっくと伸びた茎先に黄色の花は、
  ヒガンバナかと思うぐらい似ている
が、ショウキズイセンというらしい。
  花びらの縁が波うつ黄色い花が特徴。ヒガンバナ

   
    彼岸花というと赤色が鮮烈ですが、朱色に、白、そして、ピンクに黄色といろいろです。

   
   東棟
とショウキズイセン                   西棟 とショウキズイ


     No.10 11月号            

  
明日館の風景「明日館 の前を歩いて」 

 目白駅から歩いてくると婦人之友社の箱を積み重ねたようなビルが建っています。
 その角を曲がると右手に切妻型(山形)の低い屋根が見えます。この屋根の建物が明日館です。
 前方を見るとこの屋根と同型の屋根が見えています。この二つの屋根の間には、緑の芝生が広がった
 スクエアがあり、街並みに対して、これらの形が心地よいリズムをつくっています。
 二つの切妻面(外壁)には、手前は、屋根型をした木格があしらってあり、奥の屋根下面は、
 亀甲型に桟 を組んだ木のガラス窓が外に向いて開いています。
 屋根の勾配と平行に作られた窓は室内から外を見ると、窓まわりがすっきりとし、
 風景が室内に飛び込んでくるように思われます。
 この建物の左右と中心に切妻の屋根がデザインされその窓の形は 、屋根の線と揃えて作られ、
 全体の統一性が計られています。
   明日館の反対側には、自由学園の施設がありましたが、この建物が解体され、
 現在、工事中です、どんな建物が出来るのでしょう。

    
 
右側は明日館、左側奥の建物は自由学園の講堂    木の格子1本1本を良く見ると、表面に菱形の木片が連続的に並んでいる。
                   

 反対側は、工事中
 


    No.11 12月号  

 
明日館の風景「 夕暮れの明日館」 

  夕方、明日館に行くと、薄暮の中に、外 廊下の電燈や窓の灯りが点り
  穏やかな陰影をかもし出していました。
  とくに、東棟の事務室の窓の灯りは、六角形の桟の影が映り
  おしゃれな提灯のようにほのぼのとします。

    
      
 東棟の事務室の窓

      2007年 2月〜12月まで当HPで連載


  
住まいと街の環境に思う

今,大正、昭和の住宅・建築が老朽化や使いにくさから、古い建物が急速に失われています。個々の家や建物は真新しくなり立派なのでしょうが、街の風景は激しく大きく変わってきています。
 谷中、千駄木、弥生町を歩いていま したら、上記の時代の家が、所々に残っていまし た。これらを見ると、ホットするのは時代遅れの建物が時間をのり越えレトロ感の佇まいが過去か未来の異次元の世界を体験しているからなのでしょうか。

昨年、文化財登録制度が施行され大正14年完成の自由学園・ 明日館(FLライト基本設計〕が第1号に登録され、今、その改修 作業に入っています。かつて、この建物は図面がほとんど残されていなかったため、実 測調査を行い再建可能な図面を作りました。この実測作業に

私も参加し,この建物の隅々まで知っていますので、再び素晴らしい
姿が街並みに生き続けていくことになり嬉しく思っています。
 


to head
to   index