種別 生態写真と解説
種ごとに生態写真を使って蝶(卵から成虫まで)や環境を紹介します。
写真に青枠(紫枠)のあるものは、高画質ファイル(約30kb)にリンクが張られていますので、クリックしてみてください。

クジャクチョウ

クジャクチョウはその名に負けない非常に美しい(あでやかな)蝶です。さぞかし珍しい蝶だろうと、子供の頃は随分と憧れていました。北海道の大雪山で高山植物を訪れる姿を見たときは、その美しさに大変驚きました。しかし長野県の高原や北海道では比較的普通種で、その美しい姿をたびたび見ることができます。卵は食草に固めて産み付けられ、幼虫はほぼ真っ黒の毛虫(棘虫)で、ビールに使うホップの野生種カラハナソウや触ると痛いホソバイラクサなどを集団で食べます。
基礎データ(長野県)
■科 タテハチョウ科 ■学名 Inachis io Lin.
■生息環境 高原、山地周辺、高山 ■成虫観察時期 6〜7月、秋(翌春も)
■越冬態 成虫 ■食草・樹 カラハナソウ、ホップ、ホソバイラクサなど
■増減 不明 ■成虫の多少 普通


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(参考)
クジャクチョウの吸蜜(イワギキョウ
1984年8月8日
北海道大雪山系北鎮岳


高山蝶でも有名な北海道大雪山系です。美しい高山植物のイワギキョウで吸蜜するクジャクチョウは非常に美しかったです。クジャクチョウは高山蝶とはされていませんが、高山でもたびたび見かけます。
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(参考)
クジャクチョウの占有行動
2000年5月27日
北海道札幌市豊平峡


後翅の紋が大きな動物の目のように見えます。コジャノメと同様で捕食天敵に対して威嚇効果があるのかもしれません。
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(参考)
クジャクチョウの占有行動
2011年8月17日
長野県木曽郡


1100mぐらいの高地です。耕作を休んでいる畑地で、飛び古したクジャクチョウがテリトリーを見張っていました。
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(参考)
越冬開けのクジャクチョウの吸蜜(タンポポ類)と静止
2012年5月5日
長野県木曽郡開田高原


1100mぐらいの高地です。チャマダラセセリが目的でしたが、クジャクチョウが非常に多く、タンポポでの吸蜜がたびたび見られました。翅を閉じるとほぼ真っ黒で目立たなくなります。
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(参考)
クジャクチョウの静止
2000年8月2日
北アルプス鹿島槍ヶ岳縦走路付近


北アルプスの山の上でも見かけることがあります。
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(参考)
クジャクチョウの吸蜜(マルバダケブキ)
2007年8月1日
北アルプス常念岳〜蝶ヶ岳縦走路


亜高山帯の典型的なお花畑です。このときは1匹だけしかおらず、この写真を撮った後飛び去ってしまいました。ここには高山蝶ベニヒカゲもいます。
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↑これだけ2012年5月5日開田高原撮影
(参考)
クジャクチョウの強制採卵(カラハナソウ)とクジャクチョウの卵
2012年5月6日 撮影
静岡市駿河区 飼育
長野県木曽郡開田高原 母蝶採集


5月5日に母蝶を採集し(♂♀の識別はおなかの大きさ)、近くでカラハナソウと思われる20cmの芽生えも掘り採って鉢植えにし、いつものように、100均でそろえた鉄枠と洗濯袋で作った採卵容器に、両者を今朝入れておいたところ、夜見るとすでに卵を塊で産んでいました。卵は100近くありそうです。母蝶は卵を産んだ葉にしがみついたままでしたが、翌朝見ると離れていました。母蝶の腹はまだ大きくまだ卵をいっぱい持っているようです。
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(参考)
クジャクチョウの卵を産まれた葉の様子
2012年5月11日 撮影
静岡市駿河区 飼育
長野県木曽郡開田高原 母蝶採集


卵を産み付けられたカラハナソウの葉は、卵を包むように縮んでいます。
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↑5月14日朝撮影

↑拡大

↑5月14日夜撮影
(参考)
孵化間近のクジャクチョウの卵
2012年5月14日 撮影
静岡市駿河区 飼育
長野県木曽郡開田高原 母蝶採集


孵化間近になると幼虫の体表面の毛や黒い頭部が目立つようになります。
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↑5月14日朝撮影

↑拡大

↑5月14日夜撮影
(参考)
孵化後間もないクジャクチョウの幼虫(1齢、2.4mm)
2012年5月15日朝撮影
静岡市駿河区 飼育
長野県木曽郡開田高原 母蝶採集


集団で孵化して、集団でいます。
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(参考)
威嚇している?クジャクチョウの幼虫(1齢)
2012年5月16日 撮影
静岡市駿河区 飼育
長野県木曽郡開田高原 母蝶採集


葉を揺らすと、一斉に頭を持ち上げて動かなくなります。
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(参考)
クジャクチョウの幼虫(1齢)と巣
2012年5月17日 撮影
静岡市駿河区 飼育
長野県木曽郡開田高原 母蝶採集


かなり脱皮の時期に近づいた1齢の様子です。相変わらず集団でおり、葉の裏は多量の糸で白くなっています。
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(参考)
脱皮後間もないクジャクチョウの幼虫(2齢、4.3mm)
2012年5月18日 撮影
静岡市駿河区 飼育
長野県木曽郡開田高原 母蝶採集


2齢になると頭が少しハート形になります。
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(参考)
成長したクジャクチョウの幼虫(2齢、6.7mm)
2012年5月20日 撮影
静岡市駿河区 飼育
長野県木曽郡開田高原 母蝶採集


2齢になっても集団です。食草のカラハナソウは鉢植えにして室内に置いています。幼虫はその葉に付けています。ただし、餌不足になるのは自明なので、少しずつ間引いています。
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(参考)
脱皮直後のクジャクチョウの幼虫(3齢)
2012年5月21日 撮影
静岡市駿河区 飼育
長野県木曽郡開田高原 母蝶採集


まだ集団でいます。脱皮前の2齢、脱皮直後の3齢が混じっています。脱皮直後は頭部が黄色で突起が白色です。
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(参考)
少し成長したクジャクチョウの幼虫(3齢、7.8mm)
2012年5月22日 撮影
静岡市駿河区 飼育
長野県木曽郡開田高原 母蝶採集


糸を吐いて巣のようなものを作って集団でいるのはずっと変わりません。揺すると体を反らします。
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(参考)
成長したクジャクチョウの幼虫(3齢、12mm)
2012年5月23日 撮影
静岡市駿河区 飼育
長野県木曽郡開田高原 母蝶採集


餌がなくなりそうなので、2匹だけ残しました。自然状態では集団でいるはずです。ほぼ真っ黒です。カラハナソウは室内で栽培しているせいか、葉は色も厚さも薄いです。
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(参考)
脱皮後間もないクジャクチョウの幼虫(4齢)
2012年5月25日 撮影
静岡市駿河区 飼育
長野県木曽郡開田高原 母蝶採集


1匹は脱皮直後、もう1匹は少し時間が経っているようです。
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↑4齢幼虫の集団

↑摂食中の5齢幼虫

↑拡大(39mm)

↑頭部拡大

↑4齢と5齢

↑4齢拡大(24mm)

↑環境
(参考)
クジャクチョウの幼虫(4齢、5齢)の様子と環境
2011年8月17日
長野県木曽郡


橋の欄干にからみついたカラハナソウに真っ黒の幼虫がいっぱいうごめいていました。大きさに違いのある集団が居たことから、産卵は複数回行われたに違いありません。
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(参考)
クジャクチョウの幼虫(4齢、24mm、カラハナソウ)
2011年8月17日
長野県木曽郡 産
静岡市駿河区 飼育


上に示す3匹の幼虫を持ち帰り飼育することにしました。ほっておくと室温が36℃程度になるので、エアコンで30℃設定にしています。これは4齢で連れ帰った2匹の幼虫の1匹です。しばらくカラハナソウを食べた後、茎に静止しています。眠に入ったようです。
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(参考)
クジャクチョウの幼虫(5齢、37mm)と飼育の様子
2011年8月20日
長野県木曽郡 産
静岡市駿河区 飼育


4齢で連れ帰った2匹の幼虫は翌18日には脱皮して5齢になりました。あいかわらず仲良く並んで食べていることが多いです。蛹化のために、持ち帰ったカラハナソウとともに枯れ枝を入れています。
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(参考)
クジャクチョウの蛹
2011年8月22日
長野県木曽郡 産
静岡市駿河区 飼育


8月21日にはカラハナソウの葉柄と葉の裏にぶら下がって前蛹になりました。すなわち、後述する5齢から育てた幼虫と同様に枯れ枝は利用しませんでした。そして今日蛹化しました。今度の蛹は薄い緑色です。葉の色に合わせたのでしょう。下に示す5齢から育てた蛹と比較するとその色の差は明らかです。
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(参考)
わずかに光る突起を持つクジャクチョウの蛹
2011年8月26日
長野県木曽郡 産
静岡市駿河区 飼育


葉裏で蛹化した蛹です。ヒョウモン類ほどの派手さはありませんが、突起をよく見ると鈍く光って見えます。自然光で撮ってみました。
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(参考)
羽化直前のクジャクチョウ
2011年8月28日21:18
長野県木曽郡 産
静岡市駿河区 飼育


蛹が薄色のタイプのおかげで、羽化前兆を示して美しい翅表の模様がはっきりと見えます。さらに腹部の節間が伸びいよいよ羽化しそうです。
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(参考)
羽化直後〜翌日のクジャクチョウと美しい鱗粉
2011年8月28、29日
長野県木曽郡 産
静岡市駿河区 飼育


葉柄で蛹化した個体です。やっぱりというのか、他のことをやっている間に羽化してしまい、翅も伸びています。翅を完全に閉じているときと、この写真のように少し広げて翅表の美しい模様を見せる時を交互に繰り返しています。その後完全に閉じてしまいました。翌日の昼、窓で翅を開いて美しい模様を見せていました。
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(参考)
羽化直後〜翌日のクジャクチョウと美しい鱗粉
2011年8月28日21:36、29日
長野県木曽郡 産
静岡市駿河区 飼育


葉裏で蛹化した個体です。こちらの方がわずかに後から蛹化しましたが、羽化したのは1時間ほど先でした。裏面はほぼ一様に真っ黒ですが、よく見ると反射が強い黒とそうでない漆黒のような黒と2つあり、複雑な模様があります。表は、個体によって模様が微妙に違います。
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(参考)
クジャクチョウの幼虫(5齢、39mm)
2011年8月17日
長野県木曽郡 産
静岡市駿河区 飼育


5齢で連れ帰った幼虫です。食欲旺盛にカラハナソウの葉を食べています。
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(参考)
前蛹前のクジャクチョウの幼虫(5齢、39mm)
2011年8月19日未明
長野県木曽郡 産
静岡市駿河区 飼育


1日食べて、もう前蛹になるようで、尾端を糸座に固定しました。枝を用意したのですが、結局水槽の縁にぶら下がるようです。
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(参考)
クジャクチョウの前蛹(30mm)
2011年8月19日朝
長野県木曽郡 産
静岡市駿河区 飼育


朝起きてみると前蛹になっていました。
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(参考)
脱皮直後のクジャクチョウの蛹
2011年8月19日朝
長野県木曽郡 産
静岡市駿河区 飼育


前蛹の撮影後わずか50分で脱皮して蛹になりました。現地より高温のため成長が非常に早くなったと想像しています。
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(参考)
クジャクチョウの蛹(26mm)
2011年8月19日昼
長野県木曽郡 産
静岡市駿河区 飼育


脱皮後3時間の蛹です。非常に複雑な模様です。
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(参考)
ヤドリバエが脱出したクジャクチョウの蛹とヤドリバエの囲蛹(8.2mm×5.1mmΦ)
2011年8月27日
長野県木曽郡 産
静岡市駿河区 飼育


そろそろ羽化してもいいのにと不審に思っていました。また蛹の下方にハエの囲蛹があることも数日前から気付いていました。しかし両者は一致していませんでしたが、ふと、もしや囲蛹は蛹から出たのではと思いつき、いつも見る側と反対側から蛹を見ると大きな穴が開いていました。これはこれで楽しみです。
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