|
弁護士 横溝 昇 調査作成
![]() (平成13年12月5日公布、同年12月25日施行)(危険運転致死傷)
【総論】 1 危険運転致死傷罪の創設理由 近時、飲酒運転や著しい高速度運転などの悪質かつ危険な自動車の運転行為による死傷事犯が少なからず発生している。これまでは、このような事犯についても、不注意な運転行為によるものとして業務上過失致死傷罪により処罰されてきたが、同罪は、これらの事犯の悪質性や重大性に的確に対応するものではなく、国民の間にも罰則の整備を求める声が高まっていることから、事案の実態に即した適切な処罰を行うための法整備が必要となった。 2 刑法に定められた理由 ※ 警察庁の試案では道交法改正、民主党は特別法として国会に提案していた (否決)
3 本罪の法的性質 道路交通法違反の中でもっとも危険が多い(重い)類型に絞って前提行為として刑法に取り込み結果的加重犯にしたもの
【構成要件】 1 自動二輪は対象となっていない 理由(古田刑事局長の衆議院法務委員会での答弁)
2 第1項 車両の走行自体を正常にコントロールできない、あるいは非常に困難な、 自動車の走行方法をとっている場合を整理した規定 「走行させ」 全体として車の走行のコントロールが非常に困難な状態、そういう運転行為 → 車両を道路あるいは交通の状況に従って的確に走行させることが困難な 状態 ◎このような状態を認識していることが必要 (1)前段 「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態」 → 現に車の走行のコントロールが困難になっていること cf 道路交通法上の酒酔い運転:正常な運転ができないおそれが あれば足りる (2)後段 「その進行を制御することが困難な高速度で」 → 道路状況に応じて車をコントロールして走らせることが大変難しい、 そういうような高速度 ex.カーブで曲がりきれないような高速度 ハンドルやブレーキ操作のほんのわずかなミスによって 自車が進路から逸脱してしまうような速度 「その進行を制御する技能を有しないで」 → ハンドルやブレーキの運転装置などを操作する初歩的な技能を 持たない、非常に未熟な状態 ex.免許の試験をまもなく受けられるという程度の技量がある場合 → 当たらない? 普通乗用車しか運転しない人が、運転について特殊な技能を有する 大型の車両を運転する場合に全く知識や技能を欠いている場合 → 当たる? 3 第2項 自動車の走行全体のコントロールはできるけれども、その過程の中で、非常に危険な運転行為、車両の操縦行為をする場面をとらえて類型化したもの 「運転し」:ある時点での車の操作自体が問題になる行為 (特定の運転のための行為) ex.割り込み、あおり、信号無視 (1)前段 「人又は車の通行を妨害する目的」 → 相手方に自車との衝突を避けるため急な回避措置をとらせるなど、 相手方の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図した場合 「重大な交通の危険を生じさせる速度」 → 衝突などの事故を起こした場合に、その事故が相当程度の大きな 事故になる、そういう速度 制限速度未満であったとしても、これに該当する場合あり。 (2)後段 「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し」 → 故意による赤信号無視の中で、およそ赤色信号に従う意思がない行為 ◎未必の故意は完全に排除される (川端博教授の衆議院法務委員会での発言) 【罪数】 前提行為である酒酔い運転、酒気帯び運転など道路交通法違反は、危険運転致死傷罪に吸収される(古田刑事局長の参議院法務委員会での発言) 【法定刑】
【問題点】
【衆議院法務委員会付帯決議】 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
【参議院法務委員会附帯決議】 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
裁判例 |