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多種族社会の部屋
自閉連邦というのは、地球とちがい、多種族から成る社会です。「スタートレック」の惑星連邦を思い浮かべてください。地球人だけではなく、ヴァルカン人もいればボリア人もいる、トリル人もいる、そんな社会に似ています。しかも私たちは、スタートレックに登場する異星人たちと同様、雑婚が可能ですから、連邦は混血だらけです。家族全員、五感の感度が違い、食性が違い、習性が違うなんてことは珍しくありません。ほとんど一人一種族に近いありさまです。もちろん私たちは地球人とも雑婚が可能です。ですから、地球にも連邦の領土にも、地球人と連邦市民の混血の人がおおぜいいます。配合比率も、ほとんど地球人という人から、ちょっぴり地球人の遺伝子があるだけという人までいます。

だから、私たちの世界に国境線を引き、分布地図を描くなんて不可能に近いのに、地球からきた探検家たちは、ああだ、こうだ、と論争しています。また、混血の人を一人ずつ調べては、この人はこの種族、この人はこの種族、なんて判定してくれます。さらに、地球人との混血の場合は、この人は地球人、この人は違う、なんて判定もしてくれます。

それが無意味なこととは思いません。正確な統計のため、異星人福祉のため、必要なことなのでしょう。でも、地球人が引く国境線なんて便宜的なものです。たとえ一つの村のまん中に国境線が引かれてしまっても、村は村。一軒の家のキッチンとバスルームが別の国になってしまっても、家は家。たとえ家族の全員が別々の種族と分類されても、家族は家族です。それに第一、あまり一人ずつの結びつきの強くない、群れる本能の薄い種族である私たちにとって、「国家」という概念はどうもあまりリアリティがないため、「国境」という概念も、「国籍」という概念も、あまりリアリティがないんですよね。

この部屋は、地球人の探検家が持ちこんだ「国境」という異質な概念に混乱し、動揺してしまっている市民の皆さんに、落ちつきをとり戻してもらうために開設されました。なお、地球人との混血の方で、自分では地球よりも連邦の文化の方がなじみやすいのに、「あなたは地球人ですよ」と宣告されてしまって悩んでおられる方は、当館の「国境地帯の部屋」もあわせてご利用されることをお薦めします。

所蔵図書
アマンダ・バグズ「初めて言葉をしゃべったのはいくつのとき?(99/12/07)
ニキ リンコ 診断名のジャングル(99/12/24・00/01/09修正)
ニキ リンコ アスペルガー症候群、あるいは黒いヴァルカン人の発見(99/12/24)

他館図書取り寄せサービス(外部リンク・99/12/24サービス開始)
内山登紀夫(大妻女子大学・よこはま発達クリニック) アスペルガー症候群とは(00/01/07追加) タイトルだけ見たら、アスペルガーに的を絞った話みたいに見えますが、中身を読んでみたら、「自閉症スペクトラム」という概念についてのとても親切なまとめになっています。「アスペルガー症候群と自閉症を区別することはそれほど重要ではありませんが、その子どもが自閉症スペクトラムであるか無いかを判断することは援助の方法を考える上で非常に大切なことなのです」(「3 自閉症とアスペルガー症候群の異同」より) 初出:「飛翔」15号

上野一彦 LDと近接概念の関連図 日本LD学会第6回大会(1997.11.2)で行なわれたシンポジウム、「LDと高機能自閉性障害――概念の混乱をめぐって――」の配布資料から。

Ellis H.D. & Gunter H.L. アスペルガー症候群:単なる白質の素質?(00/01/09追加)
論文全体は、分類規準に焦点を当てたものではないのですが、ASの状態像の多様性に触れているし、非言語性学習障害との関係にも触れているので、リンクすることにしました。「現行の診断基準からするとアスペルガーのオリジナルケースはASには分類されないのではないかと言われている」という記述は興味深いものがあります。

自閉症スペクトル障害 「ペンギンくらぶ」の中の、とてもわかりやすい説明のページに飛びます。(99/12/30追加)

D. V. M. Bishop "Autism, Asperger's syndrome and semantic-pragmatic disorder: Where are the boundaries?" 文章そのものは英語ですが、ご安心ください。下の方に、図版があります。

Lynn Richman "Peaceful Coexistence --- Autism, Asperger's, Hyperlexia" 同じく、下の方に、図版があります。

Sally Bligh "What's in a Name?" やはり、下の方に、図版があります。


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