レポート:利益センターの運営

<ERPパッケージの研究(2)>

利益センターの運営

1999年4月18日


 企業には、利益センターとコストセンターがあります。その運営方法はずいぶん違いますが、どの部署が利益センターで、どれがコストセンターなのか、判別はそう簡単ではありません。判別を誤ると、運営を誤ります。

利益センターとコストセンター

 まず、コストセンターを次のように定義します。
 規定のアウトプットを最小のインプットで実現することを目標とする組織。または、規定のインプットで最大のアウトプットを実現することを目標とする組織。

 このような組織は、企業内には多数あります。全社の例としては経理部や人事部などの間接部門があります。それらの組織は、必要なアウトプットが決められており、それを最小のコストで実現することを求められます。後者の例としては、企画部門や研究部門があります。彼らはコストや人数を決められ、それで最大の成果を生み出すことを求められます。

 一方で、利益センター(プロフィット・センター)はどうでしょうか。定義は次のようにしましょう。
 インプットとアウトプットの組み合わせを最適化して、利益を最大化することを求められる組織。

営業部と製造部

 営業部と製造部は、どちらも自らを利益センターと考える傾向があります。本当かどうか検証してみましょう。
 営業部は、アウトプットである売上の最大化を求められます。では、インプットをコントロールすることはできるでしょうか。インプットとは製造原価だとすれば、それは責任範囲の外です。生産量だとすれば、影響を与えることは可能ですが、やはり責任範囲ではありません。仕入の場合は、責任範囲にはいってきます。営業部門が利益センターであるためには、仕入という機能が必要なようです。
 製造部は、アウトプットである生産量の最大化を求められているでしょうか。作れば売れる時代はそのとおりでした。しかし今は違います。インプットをコントロールすることは可能です。所定の生産量を最小のコストで実現することが課題です。

 いかがでしょうか。商社の営業部門は利益センターです。ところが、メーカーの営業部門は利益センターではありません。メーカーでは、営業部門も製造部門も利益センターではありません。

メーカーの利益センター

 メーカーには利益センターはないのでしょうか。そんなことはありません。企業全体としては、利益センターです。原材料や部品として何をいくらで買うか、商品として何をいくらで売るか、そのいずれをもコントロールすることが可能です。それはまさに利益センターです。

 利益センターの機能は、分けるとすれば事業部に分かれます。事業ごとには利益センターです。ところが、営業部と製造部という分業をしたために、そのそれぞれはコストセンターになってしまったのです。
 メーカーでも利益センターとしての管理は当然ながら必要です。その管理は、なるべく現場に近いレベルで行う方が望ましいのです。なぜなら、雲の上から見られるよりも、すぐ間近から見られている管理の方が、本人たちはその管理を自らの行動へと反映することができるからです。

 つまり、次のような2種類の組織案があるなら、案2が案1より望ましいと言えそうです。
 案1)
営業本部A営業部
B営業部
製造本部A製造部
B製造部
 案2)
A事業部A営業部
A製造部
B事業部B営業部
B製造部
 そして、営業部門と製造部門の分業を極力下層に落とすことが、組織のスピードアップの大きなキーポイントだといえそうです。

利益センターとERP

 これまでの情報システムの形は、販売システム、生産システムというように機能別に体系を分けていました。このことは、組織のスピードアップの大きな障害でした。そこで、スピードを求める組織は情報システムに頼らない取り組みを進めました。小さな単位で組織を分け、その中に製造も営業も入れるのです。目の前に利益センターとしての機能がそろえば、その中で意思決定ができ、スピードが上がります。

 ERPは、利益センターとしての機能を支援する考え方です。ERPパッケージは、情報技術が初めて組織のスピードアップに貢献することを可能にするツールです。おそらく、「小さな単位で組織を分ける」というこれまでのアプローチは、必ずしも必要なものではなくなっていくのではないでしょうか。


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魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
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