レポート:今からでも勉強しよう

<自己啓発のススメ>

今からでも勉強しよう

1999年6月20日


 アメリカの景気もそろそろピークを迎えたのでしょうか。右肩上がりという感じではなくなりつつあるようです。一方、日本は未だに景気の回復を確かめることができないでいます。15年ほど前、アメリカは不景気のどん底でした。失業率も高く、職を失わない人たちも給与水準を維持できないでいました。その後、アメリカが好景気に転じたように、日本も好景気をいずれ迎えることができるのでしょうか。

日米の競争力格差の原因は?

 良く耳にする日米比較に、情報化投資の格差があります。アメリカは、不景気のどん底でも情報化投資を進め、ホワイトカラーの生産性向上を進めた。そのことが、今の競争力の源泉になっているという議論です。
 この論調は日本の情報産業が自らの位置づけを高めるために、ことさら強調しているように私には感じます。実際日米の情報化投資には差があるのでしょう。しかし、情報化投資と競争力格差の関係は、本当に直接的なものでしょうか。日本の企業も、情報化投資をすれば競争力を回復できるのでしょうか。

 私には、もう一つの大きな違いが本質であるように思えて仕方がないのです。

「経営学」の位置づけ

 日本とアメリカで決定的に違うのが、企業における経営学の位置づけです。日本では経営学は役に立たない机上の理論出るかのような評価があります。企業経営は経験と勘と気合いだけが通用するというというのです。それどころか、なまじ経営学をかじった人間がいると、「生意気だ」「協調性がない」などといってはじき出すことさえあるようです。

 一方、アメリカでは経営学が企業で活用されています。MBA(経営学修士)はその地位を確立していますし、卒業生の人数も教育への投資も日本とは比較にならないでしょう。そして、実際にMBAが新しい企業で活躍しているという話を聞きます。

情報技術は「技術」から「情報」へ

 ドラッカーが言うには、IT(情報技術)は、これまでのT(技術)指向からI(情報)指向になるということです。冒頭で紹介した情報化投資の格差は、パソコンやネットワークなどITのTについてのものもありますが、むしろITのIについてのものがこれからの中心になっていきます。
 Iというのは、経営に関する知識です。たとえば、収益性分析をパソコン画面に表示するシステムを考えると、それを実現するハードウェアやプログラムに関する技術はITのTです。それを読みとる力や、意味のある情報を表示させる技術がITのIです。
 Tの方はいくらでも選択肢はある時代になりました。アメリカにおいても日本においても、それは同様です。しかし、読みとる力には大きな格差があるのではないでしょうか。

「経営」を学ぼう!

 「経営を学ぶことができる」というのは、誰が発見したのでしょうか。欧米においても、昔から学問として確立していたわけではないでしょう。「科学的管理法」で知られるテイラーあたりが元祖かもしれません。
 「経営を学ぶ」ということができるということは、学んだ人と学んでいない人の差が間違いなくあるということです。もっとも、経済学のような学問もありますから、「おそらくある」というべきかもしれませんが。
 医学を学んでいない素人に診察や手術を任せる患者はいません。法律を学んでいない素人は弁護士は勤まりません。同様に、経営学を学んでいない経営者に経営を任せる株主もいないはずだと思うのですが、これまでの企業経営は何だったのでしょうか。

 私も、経営学だけで経営ができるとは思いません。しかし、経営学なしで経営はできないのです。医者が最新の医学を学び続けるように、弁護士が最新の法律を学び続けるように、経営者も最新の経営を学び続けることが義務だと思います。


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魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
Last update 1999-6-20