企業は、元手からスタートします。元手とは、最初は資本金のことです。この元手で店を借りたり、商品を仕入れたりするのです。元手が足りなければ、借金もします。
1千万円の元手で店を借り、商品を仕入れ、販売をしたとしましょう。そのときに、100万円売って20%儲かるのと、1000万円売って20%儲かるのと、全然違いますね。これを、先ほどの「売上高の20%の利益」が語っていない部分です。
企業の収益性を包括的に表現する指標は、総資産利益率(ROA; Return On Asset =営業利益率/総資産)です。総資産とは、資本金と借入金、その他の流動負債が含まれます。その総資産で、どれだけの営業利益をあげたのかという指標です。
管理会計は、企業の収益力を数字で管理するための手段だと言えるでしょう。その管理会計で、企業全体の状況を包括的に表現する数字が、ROAです。そして、ROAを分解すると、さまざまな指標があります。
ROA
= 売上高対営業利益率 × 総資産回転率
= (営業利益/売上高) × (売上高/総資産)
先ほど申し上げた、売上高対営業利益率だけでは「収益の一側面を見ているに過ぎない」というのは、こういう意味です。総資産回転率を見ないと言うことは、在庫の増減や売掛金の増減を見ていないということです。これは、管理会計としては片手落ちです。
さらに、総資産回転率は総資産の各要素の回転率に分解できます。在庫回転率や売掛金回転率というように分解できるのです。そのそれぞれを他社と比較することにより、ベンチマーキングができます。単に「総資産回転率が高い(低い)」では具体的な対策に結びつきませんが、分解することによって、具体的な対策に結びつけることができます。
ROAをキャッシュフローベースに見直してみましょう。
一つは売上高の見直しです。キャッシュフローでは、売上代金回収になります。しかし、売上高は見ておいた方が良いというのが私の考えです。
もう一つは営業利益の見直しです。これは、フリーキャッシュフローが適しているのではないかと思います。
最後に総資産の見直しです。総資産の中には、計算上の資産や負債があります。売掛金や買掛金で、これらには金利が掛かりません。フリーキャッシュフローが、株主への配当や借入金の金利支払の原資になることを考えると、金利の掛からない負債を除いた方が、適切に判断できそうです。したがって、有利子負債と株主資本の合計、つまり「投下資本」を使うのが適しているのではないかと思います。
最終的に、投下資本に対するフリーキャッシュフローの比率がROAの変わりに使われるのですが、その値は資本コストを上回っていなければなりません。