レポート:<原価でサバイバル> Stairway to Heaven(原価による目標設定)
<原価でサバイバル>
Stairway to Heaven(原価による目標設定)
2000年10月1日
最近のビジネス書を見ると、「利益管理」というカテゴリーの中にも様々な新しいテーマが見られます。いくつか拾ってみましょう。
- ポートフォリオ・マネジメント (ちょっと古い?)
- カンパニー制・事業部制
- スループット会計
- ビジネスモデル
- 事業の選択と集中
- サプライチェーン・マネジメント
- キャッシュフロー
- バランスド・スコアカード
ここで敢えて、私は「原価管理」をテーマにしました。その理由は、これらの新しい考え方は、原価管理を限界まで極め、その反省の上に立って注目されてきたと思っているからです。つまり、原価管理を極めることなしにこれらに取り組むことは、これらの考え方の意義が失われてしまうと考えるのです。
利益管理の階段
利益管理の体系の中での「原価管理」の位置を見てみます。
| ROAの管理 |
| 売上高利益率の管理 | 資本回転率の管理 |
| 売上高管理 | 売上原価の管理 | 販売費の管理 | 管理費の管理 | 流動資産回転率の管理 | 固定資産回転率の管理 |
ここでは、
「売上原価管理」を取り上げましたが、広義には「販売費」や「管理費」(≒経費)を含めることもあります。そして、売上高との対比において、原価管理が重要な位置を占めていることが、この絵からも分かると思います。原価管理が、利益管理の階段の第1段目になっているのです。
利益目標と原価目標
しばしば言われることですが、原価を成り行きにしてはなりません。事業の目標利益を設定し、それを実現するための販売計画と原価計画が必要です。原価を制約条件にするのではなく、原価について目標設定をすることが必要なのです。
このことがあまりに基本的なことだからでしょうか、新しい経営手法ではそのことが表現されません。高付加価値の製品について原価管理を軽視したり、原価低減をないがしろにしたままで事業の競争力や将来性を評価することは、危険なことです。
一方で、原価管理を突き詰めていくと、経済的に評価しにくいリスクや将来性が軽視される可能性もあります。それを懸念して提案されたのがバランスド・スコアカードです。したがって、原価管理を突き詰めていない企業には、バランスド・スコアカードは必要ないのです。
原価による目標設定
目標としての原価の種類はいくつかあります。
- 現実的標準原価
たとえば過去の実績などから、現実的と判断される標準原価です。この原価を改善することが目標となります。
- 改善目標としての標準原価
改善目標のレベルを設定し、それを前提として計算された標準原価です。
- 理想原価
理想状態を前提条件として計算された原価です。稼働率100%、完全無人化など、現実にはあり得ない前提条件になります。理想原価は、改善目標と現実の関係(ギャップの程度)を理解することを助けます。
「理想原価」を実際に適用した事例としては、TDKが有名です。TDKでの経験者によれば、理想を知り、目標を設定することにより、目標に近づくことが、目標のレベルアップをもたらすということです。
標準原価を基準に考えよう
さて、原価管理の重要性を主張したところで、全社的な利益管理と原価管理の関係をまとめましょう。
このようなことが言えそうです。かつての日本企業は、営業部門は売上指向、製造部門は原価指向でした。それぞれが部分最適を目指し、必ずしも全体最適としての利益管理にはなっていませんでした。今は、売上管理と原価管理が両立し、全体最適を目指した利益管理が求められています。売上管理と利益管理をバラバラに取り組むのではなく、全体として取り組むのです。それはまさにサプライチェーン・マネジメントであり、全体として取り組むための評価基準は、「利益」より「キャッシュフロー」が望ましいのです。ただ、「利益」と「キャッシュフロー」は計算の仕方は違いますが、もともといわんとしていたことは大差ありません。
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魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
Last update 2000-11-11