レポート:<特命任務/ERP>ERPがもたらすもの
<特命任務/ERP>
ERPがもたらすもの
2001年2月11日
ERPを導入する企業は、それぞれ導入目的を掲げています。たとえば次のようなものです。
- 顧客満足度の向上
- ホワイトカラーの生産性向上
- 決算の早期化
- グローバル・スタンダード
- ベスト・プラクティス
各社各様の導入目的ですが、どれにも共通する「もたらすもの」があります。それは経営から見たERPの本質だと私は思っています。ERPが注目される理由は、それがとかく欠けがちなものだからです。また、ERPが難しいと言われる理由も、それを理解し、説明できる人が少ないからです。
その「もたらすもの」とは「連携」です。社内外の業務の「連携」です。
私の場合も、「連携」を強調しました。連携が欠けるから「遅い」のですし、「不正確」なのです。また、マーケットの情報が社内に行き渡らなくなり、販売と生産のギャップが大きくなり在庫増となって表れ、研究成果を市場に投入する判断が外れてしまうのです。
システムの分断が社内を分断するわけではありませんが、システムが分断していれば社内の分断を修復することは至難の技となるでしょう。
連携が「欠けがち」で「難しい」のは、企業内が分業されているからです。たとえば、経理業務は社内の多くの業務と連携しています。ほとんどすべての業務が、経理処理と連動しています。ところが、多くの企業では経理部が存在し、経理処理の専門家として機能しています。一方で、経理処理の専門家以外はほとんどの人が経理処理を知りません。その結果、経理処理は常に後処理になります。経理処理こそが、経営者が企業全体の活動を計数的に把握する代表的な手段ですが、それが後処理になることにより、経営者には企業活動の情報が届かなくなっているのです。また、企業内を転々と異動するジェネラリストが重宝がられる理由もそこにあります。しかし、広い実務経験は浅くて古い業務知識と同義なのです。とても役に立つ代物ではありません。(だから、コンサルタントが必要だといわれています。)
ERPが提供する代表的な情報に「予定在庫」があります。これは、ERP以前のMRPから部分的には始まっていました。つまり、未来の在庫を予測することができるのです。考え方は単純です。現在の在庫がわかっていて、売上や原材料使用など払い出しの予定、生産や購買など受け入れの予定が分かっていれば、日々の差し引き計算をすることにより簡単にもとまります。考え方は単純ですが、実現は難しいのです。なぜなら、次のような条件がそろわないと、この仕組みは実現できないからです。
- 予定在庫を管理するテーブルがある(保管場所、品目、日付に対する数量のテーブル)
- 販売業務、購買業務、生産業務の間で、品目コード、数量単位が共通化されている
- 販売業務での出荷予定情報が予定在庫テーブルに接続する
- 購買業務での入庫予定情報が予定在庫テーブルに接続する
- 生産業務での生産予定情報、原材料使用予定情報が予定在庫テーブルに接続する
この条件を満たす情報システムは、生産管理システムや販売管理システムではなく、ERPなのです。
私は、業務間の連携を理解していると自認しています。しかし、社内で「コンサルタント」の称号を持たない私にはなかなかそういう相談がきません。一方で、ERP導入にはパッケージ導入のコンサルタントが大勢来てくれています。業務間の連携に関する相談は、「コンサルタント」の称号を持つ彼らに向かってしまいます。彼らのほとんどは、業務間の連携は得意ではありません。その結果、ERP導入コンサルタントは「能力がない」といういわれのない評価を受けてしまうのです。申し訳ないことです。
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魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
Last update 2001-3-17
Create 2001-2-11