レポート:<特命任務/ERP> ERPとコアコンピタンス
<特命任務/ERP>
ERPとコアコンピタンス
2001年2月25日
同じ業界で、ひとつの種類のERPパッケージを多くの企業が導入している例があります。たとえば化学業界はR/3を各社がいっせいに導入しています。このことは、各社のコア・コンピダンスを失わせ、画一的な化学製造業企業がいくつも生まれてしまう結果になるのでしょうか。
ERPパッケージは、広範な機能を備えています。財務会計、管理会計、販売、購買、生産、設備保全、プロジェクト管理、人事、等々・・・。このことから、同じERPパッケージを導入すると、同じ企業がいくつもできてしまうような感じがします。でも、それは2つの面で間違っています。そういう心配をする必要はないのです。
まずひとつに、ERPパッケージは多様であるということです。同じパッケージを導入しても、出来上がった業務システムは同じにはなりません。少しも似ていないこともあります。仮に、パッケージのパラメータが30あって、それぞれが2種類の機能の選択肢を持っていると仮定します。その場合の出来上がりのシステムの種類は、2の30乗ですから10億を超えます。わずか30で10億ですから、現実のパッケージは無限の選択肢になります。同じERPパッケージを導入しても、同じ業務システムにはならないのです。
もうひとつ、ERPパッケージが企業の活動のすべてをサポートするのではないということです。たとえば、製品開発はERPパッケージの範囲の外です。同じように、非定型の意思決定もERPパッケージはサポートしませんから、経営方針や判断、戦術の選択などほとんどすべての重要な意思決定はERPパッケージと無関係に遂行されます。そのために、同じERPパッケージを導入しても、同じ企業はできないのです。
むしろ、ERPパッケージの導入を機に、コア・コンピタンスを考え直すことができると思います。それまで、当然のように「他社と違う」と思っていたことが、どういう意味を持っているのかを考えるのです。あるいは、欠点だと思っていたことが、本当は他社との違いを生み出しているのかもしれません。業務システムの標準をERPパッケージが提供してくれるので、それとの違いが分かるのです。
私の関わっているERP導入プロジェクトでは、「業務をパッケージの合わせよう」というスローガンで検討を進めています。そうすると、始めから合っている業務、容易にあわせられる業務もありますが、なかなか合わせられない業務も結構あります。合わせられない理由を考えると、本当に意味のある違いと、意味のない違いがあることが分かってきます。ERPパッケージがサポートする範囲に限って見ると、販売・生産・物流業務には意味のある違いがたくさんありますが、財務会計・購買・設備保全・人事にはたいした意味のないものが多いと思います。管理会計とプロジェクト管理は考え方次第です。
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魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
Last update 2000-2-25