ERPがもたらしてくれる、あたりまえのことがあたりまえにできる状態は、経営戦略を語る資格を与えます。あたりまえのことがあたりまえにできる企業は、他社がやらないことに資源と時間を投入することができるのです。
さて問題です。あなたはあたりまえのことをできていますか?実はこれは、結構高いハードルなのです。多くの企業は、あたりまえのことのうち半分ぐらいはできています。ところが、できていないこともぱらぱらとあるのです。そして、企業の基礎的な強さ(あたりまえのことができる能力なので、たとえて言えば「基礎体力」でしょうか)は、諸々のあたりまえのことのなかで最も弱いところに制約されてしまうのです。さらにまずいことには、多くの企業は自社の強みや弱みをよく理解していないのです。つまり、あたりまえのことができていないことを自覚できない場合が多いのです。
そこに、ERPの新たな問題が出てきます。ERPはあたりまえのことをあたりまえに行う仕組みです。当然ながら、ユーザにもあたりまえのことを遂行することを求め、それができる前提で組み立てられています。もし、現実にはそれらのあたりまえのことが遂行できないとしたら、ERPは実務で使うことができないのです。ERPユーザの中には、ERP稼動前にユーザの業務スキルが不十分であることが判明し、教育期間を計画しなおしたために、システムの稼動開始が2年遅れた例もあるそうです。
まとめます。
ERPはあたりまえのことをあたりまえに処理するシステムです。当然ながら、ユーザにもあたりまえのことをあたりまえに遂行することを求めます。それができることがERPユーザの条件であり、それができたときに初めて、経営戦略について語ることができるのです。