レポート:<ITへの的外れな期待> 「ペーパーレス・オフィスを実現する」

<ITへの的外れな期待>

「ペーパーレス・オフィスを実現する」

2003年3月9日


 コンピュータを活用して、オフィスをペーパーレスにしたいという構想がしばしばある。しかし、すでにご存知の通り、現実はそうはならない。かえって紙は増える。
 紙がないとおさまらない仕事は結構ある。

 では、紙の何が問題なのか考えてみよう。大事なのは紙を無くすことではない。紙の問題を解決することだ。

 さて、問題解決を検討してみよう。
 紙のコストは、紙を使うことによって必ず発生してしまう。では、紙なしで会議ができるだろうか。そのためには、画面サイズにあわせた会議資料を作成する必要がある。具体的には、PowerPointで会議資料を作るのである。安っぽく見えるかもしれないが、初めから画面サイズの単位で資料を作成すれば、印刷は重要ではなくなる。逆に、過去の習慣に従ってA4縦サイズに印刷するような資料をWordで作成すると、印刷しなければページ全体が見えない。したがって、印刷する。
 もう一つの課題はメモできるようにすること。これは、キーボードが不自由なく使えれば問題ない。キーボードが苦手な人の場合に、手書きメモに劣らない方法が提供できるか、それが鍵になる。そのメモを、自分が見られればよいだけであれば、手書き入力やタブレットによるイメージ取り込みで実現できそうに思う。

 紙をなくすことができれば、若干のプログラム改善で情報共有の問題は自動的に解決する。距離に関わらず、瞬時にデータを交換することができるからだ。残るは、請求書・領収書の保管だ。これは紙でもらってくるものだ。この解決策としては、スキャナで電子化して保管する方法がある。紙の保管は義務付けられており、廃棄は出来ない。しかし、紙の保管により発生する問題を解決するのだ。手順はこうだ。

  1. 請求書・領収書等の伝票処理を済ませる
  2. 請求書・領収書はスキャナでイメージを取って、イメージデータを伝票データとリンクさせてサーバーに保管する(伝票にリンクしている請求書・領収書のイメージを参照できるようになる)
  3. 請求書・領収書はスキャンしたら箱詰めし、保管する。
  4. 必要に応じて、伝票にリンクしたイメージを参照して、業務を遂行する
 請求書や領収書は、通常は経理部門で保管しているのではないか。その場合、後で使うかもしれないのでコピーを撮って各部署に保管しているだろう。ところが、ちょっと前の分はなかなか見つからない。イメージにしておけば、コピーを撮る必要はないし、探すのも早い。
 会計監査、税務監査のために、請求書・領収書を保管する必要はある。しかし、監査でそれを見る必要は、通常は生じないと言う。ある経験者によれば、この仕組みを導入してから一度も現物の提示を要求されたことはないそうだ。したがって、分類をせずに読み込んだ順にダンボールに詰めていけばよいことになる。保存の手間の問題は、ほとんど解決できる。

 ペーパーレスオフィスが解決しようとした問題は、ITの面ではすでにおよそ解決可能なのである。問題は、PowerPointの一見安っぽい資料でよしとすること、請求書や領収書はイメージデータでよしとすること、つまり企業文化の変革が問題なのである。


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魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
Last update 2003-3-9 /154