レポート:<ITへの的外れな期待> 「理想の業務プロセスを組み込む」

<ITへの的外れな期待>

「理想の業務プロセスを組み込む」

2003年4月13日


 業務をシステム化するとき、理想の業務プロセスをプログラムによって実現しようとする。知恵を絞って、業務要件を整理し、プログラム仕様書に織り込んでいく。その努力の大きさにもかかわらず、出来上がるシステムは非常にレベルの低いものになってしまう場合がある。それでも、知恵を絞った人たちは、結構満足していたりする。

 最も頻繁に見かけるのは、部分最適の罠に落ちたケースだ。その業務だけを見ると合理的に見えるが、少しひいてプロセス全体を見ると、組織に何ら貢献できないものが出来上がる。たとえば、

 税務の要件を満たすことや、賞与計算の元になることは必要な要件だ。しかし、それだけの仕組みなら、それを最低のコストで実現するべきである。そこには「理想の業務プロセス」など入り込ませてはならない。
 逆に、原価管理や人材育成に貢献することを目指すなら、検討を機能別組織の責任者だけに任せてはならない。原価管理や人材育成は経営者が担うべき領域であり、機能別組織は経営者のブレインに過ぎない。

 もう一つのパターンは過剰投資の罠だ。どうせ作るなら、後からいろいろ付け足す必要がないように、一気に高度なシステムを作り上げる。たとえば、1日に1000件の受注が事業の目標だからといって、1000件の受注があっても無理なく処理できるように設計する。しかし、ふたを開けてみると1日に200件ぐらいの受注しかなくて、せっかくの投資が無駄になる。目標が1000件であっても、設備投資は客観的な予測に基づくべきであろう。市場が拡大する時代ではないので、一度した過剰投資は永久に回収できないかもしれない。

 部分最適をさけるには、仕組みを教科書どおりの考え方で組み立てるのがよい。教科書は、合理的だから教科書になっている。部分最適に陥る危険を回避できる。工夫して教科書を超えたつもりであっても、現実にはなかなか超えられるものではない。
 過剰投資を避けるためには、最初は小さい能力でよいが、教科書どおりの考え方で組み立てるのがよい。そうすれば、システムの能力を必要になってからアップすることが容易になる。小さく始めてあとから強化することが可能になる。

 教科書どおりの情報システムは、実は市販されている。しかも安い。それは、いわゆる「パッケージシステム」である。実績のあるパッケージシステムを導入することによって、理想を追って陥る罠をさけることができる。


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魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
Last update 2003-4-13 /156