レポート:<ERP 終わりのないプロジェクト> BPRを繰り返すことができる能力

<ERP 終わりのないプロジェクト>

BPRを繰り返すことができる能力

2005年7月10日


 SAPPHIRE'05が7月7日から8日の2日間かけて東京国際フォーラムで開催されました。私も事例紹介を依頼され、初日の午前中に1時間ほどの報告を聞いていただいた。講演会場にご来場された皆さんもこれをお読みかと思いますが、ありがとうございました。ずいぶん大勢の皆さんにお越しいただいたこともあり、非常に緊張しました。
 実は、SAPPHIREでの報告は今回が2回目です。前回は2年前で、「ERPは小さく始めて大きく育てる」というタイトルでERP導入プロセスでの経験を報告しました。

 ERPは、すでに3年間以上使っています。ERPを大きく育てるためには、使いながらレベルアップを繰り返さなければならないわけです。ところが、レベルアップが行き詰るケースがあることに気づきました。

 その原因は、大規模な追加プログラム開発による自動化です。合理化のための努力が業務システムのレベルアップ、ひいては経営の改善の足を引っ張ることがあるのです。その理由は大きく3点です。

  1. 大規模な投資であり、何年も使わないと元が取れない。作った以上は使い続けなければならない。それが進歩を阻害する。
  2. 自動化を追求した結果、担当者がその業務に精通していなくても処理が可能になる。その結果、その業務の全体像を知っている担当者がいなくなる。
  3. 独自プログラムは標準から外れたプロセスになるので、上流・下流から見えないブラックボックスになる。担当者には全体最適がイメージできなくなる。

 導入後に業務のレベルアップ、つまりBPR(⇒注)を繰り返せることは必要な能力です。ハマーも「リエンジニアリングは一回きりのプロジェクトではなく、企業の経営方針でなければならない」と言っています。どうすればそんな体質が身に付くのか、それを私は2年前は解決できていませんでした。

 ERPを3年間使ってみて、解決の兆しは確信に変わりつつあります。それが、SAPPHIREで申し上げた主張であり、このシリーズのテーマです。


(注)BPR;"Business Process Re-engineering"の略。マサチューセッツ工科大学のハマー教授らが提唱した業務革新の手法で、「リエンジニアリング」とも呼ばれる。その定義は「コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に改善するために、ビジネス・プロセスを根本的に考え直し、抜本的にそれをデザインしなおすこと」とされている。BPRを日本に紹介した書籍「リエンジニアリング革命」(左に紹介)は、ハマーの著作を野中郁次郎が監訳したもので、1993年暮れに発売されたあと、3年ぐらい一世を風靡した。しかしその内容は手法を紹介する書籍としては難解で、多くの誤解を残しているように感じられる。最近は「BPR」という言葉を耳にすることが減ったが、廃れたというよりは、当然のこととして浸透したと理解するべきだろう。

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魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
Last update 2005-7-10 /173

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