レポート:<ERP 終わりのないプロジェクト> ERPで業務の透明性を実現する

<ERP 終わりのないプロジェクト>

ERPで業務の透明性を実現する

2005年8月6日


 企業の不祥事がしばしば話題になりますが、その中には伝票のごまかしによってなかなか見つからないものがあります。カラ○○とかヤミ○○などと呼ばれています。そのようなごまかしを許さない仕組みは、ぜひ欲しいと多くの経営者が思われるでしょう。しかし、当事者が会社のためにと思ってそのようなごまかしをするのですから、ごまかしを防ぐのは容易ではありません。

 ERPを3年間使ってみて気づいたことの一つが、伝票をいつでも誰でも参照できるということの価値です。これは、もしもごまかしを容認してきた企業があったとしたら、その文化を変えるぐらいのインパクトがあります。
 従来は、伝票の最初から最後までで人の目に触れるのは、最初の伝票作成、その上司による承認、経理部門での伝票転記、そして会計監査・税務監査ぐらいでした。経理部門は現場の仕事を見に行く暇はありませんし、会計監査・税務監査は何ヶ月・何年後で検査される確率も何百分の一ですから、その伝票が全うなものであるかどうかをチェックすることは至難の業でした。伝票作成者とその上司が結託すれば、容易にごまかすことができたでしょう。
 ところが、ERPでは伝票をいつでも誰でも見ることができます。自分が伝票登録するときに過去の伝票から似たものを探したり、経費実績を確認するために原価要素の明細としての伝票を参照したり、ある仕入先との取引を明細で確認したりします。あるいは、うその売上高を計上しようとしても、ロジスティクスと連動した経理処理しかできなければ、実際に品物を動かさなければなりません。倉庫や輸送業者まで巻き込んで、売上高を操作できるでしょうか。そのような仕組みで、うそやごまかしの伝票を処理することはきわめて難しいのです。

 その結果、仕事は正々堂々としたものになると思うのです。「経理の透明性」が実現できると思うのです。正々堂々とした仕事をすればよいのであれば、ごまかしを考えたりつじつま合わせに四苦八苦する時間を、問題解決に充てることができます。そんな心配をしていた企業にとっては、それだけでも大進歩です。

 透明性は経理だけではありません。上流・下流から業務が見える、横の業務が見えるようになると、いろいろなことが分かってきます。

 たとえば「製造固定費が高い」という現象を、製造部が悪いように思っている営業責任者がいるとします。透明性がなければ、表面的な現象をいてそのように思う人が出るのです。ところが、実際には製造固定費が高い原因は製造部にばかりあるわけではありません。たとえば、販売不振で稼働率が予定より低くなると、製造固定費は上がります。稼働率が低い理由が販売不振であるなら、悪いのは製造部ではありません。それが見えるようになるのです。見えれば、誰かがわざわざそれを言いにいくまでもなく、原因を作っている人たちは何とかしようとがんばるのです。

 このこと自体は、ERPのおかげと言うより標準原価計算制度のおかげです。しかし、自己流の原価計算をしていれば、それを全社が理解するのに時間がかかったり、原価計算結果がブラックボックスになったりしたでしょう。ERPだったから、標準的な原価計算制度を導入することができたのだと思います。


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魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
Last update 2005-8-6 /175

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