いくら忙しくても、寝る時間を惜しんであらゆる仕事を片づけていくというのでは体が持たないし、成り行きに任せていては大事な仕事がおろそかになってしまう。ここでは、マネージャーにとっての大事な3つの世界を挙げる。成り行きに任せると、その3つの世界への窓は閉じてしまう。有能なマネージャーは、それらの窓を閉ざさないように、気を使い、努力しているのだ。
「トップも営業マン」などと言う必要もあるまい。トップセールスは、トップがする営業活動のことだ。
一方で、経営者とその分身である従業員とは別の人だから、当然、考え方も生き方も違う。違うところをあえて分身として動いて貰うには、経営者が従業員を理解することが必要だ。経営者が従業員を理解して、はじめて従業員は経営者を理解しようとしてくれる。そして、相互理解ができて、はじめて分身としての働きが期待できるのだ。
これが組織の原点である。従業員への窓を開け、会って話をすることも、必要不可欠なのである。
ビジネス上の利害関係のない人たちが大切である理由は、自分のバランスを維持するためである。会社の中では常識になっていることでも、社会から見れば異常なことという場合がある。某証券会社の総会屋に対する利益供与などは、おそらくそうだろう。もし、証券会社総務部の担当マネージャーが、証券会社以外の人たちと「総会屋対策」について議論する機会があれば、そこで「うちは利益供与している」なんて言わなくても、他社がどんな苦労をし、どんな工夫をしているかを知り、自社の常識が異常であることに気づいた可能性が高いのではないかと思う。
私が想像する答えはこうだ。「この3つの窓を閉ざしても、誰にも非難されないから。」
社内のマネージャーたちや経営トップは、優先順位を下げられると文句を言い出すだろう。しかし、三つの窓は、具体的な不具合が見えるまで、誰も文句を言わない。たとえば、マネージャーがお客様に会わなくても、1年や2年は不具合は見えてこない。それゆえ、社内の打ち合わせや会議やおつき合いが優先され、お客様や従業員や、「社会」との関わりがおろそかになるのだ。このような現象が、冒頭で述べた「成り行き任せ」である。でも、不具合が見えてきてから立ち直ろうとしても、なかなか立ち直れない。なぜなら、そういうことがまかり通る会社は、そういう体質の組織になってしまうからだ。
「時間」というものは面白いもので、すべての人に等しく1日24時間が与えられている。その時間の使い方は、自分の周囲との関係の中で、自分自身で決めていく。当然ながら、少なくともビジネスに関しては、優先順位の高い事項から時間が割り当てられていくべきだ。「時間がないから会えない(できない)」というのは、「あなたの優先順位は低い」と言っているのと同じだ。優先順位が高い相手にこの言葉を言わないようにするのが、マネジメントの基本の一つなのだ。