ERPパッケージは、自分の仕事がガラス張りになってしまうと言います。成績が悪いときは、即座に上司や社長にそのことが知られてしまうのです。今までだって、あれだけ言われてしまっていたのに、もしそうなったらどうなってしまうのだろう。毎日のように呼び出されて、根ほり葉ほり聞かれて、あれが悪いこれが悪いと言われてしまうのか。そんな職場ではやりにくくて仕方がない。そういう心配は、確信に近いものがあります。
でも、本当にそうなるのでしょうか。たぶんそうはならないのです。
これまでは、社長はなかなか現場の生の情報を知ることができませんでした。たまに相談を受けたりすると、そこに全精力をそそぎ込みます。相談を受けた問題に関連する情報も持っていませんから、根ほり葉ほり聞かざるを得ません。もっと早く知っていれば、もっと良い解決策が選択できたと思うこともしばしばです。
ERPパッケージにより仕事がガラス張りになるのは、自分だけではありません。社長にはたくさんの問題が見えるようになります。そのとき、社長も忙しいので、重要な問題を選んで対応せざるを得ません。重要な問題にこそ、精力をそそぎ込むようになります。また、その問題に関する情報も、ある程度までは即座に手にできるので、それを把握した上で、それを補う情報だけを担当者から聞き出すことになります。根ほり葉ほりではなく、焦点を絞って話を聞けることになります。早く知ることができなかったことは、半分は経営者自身の責任ですから、そのこと自体で相手をなじることはなくなります。
「経営者が現場を支える」という、本来のマネジメントに近付くことができます。現場の担当者も、経営トップの社長も、これまでのいらいらしている状況を脱し、実力を発揮できる環境を手に入れることができるのです。このことは、経営者と現場担当者が共通の目標を持ち、ともに勝者になることを可能にするのです。経営者と現場が、Win−Winの関係を築くことができるのです。そのような企業文化を形成することが、ERPパッケージによって成功を手にする条件の一つです。
ERPパッケージが導入され、利益が詳細かつ迅速に分析できるようになると、勝負はそれほど単純ではなくなります。次のようなことが起こるからです。
これまでは、製造現場にとって受注状況を把握することは困難でした。営業マンにとって、在庫状況や生産状況を把握することは困難でした。このことが、売上という量的なノルマの設定と、単に単価の高い安いという単純な勝負の構造をもたらしていました。ところが、製造現場が受注状況を知り、営業マンが在庫状況や生産状況を知るようになると、何がプラスで何がマイナスか分かるようになります。勝負はもっと複雑になり、本当の成功を求めた活動へと移行するはずです。具体的には次のような勝負が設定されるのです。
これらのことが、自社と取引先の双方に「勝利」をもたらす、「Win−Win」の関係を築くのです。