ところが、次期経営者候補が経営者になったときに犯しやすい過ちに、「先代の真似をする」というのがあります。安易な模倣は成果をもたらしません。このレポートはその問題を指摘します。
もう一つ、決定的な違いがあるのです。それは、「年齢」です。「年齢」が「立場の違い」に影響するのです。年齢が違うのは当たり前で、「なぁんだ」と思われた方も多いでしょう。でも、これを認識しないために起こる間違いがあります。
次期経営者候補を絞り込んだ現経営者は、一般に仕事の質が変わります。一方、経営者候補たちは現経営者から一つでも多く学ぼうと、経営者のマネジメントをじっと観察しています。経営者の変化は、自分の任期が残り少ないことによってもたらされます。
責任感の強い経営者がいたとしましょう。後継者もほぼ決まっています。そのとき、経営者がどうなるかというと、自分の任期で責任を負える範囲のことに行動を集中させます。そして、それ以上の期間を要する仕事は、後継者であるあなたに任せます。この傾向は、責任感の強い人ほど顕著です。任期までに終えられない仕事は、面倒であったり、困難であったりします。
それは、まるで難しい問題は部下にやらせて、短期間で終わるような容易な仕事だけに関心を払っているように見えます。でも、それは違うのです。任期が残り少なかったからこその、責任感に基づく行動なのです。このことを経営者になったばかりのあなたが真似してはいけません。
でも、それは誤解です。ヒラメキにしたがった決定は、ろくなことはありません。きちんと考えて、必要な情報をそろえて、情報が不十分な部分のリスクを考えて決めなければなりません。意思決定の手順も重要です。(別掲のレポート参照。) 現経営者が、決定の結果しか言わないとき、その理由や検討の経過も聞いてみましょう。あるいはそれは教えてもらえないかもしれません。そういうときは、自分自身でも意思決定をしてみて、同じ結論に至る決定の根拠を探してみましょう。
普段から現経営者が話している経営理念や方針、1年以上のレンジでの目標設定が、決定理由の軸になります。そして、話に出てくる回数が多い事項ほど重要だと考えてよいでしょう。最上位の目的から、それを実現する手段、その手段を目的に置き換えて、それを実現する手段というような、目的の階層構造を描くことをお勧めします。
一つ目の理由は、現経営者が自分の変化に気づかないということがあります。現経営者は残りの任期が少なくなったために自分の責任の取り方が変わっていくのですが、そのことに気づかない場合があるのです。そうすると、「難しい仕事は人にやらせる」ということを次期経営者候補に薦める場合があります。それはある意味では正しいのです。その「難しい仕事」に自分より向いている部下がいる場合がありますから。でも、それは「責任を預ける」ということとは違います。
二つ目の理由は、自分の行動を解説するのは結構難しいということがあります。巨人の長島監督がバッターの指導をするのを聞いたことがあるでしょうか。「バーンと行くんだ!バーンと!」というようは訳の解らないことを言います。20年も巨人の4番を打っていたら、バッティングは体が覚えていて、それを言葉で解説することは困難でしょう。同じように、現経営者も意思決定の経過を解説することなど苦手かもしれません。「ピンときたんだ」なんて言うかもしれません。
あなたはそれを真に受けるのではなく、行動を観察して、自分でトレースしてみると言うことが必要なのです。