これを考えることは、そう簡単ではありません。たとえば、
「そんなことは分かっている」というのも誤りです。「うちは先祖代々豆腐屋だ。豆腐を作るのがビジネスだ」と言い切れるものではありません。豆腐を作るのがビジネスであるなら、いかに豆腐を作るかを考えればいいのですが、これでは何をもって「良し」とするのか見えてこないのです。少なくとも「豆腐をたくさん作る」ことが良いとは言えないでしょう。豆腐はおいしくなければならないのです。しかも、作ったときにおいしいのではなく、お客様が食べるときにおいしくなければならないのです。とのことから、豆腐の作り方を「出来上がるまで」で考えていたのでは足りないことが分かります。作り方は、お客様の口に入る瞬間まで考えておく必要があります。店でどのように陳列し、お客様にどのように渡し、どのように運んでいただき、どのように召し上がっていただくか、という全体を考える意味があるのです。
「ビジネスは何か」を考えないで「売上」や「利益」を議論することが、しばしば行われます。それでは、質の議論を省略していることになります。質の議論なしで「売上」という量の話をすれば、「質はどうでも良いから量を増やせ」という意図に図らずもなってしまいます。そして、「売上を増やす」だけ、あるいは「利益を増やすだけ」なら可能なのです。その歪みは、在庫や売掛金の増加をもたらしたり、将来の売上・利益を損ねたりします。
「ビジネスは何か」を考えなくても、幾つかの必要な能力を設定することはできます。でも、その重要性の順位や位置付けが認識できなかったり、重要な能力が抜け落ちてしまったりするのです。