レポート:One Fact One Place
<ERPパッケージの研究>
One Fact One Place
1998年10月25日
One Fact One Place とは、企業内で起こった「事実(Fact)」が、1ヶ所だけに記録されているという意味でしょうか。ある事実を知りたいとき、それを記録した場所が1ヶ所になっているというのは、「リアルタイム経営」をめざそうとすると、とても魅力的に感じられます。
企業内はコピーの固まり
企業内はコピーの固まりです。情報はコピーされ、広がっていきます。このことは、今見ている情報が新しい情報なのかどうかを非常に分かりにくくします。
たとえば、先月までの売上情報のコピーを手元に持っているとします。そのコピーが最新情報であることを証明することは、そのコピーを見てもできません。その後に新しい売上情報が作られていないことを確認する必要があります。その確認は容易ではありません。「存在する」ことを確かめるなら、一つ見つければよいのですが、「存在しない」ことを確かめるには、あらゆる場所をチェックしなければならないからです。
このように、情報のコピーを氾濫させてしまう企業は、コピーに混乱されます。混乱を防ぐためには、情報は定期的かつ定型的にならざるを得ず、的外れな情報が忘れたころにまわってくる組織になってしまいます。
コピーを氾濫させない考え方が、One Fact One Place だと私は思います。欲しい情報は、欲しい人が欲しいときに、保管されている場所(=データベース)に取りに行くのです。
一つの事実のいくつかの見方
企業内の活動には、一つの事実をさまざまな角度から見るようなことが起こります。たとえば、ある顧客に対して商品を出荷したとしましょう。そのときに、次のような事実が見えます。
- 出荷=商品が出荷されたという事実(=棚卸資産が減ったという事実)
- 売上=出荷に伴い、会計的には売上という事実
- 売掛金=売上に伴い、債権が発生したという事実
これらの事実が1ヶ所に保管されている必要性は必ずしもないでしょう。でも、どれかが発生したなら、どれもが発生するべきでしょう。ひとりの人が見たときに、売上はまだ見えないけれども、棚卸資産が減っているというような中途半端な状態を見せないこと、これもOne Fact One Place の一つだと思います。
逆に、販売システムと会計システムがリアルタイムで連携するというような世界は、どうでも良いことでしょう。1日単位で同期を取っておれば十分だと思います。
実現のために
かつて、コンピュータシステムの内部では「バッチ処理」と称してファイルのコピー(一部加工を含む)が頻繁に行われていました。コンピュータ内部には、よく似ているファイルがたくさんあったのです。
最近になって、データベースが一般的になってくると、情報技術を駆使して「ワン・ファクト・ワン・プレイス」を実現することはそう難しいことではなくなりました。でも、その本質は情報技術だけでは実現できません。
手元にコピーを持つということにより、簡単にファクトは2ヶ所、3ヶ所と増殖を始めます。ファクトを2ヶ所、3ヶ所と増殖させてしまうのは、人間なのです。
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魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
Last update 2001-1-27 リンク変更