レポート:連結化は手間をいとわず
連結化は手間をいとわず
1998年8月30日
なぜ「連結化」が問題か
連結化とは、新たに形式知化された知識を、既存の知識体系の中で位置づけることである。従来は、このような作業は、少人数の専門家グループ(技術グループとか標準グループなど)が担うか、または組織横断的な組織(標準化委員会など)で片手間ですすめられることが多かった。技術の変化やレベルアップのスピードはあまり問題とならなかったので、のんびりとこういうペースでもなんとかなったのだ。
さて、技術進歩が速くなり、それに着いていく能力が業績の分かれ目になる時代となり、新しい考え方を導入する必要性が増している。仮に「表出化」が効率的に行われるようになると、体系化されないままの知識が膨大な山になってしまう。あるいは、連結化がうまくいかないために、表出化した知識が活用されない状態が続くと、新たな表出化にブレーキがかかってしまう。「どうせ使われないなら、書き出しても仕方がない」というわけだ。
「連結化」を担うべき人
連結化を担うべき人は、専門家集団でも組織横断的な委員会でもない。ラインで実現すべき課題なのである。では、ベテランの指示の元で新人にでもやらせようか。いや、待ってください。最初に行ったように、連結化とは「新たに形式知化された知識を、既存の知識体系の中で位置づけること」ですから、新たな知識と既存の知識体系の両方を理解できている人でなければならないのです。それを素早く行う人が必要だとすれば、それを担うのは「指導者」「監督者」です。それはすなわち、中間管理職の仕事だということです。そして、その最も重要なポイントは経営者が押さえておく必要があるでしょう。なぜなら、従業員たちは知識に基づいて仕事をしています。この知識の体系が、従業員たちの仕事の質や進め方を決めてしまうのです。
連結化のための知識の評価
「新たな知識を既存の知識体系の中で位置づける」ということの具体的な意味を考えてみましょう。それは3つの観点からの評価になります。
(1)重要性のレベル
知識には重要性のレベルという認識が必要です。最も重要なのは、常に守らなければならない方針です。最も軽いのは、「不要」「ボツ」などがあります。その中間に、条件によっては守らなければならない基準、もしかしたら参考になるかもしれない経験など、さまざまなレベルがあります。
なお、「不要」「ボツ」というのは、価値がないわけではありません。たとえば既存の知識にすでに体系づけられている知識が再び形式知化されたとします。そのことは、既存の知識が分かりにくいのかもしれないし、レベルが足りないのかもしれません。新しい知識はボツになっても、既存知識の強化や整理には役立つかもしれません。
(2)活用すべき手順上の位置
知識は、必要なときに引き出されていかなければなりません。必要なときがいつなのかを決めて、そのときに引き出されるように仕掛けておくのです。
よく、新しい知識をチェックリストに入れることがあります。それも有効ではありますが、仕事が一区切り着いて、チェックしているときに新しい知識が提示されるのは、遅すぎるのではないでしょうか。チェックで正しいやり方に気付くのではなく、最初から正しいやり方で進めるべきでしょう。
(3)知識の分類
知識の分類を考えることは、知識を体系化する際に重要です。これを怠ると、知識は常に断片的に配られることになります。
分類を整理することにより、知識は体系化され、理解しやすくなるのです。
魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
Last update 1998-8-30