レポート:マネジメントの世代論

マネジメントの世代論

1997年8月23日


 新入社員に対して「今年の新入社員はこういうタイプだ」という解説を、週刊誌がしばしば行う。本当はさまざまな人がいるのに、年齢で区切って、あるステレオタイプで見てしまうということは、危険なことではある。しかし、ある変化を予想し、あるいは変革を設計する際に、年代によってグルーピングして、それぞれの特徴を論じることに意味もあると考えられる。

 多くの例外があることを承知の上で、いくらかの傾向を見ていこうという試みであると、ご理解いただきたい。また、切り口は次期経営者候補としての各世代である。この中で、30代の経営者は、マネジメントのタイプを論じるほどのつきあいのある人に私にはいない。新聞記事などからの想像であることをお断りしておく。

60歳代のマネジメント

 この世代は、社会人になった時期が高度経済成長時代のはじめである。親や先輩の話から、戦後の混乱期から立ち直っていく過程での苦労をある程度は承知している。

 この世代の特徴は、ビジネスを少し醒めた目で見ていることだ。自分がかかわっているビジネスがない世界や、自分の勤務する会社がない世界を想像することができるので、ビジネスや会社について、社会的な「意味」を考えようとする傾向がある。「意味」に納得すると、極めて高いレベルの努力を継続的に行う。

(この世代は、次期経営者候補と言えないかもしれないが、比較対照として出してみた。)

50歳代のマネジメント

 この世代は、社会人になった時期が高度経済成長時代の最盛期である。戦後の混乱期の記憶はせいぜい幼児期のものだけであり、ものごころが付いてからは高度経済成長だった世代だ。

 この世代の特徴は、ビジネスの拡大や自分の勤務する会社の成長を当たり前のことと思っていることだ。会社の存続やビジネスの存在に対する危機感が薄く、それらを「ありき」とした上で、自分の存在について考える傾向がある。高いレベルの努力をすることそのものに意義を見いだしているケースが多い。その結果、会社人間が多く見られる。

 いわゆる「親分肌」タイプの場合に、強力な指導力を発揮する場合がある。ただし、マネジメント技術については、周囲からのサポートが必要な場合が多い。

40歳代のマネジメント

 この世代は、社会人になった時期が高度経済成長時代の終わりである。会社がどんどん成長していくとか、給料がどんどん上がっていくということをほとんど経験していない。一方で、親や先輩の話から、高度経済成長時代についての知識を少し持っている。

 この世代の特徴は、現状に対する問題意識が強いことだ。ビジネスや会社に対して、「このままではいけない」と頻繁に考えている。しかし、現状をベースに「もっといい方法は」「次の時代は」と考えるので、あまり奇抜なことを思いつくことは少ない。

 理論的で視野が広い人が多く、60歳代から見ると、頼もしさにおいて50歳代を上回っている。それが、50歳代を飛ばして40歳代を次期社長に指名する経営者が見られる理由かもしれない。

30歳代のマネジメント

 この世代は、高度経済成長時代の記憶さえ幼児期のもので、ものごころが付いてからは低成長時代だった世代だ。

 この世代の特徴は、現状認識を自分中心で行うことが多い。自分にとって問題かどうかという視点だ。現状そのものの把握が自分独自の理論なので、他人から見ると奇抜な発想に見えることがある。奇抜ではあっても、行動が周囲の共感を呼ぶケースも多い。

 努力そのものに対して価値を感じることはないが、成果を上げようとする傾向は強い。成果を上げるためには、極めて高いレベルの努力を行う。


魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
Last update 1997-8-23