レポート:生産性向上

<ERPパッケージの研究>

生産性向上

1998年11月1日


 業務の生産性を測るというのは難しいものです。ERPパッケージは、「生産性を向上する」と言われます。

「BPR」と「ERPパッケージ」

 BPRとERPパッケージの関係について、いろいろなことが言われています。
 ここで、BPRの定義を、ハマー&チャンピーの「リエンジニアリング革命」から引用してみましょう。
 「コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に改善するために、ビジネス・プロセスを根本的に考え直し、抜本的にそれをデザインし直すこと。」
 ERPパッケージを導入するだけで、自動的にこのようなパフォーマンスの劇的な改善ができることを期待するとしたら、確かにそれは甘い考えだと言えそうです。

 一方、BPRにおける情報技術の役割については、次のように言っています。
 情報技術は単なる自動化に過ぎないと考えている企業も、まず問題点を探し、その後でそれを情報技術で解決しようとしている企業もまた、リエンジニアリングをすることはできない。
 ・・・
 多くの役員やマネジャーは、「演繹」的に思考している。つまり、問題を認識し、それに対する解決策を見つけ、評価することを得意としている。しかし、事業のリエンジニアリングにおいては「帰納」的な発想が必要なのである。つまり、まず強力な解決策を認識し、それによって解決が可能な問題を発見する。その問題は企業自身がその存在を認識していないのかもしれないものである。

 いかがでしょうか。ERPパッケージは「強力な解決策」です。解決策を認識し、それによって解決可能な問題を発見する。まさに、ERPパッケージにより解決しようとするアプローチはこの考え方に沿っています。逆に、「まず課題を設定し、それを解決できそうなERPパッケージを探すという手順を取るべきだ」というもっともらしい考え方は、実は旧来型の「演繹」的発想だということになります。

生産性の全体最適

 生産性を全体で計測するという方法を、多くの企業は持っていません。財務諸表から計算される生産性は、ある意味では全体を計測しているのですが、それは「生産」についての生産性で、事務の生産性を含んでいないと考えられます。

 各部門の担当者や管理者が考えることができる生産性は、その部門の部分的な生産性です。全体の生産性は、経営者の洞察力に頼るしかないように思います。
 言い換えれば、各部門の担当者や管理者の考える生産性に惑わされないことが重要であり、そのためには「トップダウンの強力なリーダーシップ」が必要不可欠なのです。

ERPパッケージによる生産性向上のために

 ERPパッケージ導入を、業務生産性の向上につなげるための方策をまとめてみましょう。

  1. 最初に、ERPパッケージ導入により解決すべき課題を設定しないこと
  2. パッケージを見る前にパッケージ選定のための評価基準を決めないこと
  3. 洞察力を駆使して、自社に適合したパッケージを選定すること
  4. パッケージの考え方を素直に受け入れ、それを基準にビジネスプロセスを再設計すること

 私自身はまだERPパッケージ導入を経験していませんが、最近の研究からこんなことを感じました。


前のレポート次のレポート
魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
Last update 2001-1-27 リンク変更