では、Aさんが、引き受けた仕事をうまくやり遂げたらどうだろうか。これは、「責任を果たした」という感覚に近いものがある。でも、「うまくやり遂げること」が責任を果たすことかというと、これも違うように思う。たとえば、失敗しそうになったのだが、運良くうまく行ったというときに、「責任を果たした」と言うだろうか。あるいは、不可抗力の問題によって、当初の期待に満たなかったとしたら、「責任を果たせなかった」と言うだろうか。
そもそも、結果が分かる前に、「責任を負って仕事をしている」と言えたり言えなかったりする。「責任」という言葉は、「引き受けた」という現在の行動によっても、「うまくやり遂げた」という結果によっても、説明することができそうにない。
もうひとつ、「責任をとる」という言葉がある。仕事の失敗の責任をとって、会社を辞めたり、中には命を絶つ人もいる。
さて、「責任」という言葉の曖昧さに気づかれただろうか。これがこのレポートのテーマだ。
| 「責任」とは、現状より未来をより良くすることを、ある程度客観的な基準をもって期待されている状態である。 |
「責任」に関連する言葉は、これによりうまく整理できる。
| 「責任を果たす」とは、過去において期待された現状を実現していることである。ただし、その過程で起こったさまざまな障害や援助・幸運を考慮して評価されることが多い。 「責任を負う」とは、現状より良い未来を実現することを、着実に、継続的に実現しつつあることである。 「責任をとる」とは、過去において期待された現状を実現できなかったことにより、何らかの罰を受けることである。
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判断するとき、その人間が責任を負う覚悟があるなら、判断の後の行動に対して、何らかの貢献を約束しているのである。自ら参画したり、貢献できそうな人的資源を手当したり、予想される障害をあらかじめ取り除いたりすることを約束しているのである。
「責任をとって会社を辞める」という行動は、未来指向ではないように見える。たしかに、本人にとっては、どう見ても未来指向ではない。しかし、会社にとっては、残った人々がより真摯に業務に取り組むようになるかもしれない。つまり、怠慢や故意、または重大な過失により失敗したときに、「責任をとって会社を辞める」という選択があり得るのだ。
でも、一方では「失敗したら会社を辞めなければならない」という雰囲気は挑戦的な取り組みにブレーキをかける。「責任をとって会社を辞める」という選択は、十分に考えてからにしましょう。