レポート:失敗事例の分析

<ERPパッケージの研究>

失敗事例の分析

1998年11月16日


 ERPパッケージの失敗事例について考えてみましょう。

コストダウンへの期待

 ERPパッケージを導入すると、情報システムのコストが劇的に下がるという期待をしているケースがあります。多くの事例が、それが誤りであることを表しています。
 もちろん、ERPパッケージはコストを上げるというわけではありません。ERPパッケージを独自システムより小さなコストで導入することは可能です。でも、必ずそうなるわけではありません。

 ERPパッケージは、いわば組立部品の集まりです。望むなら、さまざまな情報システムを構築することが可能です。そして、誤るとハイコストの情報システムも構築できるのです。
 なまじ、簡単に独自機能の作り込みができるものだから、あれもこれもと手を広げていくうちに、膨大かつ複雑な情報システムになってしまうのです。

ERP超高級車論

 「ERPパッケージは超高級車だ」という意見があります。高いし、扱いも結構難しそうだし、云々。しかし、これはどうも違うようです。ERPパッケージで「あれもこれも」とやると、超高級者車になってしまうことがあるのです。

 市内を小回り良く乗り回すことができる乗用車が欲しい人がいました。でも、電話は付けたかったのです。たまに8人乗ることもあるので、座席も余計に必要でした。乗り心地も良いに越したことはない。荷物のスペースも、年2回の旅行のためには大きくしたい。安全のために、頑丈なボディーも欲しい。エンジンは車体重量に見合って大きくして、ぶつけたときに車体に傷が付かないようにしっかりしたバンパーをつけて、・・・。出来上がった車は超高級なリムジンです。
 おやおや、我が家の車庫には入りません。家の前につけるには、あの狭い道を通れなくてはいけなかったのに。こんなにガソリンを食ってしまうとは。ぶつぶつ。

 失敗事例を見ると、そんな文句を言っているように聞こえます。

自動車の歴史を見ると

 自動車作りがフォードによって量産化される前、自動車は手作りに近いものでした。部品を集めてきて、小さな工場でお客の注文を聞きながら、自動車を作っていたメーカーもあったでしょう。でも、自動車は高価ですから、知らない間にリムジンを作ってしまう人はいませんでした。

 さて、ときは現代。仮に、大きな自動車メーカーと同じような値段で部品を集めてこれて、自由に自動車を作れるようになったとします。もしかすると、大した費用もかけずに、リムジンが作れてしまうかもしれません。部品を見ているうちに、あれもこれもと言う話になることは十分にあり得ます。200万円で結構な部品が買えるでしょう。それを組み立てます。「こんなに大変だとは思わなかった。これだけ時間を食うのだったら、買ってきた方が安いかも」なんて言いながら組み立てるのです。そのあげく、出来上がってみたら車庫に入らない。

 情報システムも、少し前までは産業革命前のような状態でした。職人による手作りです。もちろん高価です。それを、ERPパッケージベンダーは量産化したのです。ただし、それは部品集です。うまく部品を選び、正しく組み立てなければ、思ったような情報システムはできません。

 そんなことを考えている、今日この頃です。


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魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
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